162 絶望と後悔と懺悔と
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―転変―
[夜空に散る赤色が視界を染めた。
引き裂く爪が与えたのは、死に至る傷。
――そのはずだった]
――……。
[散り散りになり、消え行く意識は
黄金の星が月よりも眩く、闇よりも昏く輝くのを見た]
[金色の鬼に血と共に人間であった自分を奪われ
身に打ち込まれた呪いに、苦しげに呻く]
……て、めえ。
殺して、やる。――必ず、だ。
[搾り出す言葉は、黄金の鬼の望みに違わぬ憎悪の毒]
[黄金の鬼に掴みか掛かろうと、伸ばした腕が震えた。
――身体が撥ね、次の瞬間、猛烈な渇きに襲われる。
口元に零された王の血は、至高の甘露に似るが、決して渇きを満たすことはない。
これもまた、金色の鬼の戯れか。
或いは新たな眷属が、血の誘惑に溺れるように仕掛けた罠か]
……涼、平に、何しやがった。
[渇きに苦しむ周に、黄金の鬼は涼平の名を以って更なる呪詛を植え付ける>>*4]
[耐え難い渇きに悶える体を、零瑠に背負われ後方へと運ばれて行く。
揺れる視界に晒される、零瑠の首筋。
戦慄く口元がゆっくりと近付き、牙を――突きたてはしなかった]
……負け、ねえ。 絶対 に。
[熱に浮かされるような呟きは、戦場の喧騒の中でも零瑠には届くだろう。
苦痛に失われそうになる意識の向こうで
語りかけられる言葉たち>>*3>>*5がうねるように、遠く近く聞こえていた**]
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― 補給基地 ―
周にいちゃん!
[>>8金色の鬼の牙が周の体に突き立てられるのを目の前で見ていた ぐったりとした周、だけど死んでいるわけではなく。]
―まさか?
[>>54始祖の言葉にその場に足が凍りついた]
(142) 2014/02/16(Sun) 15時半頃
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― 補給基地 ― [その刹那首筋に冷たいものをかんじて ごくりと喉がなる]
リッキィ…
[久しぶりに会った一つ上の姉 変わらない帽子の下の顔をじっとみつめた鬼になるしかなかったそう告げるリッキィの言葉]
懐かしいね、ずっと会いたかったよ
[振り下ろされる剣手を伸ばしリッキリの腕をしっかと握りとめた。]
苦しかった? ごめん。 おそくなっちゃたな
(143) 2014/02/16(Sun) 16時頃
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[片剣は頭上で抑え、 首筋向けられた剣は刃ごと握りしめる。 吸血鬼の力で押されてもぎりぎりと拮抗した力で押し返す]
そんなの違うよリッキィのせいじゃない! あの時わたしたちはみんな子供だった ―誰にも、何にもできなかった
(144) 2014/02/16(Sun) 16時頃
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[連れて行く そう優しく囁く姉>>111]
違うよ…リッキィ目を覚ましてよ もう大きくなったわたしたちなら みんなでいける
きっともっと違う場所にいける だから目を覚まして
これ以上人を殺めるな 鬼の道に行くな
じゃないと…わたしは
[リッキィの力が少し勝るか 肩口に 首筋に、ゆっくりと剣が押し込められて ぷつっと赤い球が白い肌に浮き上がる]
(145) 2014/02/16(Sun) 16時頃
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[決まった?――何が?
何かに囚われたような様子をみせ 一瞬だけリッキィの顔から笑みが消えた
刹那の好機、
手を放すと身を沈めて後ろへ飛んだ]
(146) 2014/02/16(Sun) 16時半頃
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周も、わたしも、みんな連れて行かれないよ 絢だって知ってるはず 周は強いって 周は負けないって 吸血鬼にされても人であろうと戦うよ きっと
わたしは周兄ちゃんを信じる
(147) 2014/02/16(Sun) 16時半頃
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[泣き出しそうな顔にかわったリッキィ]
リッキィ、手を引いて これ以上人を殺さないで じゃないとわたしは
[しゃべりながら間合いを取り 頭の上で手をクロスさせながら 背中の太刀に手を伸ばした]
(148) 2014/02/16(Sun) 16時半頃
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―Bestia Niger(黒き獣)―
[紅き瞳に映るのは、己の切り裂かれた喉から零れる鮮血と
無残に壊された同胞の骸。
そして、――憎悪の獣。
鬼となってから百年余り。
クラリッサの美貌は初めての恐怖に歪んでいた]
[どうして――? と、彼女は問う。
この獣は、黄金の王の新たな従者ではなかったのか。
何故、同胞を――鬼の王の僕を襲う?
問いは音にならず、
その答えを与えられることのないまま、
――ぐしゃり。
クラリッサの頭は熟しすぎた紅い実のようにはじけた]
[渇きに身を蹂躙された獣は、
口の端から涎を垂らし、舌を垂らして無様に喘ぐ。
それでも、決して紅い果実に口を付けることなく、
ゆらり、闇へと歩き出した]
[――その後、零瑠か或いは他の鬼達が後方拠点を訪れても、
目にするものは無残な鬼達の屍ばかりだろう*]
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[すいっ と二つの剣を抜く いままでなかった力が溢れるのを感じた]
―桜天舞 ―風花舞 風に舞う雪の静 散りゆく桜花の乱
帝都守護機動隊 円
鬼の道をゆくというなら誰であろうが止める
[白い上衣をはためかせリカルドをみつめる/**]
(153) 2014/02/16(Sun) 18時半頃
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[ゆるりと歩きながら、行き逢う鬼をその手に掛ける。
人を超えた肉体から揮われる武の技。
その前には、金色の王や黒姫――その眷属であればいざ知らず
並みの鬼など抗うにも足りない]
ああ、……痛え。
[金色の鬼への憎悪を滾らせれば、
頭が割れんばかりの痛みに襲われて。
膝を突き、地にのたうつのを耐える。
鬼達に爪を振るえば、無数の影色の手に纏わりつかれ、
手足の自由が奪われそうになる]
そんな目で、――見るなよ。
[鬼を殺す鬼に向ける、守護隊の仲間の視線と表情は
恐れと敵意に満ちたもの。
そんな彼らに向けて、寂しげに浮かべる苦笑も
血に飢えた鬼の嘲笑と見られるか。
けれど、難なく鬼を屠り、罷り通る獣を止める者はなかった]
……うる、せえ。
俺が殺すのは――て、めえだ。
[>>*33脳裏に響く金色の鬼の声に抗おうと、獣は身悶えする。
一層強まり癒えることのない渇きに、震える牙がぶつかり、がちりと音を立てた。
眸の焦点すら定まらず、ぐらり体を揺らす獣の様に、
鬼を討つ好機と、守護隊の一人が武器を向ける]
――――っ!!
[振り下ろされる武器を払ったつもりだった。
――けれど、加護という名の呪いを受け、凶爪は、
その刃ごと守護隊員の手首から先を削ぎ落としてしまう]
アイ、ザック――。
[鋭い爪に利き手を落とされ、苦しみ悶える隊員。
それは、同室のアイザックだった。
呆然と眺める獣の背に、今度は刺突が迫る。
殺気に振り返り、突き出された槍を掴んで、
使い手ごと地に捻じ伏せる]
誰、が――従う、かよ。
[>>*36揺さぶるように重ねられる呪詛を払おうと、
振り上げた爪が――また一人、守護隊の仲間を傷つけてしまう]
吾郎、……千明、皆、――やめてくれ。
俺の敵は、お前達じゃねえ。
[苛烈を極める攻撃に身を削られ、血を吐くように零す言葉。
或る者は苦しげな、また或る者は憎しみの色を表に浮かべるけれど、獣の叫びに応える声はなかった。
若手隊員の筆頭格だった南方周は、もはや人間の脅威でしかないのだと、仲間達の視線は語っていた*]
―Bestia Niger:承前―
[金色の鬼の眷属となった身ならば、
並み居る守護部隊を振り切ることは、さほど難しくはない。
けれど呪詛は鎖となって、足を絡めとり、
血を――かつての同志達を贄として捧げるまで、獣を縛り付ける]
――――……。
[吹き荒れた凶風が止んだとき、
この場に獣の他に、生あるもの姿はなかった。
地に倒れ伏す戦士達の屍を前に、魂裂くような慟哭が天に響いた。
ざらり、胸の裡から何かが剥がれ落ちていった。
あと、どれだけ、この手を血に染めれば
金色の鬼に至れるのだろう。
――分からないまま、それでも獣は歩みを止めない]
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そうだね、口ばっかりでわたしは何も知らない。 どうしてこうなったかも知らないし リッキィ達がどうやって5年間過ごしてきたかもわからない
でも、あの周兄ちゃんが簡単にあきらめるわけないって 信じてるんだもの
リッキィだってしってるはずだよ!
[むきになるのは小さい時から変わらない]
(190) 2014/02/16(Sun) 23時半頃
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いやだ!いかない 死んだって嫌だ! ジョージを殺した 寮母ママを殺した あいつのそばになんかいかない
[思い出すのはあの日の事]
(195) 2014/02/16(Sun) 23時半頃
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リッキィ…わたしは姉妹だからこれ以上リッキィが人を殺すのを見てるわけにはいかない これ以上私たちみたいに哀しい兄弟、姉妹をつくらせたくないよ
姉妹だからやめさせる… ――ううん、やめさせなきゃいけないんだよね
[両手の太刀をくるくると操るように回しながらじりりと間合いをつめていく]
これ以上リッキィに人をころさせない
(196) 2014/02/16(Sun) 23時半頃
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[成り果てたばかりの獣にも、その声は届いた。
彼が最期に残したものは願い。
家族に、大切な人達に幸せになってほしいと、
ただ――ささやかな。
――その遺志、受け継ごう。
金色の鬼を斃し、仲間達に自由を
獣の眸から、一滴の血涙が落ちた]
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