194 花籠遊里
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丁助は、櫻子に、ちょこれーとこすもすってたべられる?(よだれじゅる
lalan 2014/09/24(Wed) 16時頃
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―花籠を去り行く櫻へ―
[微笑みと共に告げられる声色は、何時もの彼のようだった。>>14>>15>>*6
留まり移ろう蝶を受け入れる、櫻。 蝶を嫌悪することなく、花籠らしくなく咲いている笑顔。
櫻を見送る己の顔は、複雑さを眉根に、それでも笑顔。
彼は証明してくれた。 花籠をこうして、晴れやかに飛び立つ花も――花でなくなることも、出来るのだと。
羨望と期待は、胸に入り混じる。]
(56) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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[桜色を失くし揺れる黒髪を、後は静かに見送るばかり。
『しあわせになってください』と。
彼の思惑は何処にか。 今を否定する響きは、耳朶を揺らし、焔を揺らし。*]
(57) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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―それから―
[幾度の月と日が巡る頃か。 花籠に咲く色は再び鮮やかに、何事も無かったかのごとく生けられた彩に、今宵もとりどりの蝶が蜜を求め。
変化は多く。 それでも慣れてしまえば、再び何も代わり映えの無い毎日。
確実に指先に溶けない紙束の雪を拾い集め。]
(58) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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[未来への道標。 拾い上げたのは、戯れに呼ばれた花籠の奥での事。>>38]
さて、丁はその問いへの答えは持ちません。
[ひたりと侵食するような声色を、上辺の笑みにすり抜けさせた。]
(59) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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花主様を怖がるなど、有り得ると?
[答えをはぐらかし]
花籠を抜け出すべくもがいた所で、丁は花に御座います。
[本心を濁して]
飛ぶ事など、蝶でなくては叶いません。
[焔色の造花は、言葉を裏に取る。>>39]
(60) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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[じりじりと、胸に燻るのは。 何時に見た花の所為か、蝶の所為か。
嗤う夜色に近付く沈丁花。
主の傍らに膝を付き。]
(61) lalan 2014/09/25(Thu) 01時頃
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貴方様の眸は僕を見ていると?
[そうではないでしょう? 僕の名は、貴方が嫌がる響きを模した。]
僕は、僕ですよ、花主様。
[名を模しただけの、中身はきっと貴方様を裏切った花には程遠い。>>73>>74]
(83) lalan 2014/09/26(Fri) 00時頃
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甘いご冗談がお好きですか?
[嘘と嘘で躍らせる。 揺らいだ焔は宵闇色の掌の上だというのに。]
ええ、寂しいですね……?
[負けず嫌いの子供が如く、引けぬ笑みはそのままに。]
(93) lalan 2014/09/26(Fri) 00時半頃
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[蛇、と称する悪食に、冷えた微笑を突き付けられ。 皹が、ぴりと走った。>>102]
(108) lalan 2014/09/26(Fri) 14時頃
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[あの日も、息を切らして同じように謝罪した。]
(110) lalan 2014/09/26(Fri) 18時半頃
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[未知に翻弄される恐怖に涙を零し。 教えられる感触に善がって。
初めては、ひたすらに、与えられるものに縋り付く様な夜だった。]
(111) lalan 2014/09/26(Fri) 18時半頃
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丁助は、櫻子を思う存分もふった
lalan 2014/09/26(Fri) 20時頃
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花主さ、ま……
[お前は誰も見ていない、と告げた宵闇の声。
繕った仮面の奥で、本心を隠し、傷付かぬようにと笑むばかりで。 そんな己に、誰を愛することが出来ようか。
何を好きになっても、何を嫌いに思っても、苦手に思っても構わない。 感情を否定しない己こそが、嫌われぬようもがくばかりの哀れな枯れ花なのだと。
花籠の外にさえ出ることが出来れば、何もかもを零からやり直せると。
信じていたかったのは、甘すぎた子供のような理想。]
(130) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花主、様……ッ。
[本当は理解していた。
理解して、見ない振りをしていた。
花に求めるものが"男を受け入れ悦ぶ事"だったと。 其れを求めてしまうほど、自らが逃れられぬほどに、低俗な花らしくあったこと。
同じ花である者たちを眺め、彼らのような強さに嫉妬していたこと。
"ちょう"のように、生きてみたかったこと。]
(131) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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花、主、さま。
[造花の振りをして居たかった。
そうでなくては、寂しくて。
"誰に言われず、誰に愛でられず、誰の目にも留まらず"
花は、潰れてしまいそうだったから。]
(132) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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――…。
[闇に誘われるのは、歪な劣情。 嫌がらせをして縫い止めた、独り善がりの錆びた楔。
飛べぬ沈丁花は蒲公英を夢見、白い蝶と交わしたたった一つの約束は、遥か彼方。*]
(133) lalan 2014/09/26(Fri) 22時半頃
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