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[泥人形を蹴散らしながら、ジャックを狙おうと踏み込む。
しかしジャックの前には泥の女が立ちふさがり。]
邪魔だ―――っ!?
[泥の女を他の人形同様、薙ぎ払おうとした刹那、がくんと体がつんのめる。
脚を何かに取られた感覚。
―――…一瞬視界に入ったのは、床から生えた、孫堅の脚をつかむ、腕。]
…この妖怪どもが―――!!
[腕ごと床から脚を引き、顔を上げると、女が刃をこちらに向ける。
その手は長く、思った以上に速い。]
ぐぁ――――っ!!
[細い刃は孫堅の目を切りつける。
何とか身をそらしたが、右目に灼熱のような熱さとぬるりとした感覚が走る。]
―――邪魔だって言ってんだよ…!!
[片目をつぶされ、しかしそれでも刀を振るって女を薙ぐ。
まだ、左目は残っている。目前のジャックはどう動くか。
もし己が倒されたとしても、相手もただではすまさせない。
夏侯惇だったか、曹操の部下の武将は目を矢で射抜かれていた。
それに比べれば、この怪我はまだ浅い。
ラクシュミーたちを、ひいては息子や娘のため、国の民のためにも、ここで倒れるわけには行かないのだ。]
[残った左目でジャックを負う。
その動きは、けして武人のそれではない。
片目で間合いを計る。いける、恐らくは。
踏み込んで一撃、振り下ろす。
とっさにジャックもよけようと動くが、孫堅の刃の方が迅い。
ごつり、という手ごたえとともに、ジャックの左腕が落ちる。]
すんでで避けられたが、その腕はだらりと垂れ下がったまま。
恐らく先ほどの手ごたえを見るに、腱は切れているだろう。
もしかしたら骨も砕けているかもしれない。
これで、終わりだ。
[一撃。
恐らく孫堅の攻撃であれば、そのままあと一撃でジャックの武器もろとも、叩き斬ることができるだろう。
そのまま、返す刀を振り上げジャックを斬ろうとしたまさにそのとき―――]
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―――あ…?
[喉笛に刺さる銀色の刃。
その刃は泥の手に握られていた。
天井から生えた、泥の女が口元をゆがませ、嗤う。]
―――ごぼり、と孫堅の唇から血があふれる。]
――――…!
[口から血をあふれさせながらも、天井から生えた女を殴り、引きちぎる。
腕を引きちぎる反動で、身体がぐらりとゆれ、それでもなお目前の敵を討とうを顔を上げた、そのとき。]
――――…ぐ―――
[それはジャックの手か、それとも他の泥でできた手か。
再度首筋を切り付けられる。
頚動脈が切れたのか、おびただしい血を流しながら、男はひざをつき――――]
そん、さく。
[――――息子の名を呼んだところで意識は闇に消えた。]
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【人】 厭世家 サイモン― 二階、孫堅と ― (23) 2012/05/27(Sun) 04時頃 |
【人】 厭世家 サイモン ――っ、あ (24) 2012/05/27(Sun) 04時頃 |
【人】 厭世家 サイモン[私は暫くの間、動かぬ男をぼんやりと見つめていた。 (25) 2012/05/27(Sun) 04時頃 |
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【人】 厭世家 サイモン[誰かが、私を呼んでいる。 (118) 2012/05/28(Mon) 10時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン[徐々に意識が清明になっていく。そう、そもそも私は既に死人だ、身体の損傷など、もう起こるはずはないのだ。 (119) 2012/05/28(Mon) 10時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン― 二階、ノギと ― (120) 2012/05/28(Mon) 10時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン 私はね、ひとごろしだった。男も女も、沢山殺した。 (122) 2012/05/28(Mon) 10時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン[身体は満足には動かないが、土人形一人動かすくらいなら、やれそうだ。 (124) 2012/05/28(Mon) 12時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン 解らないものだね、軍人というのは。 (142) 2012/05/28(Mon) 23時半頃 |
【人】 厭世家 サイモン[左腕が重い。動かぬ腕というものはこんなにも邪魔なものなのか。 (147) 2012/05/29(Tue) 00時頃 |
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