231 獣ノ國 - under the ground -
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[ ありがとう>>235の心当たりがまるでない僕は 眠りの淵に添えた唄に礼を言われているのかなぁ、と ぱちぱちと瞬いて。 でもそんな小さな疑問符は、ふわりとした彼女の笑みに すぐにどうでもよくなってしまうのだ。
この笑みの理由がなんだって この笑みが僕の傍にあるのなら 構わない。]
!? ……いいよ。たべる?
[ 珍しい彼女の冗談に、ひと呼吸喉が詰まるけれど。 シャツの襟を人差し指で引っ張って 小さな爪痕が残る僕の肩口を 晒したりして。
( 昨夜はぼくばっかりが 食べてたからね。)
なんて、そんな酷いいじわるは押し込んでおいた。]
(244) 2015/07/14(Tue) 00時半頃
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……僕じゃあ美味しくないから、行こうか。
[ ちょっとばかり気怠い体を ぐーーっと天井へ伸ばして ―――っはぁ、と大きく息をつけば 大きな羽音。
僕の肩がいつもの重さを感じ取る。 新記録なんじゃないか ってくらい静かにしていた兄を 褒めるように頭を撫でていれば ]
『 モウ シャベッテイイ? 』
[ そんな兄に 僕は思わず破顔して。 大きく抱えたおなかに、迷惑そうに羽ばたきふたつ。 彼は部屋をくるりと飛んで 八つ当たりのように 僕の頭に尖った爪で降りてきた。
今日くらいはそんな兄さんも許してやろうと 頭に真っ赤な鸚哥を乗せた僕と 茶色の翼の夜梟が 並んで部屋を 出て行くだろう。*]
(245) 2015/07/14(Tue) 00時半頃
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アキラがドジを? ……そう、珍しいこともあるのね。
[この真面目な同僚が嘘を吐くとも思えず。 アマルテアはすんなりとそれを信じた。 続いて耳元で囁かれた言葉>>238には、眉を寄せて]
あなたまで、ノアみたいなことを言うのね。
[誰も彼もが“彼ら”をヒト扱いする。 じくじくと心が痛んで。 そうだ。やっぱり自分が異常なんだ]
無理はしないわ。 医者の不養生は笑えないもの。
[今日は早く休むつもりよ、と付け足して。 アキラの背中を見送っただろう]
(246) 2015/07/14(Tue) 00時半頃
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……クラリッサ。 あなたに怪我がなかったのなら、いいのよ。 薬には予備があるから大丈夫。
[柔和に微笑みかけた。続く言葉>>239に、一瞬目を見開いて]
優しい、かしら。私が。
[やめて。そんなことを言わないで。 心の中がぐちゃぐちゃして。仕方がなくて。 人殺しが優しくあってたまるか、と誰かの声>>123が聞こえた]
お薬、明日試しましょうか。
[クラリッサをじっと見つめて]
(247) 2015/07/14(Tue) 00時半頃
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怖くなったらいいのよ。 覚悟が出来たら、また明日ここにいらっしゃい。
[怖くなったのは、自分の方ではないのか。 いつものような、完璧な笑みを浮かべられない**]
(248) 2015/07/14(Tue) 00時半頃
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―― 第1図書室→ ? ――
[ かわきはいずれ、自分の息を止めるんだろう。 だから、でも。“いきて”いないなら、どちらにしろ同じ事だと思った。ここで「ホーム」に浸かって、とおくをのぞむのと。いずれ変わらない。だから、]
いきたい、
[ いきていたい。外へ出て、その先がどうあれ。腹奥からの渇望に、ぐうぐうと鳴る空腹の音に。 ――息苦しさに歪む顔の、その露わになった敏感な鼻先に。図書室の奥、暖炉のむこう。“ひとのにおい”のこすれ、しみつくそれに、“しんかい”で岩場の奥を覗き込むよう、先を、 みた。]
(249) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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えさ?
[ 合間、>>241 ちらと立ち止まった人影すら見れば、“管理者”だか。“同胞”だかもわからないまま。 頭をぶるりと振って、「協力」してもらわないと、と理性の断片で歩み寄った。
みるからに「どうぶつ」じみていれば、逃げを打たれる事も。また“管理者”として連絡を回されることもあったかもしれない。されたとして、構う余裕もなくただ、においを辿り踵を返しただろうが。
彼が自らの姿に逃げる様子がなければ、脅すようからを破った掌を見せ、じっとしてほしい。そとへだしてほしい 、 ―― いきたい。と投げつつ。
すがるそれは、彼にどう映ったろう。「協力」を受け取れるなら、その首もとに鱗の掌を、すぐにも当てられるようあてては。鼻を動かし、上へ同行を頼みすら。]
(250) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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―― → 第3棟 ――
[ いずれ、その奥、はしごのふち。掌はひとの、水面のひかりを辿るよう、握っては上へと足を動かしていく。 ――先ほどの彼は、ついてきてくれていたろうか。単なるおどしと、案内だけを頼もうと、思っていたが。 乞いをのぞかせ、鳴る腹をただ抑えて、「ありがとう」と小さく、理性を残す事すら。
―― 間、 その顔をゆるく 、ヒトの住処――第3棟へと覗かせることが適ったとして。 監視の目もあったかもしれないその先、『処分』や、 かわきの「結果」もみえていたけれど。]
(251) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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[引っ張られたシャツの隙間から、小さな爪痕が見えた>>244ことには、気づかない振りを決め込んだ。 晒された肩口。いっそ、かぷりとしてみようかしらなんて考えが頭を過ぎったけれど、やめておく。 これ以上戯れにでも触れ合えば、止まれなくなりそうで]
そんなこと、ないと思うわ? 美味しいんじゃないかしら。
[美味しくないという主張>>245には、そんな言葉を返す]
でも、やめておくわ。 私のお腹の中のあなたは、きっと歌ってはくれないもの。
[それは困るわ、と首を傾げてみせれば、私のものではない羽音がして。 ああ、そうだ。二人きりではなかったのだった。 言っては駄目と私が釘を刺してから>>19、ずっとおとなしくしていたフィリップの兄に]
喋ってもいいけれど。 昨日の夜のことは、秘密にしておいてほしいわ。
[そんなお願いをしたけれど、フィリップの頭に着地することに忙しい彼の兄に、そのお願いは聞き届けられたか、どうか]
(252) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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先生は、優しいですよ。 優しい人じゃなかったら、薬を作るためにこんな所に来ません。
[そう、先生は優しい。 だから、私の事も邪魔しないでくれる]
予備、有るんですか。....良かったです。
[それなら、あんなに意地を張ってジリヤに当たる必要は無かったな、と心の中で苦笑して]
(253) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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―― → ? ――
[ たどりついた先、腹の虫はやはり、おさまらないまま。 “しんかい”と、“そら”となじみの彼がもとめた黒を、ぐうと鳴く本能に飲み込ませながら。 やっぱり、ここで「おわかれ」なんだろうと。多少“マトモ”な頭の隅が 空腹にないた。
のぞんだ先、――乾く意識に足下すらふらつかせては。監視の目は、自らをとがめただろうか。 “そと”にでたところで、錯乱になく頭はそとのぜんぶをたべて、たべて、「満足」することは? ]
…うみ、
[ いばしょ。 “いきられる”ところ。 ただ亀の彼がみずからに、一間だけもとめたそれを、たどるように。 大扉には、ただ取り残された空の鎖があるのみだったか。 ――わずかに漂う、“しお”のにおいに、躯をすべらせることは、外へは果たして。
もしただ閉ざされるだけならば、 ――明日のその先。ただ“いばしょ”を失った鮫が、留め具を噛み切る力もなく。その場に息絶えるのみだったろうが。]
(254) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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―第一棟・食堂―
[そこにたどり着いたのは、夕食時。いつもの私なら避ける時間帯だったけれど、私は迷わず足を踏み入れる。 カウンターでいつものように、動物性たんぱく質の多目の、人間と同じ食事を受け取った。 今日のメニューはビーフシチューに、ライスにサラダ]
いただきます。
[小さな声で呟いて、私はサラダを口に運ぶ。 誰かと居合わせることはあっても、意図して誰かと一緒に食事をするのは、ここに来てからきっと初めてのことで。 ただ食事をしているだけなのに、なんだかそわそわ、落ち着かない。 やっぱりあまり顔に出ないタイプでよかった、と思う]
(255) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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わかり、ました。明日ですね。
[予備があるなら今すぐにでも、という言葉は飲みこんだ。先生がそう言ってくれたのなら、そんなに急ぐ必要は無い]
今晩も、ここに泊まっていいですか。 [それでも、そんなことを言ったのは。やっぱり、急いでいたのかもしれない]
部屋に帰っても、することありませんから。 明日、すぐ実験できますよね。
[自分の部屋も、医療室も。白くて明るくて、無機質で、同じだ。
それなら、"可能性"の置いてあるこの部屋のほうがいい]
(256) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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[ぱちり。
瞠目する。 息苦しい深海から、何かが音もなく泳いでくるような ――そんな気がした。
えさ? と小さく虚空に問いかけた その男>>250は、 彼にはまるで動物のようにも見えて
鱗の乗る肌が彼女のものにも 似ていたから
――逃げ出す事も、 連絡をまわすためにマイクに口を近づける事も、 どちらもできずに、彼はただそこに立っていた。]
(257) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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……きみ、は、
[脅すようにからを破った掌が見えた。 首元に鱗をかざされる。
――いきたい、
そう投げられた言葉に、彼は声を詰まらせて]
抵抗は、しないよ
…………。
[行きたい? 逝きたい? ……生きたい? ぐるぐると思考は巡るだけ。 そうしてその鮫を、第三棟へと案内する。>>251]
(258) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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― 第三棟 ―
[「ありがとう」と小さく呟かれた言葉と 低く唸る空腹の音に、 彼は静かに目を閉じた。
―― この獣人を、解き放てば、 人死にが出る ……だろうか。 解き放った先でモスキートは生きていけるのか。
空の鎖が転がる大扉の前。>>254 うみ、と小さく云う声が聞こえた気がする。]
……君は、 いきたい、のか。
[生きるためにいくならば、 その自由は、奪っていいものなのか。]
(259) 2015/07/14(Tue) 01時頃
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[彼は悩んで悩んだ末に、指紋認証のセンサーに 指先を 添えた。]
……なら、
いきると いい
[大扉が開く。 ――そこから先は、 鮫の 鮫だけの物語だと思った。 モスキートはどうしただろうか。
ただ一つぼんやりと思うのは こんな全てが死んだ場所ではなくて どうか、どうか、 その先にいきる場所があればいいと
――見送る彼の首元で、 月長石がひとつ、涙のように煌めいた。*]
(260) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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[ ? ]
[ ―――――管理人と話して、それから。
僕はどうしたのだろうか 。個室へ戻って、また何処かへ行こうとすることもあったかもしれない、けれど。 ]
モスキート、
[ 下へ繋がる暖炉の梯子。登って来た彼の、口元に「 かせ 」が無いのを見た。 僕は、思考の端でやっぱりと思った。
やっぱり、「 おさえ 」られなかった。
ごめんね。 機械の裏、僕の唇が文字をなぞった。警備員は彼を見て、警戒でもしているのか。 そっと集まる警備の人混みと、>>259また増えたひとに、僕は瞬きを数度、ゆるく繰り返した。 ]
(261) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2015/07/14(Tue) 01時半頃
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いいわよ。今晩もここに泊まっていきなさい。
[そう言って、クラリッサの頭を撫でてやった。 この子は自分を頼り切っている。 蓋をしたはずの罪悪感が、再び頭を擡げた]
あなたが眠るまで、側にいてあげる。
[時計の針は、もう夜の時間を指していて。 自分も今晩は医療室に泊まってしまおうかと思う。 きっと目が覚めた時には、いつもの自分のはずだ。 いや、そうであってほしいと願う**]
(262) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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―――― 「 ふるさと 」に、 僕の住んでいた、 小屋があるんだ。 ………
……モスキート
[ もしかしたら、くつわの外した彼に気づかれたのち、噛み付かれることもあったかもしれないけれど。 僕はひとつ、ふたつ。 彼に寄った。 長い廊下、どこまで彼に近付けたかなんて、定かじゃない。
「 すきに、いきるといい 」
―――生きて欲しいと、 願ったことがあるんだ。 きみに。
>>260かちり―――と。どこからともなく鳴った扉は、徐々に外の光を照らし始めただろうか 。 警備員の糾弾は、聞こえない。もしかしたらひと気さえ無くなっていたかもしれない。 ……ただ潮風が、鼻孔を擽った 。 ]
(263) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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[ ―――僕も彼と ” い ” けたなら、 どんなに良かっただろう ? ]*
(264) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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[先生の承諾を得て、寝床に潜りこむ] おやすみなさい、先生。
[願わくば、これが"内"で眠る最後の夜にならんことを――]**
(265) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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……お腹の中でだって きみが望むなら。
[ でもその時は丸呑みでね? なんて言って笑おう。 梟>>252の食欲は旺盛で何よりだ。
僕の頭に八つ当たりみたいに爪を立てて 直立している兄さんは 彼女の言葉にぐるりと首を回す。 ごそごそ、もそもそ、嘴で羽の毛づくろいをして ]
『 キノウ? ヨル? シラナイナア。 ナンニモ ナンニモ シラナイナア。』
[ ”ガア!!!” とひとつ 大きく啼いて ”デキる兄”は 鳥のフリをしはじめる。
僕はといえば、流血覚悟の我慢大会。 はやく食堂に着いて、兄の気を引けるご飯にありつけると 良いのだけれど。]
(266) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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― 食堂 ―
[ なんだかとっても久しぶりに来た気がするけど 僕はいつも通りに素手で掴んだ果物をトレイに乗せる。
林檎、バナナ、蜜柑にキゥィ。 兄さんみたいにカラフルな 僕のトレイの上。
森で生きてた僕にとっては、これらこそがご馳走で 「ヒト」に捕えられてからは思い出したくもない 食事しか記憶に無い。 だから”料理”ってものを あまり良く知らないんだ。]
………………………。
[ ものすごく、ものすごおくマジマジと梟の皿>>255を のぞきこんでいたら 居心地の悪そうな顔が見えて
慌てて林檎を齧るけれど、茶色い”なにか”が気になる。]
(267) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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[ しゃく しゃく もぐもぐ ( じぃー… )
しゃく しゃく もぐもぐ ( ちらっ )
そもそもそれは食べ物なのか( だって何か黒いし ) 彼女がそれに手を付けるのはいつかいつかと気にしながら また、林檎の真ん中は兄さんの前に置いて ]
…………おいしいの?
[ 彼女がそれを食べ始めたのなら とっても怪訝な顔を 隠しもせずにそちらへ向ける。
……んあ、 と 雛鳥のように口を開けてみれば 親鳥がスプーンで運んでくれたりするだろうか。**]
(268) 2015/07/14(Tue) 01時半頃
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それは、難しいわ。 私は、うわばみではないもの。
[丸呑みで、なんてリクエスト>>266にはそう返した。 象を丸呑みしてしまううわばみの話は、第二図書室で読んだのだったか。 このあと行こうかしらなんて考える私は、第二図書室の惨状>>44>>45も、その犯人がここを去ったこともまだ知らない。 それに、お腹の中のあなたは、私を抱きしめてはくれないでしょう? なんてそんな言葉は、胸のうちに留めて]
そう? それなら、良かったわ。
[何にも知らないと主張する彼の兄は、私が思っていた以上に賢いようで。 声の大きさに閉口していたけれど、認識を改めなければならないかもしれない]
(269) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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―食堂―
[しげしげと興味深げに覗きこまれ>>267、落ち着かない気持ちは加速する。 私の視線に気づいたフィリップは、慌てて自分の食事に戻るけれど、気にしている>>268ことは一目瞭然で]
私の両親は、人間なの。
[突然変異か、先祖返りなのか。ごく普通の人間の両親の間に、梟の私は生まれた]
だから、ずっと人間と同じ食べ物を食べて生きてきたから。 私にとっては、美味しいわ。
[向けられた怪訝な顔にシチューを口に運びながらそう言って。 開かれた口に、瞬きを一つした。 食べてみたい、ということなのだろう、これは。 しかし同じ鳥類とはいっても、梟と鸚哥では食べるものが随分違うはず。 しばらく迷って、これなら大丈夫か、とシチューの中のにんじんをフォークに刺して、フィリップの口元へと運んだ]
(270) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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―― ? ――
…、なんで
[ 開かれる扉に、>>260その男の首もと、光る石を覗き込むよう。 ――「しおき」が、彼に下されるかもしれないのに、と。鱗の肌をびくりと震わせ、小さくその身を解放する。
なんで、おれをいかせてくれる? どうして、と。 問うそれに、こたえは果たして、あったろうか。 それでも小さく、目を細めてはぐるぐると空腹を叫ぶ奥、ありがとう、ともう1度、枯れた声に乗せながら。
その足を一歩と、そとへ踏み出す。*]
(271) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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[さて、にんじんなら体に害はないと思うのだけれど、シチューの具として煮込まれたにんじんは、調理された食べ物を食べることのないフィリップの口に合ったか、どうか]
私はこのあと第二図書室に行くつもりだけれど。 フィリップは、どうするかしら。
[私はこれから活動時間だけれど、フィリップは違う。 無理はしないで、と伝えたけれど、彼はどうしただろう。 ともあれ、食事の後、第二図書室へと足を向けた私は、室内の惨状に驚愕することになる**]
(272) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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―― → ――
[ ふみだした先。潮のにおいに目一杯と、息を吸い込みながら。 届いたなじみのその声>>263に、――もうひとつの“こえ”に、腹の底がぐう、と。 「満腹」になるはずの、そとへと向かう躯でないた。ふるさと。と、反芻して、かれのいきるばしょ、だろうかと。
それならそこにもし、行ったなら。……いずれ彼にであうことは? いついつ、なるのかも分からないけれど。]
きみも
[ 一緒に、と。手をのばしては、ああ。と、傷つけるだけの鮫の鱗をただ、下ろし込んだ。 ――いつか、すきにいきる君をどこかで。見れたらいいのに、と。足を“そと”へ踏み出しながら。こえを、*]
(273) 2015/07/14(Tue) 02時頃
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