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[咆哮も、足を止める理由にはならなかった。
と言うより多分、何もその時は聞こえてなかった。
ただ、信じたくて、信じられなくて、カルヴィナやマーゴの制止も知らず、正門へ駆ける足は]
…… いぅっ!?
[ずぐり。
身体の内側から芽吹いた痛みに、引き攣った悲鳴が漏れる。
なに。なにが。
テッドの声
でも、口を開けば悲鳴しか漏れなくて、ただ何処からくるのかも分からない痛みに、胸を押さえ。
その手が、どろりと緑に形をなくしていくのを、あー、ぐろいなー、あたしゾンビ側だったんだぁ、なんて崩れていく意識の中、思ったから]
…… ないっ、 で…
[みないで、と。
たったひとことも、自分の悲鳴に掻き消され。
何が起こったのか、何が起こっているのか。
ぜんぜん、何にもわからないけど。
こちらへ手を伸ばそうとするテッドの頭上に降る光は、今度こそ、赤くは無かったから。
よかったな、とにへり笑ったのは、誰に伝わることもなく。
みどりの海に溺れるように、意識は完全に崩れた]
[ふわり、蜘蛛の糸みたいなひかりが、緑の染みにひとしれず、溶け消えた。
小指に揺れていた、自分以外は見えなかっただろう、褪せた桜色の糸は。
たとえば運命の赤い糸とか、そんな強固なものではなくて、ただ。
置いて行かれたくなかった、でも我侭には巻き込めないから、一方通行でいいよ、と願ったそのままに。
あちらへは引いてくれただろう強さも、こちらが引けば、ぷつりと、儚く千切れ*]
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― 伝説の樹 ―
[誰かに、名前を呼ばれた気がした。
誰か、じゃないかもしれない。
それはいくつかの声で、男のひとも、女のひとも混ざっていて。
そんなに、切羽詰って呼ばれるほど、今度は何をしたんだっけ。
また心配かけてしまったんじゃないか。特に、]
『何寝ぼけてんの。さっさと起きなさい』
へ……?
[木漏れ日を背に、覗き込む誰か。
眩しさに目を細めてから、こしこしこすりつつ、よくよく見つめる]
なんだ、アネットか……。
『何だとは何よ、居ないと思ったら、やっぱりこんなとこで寝てるんだから。
数研に呼ばれてたよ、検定の書類がどうので。
ほら、目は覚めた? あんた、お兄ちゃんとか居ないでしょうが』
[きょとん、と友人の言葉に首を傾げる。
自分は一人っ子で、勿論兄弟なんか居なかったから。
……でも、何故かそれに反論しようとする、心の何処かに、更に首をかしげた]
うん、居ないよ。なんで?
『もう……。何の夢見てたのよ。
お兄ちゃんお兄ちゃん、て魘されてたよ、あんた。
ほら、』
[そう言って拭われた頬は、確かに友人の手を濡らして。
けれど全然、意味が分からないから、きょとんとするしかないのだけど。
あんまり反応がないから、心配になったんだろうか。
具合が悪いなら、保健室に行くよう言い含められて、大丈夫だよー、と樹の根元に座り込んだまま、手を振って見送るのも未だ、夢のなかのように、ぼんやりしたままだった]
ゆめ……
[樹に寄り掛かったまま、その単語を反芻してみる。
太陽の無い空。赤と青。それから、みどり。
おぼろげな色合い。誰かが言った。ライトノベルのような世界だと]
本、ってゆーか。夢、だよ。
[本なら、忘れてしまってももう一度読み返せばいい。
けれど、今、ぼんやりとおぼろげに浮かぶ光景は、夢としか思えないほど曖昧で、非現実的で、振り返るにも危ういもの。
そう、まるで。
強いひかりの下、真昼の月みたいに儚く浮かび上がる、ぎんいろみたいな―……]
わひゃっ!? え、え、な、なんでっ!?
[『願いごと』をしたことはなかった。
だから、その姿を見るのは初めての筈で、でも。
その眼差しには、なんでか、覚えがあって]
……あのぅ。何処かでお会いしたことありましたっけ……?
[おそるおそる、尋ねてみる。
怖くは無いが、何しろ普段から、かみさまが居るという桜の下で、あーだこーだ下らないだろうことを語ったり、すやすや昼寝させて貰っている身である。
かみさまにまでお小言言われたら、それはそれですごいけどさぁ、とかやっぱり下らないことを考えながら、銀の奥を、見上げていたものの]
……? ……えぅ、ごめんなさい。聞こえないや。
[何か、答えようとしてくれたようなのだけど。
口元が僅か震えるのが見えただけで、言葉も声も、さっぱり届かなかった。
やっぱりあたしが不信心だからですかねぇ、と申し訳なさそうに笑うと。
表情のうかがえないそのひとは、少し、疲れたように見える所作で、目蓋を閉じ。
さあっ、と軽く吹いた熱い風に掻き消されるように、見えなくなってしまった]
うーん。元気ないのかな。
まあ、こーもあっつくちゃねー、みんな引っ切り無しにお願いに来るし、バテちゃうかー。
[燦々と照りつける太陽を、手で陰を作って見上げる。
暑いばかりのそのひかりが、懐かしくも思えるのは、何故だろう]
よっし、お水汲んできてあげよう。ホースは……、ぁー、使ってるか。
んー、裏庭にひとつくらい転がってないかな。ちょっと待っててね!
[木陰から飛び出せば、未だ高い太陽が、容赦なく照りつける。
途中で、白線引きを蹴飛ばして粉を撒き散らし、ぶつかりそうになったサッカーボールを咄嗟に蹴り返したら、タイムをとっていた陸上部のストップウォッチを直撃し。
いくつかの怒声を浴びるも、もう自分のお騒がせぶりには慣れてしまったのか、本気で怒るひとも、本気で追いかけてくるひとも、そして本気で名を呼ぶひとも居ない。
明るすぎる太陽から逃げるように、駐輪場へ滑り込み。
校舎の陰に滑り込めば、ふぅ、とひとごこち]
……? ……すー、はー。
[そうして深呼吸した空気が、ああ、いい空気だなー、なんて。
空気と水が美味しいのは、今更なのに、やけに感慨深い。
さっきから何なのか、と首を捻りつつ]
ひえっ、自転車っ!
……いやいやいや。駐輪場に自転車あるの、当たり前じゃん……。
そんな、メアリーじゃあるまいし……、 …?
[てか、メアリーって誰だったか。
本当、何なのか。アネットの言うように、寝ぼけたままなのだろうか。
夢にしてはリアルで、でも現実には到底昇華されそうもない、儚い記憶。
ぼんやり浮かぶ光景は学校のそれなのに、空に映える月のいろも、幽霊よりまだ不確かに居る人々の姿も、まったく知らないものばかり]
[ただの夢だ。
リアルさに感情移入し過ぎただけの。
いつまでも気にするようなことじゃない。
そう、思うのに]
わっ、
[ぐだぐだ考えていたら、足元が疎かになって。
壁に手をつく暇もなく、べしゃっと転んだ]
いったー…… ?
[肘をさすりつつ、起き上がれば。
何故か、焼却炉の煙突を見上げていた。
別に何の変哲も無く、焦げ付いて古びた金属が、ぎらりと太陽の光を反射しているだけで。
何の、何も。おかしなところは無いのに]
……ほんと、保健室いこっかな。
[首を傾げながら、スカートの土埃を払い。
とりあえずは、如雨露を見つけなきゃと、てとてと歩き出した]
― 裏庭 ―
お、あったあった。こりゃまた年季入ってるわ。だいじょぶかな?
[裏庭の片隅、じめりと日の光が届かない場所に、置き去られた如雨露がひとつ。
水漏れなどしないかと、手に取れば]
(―― ♪)
……え?
[揺れた水面が奏でたのは、静かな水音ではなく。
覗きこんでいる自分の顔は何処にもなく、ギターを奏でる誰かの手元が揺れ。
この曲は、知っている。
ずっと追いかけているバンドの曲だ、知らないわけが無い。
でも、ギターはこの音じゃない。
誰か、コピーバンド? いや、でも、 ……ちがう]
……ズリエ、 っ!
[これで、いいんだ。『今の』センス・オブ・チェリーブロッサムは。
いくつかの記憶が呼び覚まされて、その名を呼ぼうとするも]
…… ぁ…
[ちゃぽん、と間抜けにちいさな水音。
勢い込んで揺らされた水面は崩れ、ただ、泣きそうな顔で覗き込む自分を映すだけだった。
耳にはまだ、ギターの余韻が残っている。
でも、呼ぼうとした名前を、思い出せない。
そのひとが、どんな顔をしていたのか、思い出せない。
古ぼけた如雨露を抱きしめて、へたりこんだまま。
みーん、みーん、と鳴く蝉の声をひどく遠く感じながら、暫く立ち上がることも出来なかった]
― 2-C ―
[樹に水を遣った後、また何か見えはしないかと、水を張って如雨露を覗き込んでみたが、何も映る気配は無かった。
あの時確かに感じた喪失感は、痛いほどだったのに、何も無いまま時間が経てば、やはりただ寝惚けていただけなのかとも思う。
それでも、とぼとぼと数学科準備室へ向かう様子は消沈していたらしく。
顧問のことは考えておくから、と珠算同好会について、思わぬ励ましをされたり。
教室に戻れば、アネットを始めとする友人らに囲まれて、うりうりもみくちゃにされ。
ぜーはー、と息を切らせて席へ辿り着くことになったり]
もー、大丈夫だってば。モチロン甘味屋は行くけどー。
おごりねっ?
『……現金なやつめ。心配して損したわ。
でもあんた、宇治金時って珍しくない?』
そんな気分なんだもん。あたしも大人の味に目覚めたってことだよ!
[味覚だけなら子供からかけ離れてるから大丈夫よ、なんてまた、頭をうりうりされて机に沈む。
どーゆー意味!?と机をぺちぺち叩いて抵抗するも、押さえつけられたまま]
……あ、
[窓の外、グラウンド。
硝子の一枚だけが、夜のいろを透し。
シャベルらしき棒を手に、何かを掘る人影、ふたつ]
フィリップ先輩、サイモン……。
[珍しい組み合わせだな、なんて自然と呟きが零れ]
『誰、友達?』
え……
[頭から、既に手は退けられていた。
きょろ、と視線は教室を彷徨う。
変わらぬ教室。変わらぬ面子。
……足りないと思う余地など、無い筈なのに]
ううん……。
[ふ、と視線を戻せば。
もう、其処に夜の景色は残っていなかった]
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……そーいえば、あたし、訊こう訊こうって思ってて、タイミング逃しちゃった。
[ぼう、と硝子を見つめたまま。
訊くと口にする割に、それは問いかける気の無さそうな、独り言]
あの時は、必死だったからさ。全然、そんなこと考えてなかったんだけど。
理科室に引っ張ってった時、ほんとはサイモン、ホリー先輩のこと追いかけたかったんじゃないかって。
そーゆーのじゃ、なかったとしても、さ……
[ごめんね、と。
呟きは、硝子の外にすら届かず]
『だから、サイモンって誰なの』
……わかんない。
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― 伝説の樹 ―
……やっぱり、誰も居ない…よね……。
[保健室!と押し遣られそうになったから、教室から逃げ出して。
降りてきたのは、人影の見えた場所]
…… 、
[分からない、とは言ったけれど。
もう半ば、ただの夢じゃないと思い始めてはいた。
けれど、なら、どうして。
自分は此処に居て、彼らの誰も、此処には居なくて、それが当たり前で――]
…わかんない、よ。
[こつり。木肌に額を押し付けてみても、聞こえる音はなく。
ただ、自分の撒いた水溜りが、足元できらりと光った]
……?
[風が、頭を撫でていった。
珍しい事でもないのに、何故かこそばゆくって、自分でさすさす、さすりながら]
…… 、此処、どこだ。……屋上?
[座ろうと屈めば、また水面に何か映っているのに気づいて、慌てて覗き込む。
ホリーとルーカス。それから、やって来たところなのか、少し離れたところに、カルヴィナ。
全員、生徒会室での顔なじみだから、それ自体は不思議に思わなかったけれど。
それぞれに微妙な空気を醸し出しているらしきに、首を傾げた]
……てゆか、なんで屋上映ってるのに、ギターが聞こえんの。
[お陰で、全然彼らの会話に聞き入れないと、くすくす笑う。
笑っているのに、晴天の空から、ぽたりと雫が落ちて、また夜の景色は掻き消えてしまった。
でも、ぽたり、ぽたり、零れていく涙を、止めようもなくて]
なんなの。夢なら……早く覚めてよ。
どっちでもいいから、早く っ
[あちらの世界と、こちらの世界。
思い出せる記憶にも、確かさにも、歴然とした違いがあるのに、どうしてこうも、苦しくなるのか。
どんなに思いを寄せたところで、水面や硝子越しに、あちらの世界へ手は伸ばせない。
夜の光景が消えれば、彼らの名前すら、ほら、もう、曖昧なのに]
[こんな時。
優しいだけじゃないし、むしろ自分より子供っぽいところだってあったけど。
本当に苦しい時には、絶対助けてくれるって信じていた、手があったのに。
水溜りに手を突っ込んでも、ぬるりと泥の感触が広がるだけで。
優しい暖かさも、握り返してくれるちからも、無い。
名前もわからない貴方。
貴方は、いま何処に居ますか。
貴方は、あたしを覚えていますか。
あたしを、]
[思考すら、言葉にならず。
ぽたりぽたり、新たな波紋をつくるだけの水面から。
かすかに、聞いたことの無い、けれど確かにあのギターだと分かる音色が届く。
最後まで聞けたのかは分からない。だって初めて聞く曲だから。
自分が聞いて良かったのかも、分からないけど。
すん、と鼻を鳴らし。泥まみれの手で涙をこすると。
少しだけまた、笑えて。
ぱち、ぱちり。泥を散らしながらも、拍手が出来た。
それは、聞こえたよ、と存在を示すように]
『さっきから何をやっているんだ、お前は』
……っく、…ラシェル。……てか、そっちこそ何やってんの。
[見上げれば、先ほどサッカーボールを蹴飛ばしてたクラスメートが覗き込んでいた。
確かに、泥遊びする年齢ではないし、水溜りに突っ込んだ手を、ぱちりぱちりと叩くさまは、怪しいというか、頭の心配をされるかもしれないが。
バケツ片手に、こっちを無表情に見つめるひとに言われたくない。
てか、そのなみなみ水の入ったヤツをどうするつもりなのかと、]
っ!
[問うよりも、逃げ出すほうが速かった。
更に、それを予測して、相手が自分の肩を抑えるほうが速かった。
結果。ばしゃー、と頭の上から水を被って、びっちゃんびっちゃんになった。
勿論、肩を押さえていたラシェルだって、被害が無いわけはなく]
……にゃー!! もう、何なの何なの! せめて何か理由ー!
『そっちの方が、らしい』
は?
[意味が分からなくて、ぽかんと見上げた顔に、布地が落とされて、あわあわ取り払えば]
『騒いでいないお前なんていうのは、気持ちが悪い。
どうせ良くない頭なのだから、考えるな。常に発散させておけ』
[改めて布地を見れば、それは大判のタオルだった。
何か失礼なこと言ってるよね、とじとり見上げるも、ぐりぐりとタオル越しに頭を撫でられ、そのままラシェルは去っていってしまう]
ちょ、ちょっとー! タオル洗濯しないと返せないし! てゆか結局、だから何なのっていうか、自分もちゃんと拭けー!
[とはいえ、木陰では時折吹く涼しい風が、濡れた身体を心地良く冷やしていくし、この時期に風邪の心配もないだろう。
何とかは風邪を引かないし。や、あれは引いた事に気づかないってだけだった気もするけど。
不器用なクラスメートの、不器用な気遣いだということは、分かっているから。
大人しく、むぅ、とタオルに埋もれて、助言どおり、何も考えずに木の下、目を閉じた]
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― 伝説の樹 ―
……?
[きゃはは、と子供の笑い声が聞こえた。
タオルに包まったまま、もぞりと身体を動かせば、ころりとコンパクトが転げ、蓋を開く。
其処に映し出されたのは、人形が人形の家で遊んでいる、ちょっとシュールな光景]
……やっぱ、夢か。
[半ば目を閉じつつ、むにゃりとそう呟いてまた、タオルにもぐりこむ。
意識がはっきりしていたなら、その背に隠れるように冴える月が、赤いことにくらいは気づいただろうに*]
に゛ゃーーーーーーーーーーーーーーー!?
[がば、と木の下でタオルを跳ね除け、叫んだ。
心臓がばくばくいっている。
何事かとこちらを向いた陸上部は、何だソフィアか、とすぐに走りこみに戻ったが、そんなことは気にしていられない]
……る、るーにゃんが、バニーさんでお人形遊び……。
え、何。夢って願望? 違うよね?
[叫び声に何事かと思ったのだろうか。
ふわりと、頭上で揺れる褪せかけの銀糸。
わりと本気で必死にそう尋ねかけたのだが、やっぱり答えのないかみさまは、ついと目を逸らすので。
その意図はともあれ、肯定されたと思い込んで、あううぅと呻きながら、だいぶ身体も乾いたから、ふらふら何処かへ歩いていく。
これ以上あのひどい悪夢を見たくなかったから、寝なおす気にはなれなかった]
― 生徒会室 ―
…… おじゃま、しまっす。
[書類をまとめて、数学科の準備室へ届けた帰り。
ついでだからと、生徒会室へ運ぶ資料を頼まれた。
こんなところで長話するような知り合いも居ないし、長居は無用と。
さっさと置いて戻ろうとすれば、部屋は無人で]
無用心だなぁ。鍵の用心するって、言ったばっかなのに。
てか、お菓子も無いとか…… いやいや、取り締まる側がお菓子持ってちゃ駄目でしょ。
[ひとり突っ込みしつつ、誰かが戻ってくるのを待っている。
普段は、会長あたりが座っているのだろう、上座に腰掛け、軽く伸びをすれば、安物のパイプ椅子はきしりと鳴る。
蝉の合唱に、時折混じる自転車のベルや、グラウンドの運動部員たちの掛け声や、ボールを打ちはなす音。
こんなに賑やかなのに、静か過ぎると感じるなんて、どうかしてる]
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? なにこれ。
[窓際の空きダンボールから、幾色もの布がはみ出ている。
ついでに、うさぎの付け耳も。
はて、と手を伸ばし、一枚摘み上げてみると
1.チャイナドレス
2.ウェディングドレス
3.タキシード
4.バニーガール
5.水着
6.メイドさん]
{1}
『何だ、もう来てたのか!』
はい?
[うさみみとチャイナドレスを手に、どーゆー取り合わせなのかと首をかしげていたら。
ノックもなしにやってきた顔は、確か副会長の先輩だったような]
『逃げ回ってるって聞いたんだけど、なーんだ。
じゃ、さっさとそれ着ちゃって』
……え、え、な、なんー…?!
[何が何やら分からないまま、ぐいっと準備室へ押しやられ。
早く早く、と急かされる声が、あちらから聞こえる。
先輩相手に、強く問い返す事も出来ず。
仕方ないので、着替えてみた。
女性らしさや、長い手足という身体的特徴からは、凡そ無縁の身で、思いっきりラインの出る服を着るのは、非常に抵抗があったけど。
危惧したほど、布地のあまりもなく、むしろピッタリなくらいで]
…… これ、まさか…
『いやー、似合う似合う!お子様雑技団みたいだけど、そんなとこもきっとお姉さま方の票をあつめぶばっ!?』
[ぺたり、という擬音があまりに似合う胸元に手を当てていれば、やっぱりノックもなしに入ってきた副会長。
いくらなんでも、女の子に対する態度と言葉じゃない。
いや、普段から女の子らしくなんて扱われたことは、数えるほどしかないけど、それにしても]
わーん、生徒会なんて変態のあつまりなんだばかー!!
[膝蹴りを食らわせると、くずおれる副会長をもう見向きせず、ちょちょ切れる涙を押さえようともせずに。
うさみみぴょこぴょこ揺らして走り去るのだった]
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― 購買 ―
そーなんだよぅ。そりゃ、あたしこんなんだし、デリカシーもないし、出るとこも出てないけど、別に平気なわけじゃないのにー!
[えぐえぐ、とペッパーサワーの缶片手に管を巻くのを、馴染みのおばちゃんは、よしよしと話を聞いてくれた。
うさみみの付いたままな頭を撫でながら。
眉毛を捜す作業を忘れぬまま、ふと、そういえば誰かに眉毛コアラを貰ったはずなんだけど、とポケットを探るも、コアラは居なかった]
そーいえば……眉毛コアラの眉毛は、眉毛じゃないんだって。それしか覚えてないんだよね、誰に聞いたんだっけ?
てゆか、悪徳女王の45話、撮り損ねた気がして、おばちゃん絶対見てるだろーから、話聞こうとか思ってたんだよ。でも45話って、今週でも先週でも来週でもないじゃん? なんでそんな勘違いしたのかなぁ。
[慰められて気が済んだのか、同じ番組を追う者同士、取り留めの無い長話が始まる。
くい、とサワーをあおって、傾けた缶の光沢に]
ぶっ!!!!
[木の下で崩れる、今日の夢の主役に今この瞬間確定したに違いないお姫様。
しかも、ご丁寧に、最初に目いっぱい白塗りに頬紅ののせられた顔が、ズームで映り。
だんだんカメラが引いていく、というサービスっぷりだった。
噴いたサワーが勿体無い、といつもの思考に戻るまで。
缶を取り落としたことにすら気づかず、(07)分ほど固まっていた]
ごめんおばちゃん! えっと、雑巾雑巾…… 、ぁ
[7分後。我に返って、慌てて片付けようと覗き込んだ、黒い水面に。
一揃いのような、エプロンドレスを纏った少女2人に、そして――]
っ、あか ……!
[今まで映らなかったその月は、確かに煌々と赤い光を滴らせていた。
よくよく見れば、ドールハウスに見えた建物が馴染みの校舎で、その傍らに立つ少女は規格外の大きさで、かつ人間に良く似てはいても、つくりものの光沢を赤くきらめかせていて。
そして、屋上に立つ、ちいさな、いや普通の少女の姿が]
マーゴちゃんっ!? ダメだよ、何言ってんの!
[いっしょに、と。
その声はけして大きくなかったけれど、はっきりと聞こえて。
一緒に。何処へ? この光景が見えている間だけは、はっきりしていく記憶が、影に呑まれる誰かを、思い出そうとし]
っ……!
[ばしゃ。
あっけない音で、投げ込まれた雑巾がたちまち水気を吸えば、夜の景色はたちまち消える。
はあ、と動いたわけでもないのに上がった息を堪え。
ぎゅ、と胸元を握り締める。ずきりと、痛みを訴えた、そこを]
→ 屋上 ―
は、 ……っ、 !
[呼べない名前。
分からない顔。
景色が消えれば、また不鮮明になる世界と、此処とが違う世界なのだということは、さすがに分かっている。
でも、それでも。
呼べない名前を呼びながら、グラウンドを、廊下を、階段を駆け]
……んで っ……
[開け放った屋上への扉。
その先には、誰も、やはり、居なくて]
なんで…… なんなの! 何も出来ないんなら、見せないでよ!
いっそ、忘れさせてくれればいいじゃん!
[見た、と思う光景が、今のことなのか、ずっと昔かいつかのことなのか、それすら分からない。
ただ、白々しいほど燦々と照りつける太陽の下。
ひとり、ぺたんと膝をついて、誰かの姿を確かに見たはずの其処を、ぎ、と引っかくしか出来なかった]
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