25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[背筋正し、歩けるか。
壁に手をつき見上げる月。
慣れぬ疼きはまだ燻るように。]
――――、… 、
[小さく、呟く名は―――]
[花には溺れぬと決めていた。
それは今も。
けれども、かの花が誰かの手で散らされるのは厭だった。
であるのに]
――。
[抱いた花の体は、最初の頃よりは艶を持って。
花が病ならばどうだというのだろう。
人はそもそも生まれて死ぬもの。
けれども。
自分を食らえば彼は人として生きていけるのかと]
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― 南端の鳥籠 ―
……ん。
[闇夜に冴え冴えと燈る紅い月。 その光に目を瞬かせれば、誰もいない孤独な鳥籠が其処に在った]
行ってしまわれた、のですね……。
[呟く声は誰にも届かず、 残された漆黒の衣を身体に羽織り、己が身体を抱きしめる]
(15) 2010/08/07(Sat) 02時頃
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――――……っ。
[声に出す事も出来ずに、泣きながら。 涙が伝う頬を、主の衣の袖で拭って]
あの方が戻ってくる前に顔を……。 こんな顔を、見せる訳には。嗚呼、でも……。
[月の都へ還った姫の様に。 あの方が戻ってくるとは、限らないけれど――]
(20) 2010/08/07(Sat) 02時頃
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――悪魔の。
[背に当たる痛みはその爪のものか。
ここで、命を絶たれてしまうのかと、ほんの少しだけ、現世に未練を残す。
目の前の花が、その未練になりたいのだと言っていたこと。
数珠が鳴る。
音を立てて――]
|
泣いてなどいません。 ただ登る陽がまぶしくて……。
[かかる声に背を向けた侭、頬を拭う]
(25) 2010/08/07(Sat) 02時頃
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[いられるか、の問いに。
答えは]
言ったでしょう。
花であることに、何の変わりもないと。
私が食らいなさいと言ったのです。
ですが。
――貴方の以後が心配でなりません。
[数珠が音を立てて床へと落ちる。
糸がちぎれて、ぱらぱらと珠が転がった]
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