22 共犯者
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>>132 ……胸が詰まりそうです。
[聞き慣れた村人の声を聞き、祭壇を見つめたままぽつぽつと呟く。]
柊の葉だけを見るならば、これはただの葉です。 何の意味もありません。
けれども、ここに戻らず、「森へ還った」方がいることを……余所者の私はどう消化したらいいのかが、時折分からなくなるんです。
本当にただ「還った」と言えばいいのか。 或いは、別の意味を付与すべきなのか。
……村の者でないからこそ、分からなくなるんです。
(135) 2010/08/02(Mon) 23時半頃
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―広場―
「森を歩くのは十二人 祠へ行くのは十一人……」
[昨日渡された資料にも書いてあった、村長夫人が口ずさんでいた(>>2:493)伝承の「歌」をぽつぽつと呟く。勿論、余所者の彼がメロディまで覚えているはずもなく、あくまで詞をなぞるだけなのだが。]
まるで子どもの手遊び歌のようですね。 これだけ歌うと、「少し怖いだけの話」です。 けれど……
(140) 2010/08/02(Mon) 23時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/02(Mon) 23時半頃
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>>143 そう……ですね。 ある日突然、理由も分からないまま、自分の友人や婚約者が死んだら……私ならそれだけで気が狂いそうになります。
もし自分の愛する者が、あんな姿になったらと思うと……
[イアンが自分を重ね合わせていたのは、ミッシェルやピッパの方ではなく、むしろソフィアの婚約者の方であった。人目をはばからず慟哭する男の顔が、声が、何度も繰り返されるのだ。]
考え過ぎ、ですか。私…… そんなつもりは無かったんですけど、ね。 「余計な口出しは無用」ということも、存じております。
……大丈夫ですよ。
(149) 2010/08/03(Tue) 00時頃
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>>146 「最後の夜は四人 満月近づく三人」……
月が満ちてゆくにつれ、人が居なくなってゆく……
[朧に揺れる宵闇の月を思い出し、血液が熱くなり、身体の芯がぞくりとざわめく。]
「最後の夜」はいつ訪れるのか。 果たしてその時、何人がこの村の広場に帰ってくるのか。
……夜明けは……
[誰もいない、と言うのは、はばかられた。 と、そこで少年がこちらに近づいてくるのを発見し、ぺこりと一礼した。]
(152) 2010/08/03(Tue) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 00時頃
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>>154 え……っ?
[ミッシェルに指摘され、思わず狼狽える。 昼間の太陽の下であるため、よく観察しなくてもイアンの顔が真っ赤なのは一目瞭然だろう。]
あ……えっと、いや、その……です、ね。
[聞こえるか聞こえないくらいの声でぼそぼそと呟く。視線はミッシェルにもトニーにも合わせず、祭壇の方をちらちらと泳いでいる。]
……故郷に……残してきた人が……いまし、て。
すこしだけ、……思い出してたん、です。
(158) 2010/08/03(Tue) 00時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 00時半頃
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>>169 ちょ…… 何で心の底から「意外です」って顔して言うんですか!? べつにいいじゃないですか私の事情なんてどうだって。それこそこの村の方々には関係ないですよ。
……ええ、私はちゃんと本国に帰らなくちゃいけないんですよ。そしてそのためにはきちんと仕事をしなくちゃいけないんです。
[舌を噛みそうな口調でぼつぼつと不満気に呟く。 と、そこで無邪気な少年の声が聞こえた。>>166]
だから恥ずかしがってませんってば!!
おじさんなのは……別にその……いい、です。
[どうやら「おじさん」と呼ばれることに関しては自覚があったらしい。]
(175) 2010/08/03(Tue) 00時半頃
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>>178 夜に一晩中歩いた人の為に? つまりそれは、巡礼者の皆様の為……ですよね。
私が一緒に行っていいのかどうかは分かりませんけれど……
[と言って、ミッシェルの方をちらりと見た。]
……教会の方に行きますか?
(181) 2010/08/03(Tue) 00時半頃
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>>182 ……なんで男の人がどうこうって話になるんですか。 私が男性と何かあったとでも……?
[ふとそこで昨晩森であったことを思い出す。]
……そんなことあるわけないじゃないですか。
[悪夢とも性夢ともつかない出来事を思い出し、首を大きく左右に振った。じっとりとした目でミッシェルを見ていると、その彼女からペンダントが差し出された。]
あ、ありがとうございます。これは……?
(189) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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>>184 え……ええ。ご一緒してよろしければ、行きましょう。
[そこで、トニーの方に視線を落とす。]
ええと、君の名前は? 私は別に「おじさん」でも構わないんだけど…一応、イアン・マコーミックっていう名前があるんだ。
できれば名前で呼んでくれると嬉しいんだけどな。
(192) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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>>187 いえいえ、正直あまり寝ているとは言えないですよ。 原稿を纏めるのに時間が掛かっちゃって、気がついたら睡眠不足です。
[ホリーの方に手を振りつつ、少しだけ疲れた顔で笑った。そしてトニーの方を掌で差し、]
今から、彼の案内で、教会に行くんです。 巡礼の旅を終えた皆さんに、パンとスープをくださるというお話でして。
……あれ? ホリーさん、いつもよりも素敵なお召し物ですね。 一体どうなされたのですか?
(195) 2010/08/03(Tue) 01時頃
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>>196 これを持っているだけ……ですか?
[不思議そうな顔で、白い石を覗き込む。]
……不思議ですねえ。 これさえあれば、「御使い様」から身を護れる……ですか。
[そこでふと気づき、ミッシェルの方を見る。]
あの……これ、私が持っていても大丈夫なのですか? 私は「巡礼者」ではないですから、持っているのがなんだか申し訳無いような……
これ、ミッシェルさんがお持ちになっていた方がいい気がするのですけれども……
(201) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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>>199 んー…まあ……あれです。 私の場合、記者ですから……ある程度は危険な場所に行かないと、満足できる「成果」を得られないんです。
椅子に座っているだけでは見ることができないものを見てきて、それを分かりやすくお伝えするのが、私の仕事です。
ホリーさん。 貴女のお気持ちだけでも、お言葉だけでも、私にとっては十二分の価値があるんですよ。まして人の輪に入るのが苦手な私には、なおさら。
あの時は本当にありがとうございました。
(203) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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トニー、こんなに大所帯で教会に向かっても平気かい?
[にこりと笑いながら、ホリーの方を見る。]
……そうですか。 村長夫人が亡くなった今、新たに村役を立てなくてはならなくなった、と……
……その。意外でした。 まさかホリーさんが村長のご血縁とは思わず……
(205) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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>>204 分かりました、ミッシェルさん。 とにかく、これで「御使い様」を祓うことができるわけですね。 ……そうか……では、少しだけお借りしますね。
[それをズボンのポケットの中にしまった。]
>>210 ホリーさん……そういうことだったんですか。 それでは、その……オスカーさんもご一緒に村役をお継ぎになるということですか?ほら、彼もアレクサンデル姓ですし。おふたりは親しげですし。ごきょうだいかご親戚ですか?
[そんなことを聞きながら、教会へと向かう。]
(214) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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[ズボンのポケットの中で、白い石がじわりと熱を帯びるのを感じていた。その感触は、昨晩「かれ」に触れられた場所を布越しに静かに焼くような心地にも似ている。]
あ、そういえば…… 昨晩はご厚意で村長夫人のお宅に泊めていただきましたけれども、さすがに今晩からお世話になるわけにはいかないような……。
私、すっかり無宿者になってしまいました。 さて……どうしたものか。
[小さな悩みをぽつりと漏らしながら、イアンは教会へと向かっていた**]
(215) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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ニール、ニール……
[自分の身体の上にかがむニールの肩に手を置き、額にそっと唇を寄せる。
それはニールには感じ取れないだろうけれども。
夫の名前が口にされると、一歩退き。]
ねえ。今の私は人間じゃないようなものなのだから。
これくらいはいいでしょう?
たぶん、貴方に祝福をあげることはできないけれど……。
[子犬は村長夫人の足元に近寄って慰めるように]
くぅん
[と、ないた。]
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 20時頃
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―教会に行く道すがら>>223―
あ……そうなんですか。気づかなくてすみません、ホリーさん。 双子のごきょうだいならば、仲が良くて当たり前ですね。
[いつもとは違う、溶けるような満面の笑みを浮かべるホリーを見て、つられてイアンも笑った。]
え……いいん、ですか? いえ、その、泊まる所をお貸し戴けるならば嬉しいのですが。 ただ……祭の儀式が終わっても原稿書いてますし、タイプライターとか独り言がうるさいですよ?
[パピヨンという名に一瞬だけ不思議そうな顔をするが、周囲に教えられたのか、それが亡き村長夫人の名だと知り、静かに俯いた。]
それでも大丈夫ならば……是非、お願いします。
[その語尾は、申し訳なさそうに笑う息づかいに混じった。]
(252) 2010/08/03(Tue) 20時頃
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―夕方:教会にて―
[教会で戴いたスープとパンを食した後、ぼんやりとキリスト像を見つめて居る。]
やっぱり、少し様式が違うんですね。 ここの村の神像は。
少しだけ野性的というか、森の中の神というイメージにも不思議と一致する……何だかそんな気がするのです。
あ……いえ、村の方とは少し感覚が違うのかもしれません。
ここの村の祭事でしか使われない「言葉」もそうですし、神の像もそう。「土地の信仰」に必要なものを残し、或いは発達させ、要らないものを切り捨てることを、文化が「進化する」というのでしょう。
ただ……
[ふと俯き、言葉を落とす。]
この村の信仰の不思議な所は…… 「人の命」を捧げることを絶対的に必要とすることなのです。**
(254) 2010/08/03(Tue) 20時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 20時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 22時半頃
[いつしか夜になり、広場に生贄たちが集まってきた。]
……今夜も、続いてしまうのね。
私にはもう、どうすることもできない。
何もできないまま、起きることを見届けるのが、私に与えられた罰なのかしら。
[ちらりと子犬を見やり。]
違う……のかもね。
不思議ね。
ずっと、ほんとうのこととは思っていなかったのに、私は今、「森に還って」いるのでしょうに。
あまり、そういう実感がないわ。
そこに自分の死体がある以外、何も変わったことはなくて。
風の音。
森の梢が鳴る音。
空が明るいのも。
[見上げると、月とは思えないほど明るい楕円の月が、煌々と赤く輝いていた。]
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―夕方:教会にて>>256>>257―
「次は8人」……あまり考えたくはないですね。
誰が「御使い様」かも分からない。そして、「御使い様」を討つべきと主張する方と、討ってはならないと主張する方がいます。
それぞれの選択ですよね。村が何処へゆくのかは、生き残る皆さんの手に掛かっている。
[ふとそこで、ミッシェルに信仰のことを聞かれて、]
……ええ。 「信仰」というか、「寄り立つもの」というか…… 村の方が「祭」をどう考えるにせよ、それを止めることに何らかの不安や苦痛を感じる以上は、「信仰」そのものか、或いはそれに似た状態になるとは思います。祈りを捧げることに皆様が何の感慨も感じないというのならば、話は別ですが……
そういえば「御使い様」ってそもそも何なのでしょうね?村長夫人は「ご尊顔を見せて欲しい」とおっしゃっていましたけれども。もしそれが本当だとしたら、「神」が「人」の中に混じって生活していることになります。
「御使い様」――…「人の群れの中に在る神」。 何故村の皆さんがこの「言葉」をもってそれを「信仰」をしているのかが、少しだけ分かった気がします。
(309) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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―夕方から夜へ:広場―
[ミッシェルの誘いに乗り、トニーを連れて教会から広場へと出る。老司祭はトニーのことを随分と心配そうな表情で見送っていたが、トニーはそれに気づいていただろうか。
広場に着くと、またあの巡礼の列を成す「生贄」達が集まっていた。ヴェスパタインに対して、何やら言う人々を、イアンは見つめて居る。]
……ああ。ものすごい熱気だ。
[巡礼者を見送る人々の視線が、彼らに期待の念を寄せている。]
すみませんが、今日も同行させていただきます。 自分の言葉でこの祭の意味を知るには、私も皆さんに同行することの他に思いつかないんです。
できれば自分の身は自分で守りますが……万が一、私の身に何かあっても気にしないでください。愚かな新聞記者が危険な森に入って死んだだけ、と……そう思ってくだされば十分ですから。
(315) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 23時頃
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>>321 ありがとうございます……ミッシェルさん。 でも何だか女性にそう言われてしまうと、少し自分がみっともなくもあります。
[鐘の余韻が耳の縁で滑る。]
できる限り自力でなんとかしますけれど、いざとなったらお力をお貸しくださいね。
(326) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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>>323 すみません、ホリーさん。 それではよろしくお願いいたします。
[噛みしめるように、ホリーの言葉を呟く。]
……「私達が還ってしまっても」……ですか。
(329) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[森に入る人々の顔に、不安の色が見える。 彼らを見送り、その最後尾を行くことにした。]
(かつてこの村の祭では、罪人が「生贄」……「贖罪の巡礼者」として参加していたという。
だが、ここに集うのは、皆善良な者ばかりだ……)
……御使い様とは、一体何なのでしょうか。 人間と同じもの?それとも、違うもの?
森に「還る」とは、死の恐怖をぼかす為の意味なのでしょうか。いや、皆さんは死を怖がっている……
(342) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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>>352 人に似て、人でなく…… なのに、人の群れに居る……
そういえば村長夫人は、「村を護ってきた者」と……そうおっしゃっていました。
[森のより奥の方で、ぼんやりと明かりが見える。そして、その向こうには、ヴェスパタインの影。]
……月が綺麗ですね。
(355) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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>>345 もし「御使い様」が見つかったら、貴方はその方をどうされますか?
[自分にうっかり村の秘密を喋ったことのある若者に、穏やかな声で問う。]
いいえ、私には善悪を判断する根拠はありません。ただ、村の皆さんは「御使い様」をどう思っていらっしゃるか……それを知りたいだけですから。
(360) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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>>364 ……すみません。
そうですよね。 ある日突然現れた、分かりやすい形をした悪魔ではなく、今まで穏やかな隣人だと思っていた相手ですから……
私だったら、「討つ」とも「いつも通りに接する」とも……即答はできません。
(371) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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