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[少女ごと椅子に押し付けられるように、男はぐいとひときわ強く貫く。
子宮口に刺さるほど深く打ち込まれたモノが、ドクンと大きく脈打って、
灼熱をぶち込まれたと感じたのは、繋がった裡側と食いちぎられた肩の傷。]
はぅ……ぁ!!!!!!!
[その痛みにか絶頂にか、はげしく硬直し痙攣する身体。
息も詰まったまま真っ白に飛ぶ視界。
熱情を中へ受け止められたことと、消えることの無い証を刻まれた歓びに、打ち震えたまま意識を手放した。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[何処をどう歩いて連れてこられたのかすら覚えていない。
気がつけば舞台の下で主人の膝へと寄り添い、やさしい手に撫でられていた。
肩に焼き付けられた痕と、裂かれた裡側が酷く痛んだけれど、
胎内をまだ満たしたままの男の精に、心の中も満たされていた。
うっとりと目を閉じ、躾のいい犬が甘えるようにその膝に頬を寄せている。]
メモを貼った。
― →客席 ―
[足取りは痛みのせいもあってのろりとしたもの。
ルーカスが歩く数歩後ろを静かについて歩く。
シノが来ているなら、鈴の音でそれを知る。]
――――… 相変わらず、…
[悪趣味だ。
舞台上で、両手足を広げてられた女達の末路。
金の瞳を半眼にして 静かに 陰鬱な男を睨んだ。]
[穿たれる衝撃は椅子の背に吸収される。
ガクンガクンと引っくり返りそうになりながら、ぎりぎりの均衡を保って三人分の体重に椅子の脚が浮いた。]
は、……っ、っ、
[少女はもう揺さぶられるままに、一刻も早く尻孔から異物が取り除かれることだけを願う。手は弱々く、ブルネットの合間から女の肩を押し返そうとするけれど、
その脇を掠めていく灼熱。
ゆら、と空気に陽炎がたった気がした。そして。
肉を焼く異臭が香を打ち消す。じゅくじゅくとケロイド状の皮膚が、眼前に入って、我が事のように叫んでいた。]
い゛っ――――やああああぁあぁ!
[火傷の苦痛に、ツィーが身体を強張らせた、その肩越しに見た男の笑みは、道化のそれと重なって感じられた。少女は到れぬまま、女の身体が重く圧し掛かってくる。
幻想的だった部屋は、一瞬にして地獄絵図の悪夢と化していたのだった。]
―――…っ、 理解し難い …ご趣味だと 思ってな。
[瞼を落として半眼のまま、言い放つけれど
痛みがまだ癒えるわけもなく 言葉はたどたどしい。]
[立つこともままならぬ少女は、後方の孔に模型を突っ込まれたまま、椅子に拘束されていた。
愚かな好奇心の代償、摘まれた二度目の喪失の証に、漆黒の羽根付帽子だけが、置き忘れたように客席に戻ることになる。]
─ 回想 舞台 ─
[肌を震わせたグロリア>>*14のうなじに軽く鼻先を埋めて、イアンは小さく息を漏らした。
椅子に座るグロリアは主人。後ろに立つ買われたイアンの手は、グロリアのたおやかな手に恋人同士重ねられたまま。カルヴィナの返答には
女だから買われたんだろうに。
[詳細を説明する気の無い呟き。カルヴィナの葡萄色の瞳は客席ではイアンの濃茶色と同じく、黒に塗りつぶされたように見える。
グロリアとカルヴィナ、立場のまったく異なる貴族の女同士の会話が始まる。イアンは口を挟まず、カルヴィナを観察する。傷、痛み、快楽、屈辱、嫌悪、復讐心──今は恐怖は見えない。カルヴィナを会話した時の事を思い出すに、世間知らず故の無知と、想像力の欠如が、完全なる恐怖から少女を遠ざけているように見えなくも無い。]
─ 回想 舞台 ─
[「心持だけは、どんな地位にしても誰にも壊されない>>*16」と言うグロリアの言葉に、イアンは声を立てずに笑った。その言葉を口にしたグロリアをでは無い──イアン自身の辿り着いた現実と。
自分はまだ矜持を保てているのだと信じているらしきカルヴィナ
心を壊して生きのびる事と、誰にも壊されない死人になる事と。
嗚呼、とイアンは呟く。
「よっぽど気に入られたみたいだね、イアン。
よ か っ た ね 。
カルヴィナを見下ろして、イアンは今度ははっきりと声を立てて笑った。]
カルヴィナ、お嬢ちゃん。
きみには理解出来ない事を言おう。
俺は、きみと違って、グロリアの奴隷で構わないんだ。
運良く気に入られて卑屈に安堵してる?
別にそう思われても問題無い。
俺も変わってしまったんだよ。
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― 舞台袖・個室 ―
[それから。
金目の青年に施される細工を、震えながら見守った。
目を背けようとすれば主人から声が飛んだか。
何度か意識が遠のきそうになったけれど、それも青年の悲鳴で引き戻された。
施術が終わり、青年が電話を手に取る。
自分が電話をするということ。
そんな思考は全くといっていい程頭に無かった。
異国に着き次第、連絡を入れると言っていたのに。
ちらちらと、電話をする青年を見遣る。
主人がその様子に気付いたなら、おずおずと要望を伝えて。
私が電話をかけることができたかどうかは、さておき。]
― →客席 ―
…、りん。
[今は無言で主人と青年の後ろについて、客席へと向かって歩いていた。
ゆったりとした歩みに倣って、鈴がちりんと啼く。
青年と再会してから。
彼が此方に向ける表情に感情は無くて。
それは私の罪悪感を酷く煽った。
私が、頼みさえ。
願いさえしなければ。]
……、っ…。
[心が軋んで、小さく息を吐く。
何が最善で何が最悪か。
もう、よくわからなくなってきていた。]
メモを貼った。
― 客席 ―
―――… 。
[っ、と 小さく息を呑む音。
鈴の音が 奥に響く。
視線は陰鬱な男へと向いたまま
背後で確かに感じる 彼女の存在。
どんな形であれ 傍に居れる事は
良いのか
悪いのか
――― 今の、自分には 解らない。
父親の言葉が 頭からまだ抜けてなくて。]
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[悦楽と苦渋の中で遠のく意識で思う。
奴隷を羨ましいと宣うおんなと、その奴隷になったおとこのこと。]
…………っは、
[死から逃れるために、魂を売り渡すくらいなら。延々続く責め苦の中で死んだ方がマシだと。散々嬲られた少女は未だ消えぬ思いを抱きながら、そのどうしても守りたかったものと相反する結論を下す。]
誇りを捨てた僕が、再興する家に何の価値があると謂うんだ。
――いい。僕はシルバーバーグ子爵にして、最後のウィングフィールド当主。
当主の誇りとともに、 僕 は 逝 こ う 。
[暫し、思考をしてから
―――つい、と視線をやや背後の鈴の鳴る方へ。
金の瞳は相変わらず、感情を込めないようにして]
シノ。
[短く名を呼び、それから ゆっくりと
彼女に聞き取りやすいように発音する。]
――… テ ッ ド だ。
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僕は変われない……変わりたいと思えない。
けれど、誇りが死んだらその時は。
残ったこの屍骸は初めて、ただのカルヴィナという名の少女として、
……………………。
奴隷のままじゃ、何も望めない、な。
メモを貼った。
メモを貼った。
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─ 回想 舞台 ─
[グロリアにも声を掛けたヴェイスパタインと言う客。声から男性である事が分かる──の腕の中に居る、忠実で従順な犬のような、あるいは家具のようなツィーと言う奴隷。最初、舞台の上でおそれ嫌悪した彼女と、近い所へ来たのかもしれない、とイアンは想った。
悪魔に誘われるように、彼等の部屋へ行ったカルヴィナの華奢な少年のような背。それよりも、扇子の下に僅かに見えたグロリアの自己嫌悪の表情に、すぐ側の後ろから見ていた所為でイアンは気付く。身体の内側からじわりと燃え広がる炎のようなものが有る。
見上げた彼女に無言で顔を寄せ、それから肩を抱きしめた。]
嫉妬深く愚かな男奴隷が望むから
仕方なくあの子を手放した
って考えるのはだめかな?
[後ろから扇子を持った手に手を重ねる。扇のちいさな影に隠すようして、グロリアの襟元を探り、落とすくちづけは白い肌につけた紅い花の上。]
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…、……!
[ぼんやりと青年の後姿を眺めていると、金の瞳が此方を振り返って。
急に向けられたその感情を宿さない瞳にぎくりとする。
咄嗟に視線を逸らしそうになったが、名を呼ばれて、漆黒は金の瞳を見上げた。]
―――…テッ ド?
[ゆっくりと伝えられた言葉を復唱する。
あまりに唐突で、漆黒は不思議そうに瞬いた。]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
…… そうだ。
[漆黒が瞬くところまで見て
そしてすぐに背を向けるように視線を外していく。
顔を向けずの侭、背中側に向けて ぽつりと]
俺の、…名前だ。
メモを貼った。
[買って欲しいと懇願する女の声が響く。
――― 取り残された者の末路が死ならば…]
…っ
[何も出来ずの 自分が不甲斐なく思う。
表情は険しい。]
『貴方の なまえ…。
なぜ 急に…?』
[名前を教えてくれた事は、素直に嬉しかった。
もっと言えば、話しかけてくれた事すら嬉しかった。
心のどこかで、もう話しかけて貰えないような気がしていたから。
だから、視線が外され、向けられた背中にはまた壁が出来た気がして。
少しばかり不安は募る。
急に名を教えてくれた事。
何か、意味があるのだろうか。]
[陰鬱な男の笑い声に、ぎり、と奥歯を噛んで
両手を力いっぱい握りしめた。]
…ッ、痛
[びり、と力めば身体に残る痛みに響いた。]
【人】 道化師 ネイサンついに残り一名となってしまいました。 (52) 2010/04/12(Mon) 23時半頃 |
……
[呟かれた異国の言葉は解らない。
ただ、解らないけれど予想はついた。]
――― … 、…
[唯、この場で理由を言う素振りは見せずのまま
背だけを彼女に向け続ける。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[舞台上の少女の悲痛な願いは客席に、私の耳にも届いて。
じくりと胸は痛む。
客席の男と主人が入札する様子も無く。
恐らくこのままでは、あの子は―――。
自然と眉が下がる。
無情にも時は過ぎ。
道化師のアナウンスが響き渡った。
落札されたNo.は…5。]
メモを貼った。
メモを貼った。
―――…。
[問いかけても、返らない答え。
その理由を知る由は無い。
ただ、向けられ続ける背中に漆黒は徐々に翳って。
俯き、りん――…と鈴が啼いた時。]
『ごめん、 な さ、…。』
[唇から零れ落ちるように紡がれたのは。
彼の背だけに向けられた、謝罪の言葉。
小さく、震えたその声は彼の耳に届いたか。]
[痛い。
―― 痛い。
―――― いたい。]
……
[だから 尚、痛みを与えてはいけないのだと
振り返らない。
振りかえれない。
耳に小さく届くのは鈴の音と、 謝罪の言葉。]
ッ…
[唇を 静かに引いて 堪える。]
─ オークション後 用意される花束の話
[ジェレミーの元へ送られる花束。何十本もの薔薇で埋められた柩のようなもの。装飾的な箱の中に、かぐわしい薔薇とジョーゼットのドレスで飾られたカルヴィナが横たえられている。]
清らかなまま死んだ乙女か、
女装の少年のようにみたいだね。
後、スカートをめくらなければさ。
[梱包は奴隷品評会の主催者ヨアヒムに完全に委任する事も出来た。グロリアは最初そのつもりだったかもしれない。けれども、今、イアンが梱包の最後を仕上げようとしている。]
ねえ、カルヴィナ。
手枷と足枷は、会場に運ばれた時も付いてたっけ。
意識があるまま、箱詰めされて運ばれるのは怖いかな。
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