25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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――、…庭の
[庭のみどり、と謂われて少し考え。 尋ねる華月に視線を向けるが。 あの時飲んでいたのは蓮茶だったが――さて 指し示した其れは、どうであったか。]
…、はい
[>>435 高嶺が己の名を呼ぶ。 結い紐について注文がつく。 一瞬真意を測りかねて瞬くが]
(449) 2010/08/04(Wed) 02時頃
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――…、…
[黒壇を見つめる。 紫苑色は少しばかり見開かれた。 ふたつの花に、高嶺からの申し出。 図らずも、苔色を此方からも窺うような形となる。 ――胸内ざわつくような心地。 されど、どうこうと、今謂えるわけもない。 黒壇へと視線を戻し]
…――承知 、いたしました
[――花もまた花主を選ぶのだと、 そう謂ったのは他でもない高嶺だった。 見極めるべきだろう。方から髪が流れりん、と鈴が鳴る。]
(454) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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[>>461驚いたな、という華月に 澄ました顔をまだしていた鵠は 少しだけ眉を動かした。 本郷が主たち用の棟へ向かっていくのに、 丁寧に頭を下げた。
――去るのは花主たちが去ってからだろうと 考えたのは、同じらしい。>>467
ほんの僅か覗いた高嶺の憂い顔が気に係りはしたが 其れは本当に、僅かの間。 場を辞するときまで彼の顔は高嶺の主の者。]
――よき夢を。
[>>469 高嶺へそう謂い、頭を下げれば、 りん――と微かに鈴が鳴った。]
(489) 2010/08/04(Wed) 07時半頃
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―大広間― [月傾けば夜も更けて、 花祭り1日目の宴はお開きとなろう。]
……、 …… ――「それが 高嶺」か…。
[花主たちが去って 漸く鵠は、そんなことを謂った]
…… 少し、驚いた。
[華月の方を流し見る。 かれは、どう思うて居るのだろうか。]
(490) 2010/08/04(Wed) 07時半頃
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まだ、祭は始まったばかりだが
[両の手を、膝の上で組み合わせる]
……高嶺の主は “芸”を見てくれそうではある、かな……
[花も花主を選ぶ場、という高嶺。 煽るような眼、己の芸事で鼻をあかしてやりたくもあるが。 髪結い紐を思うて触れれば 鈴の音と、ただの紙に戻った紫蝶々。]
…どう、思う?
[苔色を紫苑を交わすこと叶ったか。 聞きたかったことは様々。出たのは一言。 はたと、声のするほうへ顔を向けた]
刷衛 様。
(493) 2010/08/04(Wed) 08時頃
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[瞬いた。噂が広まるのは存外早い。]
……いえ、何と申しますか、 まだ纏まったというわけでは…。
[首を横に振れば 鈴が小さく鳴る。]
(494) 2010/08/04(Wed) 08時頃
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お耳が早いことです。 …高嶺様は“望むならば祭りが終わるまでに来い”と仰りました故。
…複数花を抱えるのは 力在る花主様には珍しくないようではありますが。
[例えば、あの豚もそうだ ―――とは胸の裡。 随分美味しそうにものを食べるひとだ、とも思いながら]
…―――
[二輪買いの話しに、 僅かの間黙って]
花の扱いを決めるのは、 花主様でございますから…ね。
[澄ました顔で、答えた。 ほんのすこし、華月の方を窺うようにもした。]
(497) 2010/08/04(Wed) 09時頃
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―大広間→自室へ― [幾らかまた言葉を交わしもしたろう。 夜も更け、部屋に戻ったはいつ頃か。 ―――りん、と 鈴の音が夜に染みる。 髪をほどいて結い紐を指に絡める。]
…いざ、相対すると戸惑うものだ。
[華月にだけ溢す裡。 彼は虎鉄を探しに行くかもしれないが。 止めもせぬし ついてもいかぬ。 ただ、―――少し黙って、流し見る。
傾く月は、地からのひかりを受けて紅色を帯びていた―――*]
(503) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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呉服問屋 藤之助は、「高嶺の花は、高嶺の花、か」と、人伝の謳い文句を歌うでなく呟いた*
2010/08/04(Wed) 09時半頃
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―朝・自室― [外で鳥が鳴いている。 華月には茶の種類を伝えた。 彼はもう、決めている。そういう花なのだ。
きっちり着込んだ寝間着は 乱れ少なく鵠の性格を現すようだ。 柘植の櫛で黒髪とかし、 鈴のついた結紐でいつものように束ねる。
――りん。
もう一つ、手にしたのは 檳榔染の髪結い紐。 それに鈴の音はない。 見つめ、考えるように眼を伏せた。]
(514) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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―A棟廊下― [寝間着から紫を基調とした着物に着替えて廊下へ出た。 懐には、己のためではない髪結い紐が眠る。 窓からは、うつくしい庭が見える。 押し開ければ風が吹きこみ、 ――りん と、髪を束ねた紐の先、 鈴を鳴らした。]
――…、――
[誰かが歩いているようだ。 宴席で見た――霞月夜と去った華花だった。]
(527) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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―廊下― [庭から、聞きなれぬ楽器が 歌う音が聞こえた。 笛ではない、唄でもない。]
……――胡弓…?
[呟きながら、違う、と思う。 見下ろせど此処からは春の訪れを 眼にするには至らない。 その調べに、耳を傾ける。
懐の髪結い紐に、手を触れた。]
(546) 2010/08/04(Wed) 15時頃
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―廊下→本邸へ向かう途中渡り廊下― [高嶺に逢うためか、どうか。 鈴の音伴って歩く渡り廊下で思い出す。]
(――嗚呼、そうだ)
[時折は明之進を見てやれと頼まれていたと足を向けたのは本邸の梅の間へ。]
…、――
[――りん、と鈴が鳴る。 渡り廊下から庭を見るころにはあの不思議な胡弓にすこしだけ似た音色は途切れていた。 代わりに見えたは寄り添う桜色と冬色と。
――ほんとうに仲がいいのは 彼らのほうではないのか、と。
昨日宴席で華月が視線で問いかけてきたのを、ふと思った。]
(563) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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―廊下→庭>>564―
…、…
[手招く手が見えた。一つ瞬く。 近づかれるのを厭うのではなかったか、と 怪訝そうに思いながらも、 一度窓を過ぎて、 一番近くの出入口から庭へと降り立った。
――りん、と鈴の音伴って。]
(567) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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―庭―
…――。
[そこに、嘲笑はなく、 弧を描く艶含む笑みがある。 いったい、何があったのか。
雪のように白い手を見るは 紫苑色の眸、 暫しの後 願いに従い ゆる、伸ばした手は白鳥の羽のような。
手が触れれば、冷たいか。]
(570) 2010/08/04(Wed) 19時頃
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―庭―
……何、 …
[雪白の手には、確かな体温。 戸惑いがちに視線に従い見れば、 流麗な曲線持つ楽器らしきもの。]
…さっきの音は、…おまえか。
[どういう風の吹き回しかと、 紫苑色は怪訝そうに。]
殊勝なことだな。 ……
[じ、と冬色を見ていたが、やがてひとつ息を吐き]
……どうしたらいい。
(573) 2010/08/04(Wed) 19時半頃
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―庭― ……届いた。 聞いたことのない、音だった。
[冬色を紫苑色はじ、と見た。翳る、雪空のいろ。] ……花であれ? 己(おれ)も…おまえも、“花”だろう。 どうして今―――――
[鵠は眦の赤を見てか口をつぐむ。 選定――剪定の話は、 もうすっかり広まっているようだ。 少し眉を寄せたまま、腕を支え]
…祭だというのに迂闊だな。 ―――手を滑らせるな。
[咎めながらも結局は手を貸して、くいと強く引いた]
(578) 2010/08/04(Wed) 20時頃
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―庭― 異国のものか…それで。 ……、…?
[“ロビンは”と“ロビンが”謂う。 怪訝そうな色は深まる。] ――――…、 目覚める、とはどういうことか。
[違和感。 “見聞き能わず”は確か自分のことを“ボク”と。]
―――っ、
[咄嗟に支えるために動く。 りん、と大きく鈴が鳴った。]
(584) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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―庭―
…伊達に白き鳥を 舞っているわけではない
[多少は傾いだが受け止めはできた。 あれは動の舞。ひ弱ではいられない。 間近の冬色、紫苑色は幾度か瞬いて]
――“見聞き能わず”ではなく、か…? 嗚呼、……
其方のほうが、己には余程面白い。 噂などより見聞きできるほうが余程。
[少々ぶっきらぼうなのは食堂の会話の印象が残っている所為だろう。 人の声に振り向けば、今度は静かに鈴が歌った。]
(592) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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本郷様。
[向き直れば丁寧に頭を下げる。 呆気に取られた様子には緩やかに眼を細め]
驚かせてしまいましたでしょうか。 失礼を。 少々足元覚束なかったようで。
(594) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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―庭―
――嗚呼。外の国にもあるのか。 …己の舞では白き鳥は、死ぬ。
[呟いてから、申し出の通り だが倒れぬようにとゆっくり手を離した。]
離す。倒れたら知らないぞ。 高嶺様に、 ? っ、…
[胸元なぞった指にびくりとした。 少しだけ息を飲んでから、]
――じゃれあっていたというわけでは 御座いません。手を貸していただけで。
[すまし顔、本郷に答える。]
(604) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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―庭― ……――それは随分と違うな。
[どう、違うかまでは口にしなかった。
――あの舞で。 白き鳥は、ひとりで死ぬのだ。
満足そうな笑みには 少しだけ睨むように見た。 其れも僅か、本郷に問われ>>607]
――、……いえ、まだ。
(610) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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―庭―
…――、…
[噂の“ロビン”ではない 薄い笑みを見て、緩やかに、一つ瞬き]
いや、…気にしなくて、いい。
[冬の花の裡を推し量れなく そうとだけ答えた。本郷が言葉を続けるのに其方を見て]
――はい。
[柔く笑む。]
ありがとうございます。
(621) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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―庭―
…高嶺の名を望むのならば来い、と。 そう謂われた。 まだ決まったわけではない。
[どれだけ尾ひれがついて 広まっているのだ。とは口にせず。]
……ええ、ご尤もです。
[>>626ぱちり。扇が鳴る。]
それでは、私はこれで。 失礼いたします。
[頭を下げれば鈴が鳴り、りん、と響いた。]
(630) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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―庭―
… ――?
[鈴の音、もう一度。少し離れたところで 呆けたようなロビンを見、首を傾ぐ]
(636) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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―庭―
…?…そう、か。
[いまひとつ腑に落ちない様子で 首を傾いだが]
…ぁ。
[ロビンを担ぐ本郷を見る。 意外と力のある――と、 自分を棚に上げて鵠は思った。]
(645) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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―庭>>647 →本態側廊下―
え、いえ。そういうわけでは…
[――子供を叱るようだ、と 内心思いつつ、見送ることとした。 任せておけば問題なかろうと。
鈴の音ともなって、庭を後にし屋敷内へと足を踏み入れた。]
(650) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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―廊下―
[庭より戻りて廊下に在る。
鈴を鳴らして、少し離れ、賑わしいのは話し声。 その中に華月と高嶺の声を聞き取れば、 どうしたものかと逡巡を見せる。
――一番響いていたのは虎鉄の声ではあったのだが。]
……威勢のいい方が好ましいということなのか?
[主に豚の趣味だが。 似たようなことを高嶺が口にしたとは知らぬ。]
(658) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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呉服問屋 藤之助は、執事見習い ロビンは問題なく治療を受けられるだろうかとお節介にも心配になった。
2010/08/04(Wed) 23時半頃
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―本邸廊下・やや離れ―
[>>662 会釈を向けてくる夜光へ、 こちらも静かに会釈を返し。
懐から出す檳榔子染の髪結い紐、 まだ祭りは始まったばかり、 高嶺に己を認めさせてやろうとは 負けず嫌いの性根が騒ぐ、が。]
――…
[窓の外、本邸の方を見る。 先は、梅の間。此処からでは様子は窺えぬが。]
(667) 2010/08/05(Thu) 00時頃
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呉服問屋 藤之助は、手妻師 華月斎の苔色とも視線を交わしもした。彼は常の笑みだった。
2010/08/05(Thu) 00時頃
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―本邸廊下―
[少し遅れて送られる高嶺の視線。 挑むような煽るような、そういう眼ではなかった。 不思議そうにひとつ――紫苑色を瞬く。
いつまでもここに居ても仕方ないと ひとつ、鈴を鳴らして歩き始める。 もとは椿の間に向かおうとしていたのだから]
(685) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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―廊下→梅の間前―
[一度高嶺と、華月の方を振り向いたが 結局はまず、梅の間に。]
――…、…
[夜光の姿が視界から消えぬ。 どうやら行き先は、同じであるらしかった]
……何処へ?
[夜光へ一応尋ねてみた。]
(702) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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