238 聖痕の空〜Knockin' on heaven's door〜
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『――――――……… 翼だ。』
[男達は、見たのだ。 地球から生える白と黒の翼を。 12の想いが力となり、具現化したその翼を。]
(335) 2015/09/21(Mon) 23時頃
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―道中―
[龍に跨がり、浮き上がるように世界を遊覧する。
途中に見えた、天使同士の死闘の一部始終。
それを見た、快流は目を見開いた。]
なんだ、こりゃ……。
[まるで、初めて見たかのような反応だった]
『覚えてないのか?』
[龍王は、彼が全てを忘れた事をも知っている。
それでいて、敢えて聞いてきた。]
……まさか。
俺が戦うなんて、絶対に無理。
[快流はふるふると頭を振った。
それに呼応するかのように、悲しい表情を見せる龍王。]
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――――……… ッ、 い けええええええ!!!!!
[《白》を始めとして 全ての色達が混ざり合えば、 其処に到達する頃には《黒》と成る。
こうして、最期の希望は黒へと託された――――!!*]
(336) 2015/09/21(Mon) 23時頃
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きっと……何かの間違いだよ。
[そう呟いた声も、龍王は聞いていた。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2015/09/21(Mon) 23時頃
日向は、エフに祈るような眼差しを向けた。
2015/09/21(Mon) 23時頃
翼……か。
[ずっと欲しかったもの。
それが今、大きく具現化していて。
それを見やる表情は複雑だった。]
[思い出す方が良いのか。思い出さぬ方が良いのか。
龍王は、そう考えていた。
彼の記憶は、痛ましいもの。それを忘れる事も、一つの手かもしれない。
彼がこれ以上、辛い目に遭わないように。
……しかし、それは現実からの『逃避』。
このまま紫藤の姫と出会い、それで良いのだろうか?
どうしても、そうは思えなかった。]
『快流。』
[突然に呼ばれた、馴染みの無い言葉。]
……へっ?
『龍山快流。 それがそなたの名前だった。』
そ、そうなんだ。
快流、それが俺の……
[動揺したかのように目を見開く快流。
名前を呼べば記憶が回復するかと思えば、そうでもなく。
むしろ、呼び慣れない名前に違和感があるようだった。]
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[――全ての想い≪色≫が溶けあい、混じり合うのを、感じた。]
ああ、てめえらの想い、 全部受け取ったぜ。
[死した者達の。 今ここに立つ者達の。
そして、白き想いの、その強さも。
更なる、奇跡を。]
(337) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[ バ サァ……… ッ ]
[それは、強い想いを受け止め膨らんだ、巨大な翼。 全てを輝き包み込む柔らかな白と、 全てを覆い隠してしまう艶やかな黒と その両の色が、天から満ちる光≪太陽≫を一身に浴びて、
世界を、溢れる全てのモノを救わんと、 力強く羽ばたいた。]
(338) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[ ガ ァ ン ―――――――――!!]
(339) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[響いたのは一発の銃声。
巨大な砲となって居た二つの銃は形を崩し、しかしそれは、まだ二つに分かれない。
小さな銃弾を放ったそれは、 一つとなった銃は白の持つ白銀の狙撃銃によく似ていて、しかし色は黒曜の様に深く鋭く。 放つ弾は白銀の。 嘗ては外れるばかりのその弾も、黒の手によれば逸れる事は決して無い。
受け取った全てをそれに籠めて、弾の向かう先を見送る男は、白と同じように笑っていた。>>332 それはかつての、初代の三黒の当主にもよく似ていて。]
(340) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[つまらない世界だった。 退屈でたまらない人生だった。 この身が戦って朽ちるのであれば、それでもいいとさえ思っていた。 悲しみや苦しみを多く孕んだ生だった。
それでもこの場に立ち続けるのは、あの子と交わしたたった一つの「また一緒に」という言葉があったから。
きっとこの思いは、誰にもわからない。 神にだってわかりはしない。
それほどまでに大切で気高く、…ああ、俺は、ヒトで良かったと、 血を呪いもしたけれど、その末に人に堕ちて良かったのだと、 そうでなければ、きっとこの子に会う事は出来なかった。 ヒトにしか至れぬ愛の果てだからこそ、天に住まないヒト達は何処までも美しい。 愛し愛され、愛しさを重ね、全ては天と地を分けたからこそ生まれた想いの全て。 これが、人の世界であると、強く感じて。
そうこの子は、狂おしい程愛した彼女と血を分けた、 たった一人の、 ヒトである俺の愛しい娘なのだから。]
(341) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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女の顔に傷を付けるなって言われたからな。 そう化物じみちゃどうでもいいだろうが――…
…最後ぐらいは、要望を聞いてやるよ。
[銃弾が向かった先はその心臓。 何十年、何百年、何千年。もしかしたらもっと長い時を刻み、何度も女の魂を支えてきたその鼓動を、 璃紗では無い、仰代の若い当主であった筈の麗亞の鼓動を、引き裂いて。]
(342) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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白から黒へと至る完全融合
≪ THE・オール・フォー・ワン ≫
(343) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[胸を裂き咲いた花は、 何色だっただろうか。*]
(344) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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…斎、 テメーは、何時だっていい仕事しやがるな。
[今は黙した銃の制作者に静かな礼を言って、 その銃口を、下ろした。*]
(345) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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虹の光が交差する救済の調べ ≪ レインボー・リリーフ・セイントクロス ≫
(346) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[その銃声は、何処までも響き渡る。 たとえ世界の裏であろうとも、どこまでも、高く、高く。*]
(347) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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地下軌道 エフは、メモを貼った。
2015/09/21(Mon) 23時半頃
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奇跡を……そう、何度も……ッ
[起こしてたまるか、と。 憎しみを込めた目で白を睨みつける。]
貴様の……ッ、貴様のその目が、昔から嫌いだったッ 一ノ白ッ!!
(348) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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その、程度ォォオオッ!!
[放たれる弾丸へ、掌を向ける。 五重の障壁を貼り、凶弾を弾かんと
だが]
(349) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[―――― パ リ ィ ン ――――]
……っ、何故だ……ッ
(350) 2015/09/21(Mon) 23時半頃
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[―――― パ リ ィ ン ――――]
何故打ち砕かれる……ッ
(351) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[―――― パ リ ィ ン ――――]
たかが、たかが4人程度の力などに……ッ
(352) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[―――― パ リ ィ ン ――――]
数千の刻を得て、蓄えたこの力が……ッ
(353) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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――――――――こんな……っ
(354) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[―――― バ リ ィ ィイイン ッ!!!! ――――]
こんなことがあって、なるものかァアアアアッ!!!!
(355) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[弾丸は胸を貫き、扉へと吸い込まれる。 ピシリ、ピシリと罅が入り―――]
崩れていく……私が……私の、想いが…… どうした、何故回復しない……っ、此処まできて、敗北など……ッ
[光でできた女の躰も、罅割れていく。 その粒子は、崩れる扉の中へと。]
厭だ……ッ、私には、まだすべきことが……! それが、こんな、ところで……!
(356) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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この魂、滅してなるものかあああああぁぁぁぁぁ…………っ
[断末魔と共に、粒子は砕け散る。 泡と消えていく粒子の、ちょうど中央。 そこに、核となった麗亞の肉体が、僅かに微笑みかけたように見え――――]
(357) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[偽りの扉は、光の爆発を起こした。]
(358) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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[ふわり、世界中を、羽が舞う。 それは白と黒だけでは無く、聖痕の守護者達の持つ者達の全ての色。 勿論、その中には仰九の色も含まれている。 黒い男の背から離れた羽は全てを包み、癒し、降り堕ちる光景は何処までも美しい物だっただろう。
焼け血の滴る腕をそのままに、羽の消えた、存在をヒトに堕とした男は、その光景を静かに見ていた。]
(359) 2015/09/22(Tue) 00時頃
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