147 書架の鳥籠
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[何故だろう酷く届く声が気になる。
似ている筈が無いのに、自分のようだと思う……]
[それでも、きっと自分のように味方なく責められているであろう姿を見に行く気にはならなかった。
何の抵抗も出来ず彼らに見破られていく自分達の姿は、魔女には滑稽に映るだろうか]
[ああ、また]
[もう一人の亡霊も――オズワルドも――ゲルトのように自分のせいで死んでしまうのだ。]
ルーカスは、ホリーに話の続きを促した。
2013/10/09(Wed) 01時半頃
オズワルドは、姿勢を正し、胸を張り、帽子の鍔をつまんだポーズをしながら
2013/10/09(Wed) 01時半頃
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私は狂人ではないよ。
(134) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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[――横たわる亡霊の指先が黒く、影のように変色した。]
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思います…っ。
[オズワルドの問いに、叫ぶように即答する]
兄が生き返るなら、生きて、一緒に帰りたい。
この世界の全てであっても、 兄と”等価”にはならない。
私の命と魂と引き換えにしても、いい。 兄が、還ってきてくれるなら。
[それは、心からの願い。今でも、そしてこらからも、 ずっと変わらないだろう]
(135) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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それが、「亡霊」の私が… 負けられない理由だよ。ホリー嬢。
[ルーカスは思い出すだろうか。 幸せを語った男の言葉を―――>>2:117]
(136) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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[口許緩むに瞬き、エアーポーズに目を見張る。 誇らしげに、狂人ではないと、語る声。]
……ならば、オズワルドさんは。
[何故だろう]
……――亡霊、ですか。
[胸が苦しくなるのは。]
(137) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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『嫌な子……』 『あっちに行きなさい』 『どうして――――家にこんな子が』
『弟のほうはいい子だったのに』 『黙ってろ』 『嫌だ嫌だ、全く……』
『お前もいなくなれ!』 『あんたのせいで……』 『近寄らないで』 『お前なんて』
『生まれて来なければ良かったのに』
『全部全部、お前のせいだよ』
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でも…兄自身は、それを望みませんでした。 私が、自分を犠牲にすることを、 誰かの犠牲の上に、兄が生き返ることを。
[オスカーが望んでいたのは、彼の願いは…]
兄が望んでいたのは……私が、”生きること”です。 おそらくは、元のようには無理でも、少しでも、幸せに、と。
オズワルドさんは… 大切な人が、自分の為に犠牲になったり、 誰かを犠牲にしたりするのを見て、 嬉しいと…喜ぶと思いますか…?
(138) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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そう、…私が亡霊だ。 それが正しい、答えだ。
(139) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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嘘よ、オズ……。
嘘と言って……。
嘘じゃないんだって、私の手を握って……。
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さあ、
最後の亡霊はここだ。 私は逃げも隠れもしない。
―――…、獣を呼ぶといい。 [伸ばした背は、曲がらない。]
(140) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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[オズワルドが亡霊だなんて嘘です。
彼との思い出は嘘ではないんですから。
……。]
オズワルドは、ピッパに話の続きを促した。
2013/10/09(Wed) 01時半頃
ラルフは、オズワルドに話の続きを促した。
2013/10/09(Wed) 01時半頃
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[男の佇まい、いつしか見守るもの] [語られる言葉。過る言葉]
[伸ばした背に見る 涙枯れても戦い続けたひとりの男の姿]
[摘んだ唾。脱いだ帽子。]
[オズワルドのもとへと ふんわり、宙を舞う]
(141) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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―暫く後・書架の何処か―
……グロリアが、 手の施しようのないような怪我や病をなおす術に、 関心があったよう(>>2:212)なら… 一つ、思いついたことがあって…。
[ルーカスに耳打ちしてもらった>>94内容>>72に、 彼を、例の書架の守護の魔法陣のある本>>2:210 まで案内して。サイモンの魔術書を通じて、仄かに光った 人間の技では手の施しようのない怪我や病をなおす術用の、 魔法陣の頁を指差す]
これと、魔力の籠った私の血があれば…… 助からない怪我や病の人を、治すこともできるでしょう… 血を集める間、ガラス瓶を持っていて貰えます?
[そう告げて、守護の術の時と同じく、ミセリコルデで、 左手首のまだふさがらない二つの傷跡の下を、切り裂いて。 溢れ出る血が、ガラス瓶に流れるように角度を調整する]
(142) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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嘘、は、辛いべな……
[断罪を見ているだけで、もう動かない心臓が痛い]
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……オズワルド、さんは
[あのとき、レティーシャを探していた時の、 あの顔が忘れられない。
過去形で語られる勝負。 命を狙う全てのものとの戦い。
紡ぎかけた言葉は、けれど飲み込まれてしまう。 言ってはいけない、気がしたから。]
……、魔女に、言いたいことはありますか。
[代わりおかれる言葉。 望み叶えたもう一人の亡霊は、はたして幸せだったのか。]
(143) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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な……なんだかよくわからないッスけど。
[頭をぽりぽりと掻いた。]
これで終わり…ってことッスかね。 オズワルドの旦那。
[顎髭を撫でた。]
(144) 2013/10/09(Wed) 01時半頃
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[知っています。
みんな、自分が一番大好きなのです。
だから、自分の望んだ通りにならないといてもたってもいられないのです。
それは他人を蹴落とすということ。
殺すということ。
私は自分が嫌いです。
だから逃げました。
私の思い通りになんかなってほしくないからです。
でも、私はそんな自分を憎みました。
もし私が逃げなかったら、私は自分がどうなろうとオズワルドのために精一杯働いたことでしょう。
オズワルドが今こうして攻められることもなかったでしょう。]
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―暫く後・書架の何処か―
本来なら、血は、このガラス瓶の半分くらいで 足りると思いますけれど…
念の為に、少し多めに入れておきますね。
[何故、身体の中に魔力のある血が流れているのか問われたなら、父の儀式や、兄と猫たちの死、 魔物から流れ込んできた魔力の籠る冷たい血>>31の話を 少し話したり、ルーカスの話を聞いたりしただろうか。
問われなければ、そのまま。 ガラス瓶を、蓋近くまで、揺れる赤が満たすのを待つ。
必要量の2倍近く… 2人の人間を、助けられるかもしれない量の血だと、 ルーカスが気づいたかどうかは、わからない]
(145) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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な、なんで、言ってしまうの? 亡霊だ、って。
[>>139野暮なことを聞いているとは思うけれど。 どうしても聞いてみたかった。]
(146) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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―暫く後・書架の何処か―
オズワルドさんは、亡霊だと思いますけれど、 万が一…違ったら。 ルーカスさんは、私が護ります。 だから、生きて、魔女を止めて……。
この本の回復・治癒の魔法陣と、私の血を、 グロリアが大切に想い助けたかっただろう人を、 助けるために、使ってほしいんです。 [ルーカスを見上げてそう願い、 魔法陣の本と、赤で満たされたガラス瓶を差し出した]
(147) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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ボリス……
[友だと言ってくれた]
頑張ってる、なぁ……
っ、くく……
はは、は
[笑おうとしたけれど、また狂おうとしたけれど、もう出来なかった
指先から関節へ、手の甲へ、黒は亡霊を浸蝕していく
見えないが、見ようとも思わないが、恐らく足もそうなっているのだろう]
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正論は随分と刺さるのだな。 ホリー嬢。
私はそれでも、この手で多くの魂を魔女に捧げてきた男だ。 故に、その問いに対して私は…肯定を示すのだよ。 ホリー嬢は間違っていると思うだろう。 けれど、私はそれでも、魔女に縋ったのだ。
(148) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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…故に、魔女につたえる言葉を私は持ち合わせていないよ。
[ふわり 舞う帽子]
[それを掴めば、笑みを浮かべて―――]
(149) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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―暫く後・書架の何処か―
[守護の魔法陣を使って、ルーカスを守護するための 2つの黒い影が飛び出せば、ルーカスの守護を命じてから、 本をルーカスに差し出して]
……ラルフ。
[手の甲、ラルフに貰ったくちづけの上に、 そっと唇を寄せて、祈るように請い願うように、名を囁く]
オスカー、ありがとう。 わたし、“生きてる”、そして…生きたいと思えるわ。
[鐘の音が耳に届けば。 兄に貰った命を抱きしめるように、夜の瞳を閉じた]
(150) 2013/10/09(Wed) 02時頃
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オズワルドは、ポーズを決めれば、皆に頭を下げた
2013/10/09(Wed) 02時頃
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