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【人】 炎天の雷光 インティJr[今日も変わらずに、黒鉄の機関車は街をレールに沿って巡る。心臓部に赤々とした火を灯して、煙を空に吐き出しながら。 (7) 2019/10/12(Sat) 01時頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr[鳥は何も言わないし、犬も何も言わなかった。だから機関室には煌々と燃える炉がときどき弾ける音がするばかりだった。 (8) 2019/10/12(Sat) 01時頃 |
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【人】 炎天の雷光 インティJr[広場が見えて、鳥は漸く声を発した。 (9) 2019/10/12(Sat) 01時頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr→ 粉屋 ─ (10) 2019/10/12(Sat) 02時半頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr
(11) 2019/10/12(Sat) 02時半頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr
(12) 2019/10/12(Sat) 02時半頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr[だからか、狐の態度は、鳥にはよくわからないものだった。粉屋と親しくしていたように思えていたから、余計に。] (13) 2019/10/12(Sat) 02時半頃 |
【人】 炎天の雷光 インティJr[大鷲は、半眼に視線を落として空を見上げた。 (15) 2019/10/12(Sat) 02時半頃 |
[ばさり。
粉屋の軒先で雨宿りをしていた狐は、降りてくる羽撃きの音
白い大鷲の姿がそこにある。
その口から伝えられた粉屋の死に、あっさりとした答えを返して。]
ええ、昨日お譲り頂いたカラフルでございます。
きっと普段の紅に混ぜれば、虹の輝きを併せ持つ極上の紅ができると思ったのですが。
ソランジュがいないのならば仕方ありませんね、自分で調合するとしましょう。
[狐の家にもすり鉢や乳棒はあるから、粉屋に頼まずとも塊を粉にして、他の粉に混ぜることはできる。
それでもここに来たのは、それが狐にとって特別な化粧となるからだ。]
[たった一度だけ、死出の旅路を彩る紅。
狐は自分の死期が近いことをわかっていた。
八度目の死。
それは今まで繰り返してきた死とは意味合いがまるで違う。
いくつもの生と死と世界を越えて、大願が成就する時。
鮮やかに染めた着物も、虹色に輝く紅も。
待ち望んだその瞬間を迎えるための死に装束だ。
故にこそ、調合と目利きの腕を信頼している粉屋に頼みたい。
それだけと言えばそれだけのことだった。]
[そんな内心をおくびにも出さず。
狐は大鷲の"嫌なものだ。"
慣れ、そうかもしれません。
[狐は元より、他者の死を悲しむ質ではなかった。
死ぬ度に別の世界に渡り、幾度も生まれ変わってゆく途中、自分以外の多くの死もまた見ることとなった。看取ったことも、凄惨な死に立ち会ったこともある。それこそ数え切れないほどに。
そのひとつひとつを悲しむという情緒は、生まれついての妖である狐にはない。大願に辿り着く通過点のひとつに過ぎない、通り過ぎてゆく者達だから――ということでもなく。狐は元々そういう性質のものだ。
ただ、悼むということは覚えたし、少しの寂しさを感じることはある。粉屋の死に関しては、この狐にしてはかなり"悲しんでいる"方ではあった。]
慣れるということは、守ることでもあります。
この街では毎日のことですから、都度嘆き悲しんでいては身が保ちません。
[狐は別に都度嘆き悲しみなどしないので、これはきっとそうなのであろうというただの憶測だ。
狐はもっともらしく推測を語る。
それは、この街に溶け込むため。
この街で無事、八度目の死を迎えるため。]
故に、太陽の子。
慣れることを嫌だと思う貴方様は、やはりお強い方でございます。
[そう言って狐は目を細めた。
大鷲が飛び去るのが先か、狐が家路につくのが先か。話が続くならもう暫く。
狐は、妖にも人にも少しずつ似ている、この街の住人と話すのが好きだった。**]
話題が重たくとも大鷲を持ち上げることは忘れない。
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[草屋は昨日の姿のまま。
様々な植物に覆われている。
その成長はコーラの死と共に止まっているが、
それらはその場所に生きており、
これからも死ぬまで生きるのだろう。
生態系が少し狂ってはいるが、
ささやかな問題である。
ぽっかりと空いた空から滴が降り注ぐ。
雨だ。
恵みの雨だ。
コーラも雨は好きだった。
そのコーラの生きた結果が、
雨に打たれ、風に吹かれ、揺れている。]
[昨日の姿のまま←ちょっと嘘だった。
下半身、
草と繋がっている所が食べられている。
約束通り、喜ばしい事だ。
もしこのままここで体が朽ちるとしても、
それは草花の栄養になっていくのだろう。
さわさわさわと、
頭の上の葉っぱが風に揺れた。]
[竜の死骸が撫でられても、
いつものように首を擡げる事はない。]
[声を返す事も無い。
遠くから祭囃子が聞こえても。
楽し気に問う声はここには二度と。
―――強い光にすべての植物が、
一度同じ色になる。]
[それは、一度だけでは終わらない。]
[竜の身体から離れていく気配、
それを感じる事も出来ないし、
それになにかを言う事も出来ない。
死とは無力だ。]
[けれど植物は、
枯れる前に種子を残す。
遠くに、遠くに運ぼうとする。]
[だからこそ、
この街を去っていく誰かの手元。
"コーラの育てた植物の中で一番遠い場所に在るそれ"
に。
新たな生命が宿っても、
それは草の竜にとっては
珍しい事でもなんでもなかった。]
[イナリはいつ気付くだろうか。
榊の葉に褐色の宝珠のような滴が不自然に一つ。
くっついて、小さなそれは
時折ふるふると揺れている事を。]*
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