204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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― 一階 ―
[へたり込んだフィリップから、血の匂い。
滴る赤に、目を奪われた]
――っ、…
[フィリップへと手を伸ばす。 その赤をぬぐうように、触れようとして]
(339) 2014/11/18(Tue) 20時半頃
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フィリップ……
[伝わる。 その、衝動に。
手を伸ばして、治めることができるかと]
(*77) 2014/11/18(Tue) 20時半頃
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[痛い 痛む きしりと 暖かな 陽射し 思わせる あそこに帰りたい そう 一緒に旅を]
[だから 一番 衝動を 向けてはいけない人]
(*78) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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ー 一階 ー [何かが 触れた 口先 暖かなもの 生きた温度 揺らぐ この温度は]
(340) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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ラル…………ふ……
[その温度は ラルフのもの 一番衝動を 向けては いけない 存在]
(*79) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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[暖かさに 両腕が 目の前の 生きた温度を抱き締める 抱きしめるーーーいや 捕獲する
そのまま 獣は 細い 人の 急所 その首元を けれど それは逸れて その肩口 喰らいつく 尖った犬歯 渾身の力]
(341) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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――ぃっ……
[触れた、体温。 指先の赤に、気をとられて。
抱きしめられた驚きは、肩口の痛みにとって変わられ]
ふぃり、っぷ……
[噛み付かれたところから、じわり、とシャツに血がにじむ。 痛みを堪えて、フィリップの名を呼ぶ。
くらり、めまいがする]
(342) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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――
フィリップ、……
[食いつかれても、怖さはない。 ただ、フィリップが落ち着くように、呼びかけ続ける]
(*80) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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―― 二階/炊事場 ――
[食器を洗い水気を綺麗に拭き取り元ある場所に片付ける。 過保護な保護者の庇護下にあるけれど 故郷の両親に自分のことは自分で一通り出来るように躾けられた。 旅の同行者を家族のように思うことはあっても 実際の家族は故郷にいるから ドナルドにとってラルフはラルフでフランシスはフランシスだ。]
ピアノ、か。
[ぽつと呟くはフランシスの言葉>>329を思い出して。 僅かくちもとが緩む。 向けられた少し鋭いまなざしも何やら勘違いしていると知れたけれど 結局誤解解かぬまま「なんでもない」とその時は呟いた。 フランシスをお節介と思ったことはないから、 彼の口からその言葉>>330が出た時は「大丈夫だって」なんて言って。]
(343) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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[フランシスが保護者として気にかけてくれているのは知っている。 保護者としてでも淡い笑みで紡がれた言葉を嬉しいと思ってしまう。 現状の繋がりに満足しきれぬと思うのに 繋がりが切れてなくなるより良いとも考えて。
彼の撫でた眼帯に己の手を宛がい小さく息を吐く。 二コラの前で外しても構わないと思ったそれは フランシスとラルフの前では極力外さぬようにしていた。 傷つけた眼球をうっかり見せてしまえば 赤に染まったあの時の事を思い出さ手しまうだろうと思って。]
被保護者としての在り方、省みるべきかね。
[顔を覆ったまま紡がれたフランシスの声を思い出して 軽く肩を竦めてひとりごちた。]
(344) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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[それは 甘く 芳醇な 己の血と混じり 口の中 広がる 酔いしれる 捕獲する 腕 その爪 服越し立てて]
ぁ…………
[人喰う獣][だけれど その名が呼ばれて]
[彼は 気がつけば 呆然と 口から 血を滴らせ 紅く染まる ラルフを見た]
俺ーーーーーー
(345) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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俺ーーーーなんてこと を
[薄い硝子が砕けるような そんな音が響く 衝動を抑えた 望みが絶たれる 音]
(*81) 2014/11/18(Tue) 21時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[血の匂いに、くらりとする。
このまま食われる感覚に、けれど怯えはなくて。
ただ、フィリップの名を呼び]
――フィリップ、
[痛みを堪えて、ちいさく、笑む。 呆然とするフィリップの頬へと手を伸ばし]
大丈夫、だから。
[そっと撫でた]
(346) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[痛い、熱い。
食われる感覚に、ぞくり、とする。
それもまた、一種の衝動をあおって。
気づいたフィリップに笑みを向けた]
……いいよ。 俺が、傍にいたせい、だから。
(*82) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[ノックスは。 絶対に、間違ったことなんて言わないから。 これは、間違ったことなんだ。
階段に足を乗せるたび、木が鳴く。
ノックスはかなしそうだった。 だから本当はすぐに戻ってごめんなさいしなくちゃだめなんだ。
思いながら、繋いだ手を見る。 握った手は、少し低い温度で。 熱をあげるために、彼の手を包むように握り直して]
うん。
[>>256行こう、の声に、頷く]
(347) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[今は何時なんだろう。 外は相変わらず暗くて白くて。 三階の部屋、扉を閉めたら雪の明かりだけが光っていた。
手を引いて]
……。
[いま僕は間違ったことをしている。 ディーンは大人だからそれを止めなきゃだめなのに、止めない。 だから多分、ディーンも悪いことをしている。
弱くって、悪い大人で、可哀想な]
(348) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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ねえ、ディーン。
[ふと、口元に笑みを浮かべて。 とん、と彼を白いベッド目がけて突き飛ばした]
好き。
[僕は僕より駄目な人が好きなんだと思う。 僕は僕より可哀想な人が好きなんだと思う。
彼の手を取って。 黒でところどころ汚れた指先に、そっと口づけて、甘く噛んだ]
(349) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[視界の先 柔らかな表情 触れる指先は あまりに暖かくて 優しくて ………苦しい]
……………………ーーー
[首を数度横に振る 孔雀石は 涙に歪み 静かに 嗚咽を零す]
(350) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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違う ラルフのせいじゃない 違う ………………
[ほと ほとと 滴が目からこぼれる]
一緒にいられなくなる
[どうして こんな獣と 大事なラルフを 一緒に旅をさせてくれようか?]
ーーー一緒にいられない
[どうして 今後 ラルフに一切衝動を向けないなんて 己を信じられようか?]
(*83) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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―2F廊下― [ 喉が、少し、乾く気がしながら――]
――……ラルフ? いないのか?
[ 廊下には、人影はなく。 透明感のある声で、やや控え目にラルフを呼ぶ。 ]
(351) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[身に纏わりつく澱みを振り払うように、大きく息を吐く。
盲目的なまでに食われることを望み、他者を省みない熱情と。 己の欲が牙を突き立てようとしているものが、本当は何なのか分からない子ども。
――まるで、昔の男のようで嫌になる。
必要以上に苛立ったのは、昔の罪を突きつけられた気がしたからだ。 分かってる。]
(352) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/11/18(Tue) 21時半頃
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プリシラ…。
[眉を下げた表情はやはり泣き出しそうなまま。>>210 真っ赤に泣きはらした瞳で男を見つめた昔が重なって、そっと呼ぶ。]
ノヴァ。
[口にすれば、見えない牙がそっと疼いて。 その度に大事なのだと、己に言い聞かせながら突きつけられる。
どうしようもなく大切で、大切だから食べたくて、食べたくないほどに大事で、大事だから欲しくて。]
(353) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[零れ落ちる涙>>350を拭って。 優しい手つきで頬を撫で。
衝動が抑えきれないほどなのは、身をもって体験したから]
……フィリップ。
[それでも途中で止めてくれた相手の名を呼び]
――大丈夫、だから。
[濡れた孔雀石を見つめて、 落ち着かせるように、額に口付けを落とす。
じわり、にじむ赤が、痛みをもたらすけれど]
(354) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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……一緒にいられないのは、悲しい、よ。
[涙止まらぬ様子に、悲しげな色がかえる]
――フィリップ。
(*84) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[牙の衝動を治めるために買った商売女には、こんな感情を持ったことはない。 たった一人の、大切な養い子。
とっくに手遅れだったのか、と己自身を嘲笑いながら、それを見ないふりが出来るだけの狡さに安堵する。]
(355) 2014/11/18(Tue) 21時半頃
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[優しい手は 離れない 身を 引きかけて 逃げ出すことさえ出来ない]
ーー…………うっ
[充満する 血の 生者の匂い 生命の流れ出る匂い 今だって 疼く 額の温もり また 捉えたくなる 両の手 強く握り 疼きを 懸命に抑えながら]
ーーー食べたくない…………
[けど 食べたい]
(356) 2014/11/18(Tue) 22時頃
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― 3階・室内 ―
[幼い頃から評価はいつも同じだった。 落ち着いている、大人びている、聞き分けの良い大人しい子供。 そう思われていたから、ディーンは全てを飲み込んだ。 吐き出すべき毒も、我儘も全てを飲み込んで汚れていった。
本当は我儘で醜くて、弱い。 そんな自分の姿を、ディーンはひたすらに隠し続けた。
しかし、>>349柔らかな日の光がそれを暴いた。 炎で以て頑なだった氷を溶かし、それだけでなく――。]
ニコラ――……、っ
[白いベッドに横たわったまま、ディーンは彼の名を呼んだ。 優しいキスと、汚れた指先を噛む硬い歯の感触だけでひどく熱を帯びた息を吐く。]
(357) 2014/11/18(Tue) 22時頃
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けどーーーーけど
一緒にいたら いつか 食べてしまう いつか 終わってしまう いやだ 俺 ラルフ 食べたくない……っ
でも 食べたいって 思ってる
(*85) 2014/11/18(Tue) 22時頃
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……もっと、強く 噛んで
[溜め込んだ汚れはきっと、彼に食べられる為にあった。 汚れて穢れてぶくぶくに太った欲望で、 彼の腹と心を満たすことが出来る。 そう思えば、あさましく強請ることの一つぐらい何でもない。
空いたままの片方の手を伸ばし、ニコラの髪をそっと撫でる。 爪先も、舌も、眼球も、腸も。 全てを彼に、食まれたい。]
(358) 2014/11/18(Tue) 22時頃
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プリシラ、悪い。 俺も混乱してたみたいだ。
[そっと抱き寄せて、赤髪を撫でる。]
強引に連れてきて悪い。でも、無理なんだ。 …昨日言ったよな。ノックスとその連れが同族だって。違うんだ。
[それを告げる瞬間、指先に力が籠る。]
全員、同じだ。自覚や自制の差はあるがな。
(359) 2014/11/18(Tue) 22時頃
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