人狼議事


296 ゴールイン・フライデー

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視点:


時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
キャサリンが無残な姿で発見された。


噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。

非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。


現在の生存者は、アーサー、マリアンヌ、グスタフ、セイルズ、ウツギ、ヌヴィル、ホレーショー、ルパート、カガ、デリクソンの10名


【人】 竜騎兵 アーサー


にゃぉん?

[いつも追いかけまわす娘が今日は早寝。
一切れ貰った合鴨のローストは難なく口へ。
美味しいけれどメロメロするには物足りない。]

(0) 2019/05/19(Sun) 07時半頃

【人】 食いしん坊 マリアンヌ


あらあら、アーサー。そう落ち込まないで。
キャサリンの早寝は良いことなのよ。
お客さん達にも自慢しっぱなしだったのは叱らなくちゃいけないけど…

[賄いも抜いて、早く眠って。
そういう若い頃が自分にもあった。
生ハムを巻いたシュパーゲルを齧りながら笑う。]

明日はね、彼氏とデートなんですって。

(1) 2019/05/19(Sun) 07時半頃

【人】 竜騎兵 アーサー


にゃーん…。

[尻尾がクタリと垂れた]

(2) 2019/05/19(Sun) 07時半頃

天のお告げ (村建て人)は、メモを貼った。

2019/05/19(Sun) 07時半頃


【人】 宿屋 ルパート

[昨晩は柄にもなく飲みすぎた。


 いつも土曜日を自堕落に過ごすのは怠惰からだが、今週の土曜は身体が重くて起き上がれなかった。良くない飲み方をした自覚は十分にある。
 頭が痛い、関節も痛い。そして心も。]

(3) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[長居しがちな自身に女主人が勧めてくれたのはアーティチョーク。

 シュパーゲルに並ぶメジャーな春野菜だが人気は比べるのも烏滸がましい。なにせ食べるのが面倒くさい上に食べられる場所が少ない。

 アーティチョークはレモン汁を垂らして茹でて、ガクをちまちまと剥いで根元を齧る。そうすると一口分の果肉が口腔へ招かれ、豆類にも似た柔らかさと独特の苦味と甘みが拡がる。この繰り返しで芯まで食べてゆくのだ。
 腹を満たす為ではない。季節を確認する為のもの。
 どこの国にもひとつやふたつは存在する、食べていると無言になる類の食べ物。

 そんな初夏の訪れと、白ワイン。
 彼を待って味わうには丁度良い晩餐だった。]

(4) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[その金曜日も賑やかな店内の陽気さから浮いて、壁の染みと変わりなく過ごした。
 機嫌の良いウェイトレスや気さくな酔っ払いに声を掛けられることもあるが、自身は人の足元ばかり見ている卑屈な男だ。軽妙な返しが出来る訳もないし、曖昧にはにかむだけ。

 下手な話題を振って、不理解に眉を顰められるのが恐い。
 一般的ではない返答をして、苦笑されるのが恐い。

 昨日のように今日が訪れるのは幸福なこと。
 今日のように明日が訪れてほしいのは心からの願望。

 出来れば何も変わって欲しくないのだ。
 折角覚えたマジョリティらしい思考を、次も正しく更新できるか分からない。]

(5) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[だから彼が店を訪れた時は頭を殴られたような衝撃と動揺が走った。
 思わず顔を上げそうになって、慌ててワインを追加し、冷たくなる指先を誤魔化した。

 他人の足元ばかり見てしまう双眸がこんな時は忌々しい。
 二杯目のグラスは水のように咽喉へ流し込んだ。
 年甲斐無い混乱を酒で酔わせて落ち着かせ、酒気帯びの呼気を吐く。

 上手く壁と同化出来ていたかの記憶が曖昧だ。]

(6) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[願いは届かず、祈りは独り善がりな押し付けでしかない。
 そんなことは重々理解していたが、酒に逃げた。

 彼の都合も事情も知らないまま胸を痛め。
 最後は千鳥足でタヴェルナからも逃げ出した。

 本当は自分の弱い心からも逃げてしまいたかったが、其処までの勇気はなかった。ただ、割れそうな頭をベッドに沈めながら、それでも無意味に祈っていたのだ。]

(7) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 宿屋 ルパート

                   [彼の快癒を。]

(8) 2019/05/19(Sun) 14時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

─ Der Appetit kommt beim Essen. ─

[ぐるりと見渡す範囲に探す姿がないことへの溜息なぞきっと、店の活気と看板娘の笑顔にかき消されただろう。

店で過ごす時間は週に一度、一皿ないし二皿と、グラス一杯の酒が無くなるまでと決めていた。
つまらない意地のせいですれ違いを起こす可能性は十分に考えられたが、戒めねば、いつまでも待ってしまう。
毎日のように足を運んでしまうだろう、女々しく未練たらしい性格は30年近く前から自覚している。

シュパーゲルの冷製ポタージュに、トマトとモッツァレラ、バジルを乗せたブルスケッタ。
こんがりとローストし、オリーブオイルと塩胡椒、粉チーズにレモンを数滴纏うシュパーゲルも添えてもらった。そのまま齧るでも、スープに浸すでもいい。]

(9) 2019/05/19(Sun) 18時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[ゆっくり、じっくり。
ひと口、ひと匙を味わうささやかな晩餐。
あの人を待つための時間稼ぎ?
いやいや、まさか、そんなの────当たり前だろう。

皿までキンキンに冷えた冷製スープは早々、温くなることもなく、お陰で普段より長い時間、ぐるりと店内を見回すこともできた。

まだまだ働き盛りだろう、いつも清潔で立派な靴を履いている紳士。
お堅そうなスーツに身を包みながら、近しいサイズの胃袋を抱えているのだろう、食欲旺盛な男。
近づけば甘い香りが鼻を擽る、一見気安い雰囲気の伊達男。

ワイングラスを傾ける姿が様になる青年は、そのまま映画のワンシーンに登場してもおかしくなさそうだ。
いつだったか、グラスハープを披露していた男の姿はまだ見えないが、彼ともすれ違いになってしまったのだろうか。

偶にマーケットでも顔を合わせる、柄は悪いが気の良さそうな男が携える杖には、少しだけ眉をひそめた。]

(10) 2019/05/19(Sun) 18時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[喩え顔ぶれが同じであっても、選ぶ皿が違えば、腰を据える場所が違えばまったく同じ景色になることはない。
万華鏡のようにくる、くると変わる眺めに足りぬ色彩を追ううちに、遂にスープは空となり、ワインも残りあと僅か。

今夜は会えず仕舞いだろうか、それとも先週の夜が最後の逢瀬となるのか。行儀悪く肘をつき、落ちる溜息をまたしても掬ってくれたのは、やや遅れて春の兆しを見せる看板娘。

徐に差し出されるカクテルグラス。
乗せられた薄紅色の氷菓は、恋に浮かれ、はしゃぐ頬の色そのままだが、咄嗟に思い浮かべたのは別の、紅。]**

(11) 2019/05/19(Sun) 18時半頃

【人】 公安部 カガ

[以前と同じように妹を連れてこればよかった。
 話し相手がいる。
 ただそれだけで気は紛れるものだ。
 
 友人を誘えばいい?
 冗談は顔だけにしておいて欲しい。
 もしその友人が惚れてしまったらどうする。
 そしてその友人が女性であったなら?

 ――酷い嫉妬に溺れてしまいそうだった]

(12) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ

[店内は賑わっている。
 生ハムとチーズの燻製をワインで楽しむ。
 近くの客が頼むマルガリータピザを横目に
 白ワインを混ぜ合わせて運ばれたアペロールは
 既にあの人を映し出す鏡となっていた。
 ぷりぷりとした海老のオイルマリネは、
 仄かにローズマリーと白バルサミコ、タイムの風味。
 フィオーレディサーレの香ばしい味が食欲を誘う。

 メインのポッロ・ポモドーロは
 レモンオイルが良いアクセントとなり
 添え合わせの茄子とパプリカが色鮮やかに映えさせた。
 ニンニクとオリーブオイルの味を吸った
 鶏肉も柔らかくトマトとジェノバで作られた
 ソースが絡み合って兎に角美味い。

 胃を満たす食事に舌は踊る。
 この瞬間だけは全ての面倒毎から解き放たれる。
 恋なんて煩わしくて愚かしい感情に見向きせず
 心踊るままワインの煌めく色に夢中になれた]

(13) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ

[そんなものも、――――全部嘘]

(14) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ


[嘘。まやかし。幻。全て虚像だ。
 確かに美味い。それにこの店の雰囲気は好きだ。
 ずっと浸っていたくなる中毒性があった。

 だが、違う。その理由はディナーにある食事だけではない。
 覗き見たその人。薬指を見て何度も安堵した。

 素敵な人だから誰かと婚約していてもおかしくない。
 いつも見ていたのは顔だけではなくて、
 傍に女性がいるかどうかも気になっていた。
 酷く女々しい自分じゃ夢の中でも会いないなど
 思っていたとしても臆病風に吹かれて夢想すら困難。

 見て欲しいわけじゃない、覚えて欲しいわけじゃない]

(15) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ

[これも、嘘だって、――……自覚していた]

(16) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ


[見て欲しいに決まってる。覚えて欲しい。
 もっと声を聞いて、もっと近くで顔を見たい。
 出来れば触れて、同じ世界で生きてるんだって
 指先から伝わる温度を感じてみたい。

 金曜の夜の、タヴェルナでの姿しか知らない。
 何処で、どんな仕事をしていて、
 どんな暮らしをしているのかも。

 それが、辛いなんて、年甲斐が無さすぎる。
 初めての恋に戸惑うあまり怒りさえこみ上げそうだ。
 彼に対しての理不尽な呪いを吐き続けて
 いっそ、筆を執って残してしまおうか。

 そうすれば不純なだけの恋文が売れた時よりも
 よっぽど、それらしくていいじゃあないか]

(17) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ


[三十路を超えたおっさんのラブレターが
 綺麗事として蔓延る今
 実の妹にすら美しい夢を抱かせている実態が
 こんなにも女々しくてどうしようもないもので
 きっかけすら掴む勇気もない意気地なしだ。

 誰にも打ち明けなど出来ない子どものような感情。
 もし、それをあの人に気づかれたらどうする?
 パリッとしたシャツを着こなしたお堅いあの人じゃ
 きっと気味悪がられてしまうに決まってる。

 言えない。言いたい。言いたい。言いたくない。
 話したくない。話したい。聞きたい。聞きたくない。

 自嘲気味な口許はそのままに口に運ぶのは
 ピスタチオのジェラート。
 彼の眸と同じ色のデザート]

(18) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ


[含んで、咀嚼する。
 広がる甘さと溶けて消える氷菓。
 美味しさに無性に泣きたくなった。
 やっぱりティラミスを頼めば良かった。

 ああ、でもティラミスもよろしくない。
 だって、ティラミスの意味など考えて
 それを寧ろ彼が知ってしまったその時は
 顔を覆って隠れてしまいたくなるから。

 それでもそうだな。
 もし願いが叶うならただの一度でもいい]

(19) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 公安部 カガ

[星を、眺めてみたい。それから、]

  名前を呼ばれてみたい、……な。

[硝子に覆われたあの目を思い出して笑った]**

(20) 2019/05/19(Sun) 19時頃

【人】 甲板員 デリクソン

 休息日もあとX時間のカウントダウン!
 月曜に怯えて奥歯を鳴らしている貴方も
 行ってQナイトでテンションアゲアゲで行きましょう。
 
[ ディレクターの指摘もあるが増えた家族との
 真新しい交流を思えば先週よりは格別に持ち直せた。 ]

 本日紹介するのはこのレター。
 
 ラジオネーム素顔連盟さん
 「結婚20年目になりますが
  最近妻としょっちゅう口喧嘩しています。
  車を増やすなら旧車を中古で売れだとか
  外で食事をするなら一日前に言えだとか…。
  昔は良い女で気立てもよく溺愛してたのに
  今じゃぶくぶく太るばっかりで色気も無いし
  結婚すると変わる妻に肩の狭い人生です…。」

(21) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

 んもぉ〜〜読んでるだけで可哀想になってくるよ!

 でも、きっと同じ事奥さんも思ってるだろうねえ
 子供を育ててくれる妻になっても
 女として見られたいもんでしょ。
 見られてないって感じてるから
 体型や服装に意識が向かなくなってるんじゃない?
 
 お互いの思い出の場所めぐりしながら
 そっと手を握って愛を囁く…なんてどうでしょ

 歳食ったら可愛くなくなる?女は年齢じゃないよ
 いつだってあなたの愛情で少女に戻るからね
 聴いてるかなあ、素顔連盟さん!

[ 思い切って熱烈なラブソングを流す事にした。
 
 トークを休め5分40秒の曲を流している間
 ふと、加齢と共に人は変わるものだと
 考えなくても当たり前なことに気がついた。 ]

(22) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ あの客にも当然若い時代は存在した筈だ。
 ラブソングに浸るような人相には見えないが
 もしも、そんな時代があったのだとしたら――

 惰性で女を引っ掛けて恋も愛もなく抱くだけの
 くだらない毎日から抜け出せたのだろうか。
 あいつのことだけで頭を一杯にして……。
 生き方を変えようが転がり落ちるばかりの人生であれ
 俺は今幸せだと、胸を張って言えたのだろうか。

 肝臓の心配をする歳になってからじゃ
 あまりに遅い上、この世界には異性愛者が多いだけに
 あの頃の俺が隣に居たとしても何も変わりはしないだろう
 ―――― 馬鹿げた嫉妬だ。 ]

(23) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 仕事を終えて帰路につく。

 こんな時間に真っ直ぐ帰宅する習慣は何時ぶりだろう
 酒で溺れてもう帰ってと肩を叩かれる日課が
 家族一号との出会いで、まるきり健全化した。

 とはいえ、自分の飯はといえばジャンクフード。
 金曜の美食に比べたらカロリーだけしか取れない。

 でも、ポテトフライはオニオンリングに差し替えたし
 アボガドディップ、トマト・ピーマンスライス、
 ピクルスの野菜づくしバーガーで
 この家族の為に、一応は長生きしたい主張はしている。
 
 対するフライデーには離乳食とミルクを与える
 一日の摂取目安は50g程度。
 朝昼夜と時間を置いて拘束される仕事なだけに
 普段は休憩室でごろごろと自分に甘く過ごすが
 職場にあわせて徒歩圏内のマンションを選んだお陰で
 猫の餌やりの為だけに一時帰宅を決め込んでいる。 ]

(24) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ ただいまにおかえりは帰らないけど。
 頬ずりしたい存在は餌をくれと鳴いてくれる
 新鮮で、落ち着かなくて、なのに優しい日曜日。 ]

  なんだ?こっち食いたいって顔してるな。
  ダメダメ、お前まだ早いんだって。

[ フライデーは食欲旺盛なのか、対等に立ちたいのか
 まだカリカリも消化できない年頃ってのに
 がぶりと葉を立てて歯型に削がれた丸いバンズと
 段積みされた野菜のタワーに関心が強く。 ]

 いいかフライデー。
 お前は俺の家族だから一緒にジジイになるんだ。
 変なもん食って死んだりしたら泣くからな?

[ 若人であった頃のあの客を知らない、
 知ることが許されるような存在ではない。
 だからせめて。
 毛色と瞳の色を重ねた猫の一生に寄り添いたい。 ]

(25) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ ガキの頃はあちこちをトイレにしただとか
 賃貸立ち退きに何万もベットせざるを得ない
 壁の傷を日々増やしただとか
 この腕で抱き、恨み言を囁きながら、
 丸っこくカーブした背を撫でてやりたい。 

 とはいえ早いところ食い切らないと可哀想だ。
 食べたいのに食べれないなんて人にも猫にも拷問だから。
 がぶっと勢い良く噛み付いたら
 ずるりとスライストマトだけが引き抜けてしまう。
 点々と垂れる赤い染みは血のようで――
 
 消毒液をかけただけで済ませた顔の傷に触れる。
 フライデーに出会った金曜日、やられた傷だ。
 触れても、数日経て痛みやしないけれど。

 人の手で掬われて捨てられた猫が
 傷を負って此処にいるように
 「あれ」も誰かがつけたものなら、――
      考えるだけで、胸奥がズキズキする。 ]

(26) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ いつの間にか這いずって、裾に溢れた赤い染みを
 貪欲に舐める子猫に気付き、軽く額を小突いてやる ]

  美味かったなあ……。

[ L.O一時間前の到着――と遅れてしまったこともあり
 モレッティの瓶を傾けてグラスに注ぎながら
 パスタならワイン、ビールならピッツァ――と
 先人の教えに習い、主食を注文しようと
 黒オリーブ、パンチェッタ、
 パルミジャーノチーズを塗した
 トマトソース風味のカプリチョーザを注文しかけて

 ちらちらと横目で見ていた客――に届いたドルチェに
 ぼそぼそと小声で注文をし、同じものを頼む。

 すでに頼んでしまったビールとドルチェ
 最高に邪道な組み合わせで口の中を冷たくしながら
 運ばれていく同じものを見て心を震わせてた、金曜日 ]

(27) 2019/05/19(Sun) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン


[ ……溶けてしまっても、良かった。

 いっそ、この想いごと舌に溶けて
 あいつの口の中や喉を
 甘酸っぱい風味で塗り固めてやりたい。 

 青臭い、馬鹿らしいと笑うなら笑えばいい。
 いいだろ。
     今が幸せなら―――それで。 ]

(28) 2019/05/19(Sun) 20時頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ でも、雪のように溶けて消えてしまうよりは

 あの、曲線を描きがちな背を撫でてやりたい。

 人の背とは似ても似つかぬ
 柔らかでふにゃりとした猫の背を撫でながら ]

 ……やっぱ生き物なんか飼っちゃダメだ……

[ 子供が巣立った後の老人と同じ起因ではないけれど
 目元から逃げていく雫が、赤い染みに寄り添った

 猫はみている。
 哀れな飼い主を。
 
 猫だけが、みていた。 ]**

(29) 2019/05/19(Sun) 20時頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[カレンダー通りにはいかない休日は、
 今回は金曜に輝いていた。
 電車に乗っていつもより遠方へ赴いて、
 並んででも食べたいと評判の焼き菓子を購入。

 立ち仕事をしている分、並ぶことは苦でないが
 並ぶ列のカップルの会話にだけは辟易した。
 指を絡め合い、顔を近付けての囁きは
 相手への感情が溢れているのか音量は大きめ。

 幸せそうなカップルに幸福を得られないとは
 なんと心と器の狭い、と肩を竦めて。
 一度帰宅を挟んでからタヴェルナを訪ねれば、
 仕事終わりのいつもより早い時間だった。]

(30) 2019/05/19(Sun) 20時頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[出迎えてくれたのは看板娘と看板猫。
 紙袋から漂う香りに目を光らせる猫を横目に、
 彼女が受け取りやすい高さに差し出した。]

  これ、良かったら。
  皆で食べられる量を買ったつもりだけど、
  足りなかったらごめん。

[袋の店名を見て輝く目は弾ける若さを感じる。
 彼女の母であり、ここの女主人でも同じだろう。

 これ以上太らせないで、と冗談めかし、
 わざわざ顔を見せて礼を言いに来てくれた彼女は
 つい数分前の予想を上回る笑顔を添えていた。

 あぁ、自分の仕事の笑顔とは違う笑顔だと、
 慣れたはずの笑みは、口角を上げきれずにいて。]

(31) 2019/05/19(Sun) 20時頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[時間帯が違えば、客層もいつもと変わる。
 よぉ、と袖を引いたのは顔見知りの常連客。

 時間と曜日が不規則なせいで対面は珍しいが、
 ついでに奢れ、と無茶な要求に苦笑した。
 初対面からの気安さにももう慣れ、
 一杯だけだ、と彼の話術で覆される約束を、
 ひとまず果たしてやるとしよう。

 先週、酒の酔いを借りて彼の面影のある人を
 彼と思い込んで接する、という、
 思い出すだけでも背に額に冷や汗の出る記憶を
 押し流してくれると祈りながら
 やや尊大な善意と喧騒をつまみに酒を干すのだ。]

(32) 2019/05/19(Sun) 20時頃

【人】 公証人 セイルズ

[店について席へと通される間に周囲を見回す。
顔見知りと幾つか言葉を交わしはしたが、一番見たい顔はそこにはいなかった。
少し早かったか、と考えて、俺より後に来る事が多い事を思い出す。
諦めるのはまだ早いと、いつものように幾つかの料理と軽い酒を注文した。

海老のオイルマリネは俺好みのハーブ使いが気に入っている一品だ。
残ったオイルをパンにつけて食べると、控えるつもりの酒が進む。
くるりくるりと、いつもより機嫌のいい看板娘を捕まえて
注文ついでに理由を聞いたら、明日はデートなんだとはにかむ様に答えた。>>1]


 へえ、そいつはいい。
 でも浮かれて注文間違えないようにな。


[なんて親父臭い注意と共に注文したポッロ・ポモドーロ。
デート、なんて言葉に、あの人の影が過ぎって首を振ったとき
ドアベルの音が、鳴った。]

(33) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[視線が向いたのは無意識だった、だけど、そのままフォークを持つ手が止まった。
硬過ぎず、ラフ過ぎもしない服装と、いつもと変わらない面差し。
ああ、今日も会えたと安堵して、勤めてさりげなく視線を落とした。
見回すような視線がこちらを見た気がするのはきっと偶然
あの人がどんな表情をむけているのか、確認してしまうのが怖かった。

見てくれているなんて、覚えているなんてそんな事は
高望みだってわかってるんだ。

気を落ち着かせようとグラスに口をつければ、タイミングよく看板娘が料理を連れてくる。
その片手には、さっき俺が注文した物と同じ物。
その行き先を目で追いかけて、テーブルを確認して思わず口を開きかけた。
きっと偶然だ、よくある前菜の一つがたまたま被っただけだ。

だけど、それでも
同じ空間で同じ物を食べている、その偶然だけでいつも以上に満たされる

気がした]

(34) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[本当に?]

(35) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[ああ、高望みだってわかってる。

あの人は幸せな家庭を持っているかも知れないなんて思いながら
近くを通る際にさりげなく左手を見詰めていた。
しなやかな指には指輪の跡さえなくて、それにいつも安堵しているなんて。

一人でいつもいることに安堵しているなんて
一方的に想っているだけなのに酷い独占欲だ
こんな気持ちを知られたら、あの人はもうここには来なくなるかもしれない

ただ、週に一度顔が見られる、それだけでいいんだ。]

(36) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[そんな風に、また自分に嘘をつく。]

(37) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[気付いてるさ、どんどん望みがでかくなってる事に。
見て欲しい、覚えて欲しい、それだけじゃもうきっと足りない。
もっと近くに、もっと声を、そして、そして

そんなこと、言えるわけないじゃないか。
ああ、まったく、自分の嗜好を自覚したばかりのガキでもないのに。
あの人にだけは、知られたくない
あの人を失くしたくないから。

少し前、職場の女子社員に勧められて読んだ小説
あんな風に綺麗に纏まればどれだけいいか。
作者は何を思ってあれを書いたのか、知る事はきっとないだろうけれど。
あの主人公は、どこかあの人に雰囲気が似ている気がしていた。

だからこそ、小説みたいに行かないと思うからこそ

……打ち明けたらどうなるのか、怖かった。
俺よりも多分自由なあの人の、翼を傷つけてしまいそうで。
柔らかな表情を凍らせてしまいそうで。]

(38) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[いっそ、何もかも打ち明けてしまえば楽なんだろうか
そうしてしまえば、もしダメでも諦めが……

つくのなら、最初っからこんな風に悩まない。]

(39) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 公証人 セイルズ

[相変わらず料理は美味しい、けれど実際の所は半分も味わっていないだろう。
最後に頼んだジェラートは、頭を冷やすのに丁度いい。

知られたくない、でも気付いて欲しい、知りたい、だけど知るのは怖い。
だけど、視線であの人を伺いながら、それでも考えてしまうんだ。


いつか、名前を呼んで、隣同士寄り添ってみたい、なんて。**]

(40) 2019/05/19(Sun) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[……ジャズバーの、ピアノに応急処置を施して。
なまじ自分で多少なりとも音をいじれるから、と放置していた店長に、演奏がないと成り立たないなんて嘆くなら、ちゃんと調律師にオーバーホールを依頼してくださいよと軽い口調で添えた。
この店の調律は知り合いが受け持っていたし、人の音の具合をいじるのはなるべくならやりたくないので、俺がやったのは最低限ですよ、とも。
金曜の夜だ、お礼にと酒をごちそうになれることはなんとなく予想していたし、無下に断ることもできず、なんでもない顔で笑って口をつけたけど。

急ぎ焦る顔を悟らせずに、今日はもうくたびれたからとバーを出て、大通りでタクシーを捕まえた。
なぜ、こうもムキになって、タヴェルナに向かおうとしているんだろう?苦笑が浮かび上がる。]

(41) 2019/05/19(Sun) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[交通渋滞で突発的な事故が起こることもなく、やってきたタヴェルナは、まだまだ営業中の時間でほっとした。
女主人に、まだシュパーゲルがあるかと確認をして、それと……水を頼む。

先程のバーで呑んだとはいえ、どうにも酔っ払いすぎているような感覚があるのは……急ぎすぎたからだろうか?
いつもは頼まないけれど、トマトのピクルスを出してもらって、ぐるぐる回転しそうになる頭を静かにさせようとつとめた。

気まぐれに隣にやってきた看板猫を、ひと撫でしてやろうと手を伸ばしたら、ひょいと避けられまたどこかの席に行ってしまった。
手持ち無沙汰になった行き場のない片手で、後頭部をさすった。]

(42) 2019/05/19(Sun) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[料理を待つ手持ち無沙汰で店内を見渡して、怪我の様子を隠さぬ客を見れば……少し眉をひそめ、女主人に相談した。
なにか、精の付きそうなものを彼に、匿名希望で、と。

……それは同情というよりも……ただそうしたくなっただけだった。ここにいる人たちはこの金曜の夜を共有する仲間だし、それ以上に……
他人に思えなかった。
彼らはグスタフの、過去で、現在で、未来なのだ、と、勝手にそんな印象を抱いていた。

だからこの行為は、自分自身に優しくするようなものだった。
もし自分が大やけどをくらって、それが誰にも見逃されて、ただ一人で抱える羽目になったら、あまりにやるせないからだ。]

(43) 2019/05/19(Sun) 22時頃

【人】 山師 グスタフ

[……そうか、と気づくことがある。
俺は、俺のことをかわいそうだと感じているのだ、と。

失恋をしたことを誰にも打ち明ける機会を得ず、ただ身の中に埋めて、傷には処置をとればいい、なんて事務的に考えて……傷を隠している事自体を、どう思うかなんてあえて考えやしなかった。

しょうもない話だ。
視界になにか入れるのもわずらわしく、そっと目をつむった。]

(44) 2019/05/19(Sun) 22時頃

【人】 山師 グスタフ

[それなりに出来の良い耳だ、頭は音で満たされる。
……ああ、良い音だ。この音は好きなんだ。この店は、これがあるからいい。

聞き覚えた馴染みの音を、できるだけ耳を澄まして丁寧に拾う。
今はこれが一番の癒しになる、と。]**

(45) 2019/05/19(Sun) 22時頃

【人】 山師 グスタフ

[……やがて、注文していた料理が届けば、それを口にして、そっと店を出た。
あの怪我人にと頼んだ注文が、本当に彼のところに届いたかはわからない。ちょうど女主人も忙しくしていたし、会計のときも最近はろくに金額を確認していないし、で。

夜風はぬるく、歩いて帰りたい気分にはちょうどよかった。]**

(46) 2019/05/19(Sun) 22時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[鳥渡したサービス、と運ばれてきたトマトのジェラート。
恐らく来店時の会話を覚えていたんだろう。
これしきで野菜不足を補える筈もないが、気遣いが嬉しかったし、助かった。

何せ、待ちわびたドアベルが鳴ったのはついさっきのこと。
もう少しだけ、同じ空間にいたい。せめて何を頼むのかくらい知ってから帰りたかった。自意識過剰が過ぎて、同じ物を頼むなんてことすらできやしないが、気になる奴のことは、何だって気になるものだろう?

ひとくちで消えるジェラートを、丹念に舌の上で蕩かせる。
瑞々しい甘さと独特の酸味と青臭さ。一度に飲み込もうとしたせいか、瞬間、僅かに咽喉が詰まる。
胸の奥まで苦しくなるような感覚は、まるで────。]

(47) 2019/05/19(Sun) 23時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[ごろ、と。薄っぺらいマットレスの上で寝がえりを打つ。
特に予定もなく、怠惰に過ごす日曜日。

頭の中だけがフル回転だった。
主にあの人について知った、新たないくつか。
飼うほどに猫が好きでと、それが叶う環境にあること。

何処のどんな猫か知らないが、運がいいことだ。
この先、恐らく寿命が尽きるまで。
あの掌に撫でられて、同じ部屋で、もしかしたら同じベッドで寝て、好きなだけ戯れるんだろう。

愛されるのが当然だという顔で。
どんな我儘も粗相も、甘ったれた鳴き声と、柔らかな毛皮を擦りつけることで赦して貰うんだろう。

それがどれだけ、恵まれているかなんて考えもしないで。]

(48) 2019/05/19(Sun) 23時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

 
 ……莫迦みてえ

[まさかこの齢になって、猫に嫉妬する日が来ようとは。]

(49) 2019/05/19(Sun) 23時半頃

【人】 公安部 カガ

[土曜日の朝。
 昼過ぎに起きるのは常のこと。
 だが、目を覚ましても冷めやらぬ動悸に
 思わずシーツを握る手が力んだ。

 探し人はいつも先に店にいて
 視線がかち合う前に逸らしてしまった。
 デートだと浮かれる少女>>1の素直さが
 羨ましくて目映い。

 溜息をつきながらも起き上がればカーテンを開ける。
 憎いほどの青空が変わらず広がっていた]

(50) 2019/05/19(Sun) 23時半頃

【人】 公安部 カガ

[まずはコップ一杯のミネラルウォーターを。
 喉さえ潤えば後はエスプレッソに砂糖を落とし込む。
 一つ、二つと甘ったるいコーヒーが完成すれば、
 デスクに向かって作業へと取り掛かった。

 カタカタとキーボードを弾く音が響く。
 書き出しの文は既に決まっていた]

  今日で最後だ。

[綴りながら口ずさんでしまう癖は消えない]

(51) 2019/05/19(Sun) 23時半頃

【人】 公安部 カガ


  偶然を装った必然だ。
  みっともないったらありゃしない。
  恥を偲ぶように自からの唇を噛むも
  並ぶ同じ料理に緩む口許を隠せなかった。

[思い返す昨日の出来事。
 彼に気づかれていなければいい。

 いつも彼を超えて前の席に腰掛ける度
 呼吸が浅くなって大変な事も
 気づかれて、――いや、気づいてくれたら]

(52) 2019/05/19(Sun) 23時半頃

【人】 公安部 カガ


  視線を感じてワイングラスを覗き込む。
  あの人は今日もジェラートを頼んでいた。
  甘くてつめたい氷菓子を、……、はは。

[音が止まる。
 口角を上げてからくしゃりと前髪を乱した]

  もう行かない為に書いてるのに駄目だな。
  いっそ、綺麗な女性と結ばれてくれたら、
  …………諦めがついたら後悔しないか。

[ぽつりと落とした呟きと共にまた唇を曲げる。
 世の中小説のように回らない事は分かっていた。
 だからこそ矛盾した想いを飼っている。

 たった一週間の逢瀬では足りなくて
 結婚しろと願う癖その薬指に輪っかが
 いつまでも、いつまでも、光らない事を
 願って、祈って、望んでしまっている]

(53) 2019/05/20(Mon) 00時頃

【人】 公安部 カガ


  ……どうしようもない。
  どうしようも、……ないんだよ。

[自分だけをずっと見ていて欲しいって。
 
 昨日祈ったはずの一度だけすらも
 容易く裏切りそうな願望は止め処なく]

  あの人は普段どんな風に過ごすのかな。
  仕事は、交友関係は。……恋人には、

  どんな声で、どんな事を、囁くんだろう。

[知らない誰かが羨ましくて仕方がないから
 また噛み締めた唇が鉄錆の味を届ける。
 恋とは、愛とは、一体何なのだろう。
 分からない。まだ、昨日の余韻が強すぎて]

(54) 2019/05/20(Mon) 00時頃

【人】 公安部 カガ


  あの人も全部俺と同じなら……、
  よかったのにな。

[この想いも内に秘めた願いも全て。

 強欲な心を抱えたまま痛みに目を伏せる。
 この背に翼があったなら飛んで行けた?
 少女が読む小説のような想像をした自分に
 呆れたように空気を震わせた]

  同じように恋してくれたら
  俺のこの想いは……報われた?

  なんて、無理だよな。
  俺じゃ……あの人の隣に相応しくない。

  わかってる。そんな事、ずっと。
  ただ、今を失いたくない……のは、本当で、でも。

(55) 2019/05/20(Mon) 00時頃

【人】 公安部 カガ



  あの人の指にも、触れたいなん、て。


[莫迦げた問いに答えるものはおらず。
 落としたつぶやきは溢れ転げていった。

 催促の連絡に目を通して返事を認める。
 また担当者に怒られてしまうなと肩を竦めた]**

(56) 2019/05/20(Mon) 00時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[ごろ、と逆側に寝返りを打つ。
比較的整然とした棚に並ぶのは、もう長いこと開けていない靴箱にカレンダー、それから古いラジオ。

固定の周波数から流れてくるのは、耳馴染みのいい男の声。
切欠なぞ覚えていない。始めはほとんど耳に届いてもいなかった。くだらない恋愛相談が莫迦莫迦し過ぎて、逆に面白がるようになってからは工場で、移動中の車の中で、時報代わりにもなると流すようになり。

土日も放送があると知ってからは、むさ苦しい部屋に陳腐でポップなラブソングが流れる始末。
内容によっては無意識に突っ込みも入れていた。

"そういうアンタはさぞ大層な恋愛してきてんだろうな"
とか。

"よくそんな気障な台詞、素面で言えるな"
とか。

共感を覚えたり感心したり、思わず声を出して笑う日も。]

(57) 2019/05/20(Mon) 00時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[睫毛を伏せる度に、脳裏に鮮やかに映るのは店を出る前に垣間見た、まだ瘡蓋も薄い赤い筋。

血が滾るような高揚は、酒のせいじゃない。
頬の火照りが収まらないのは、暑さのせいじゃない。

食後の一服も忘れ、塒へと駆け出した。服を脱ぐのももどかしく、そのまま冷水を浴びて、蹲って頭を抱えた。獣が残した爪痕に何を想像したか、なぞ。絶対に知られたくない。

離婚して暫くしてから、開き直りと自棄で、遊び人めく振舞いに興じたこともあった。
老若男女、薄く浅い、一夜の付き合い。
すぐに向かないと気づいて諦めをつけてからは、すべてのリビドーを労働へと変えてきた。妻と娘への裏切りを忘れぬように、金という形ででも、返せるものがあったことに感謝しながら生きてきた。

それが、どうだ。あと少しで役目が終わるからって、枷が外れるからって、こんな────。]

(58) 2019/05/20(Mon) 00時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[いつになく張りのある声が、ひときわ大きくスピーカーから響くのと同時に起き上がり、再び冷水を浴びに向かう。

食べれば食べただけ腹が減るのは何故だろう。
始めはなんとなく、気の良さそうな顔を眺めるだけでいい気分になれて、其れだけで良かった筈なのに。
ひとつを知れば、更にもっと知りたくなる。
どこまで知れば満足できるかなんてわかりゃしないのに。

じ、と。唇を咬み締めて俯く。
あの夏も、こんな風に苦しかった。会いたくて、ただ、会って顔が見られるだけで、声が聞けるだけで幸せだった。

──どんな声だったか、もう覚えちゃいないのに。
美化された思い出だけがいつまでも、べったりとくっついて剥がれない。]**

(59) 2019/05/20(Mon) 00時半頃

【人】 公証人 セイルズ

[カウンター席に座らないのは、振り返らなければ店内の様子を見る事が出来ないからだ。
周囲と話しているならともかく、意味もなく店内を振り返るのは流石に目立つ。
だからいつも、ほんの僅かに視線を動かすだけで見える場所に
視界の端に捉える位置にあの人が座ってくれる事を期待していた。

気付けばいつの間にか、いつも視界の中にあの人が居て
自然と目で追いかける頻度も増えていく、ああ、怪しまれていないといいけれど。

名残を惜しむように食べていたジェラートも、やがて溶けて空になる。
夢を見る時間は終わりだと。]


 ごちそうさま、今日も美味しかった。


[そう言って席を立ち会計を済ませる。
店を出る前に、もう一度だけ視線を向ける。
こっちを見ていたような気がするのも、きっと偶然だと
そう、自分に言い聞かせて店を出た。
そうでもしなければ、あの人が帰るまで居座ってしまいそうで。]

(60) 2019/05/20(Mon) 02時頃

【人】 公証人 セイルズ

[土曜はトラブルで呼び出されでもしない限りのんびり朝寝を決め込む。
遅い朝食はグラノラ・バーとラテ・マキアート。
出来るだけ金と手間を省きつつ栄養をと考えた結果がこれだった。

グラノラ・バーを齧りながら新聞に目を通す。
だけど頭に浮かぶのは、昨夜のあの人の事ばかり。
思えば、偶然が重なる日だったな、なんて
俺にとってはとても嬉しい偶然だったけれど

もし、あれが偶然なんかじゃなかったら?
そう考えて苦笑する。そんな都合のいいことがあるはずがない。
あの人が、俺を見ていてくれた、なんてこと]


 願望が出すぎだろう、俺……


[自分に呆れながらカップを口に運ぶ。
気付かれたくないくせに、見ていて欲しいと願う矛盾。
本当に、面倒な物を飼っちまったと思う。]

(61) 2019/05/20(Mon) 02時頃

【人】 公証人 セイルズ

[都合のいい妄想は虚しいだけなのに
あの人も同じように思ってくれたらいいなんて。
だけどそれは、同じように悩んでいて欲しいと願うも同じで
出来るなら、あの人にはそんな思いをして欲しくないから。]


 ほんと、矛盾してるなぁ


[グラノラ・バーの残りを口に放り込んで噛み砕き、残ったコーヒーで流し込む。

このままでいいと思いながら、もっと先を望んでしまう。
もっと知りたいと願ってしまう、声も、表情も、その先も。
ずっと、自分だけを見て、自分だけの物にしてしまえたら……

手を伸ばしたら逃げてしまうと、わかっているのに。
わかっているから、こうして見ているだけでいいと決めたのに。]

(62) 2019/05/20(Mon) 02時頃

【人】 公証人 セイルズ

 ……今、何をしているんだろな、あの人は。


[夢想するにはあまりにもあの人を知らなすぎて
浮かぶのは、タヴェルナで垣間見る、カトラリーを持つ綺麗な指と
食べ物を運ぶ口元の動きの艶めかしさ。

あの唇で名を呼ばれて、あの指に触れることが出来たなら
ああ、今この時に、どこかの誰かがその幸運を味わっているのかもしれない、なんて。]


 手に入らないものほど焦がれるとはよく言ったもんだ。


[自嘲気味に零して、大して頭に入らなかった新聞を放り投げる。
そんな事は高望みだ、そう、例えば
名前も知らないあの人の瞳、その視線と交わって、視線で抱きしめ合えたなら
それだけで、いい。]

(63) 2019/05/20(Mon) 02時頃

【人】 公証人 セイルズ

[そんな風に、またひとつ、自分に嘘をついた。**]

(64) 2019/05/20(Mon) 02時頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[目覚まし時計の音に目を覚ます。
冷蔵庫の牛乳を煽って、ついでに卵を2つ、そのままの流れで火にかけたフライパンに落とす。
再度開けた冷蔵庫から、ウインナーを3本ばかり取り出してフライパンの卵の隣に放り込み、それからトースターに食パンを2枚投げ込んだ。

昨晩は飲まなかった分、食うモンもあまり進まず。
空きっ腹に朝食を詰め込む。
仕上げとばかりにリンゴを丸かじりしながら鏡を眺め、無精髭の顎をざらりと撫でて、まだイケる、なんて思う。
どうせ今日も、内勤だ。
書類仕事も続けばうんざりしてしまう。

1週間。
また、1週間、待たねばならぬ。
今度の金曜は、夜勤明けの休前日だ。
酒の勢いを借りれば、あわよくば、なんて。
どうせできもしないことを思う。

正直言って、予想外だった。
彼を、口説くことはおろか、視界に入れることすらできないなんて。]

(65) 2019/05/20(Mon) 08時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[3本足で店を訪れた俺に、向けられた視線がほんの少し気まずかった。
だから俺は、わざと杖を持ち上げて笑った。]

 いやー、大したことねぇのよ?
 医者が大袈裟なだけでさぁ、

[ケラケラと笑ってみせるが、なにやら配慮されたのが歴然の席をあてがわれて。
翌日も仕事があるからと、元々あまりの向きはなかったが、怪我人はダメ、なんて看板娘から釘を刺されれば逆に飲みたくなる。
飲ませて貰えぬ酒の代わり、寂しい唇は甘くて重いタバコを、火をつけぬまま咥えて弄んだ。

決まった曜日の決まった時間、続けて訪れれば次第に顔なじみもできてくる。
雰囲気も手伝って、たわいもない言葉をひとつ、ふたつ。
交わすうちに、遅れて訪れたその姿に、心臓が一つ跳ねた。

なぁ、こっち来いよ。
一杯奢るぜ。

軽薄に唇に乗せかけた言葉が霧散して、再度火のない煙草を咥えこんだ。]

(66) 2019/05/20(Mon) 09時頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[学もなければ雅やかなコトへの興味もない己には、彼の仕事の何たるかはわからない。
けれど、いつだか戯れにガラスで紡ぎだした音色がいつまでも耳の奥にこびりついている。

その音をいつか忘れてしまう前に、もう一度、なんて。

ろくに声も聞いたことのないその人の声の代わりになっている音を、何度でも反芻する。
曲どころかメロディにすらならないくらいの、数音の羅列。
どうやったって、ほかのモノでは同じ音は作れない。
質は劣っても味を真似ることはかろうじてできる、居酒屋の料理とは違う。
その料理すら、お任せが基本で料理名などあまり認識していないのだ。
あの音の連なりに名前があったとして、もちろん知ることはない。
だから、誰かに聞くことも、再現に助力を乞うことも、できない。

俺にとっては唯一無二のソレだった。]

(67) 2019/05/20(Mon) 09時頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[現場に出ることができなくなって、命の瀬戸際が感じられなくなって。
夜遊びはあれ以来、一度きり。

枯れるにゃ早すぎンだろ、って、自分にツッコミいれてみるが、どうにもそんな気にならない。
己の内側にずっとマグマのようにドロドロわだかまって逝き場を無くしていた欲が霧散してしまって、どこかぼんやりとした心持ちに拍車がかかる。
残るのはゴロゴロとした、やたら重たい塊だけ。
そのくせ中々熱だけは引かずにいる。

同時に、彼に抱く気持ちも、なにやら別の感情に変わりつつあることに気づいていた。
同じ空間で息をしている、それだけで何やら満足してしまう、そんなのは不健全だと思うのに。

生きてるって、そんだけで尊いモンよ?

いつかまだまだ青かった俺に誰かが言った言葉。
それは、痛いほどに実感し続けている、ワケなのだが。
生きてるンなら必ずあるはずの、匂いを、音を、温度を。
この鼻で、耳で、掌で感じたい、と。
臆病な俺は、願ってしまうのだ。]

(68) 2019/05/20(Mon) 09時頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 実家で飼育していたレトリバー犬と違って
 子猫を抱えて寝たら腕で潰しそうで怖い。
 ケージから出たがる子猫にごめんな、と頭を撫で
 ベッドに潜って、寝息を立て、ひとつの夜を明かす ]

 ―――!?

[ ―――バッと飛び起きた。

 寝ぼけ眼で見ても分かる、ケージのドアが空いていた。
 なんで?缶ビールなんざ3本しか飲んでないのに
 酔っ払って浮かれてケージを開けたりしたのか。
 ゴミ溜めで暁を迎えた間抜けぶりを思えば
 酔が回って無意識の行動も有り得ない話では無く
 大慌てで家中をドタバタ探し回る。
 子猫にそこまでの身体能力は無いのに棚上も
 子猫でも入れないようなマグカップまでひっくり返す
 そんな時。
 ベッドの下に脱ぎ捨てたパーカーがもぞりと動いた
 フードの中から顔を出したのは、探し猫。 ]

(69) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 脱力し、ずるずると床に座り込む。 ]

 脅かすなよぉ……なにそれ可愛い……。

[ フードを洞穴みたいにして這い出た幼子は
 丸い瞳で何か?って顔して此方を見ている。

 苦言も愛着ばかりが篭ってしまうのは無理無い。 
 やらかされたマーキングにしょうがないなと
 目尻を甘く下げてしまう。
 柔らかい場所に尻をつけたがる生物だ、しょうがない。
 トイレの躾が成功するのは未だ先の話になりそう。 ]

  ……お前やらかしたなぁ、まあいいけど。

[ 波色のサーフ板が爪研ぎに遭った方に叱責の声も尖るも
 こいつは爪研ぎ専用にしようと考えを改めた。
 亀裂も入っているし、何十年前の遺物だって話だ。 ]

(70) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 一日の仕事を終え、猫が眠るまで見守って
 タヴェルナと逆方面――月に一度の楽しみである
 邪道系のトラットリアに足を運ぶ。

 なにが邪道かって、此処はニンニク専門の店なのだ。
 芳香を好んでも悪臭を好まない手合いはきっと来ない。

 こんな店、月に一度、それも金曜日と離れた日にしか
 通えるわけが無いだろう。 ]

 おぉ、この臭さ堪んねえ〜〜

[ テーブルに特有の臭いが染み付いてやがるから
 おしぼりすらニンニク臭がプンプンだ。
 
 小麦色の命の素が届いて直ぐに
 白い宝玉たっぷりのトーストと
 ガーリックチップたっぷりなだけでも
 充分な悪臭源なのにガーリックパン粉焼きの
 ラムチョップステーキをオーダーする。 ]

(71) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 声優の養成所に通う資金集めで一時期だけ
 バイトしていたトラットリアを思い出す。
 シュパーゲルは残念ながらとっくに旬を過ぎた季節。
 けれど氷水で冷やしたトマトと旬のニンニクは
 大量なほどバックヤードにあった。
 束ねたレンタルパラソルの隣だ。

 サーフィンやり放題でそれなりの資金稼ぎになったし
 水平線に沈む太陽は、目眩がするくらい綺麗だった。

 肉汁滴るラムチョップを齧りながら想う。
 あの頃は引き締まっていたのに、今は…下腹が…。
 加齢だけでなく、ジャンクが好物であり
 酒を飲み歩いて座り仕事に合間の休憩はごろ寝では
 身体がなまってしまうのも無理は無い ]

(72) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

 ……はぁ。

[ ジェラートを舌で舐めとるエロチズムと
 もうひとりのフライデーを脳裏で描く。

 ニンニクの臭みも好ましいけれども
 トイレに立つ度横切る背の前で鼻を鳴らして感じる
 食べれない油の匂いも心を狂わせる。

 あの背中を見る限り、シャツの下は締まってそうで。
 シャツが張り付いていないのが惜しいだとか
 不埒な妄想を抱いては、食事の手が止まる。

 肉体労働者特有の煤汚れた作業服の袖に嫉妬しそうだ。
 あれが自らの腕なら―――腰に回して、……

 甘く抱いた妄執。
 辛味が効いたトーストで舌を刺激することで
 幻想から逃れ、ニンニク臭の溜息を吐く。 ]

(73) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 若い頃と比べたらそれなりに体重も増えているだけに
 ジム通いでも始めようかとぼんやり考えてしまう。
 見目が良くなろうと無かろうと意味など無いのに。

 口臭が原因で、木曜日の朝は猫に頗る嫌われた ]**

(74) 2019/05/20(Mon) 19時半頃

【人】 山師 グスタフ

[……外界から遮音された工房の中、アップライトピアノを修復する。
このピアノは祖母が遺したものだから、と、依頼人の少女はこれからピアノを習い出すんだそうだ。
ならば、音はもちろんそうだけど、鍵盤の硬さにも気をつけなくてはいけなかった。

どれだけの理由があろうとも、つまらなければ、辞めてしまうだろう……弾くことは辛い、なんて、始めから思ってほしくない。

なんだって、自分のしたことに反応が返ってくるからこそ、そしてそれが思い通りであればあるほど、楽しくて、夢中になるものだから。]

(75) 2019/05/20(Mon) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[思い通りにならないから楽しいなんて思うのは、もっと先で良い。

……思考が、それる。

手を止め、休憩することにした。人の話し声もないから、いつもよく聞くラジオを流し始めた。
工房の床に転がり、そっと目を閉じる。

思い返すのは昨日の出来事。
……失恋の痛みをくれた青年と、再会してしまったのだ。]

(76) 2019/05/20(Mon) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[彼は才能があったから、いずれどこかでとは思っていたけど、まさかコンクール優勝候補のピアノ奏者として会うなんて思ってやしなかった。

……そして、予想通り、いや、……予想以上に……

彼と、穏やかに話すことができたのだ。
歳の離れた、一風変わった友人として。
もっとも、こちらが調律師だなんて告げてはいなかったので、ひどく驚かれたりはしたけれど、もともと風来坊を気取っていたから、彼は勝手に得心してくれたようで。
普通に話した。普通に笑った。彼から特別な何かを得たいだなんて、これっぽっちも思わなかった。

たぶんそれは、近頃の習慣のおかげ。金曜日のタヴェルナで、あの人と一方的にとはいえ出会ったときから……]

(77) 2019/05/20(Mon) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[……は、と。

浮かびかけた思いを、とっさに殺した。]

(78) 2019/05/20(Mon) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[…………。

"どうしたんですか?"

"ああ、いや、なんでもないさ"

そういって、顔を横にふって、目の前の青年をじっと見た。
ああやっぱり、と、自分の心の本音に愕然とした。]

(79) 2019/05/20(Mon) 21時頃

【人】 山師 グスタフ

[死んだ恋を眺めている。
殺した恋を眺めている。
完全に終わったものを、終わってよかっただなんて、思ってしまった自分が……嫌だった。

熱く燃えた心だったなら、それが鎮火したとしても、懐かしく切なく思い起こされるものではないのか?どうして自分はほっとしている?……もう二度と、この青年と会いたくないなんて、思っている?

……それは、絶望だった。
いままでも、そしてこれからも、穏やかに在りたいと願っていた。周囲に争いがなく、小さな平穏が続いて、その中にずっといられれば良いと本当に思っていた。なのに。]

(80) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[……金曜日のタヴェルナには……

女主人も、看板猫も看板娘も、勝手に仲間だと思っている常連たちもいて……

偶然の積み重ねによって、あの空間が保たれていて、それは永遠に続くようで、だけど何か少しでも欠けたら、均衡が崩れてしまうんじゃないかなんて思えてもいて……

心地の良い音がある場所で……]

(81) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[……それを、これからもずっと保ちたいのなら、

今、自覚しかけたこの思いは、早く殺すべきだ。

なら、殺そう。何もなかった。何も、と。
……一度殺せているのだから、まだ恋になる前の思いだなんて、いくらでも……]

(82) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[……、いや、だなあ……。]

(83) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[ラジオを止めて、体を起こした。
口の中がからからで……無性に、乱暴な気分になった。

もし、自分がもう少し若かったら、本音を包み隠さずぶちまけて、それでもなくしたくないとわがままを言って、そんな気持ちを発散できたかもしれない。
ああ、でも、できるわけがない!

……乱暴な気持ちはおさまらない。仕事なんか手につくわけがない。
そして、それなりに歳をくっているから、こんな時にどうしたらよいか選択肢はあるわけで。
……誰にも何も言わないから、きっと、誰も軽蔑なんかしてくれない。

そう、今の自分を軽蔑できるのは、自分自身だけだ。]

(84) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[身なりをそれなりに整えて、地下鉄の駅へ向かった。
いくつかの駅をやりすごして、この街を出て、
……同胞、が、いそうな場所は、いくつか知っているから……]

(85) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 山師 グスタフ

[二度と会わない男だったら誰でも良いから]**

(86) 2019/05/20(Mon) 21時半頃

【人】 公証人 セイルズ

[一週間は短いようで長い。
それが待ち焦がれるものであれば尚更。
いや、別に仕事が嫌なわけじゃないんだけどな?
それでもトラブルの処理が続けば、早く週末になればいいなんて
金曜になればまた、行き場のない想いに焦がれるっていうのに。

「たまには飲みに行こうぜ」

なんて声をかけてきたのは同僚。
金曜じゃなきゃいいんだろ、面倒な事は飲んで忘れようぜ、って
当然仕事の事だろうが、下手に断ると藪から蛇が出そうだと、とりあえずは話に乗っかった。

タヴェルナとは違う、静かで小洒落たカウンターバーで
頼んだカクテルは「フォーリン・エンジェル」

「やっぱりお前さん、恋してるだろ」

深くは聞かないでおくと同僚が笑う。
無意識に頼んだカクテルの意味を思い出して苦笑した。]

(87) 2019/05/20(Mon) 23時頃

【人】 公証人 セイルズ

[あの人にカクテルを捧げるなら、何が相応しいだろう。
「アプリコットフィズ」は軽すぎる、「キャロル」じゃまだ重過ぎる
「ビトウィーン・ザ・シーツ」なんてとんでもないし
「モーニング・グローリー・フィズ」は願望でしかない
「モヒート」「ライラ」「コロネーション」幾つも浮かべて首を振る
「スクリュードライバー」それとも「ロブ・ロイ」
どうせ渡せやしないのに。

まあ、考えた所で、タヴェルナで頼める物じゃないんだが。
なんて思いながら頼んだ二杯目は「ヴァイオレット・フィズ」

「まったく、仕事の時はガンガン行くくせになぁ」

完全に人で楽しんでる同僚に「ほっとけ」と一言言ってグラスを空けた。**]

(88) 2019/05/20(Mon) 23時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[まだシュパーゲルの季節も終わっていないというのに、2日連続で水浴びした結果、久しぶりに風邪を引いた。

日頃の不摂生も祟ったのだろう。仕事を休むほどではないが日常生活にやや支障をきたすという、一番たちの悪い程度の症状は治りが遅く。

大事をとって休みを貰った金曜日。
ティッシュで擦りすぎた鼻は赤く、咽喉は掠れている。漸く熱は下がったが、空腹でぼやける思考に届くのは、いつもの軽快なラジオの音。]

(89) 2019/05/20(Mon) 23時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[どうせすぐに伸びるからと適当に髭をそったあとの、しみったれた顔を鏡越しに嗤う。脂の乗った分厚いステーキ肉から遠ざかって早幾年。貧層な食事に似合いの身体に余分な蓄えはないが、潤いもない。]

  あーあ、ひっでェ面……

[だから、だろうか。いつだって食事を楽しみ、栄養満点に見える身体に自然と惹かれた。時折盗み見る食事の風景は、腹よりも胸を満たしてくれる。

布の下、みっちりと詰まっていそうな肉は固いだろうか、それとも意外と柔らかいのか。触れる機会がない故に、想像するのを止められない。

──もしも、自分が猫だったら。
遠慮なしにぐりぐり、額を押しつけられるのに。]

(90) 2019/05/20(Mon) 23時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

 
 ……阿呆らし

[ひとりごち、ごし、とタオルで顔を拭う。
週末は大事な約束があった。冴えない顔を見せれば相手に気を遣わせるやも。

下手に風邪菌をばらまいてしまっては申し訳ないからと、今夜は外出を控えるつもりだった筈が、気づけばクローゼットの前にいた。数少ない私服の中から、比較的マシなボタンダウンのシャツを選び、デニムに足を突っ込む。]

……っと、そうだ。今のうちに磨いておくか

[時計を見遣れば、いつもよりまだ早い時間。
薄ら埃の被った箱に手を伸ばす。定期的に風を入れて、革を磨いているが、もう長いこと履いていない革靴。
最後に地面を踏んだのは確か、娘が小学校に入学した時。]

(91) 2019/05/20(Mon) 23時半頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

[素人知識で革靴の手入れを終え、手を洗って家を出る。
仕事用のブーツでなく、スニーカーを履くのも、そも、私服でタヴェルナに訪れるのなんて何年振りだろうか。

誰が見ているでもなかろうに、妙にそわつきを覚え、ポケットから煙草を取り出した。いつもの一服の合間に、今夜の注文について考える。
無意識に、以前あの人が食べていた鴨のローストが思い浮かんだが、反射的に胃を抑えた。だめだ、まだ早い。
もっと消化が良く、栄養があるものにしよう。

いつものシュパーゲルはルッコラにバジル、トマトにモッツァレラ、生ハム……ポーチドエッグまで添えるか。オリーブオイルに岩塩とレモンをひと搾りした、鳥渡だけ豪華なサラダ仕立て。
メインはマリアンヌ自慢のブイヨンで炊くチーズリゾットに決めた。どれだけ咽喉が痛んでも、譲れないアルデンテ。]

(92) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 奴隷運び ヌヴィル

 おう、猫。珍しいな、どうした?

[脳裏にメニューを描いている間に、足元に何か柔らかくて温かいものが触れた。見降ろし、灰が落ちぬようすぐさま携帯灰皿を取り出す。

喫煙中は決して近づいてこない看板猫。今週はパン屋へ立ち寄ることもなかったから、凛々しい顔を見るのも一週間ぶりだった。
寂しかったか?なんて声をかけ、背中を軽く撫でてやる。

──猫相手なら、こんなに簡単なのに。]**

(93) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 女ディレクターにまでニンニク臭いと言われた木曜日。
 明日デートなんだから控えた方が良いと苦言を零された。
 事実無根なだけに慌てて否定したが
 慌てたのが余計に怪しまれたらしい。 ]

 え?この髭汚い? そうかあ?

[ もみあげと繋がる髭を不清潔に見えると指摘されるも
 意識している某とて髭が生えているわけで
 イマイチピンと来ず、首を傾げてしまう。
 
 その点は納得出来なかったにせよ
 変な匂いがした日があるとも指摘され
 ゴミ溜めで覚醒したある日を振り返り首を横に振るう ]

(94) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 甲板員 デリクソン

 ええー…ちゃんと風呂入ってるし 
 今日ニンニク臭いだけだろ?
 
[ 香水をつけるくらいするべき――という意味らしい。
 なるほど、最近枕も加齢臭が染み付いている。
 だが、あんな酒と美食の香りが充満する店で
 香水をつけたところで何が変わるとも思えないが…
  
 一応は念頭に置き、お母さんみたいだな、と
 ありのままの感想を口にしたらしこたま怒鳴られた。
 そりゃそうだ、娘と父親くらいの年齢差なのだから ]

(95) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ いつも通りにその日の持ち時間を終えて
 店に行く前に寄り道したのは香水店だった。
 パルファンの並びを見て、若い頃使っていた香水と
 同じ銘柄を見つけ、一、二滴テスターを手首につける ]

 あー…結構匂い強……
 でも、他に良さそうなもん探してると…。

[ 先週はドルチェを口にするあの客の姿しか見れてない
 ドルチェを舐める舌は酷くクるものがあったが
 菜食を頬張る横顔はやけに愛らしい。
 今日はばっちり眺めたいと浮き立つ心ごと
 胸を抑えて、ニンニク臭くない溜息を吐く。

 向かう途中でタバコの自販機を横切りかけ――
 は、とUターンして銘柄をジッと観察する。 ] 
 

(96) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 甲板員 デリクソン

 ………これ? 
  いや何ミリとかあんのか…そこまで分かんねえぞ

[ 酒焼けしているのだから美声とは程遠い今だが
 タバコだけは喉を痛めると自粛していたから。

 箱の色で銘柄を想像出来てもタール値までは
 ある程度離れた距離から判断はつかないが
 これであれと意を籠めて押したボタン。
 珍しそうにパッケージを破き
 内蓋らしき紙包までうっかり取り去ってしまいながら
 一本抜き出して煙草を咥える。

 キャバレーの女が名刺替りに突っ込んだ
 油性インキで番号の書かれたライターで先を燻―― ]

(97) 2019/05/21(Tue) 00時頃

【人】 甲板員 デリクソン

 ぅえっけほげほ……、苦ッ……!?

[ 肺に到達してもいないのに、噎せてしまった。
 ふかせばマシだろうかと咥えたまま 
 紫煙を吸わずに香りだけを微かに口内で一杯にする
 
 ―――ほろ苦い。
 これも、恋の味なのだろうか。

 手の届かない、届かせてはいけない相手の事で
 頭を一杯にし、浮き足立ちながら
 買ったばかりの香水はハンカチーフに浸す事にした。
 直接肌に付けるのは悩ましかったから。 ]

(98) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ ドアを開けて――

 それとなく空席に腰を落としてから
 あちらこちらと見て探すも
 いつもの格好は見当たらず未だ来ていないのかと
 そわそわしていた時、どこか優れない顔色を見つけた。

 普段と違う服装は新鮮で浮かれてしまう心と
 デート帰りかもしれないと沈む心で忙しない。
 少なくとも、隣にはべったりした女性は居ないのが
 揺れる心をいくらか抑えてくれた。

 ああみっともない。
 いつも通りビールかとキャサリンに声をかけられるまで
 メニューに視線を泳がすのも忘れてしまっていた。 ]

(99) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[精神的な不安は、仕事に打ち込むことで解消された。
 
 もう何十年も前からの習慣だ。
 心が揺れる度、頭を低く下げて靴を縫う。
 糸を革に通し、型紙通りにカットしたパーツを合わせていく。

 店頭にオーダーメイドの看板は出しているが、明らかに玄人向けの店へ訪れる者は少ない。靴の出来に反し、店の中は薄暗く、古びて怪しい。
 お蔭で出来上がった靴の殆どは紳士服店や百貨店に下りる。

 紳士靴の他には式典使いのフォーマルシューズも手掛けるが、靴底に筆記体のRのロゴがあれば、其れはすべて己の作品だ。
 価格帯は紳士が履くに相応しく、下は成人男子の一月分の給料から。
 ―――― 上を見上げれば青い天井が見えるだろう。

 情動を四散させながら、丹精を込める。
 こうして靴を作っている時だけ、卑しい自分を認められる気がした。誰もが寝静まった夜の世界で、ひとり靴を作り続ける行為に酔う。]

(100) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[ひとつ仕上げてしまうと思考の隙間を縫って金曜を思い出すから、今週は仕事に没頭した。
 先週の衝撃がまだ胸に残っている。

 変化が恐い自身は顔を上げることも、眼を合わせることも、声を聴くことも恐れている。それでも何故惹かれるかと言えば、彼の果敢さ故だろう。
 無いもの強請りと言えばチープだが、手に入らないからこそ憧れる。
 否、手に入らないからこそ、安心して好意を向けられる。
 認知の外であれば、想いを咎められることもない。

 傷つくのも痛いのも寂しいのも得意ではないが、寂しさだけは我慢が出来る。]

(101) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宿屋 ルパート

[ジッと寂しさを我慢していれば、やがて沈黙は孤独を呼びつける。
 その時、己は漸くホッと安堵するのだ。

 誰に悟られることも、誰に認識されることもなく、ただ想っていたい。そんな感情は誠実性ではなく、独り善がりだとも理解している。
 だが、進んで見られたい勇敢な者など居るのだろうか。

 撓めていた視線が手元の靴に落ちた。

 末の息子は外羽根式のウィングチップ。
 メダリオン(穴飾り)が華やかで、ライトブラウンに良く映える。]


 そりゃ、君はね?


[親馬鹿ではないが、これだけセクシーなら眼も惹こう。
 化粧箱に丁寧に収め、百貨店行きのタグをつけた。]

(102) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 甲板員 デリクソン

[ 旬では無いがズッキーニの花のフリットが
 ボードに記されていたのでそれをつまみで注文する

 いつもなら自分でメニューを吟味するのに
 勧めにあったメニューばかりを頼んでしまう。
 生ハムとチーズのカルツォーネを食したのは
 覚えているのだけれど、心此処に非ず。

 動揺のまま握り締めていた筈のハンカチと
 浅いポケットから転がった煙草の箱は
 床に転がり落ちてしまい、そのまま忘れた。

 人の出入りが多い雑踏の酒場だ。
 踏まれてしまっていてもおかしくはない。
 春が来たらしいウェイトレスが気にかけて
 落し物として拾ってくれたかもしれないが―― ]**

(103) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[一人で飲む酒よりも、誰かと飲む方が美味い。
 いや、一人でしみじみ味わいたい気分と、
 誰かと騒ぎたい気分との違いで、後者なだけだ。

 酒を干すだけでは足りないのか、
 やけに寂しく感じる唇を指横でなぞるのは無意識。
 窓際ではない場所で円筒と引き剥がされて、
 覚えてしまった空虚を削り取れやしないのに。]

  ……あー、いやさ、
  煙草吸いたいな、ってだけだ。

[物欲しそうな顔、と言われて苦笑し、
 煙草を挟んだ形で固まっていた手を振った。
 キャサリンに言えば席を移動するくらい簡単で、
 けれど居座ったのは自分の意志。]

(104) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[たまには、煙草の煙越しではなく
 彼の背や横顔、伏し目がちな表情を眺めるのも
 悪くないんじゃないか、という建前。

 窓際のあそこよりここからの方が、
 彼にずっと近くて新鮮だから、という本音。

 ……認めたくはないが、昼間のお使い中に出会った
 幸せそうなカップルに中てられたのもある。

 愛し愛され、触れ合える彼らと違い、
 自分はといえば彼に近付いてしまったら最後、
 もうこの店では出会えないのでは、という恐れ。

 いつも静かに、片隅で食事をする彼は、
 硝子細工よりも雪の結晶よりも繊細なのだから
 触れようと手を伸ばせば、───…もう。]

(105) 2019/05/21(Tue) 00時半頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[トマトソースが絡んだ鯖をパンに乗せ、
 ふわりと漂うバジルとローズマリーの香りごと
 口の中に招き入れてするりと胃に沈めていく。
 食感を残すためにわざと大きく残されたトマトを
 奥歯で噛み潰せば、芳醇なトマトの旨味の爆発。

 彼を眺める絶好の機会だというのに、
 彼と同じように顔を伏せてしまう臆病者は、
 せっせと鯖を咀嚼するのに忙しかった。

 同じ様にしたところで、同じ世界は見られない。
 けれど、少しでいいから錯覚して居たかった。
 共通項を増やし、傍に寄り添えている、と。]

(106) 2019/05/21(Tue) 01時頃

【人】 宇宙原理衆 ウツギ

[用を足しに僅かばかりに挟んだ離席で、
 彼に異変を齎した原因を知らずに済んだのは、
 幸いと呼ぶべきかも分からない。

 注意深く観察して居たとしても、
 日々で磨耗した両目で見抜けたかどうか。
 見抜いたとして、重い蓋をするだけなのだが。

 また彼を見つけられた、という喜びと、
 いつもと違い、次々に酒を干す姿につられて
 飲み過ぎた結果、痛む頭は翌日の夜まで続いた。

 こめかみを抑えてくたびれた靴で床を叩き、
 気分転換に買い物にでもいくか、と自問自答。]

(107) 2019/05/21(Tue) 01時頃

【人】 公安部 カガ

[手に入らないもの程焦がれるとはよく言ったものだ。

 この数日間過ごした日々の中で彼を思わなかった日は
 一度だって現れる事はなかった。

 固く襟の詰まったシャツはネクタイを紐解けば
 隠された首筋が見えるのだろうか、だとか
 撫でつけられた髪を下ろした瞬間が見たいだとか
 眼鏡を外した先の眸はどんな色をしてるのだとか。

 想像は膨らむばかりで後を絶たない。
 困った事にこの心臓は好き勝手がなりだし
 呼吸する事すら下手くそになってしまう。
 恋の病など可愛らしい表現じゃ足りない。
 まさに恋に殺されてしまうような感覚だ]

(108) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ

[同じものを味わえと願うのは、
 まさしく彼に対して死を願っていて
 出来るならあの人にはそんな想いをして欲しくない。
 なんて、矛盾を孕んだ嘘を重ねていく。

 時刻は刻一刻と迫っていて、
 タヴェルナのディナータイムが始まる頃合い。
 
 このまま今日は引きこもって土曜日を迎えよう。
 そう決意した瞬間思い出すのは
 作業中によく耳にするラジオのとある言葉]

  ……人を好きになるのは、自由、か。
  こんなに爛れた思いでも?
  青臭い事ばっかり言うよな。

[今更思い返しては鼻で笑ってしまった。
 もう二度と行かないと決めた誓いは
 立ち上がり扉の閉まる音と共に消えた]

(109) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ

[星々が瞬く夜を一人歩く。
 風が店先に並んだ花弁の香りを届けた。
 あの人に捧ぐ花は何が似合うだろう。

 ピセッロ・オドローソなんて願望が過ぎるし
 ナルチーゾなんて悲願じみて痛々しい。
 ヴィルッキオ辺りがいいかもしれない。
 カンナなんて今の自分そのもの過ぎるから
 アチェロを贈って美しい思い出にするか。

 男に花をなんて思いながらも
 ミモザの花束なんて一生渡せないだろうし
 夢みるくらいは勝手だろう]

  ヴィオラもいいかもしれないな。
  夢想の羽根だなんて、叶わなそうで。

[呟きながら唇を噛み締めそうになる。
 踵を返そうとした時中年くらいの女性が
 此方に気づいてしまった]

(110) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ


  あー……。ちょっと、花を見ていただけで。

[「プレゼントに?」その問いかけに首を振る]

  いや……そんなんじゃなくて。

[言い淀んでしまうならそのまま適当に断り
 立ち去ってしまったら良かったのに。
 女店主は此方を見てちいさく笑ってしまう。
 思わず怪訝な顔をしたのが良くなかった]

(111) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ



        [「あなた、恋をしているのね」]
  
  

(112) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ


[頭から冷水を浴びせられたような
 重たい衝撃を受けたような感覚。

 ぶわりと爆ぜるように熱が広がる。
 否定しようとして居た堪れなくなった。
 眉間の皺を寄せたまま口端だけは笑って]

  これを、恋と言ってもいいんでしょうか。

[本物なのか偽物なのか分からないこの感情を
 そんな尊いものと同じにしてしまってもいいのか。
 尋ねながらもどうしようもなく視界が揺れた。
 泣き出しそうになるその肩を女性の
 柔らかな手が撫でてくれた]

(113) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公証人 セイルズ

[そうしてまた金曜がやってくる。
きっちりと定時で仕事を切り上げ、いそいそと帰り支度をする俺をにやにや眺める同僚には
先日しっかり、口止めと言う名目で奢らされたんだが。
最後に「ニコラシカ」なんざ渡すから、それが出来りゃ苦労はしないと言って盛大に笑われた。

こんなに誰かに心を動かされたのなんざ久しぶりすぎて
どうすればいいのか思い出せない、なんて、言えるかみっともない。

本当に恋なのか、ただの興味なのか
わからないけれど、俺はあの人に会いにいく。
会える保障もないのに、何故か、今日も会えると確信している。

問題は、その先

この恋が恋じゃなくなった時、この想いは消えてしまうのか
それとも……「愛」に形を変えるのか。
どのみち、後者は期待するもんじゃないが
消えずにいつまでも傷になって残る、それだけは嫌だった。
それなら、このままで居たほうがずっといいんだと自分に言い聞かせる。]

(114) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公証人 セイルズ

[嘘をつくな、と、心の片隅が騒ぐのは見ない振り]

(115) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公安部 カガ



[どうしたって、とてつもなく逢いたくて仕方がないんだ]**
  
  

(116) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 公証人 セイルズ

[ドアを明ける前にもう一度、おかしな所はないかと確認をする。

見られていた気がする。多分偶然、多分錯覚、だとしても。
偶然も重なれば必然だ。

ドアベルの音を鳴らして店に入り、いつものように案内されるまま席に着く。
道中、店内を見回すのはもはや癖になっちまった。
案内されたテーブルで、出来るなら店内を見られる椅子に腰掛けて
まず頼むのは、旬も後半のシュパーゲル。バジルとバターにレモンも添えて。]


 後はカプレーゼときのこのアヒージョ、ワインは白で銘柄は任せるよ。


[メインの一皿はサルティン・ボッカ。可能ならチーズも添えてもらおう。
他はまた、様子を見ながら考えればいい。
あの人が今日何を食べるのか、また、同じ物だと嬉しいなんて
偶然も重なれば必然、なんて、都合のいい事ばかり考えていた。

俺がもし、後から来たならば、あの人と同じものを頼むだろうと想像できてしまうから。**]

(117) 2019/05/21(Tue) 01時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[そろそろいけるんじゃね、と、木曜日の午後は杖を置き去りに出勤した。
夜勤明けはなんだかんだで昼過ぎまで仕事になるから、時間によってはそのままタヴェルナへ向かうことになる。
杖を携えていること自体が、なにやら心持ちを弱音にするようで、いい加減うんざりしていた。

が。
案の定といえば案の定、同僚と後輩に揃って怒られた。]

 大丈夫だって…
 …えー。

[どこかから持ち出してきた杖を押し付けられて、何にも言えなくなる。
…どうやら読まれていたようだ。
ちくしょう。]

(118) 2019/05/21(Tue) 07時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[平和な夜中が過ぎる。
夜勤とはいえ順番に仮眠は取るのが常だが、どうせ何かあっても出動させてもらえないので一晩中起きてるつもりでいた。
しかし時間になったら仮眠室に押し込まれ、覚醒したままの意識を簡易ベッドに連れ込むことにする。

転寝に、嫌な、夢を見た。

軋むベッド、肌の上に落ちる水滴。
重なる吐息が耳に五月蠅い。
見上げた姿は仄暗い照明を背負っていて、顔なんか少しもわからなかったが。
解ってしまった。
解ってしまって、諦めと同時に、嫌になった。

どうして人の心はこんなにも、思い通りにいかないのか。
己の、心なのに。]

(119) 2019/05/21(Tue) 07時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー

[どんよりとした気持ちで仮眠から覚め、くっきり反芻できてしまう夢に傷むこめかみを揉む。
多分俺は、この想いを消化することもできずに抱えて逝くのだろう。
抱えて歩くには、重すぎた。

おっさんにゃちぃと胃もたれすんのよ。

自虐的に思うが、腹の内にわだかまったそれは、何食わぬ顔で底い居座り続ける。

初めて、タヴェルナに行きたくないと思った。
同時に、無性に彼に会いたくて仕方なかった。

これが例えば、彼が事故で亡き人になる夢だったら良かったと思う。
夢は夢だ。
絶望を仮想体験して、絶望に追いつかれる前に振り切ることもできたろう。
けれど、無意識ですら、彼を脳内に住まわせた俺が夢想するのは……。
違うだろう、そうじゃないだろう、って言い聞かせたって、もう遅い。]

(120) 2019/05/21(Tue) 07時半頃

【人】 放蕩者 ホレーショー


[夜勤明け、だらだらしていたらあっという間に午後だった。
一度家に帰って眠るべきなのはわかっていたが、眠るのが……そう。怖かった。
あの転寝の夢の、続きを見そうで。
そのくらい、己が浅ましい感情を抱えているのを、突き付けられてしまったので。

訪れるのは、随分早い時間になるだろう。
寝不足の頭にウイスキーを何杯か叩き込んで。

君の姿を、夢陽炎のように、琥珀色のさざめき越しに、眺めるのだ。
……眺め、たいのだ。]

(121) 2019/05/21(Tue) 07時半頃

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