103 善と悪の果実
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/26(Wed) 02時半頃
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―朝、自室―
[濁った空、僕は朝早くに目を覚ました。 少し喉が渇いた。 ふうと息をつき、部屋を出ようとした時だった。 響いて届くのは、悲鳴。 いったい何かと身支度を済ませ、部屋の外へと顔を出す。]
……大広間、か?
[声の方角を確かめるように呟いた。]
(3) 2012/09/26(Wed) 03時頃
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おはようございます。 何か、あったんですかね?
[丁度扉を開けた少女が目に入る。 パーティでは話すことが出来なかったこともある。 声をかけ、そっと近くに寄る。]
僕は様子を見てきますが、賊か何かではいけない。 ……どうします?
[ついてくるかどうかを問う。]
(5) 2012/09/26(Wed) 03時頃
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ええ、構いませんよ。 何かあれば、お守りすると約束しましょう。 僕のようなものでよければ、ですが。
[僕を見る視線に混じるものを感じ、卑下するように述べた。 けれど期待を込めて見つめる眸を見れば、少し申し訳なさそうに表情を変える。]
失礼な物言いをお詫びします。 ですが、約束は違わずに。
[行きましょうかと差し出す手。 シャワーは使わせてもらった為、汚くはないが 僕のような者の手をお嬢様がとるかどうかは分からない。]
(7) 2012/09/26(Wed) 03時頃
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[差し出していない手は自分の背に、腰に添える。 振る舞いは紳士のそれ。 けれどその手がなぞるのは、凶器。 果物を切り分ける為の短刀。
昨日の深夜、この屋敷のキッチンから盗み出したもの。 護身用にと頂戴しておいたのは、正解だったかもしれない。 もしも向かう先に賊がいるのなら。 彼女を守る為に、それを使わなくてはならないのだから。]
(8) 2012/09/26(Wed) 03時頃
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有難う御座います、レディ…貴女をなんとお呼びすれば? 僕はアントーニオと申します。 トニーとお呼び下さい。
[そこで名を聞くだろう。 彼女が父との日々を偲んでいることには気付けない。 伏せた睫毛の下、何を思っているのかと向ける微笑みが少しでも気を紛らわせればと。 僕からは偽名を名乗り、僕たちは歩き出す。 使用人の声を聞きつけた他の招待客もいるだろうか。 彼女の手を離すことなく、小さなナイトとなって進んだ。
その中に、あの怯えた青白い顔はあっただろうか。 つうと烏の目は探り、見つけたならばゆっくりと微笑むだろう。]
(10) 2012/09/26(Wed) 04時頃
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―大広間―
[繋いだ手は子供同士の体温故か、あたたかい。 繋がぬ方の手は、きっと互いに冷たいのだろう。 たどり着く大広間、あわてた使用人の姿。]
どうしたんです? …ぜ、『善と悪の果実』が盗まれた!?
[それは半分驚きをもった声。 そして半分は「やはり」そんな心を滲ませた声だった。
これだけのお披露目パーティ。 そしてやってきた面々。 露になった楽園の果実。 蛇に唆され、それを手にしてしまったものがきっと…この中に。]
(11) 2012/09/26(Wed) 04時頃
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ポーチュラカ嬢。 どうやら、あの果実が姿を消してしまったようです。
お集まりの皆様も、どうか静粛に。 昨夜、何か物音などを聞かれた方はいらっしゃいますか?
[僕は、辺りの大人に声をかける。 其々の顔色を窺いながら。 その間も、彼女の小さな手を離すことは無かった**]
(12) 2012/09/26(Wed) 04時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/26(Wed) 04時頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 00時半頃
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―少し前・大広間―
[重ねたままの掌。 泣き喚く狂犬たちの声は、朝のさえずりには程遠い。 中庭を見やり、隔離された事を悟る。 外部から助けがやってくるまで、ここは孤立した場所。 それも盗人と――このときはまだ知らなかったけど、栄光を殺めた殺人者も――同じく閉じ込められている。]
価値のあるものだから、でしょうか。 ………――だって?
[重ねた手に力がこもっている。 ポーチュ嬢のその目、一番身長も近い僕は容易に覗くことが出来た。 深海のようなそれと、烏のそれが、合う。]
(80) 2012/09/27(Thu) 01時頃
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夢も見ませんでしたか。 深くお休みだったのでしょう、良い事です。
[物音は聞いていないという。 ならばと続けた言葉が、少しは気を紛らわせるかと…そう思っていたところで 誰かの叫び声が、栄光の輝きの消失を告げる。 繋いでいたはずの手はするりと抜け、少女は駆け出していった。 走り去る髪は、まるで蝶が羽ばたくかのよう。]
(84) 2012/09/27(Thu) 01時半頃
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[少女を追いかけようと足を一歩。 踏み出したところで目に留まるのは、怯えた“子供”。 指先を見ている、怯え恐れる目で。 それは少女と繋いでいた暖かな手ではなく。 朝の空気に酷く冷えた、指先。
徐にその指を、ゆっくりと、ゆっくりと、指し示す。
濡れた烏の眸が、ニタリと笑う。]
(86) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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――――ジョセフ殿。
寝癖が、ついておられますよ?
(87) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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…この騒ぎでは仕方がありませんが、ね。
[それは内心を見透かしたように、指を指し、笑った。 子供の戯れのようで、何か別の。]
物音は聞かれていませんか…。 何か手がかりでもあれば、違うのですが。
[そしてまた探偵じみた台詞を零す。 彼女を追うか追わまいか、すっかりと足は止まってしまった。]
(88) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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皆さん、物音を聞いたような方はいらっしゃらないのですね…。
[歌姫からの答え。 幾分か茫然自失した音ではあり、こちらから向けられるのは苦笑ぐらいだっただろう。 僕が笑顔を作ることで、少しでも気が晴れればと思ったのだが それが彼女にどんな印象を与えたかまでは窺い知れぬ。 どれほどの人が僕の問いに答えたか。 集計し小さな脳みそで考えていた所に、かかる声。]
ジェフ殿、お早う御座います。
[首を振る姿、そして続く言葉を耳にする。]
(91) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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遊びなどではありませんよ。
[その言葉は小さく。 けれど確実に彼に届くように発した言葉。 僕は僕の右足と、重なるように右手を見た。 その手は少女を一時守り、そして彼と握手をした手。]
…………。
[それから、また少しだけ押し黙る。]
(93) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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……盗んだものをかくすとしたら。
[果実の形状を思い出す。 黄金で、きらきらとした、本当の林檎と変わらない。]
人目につかず、この大広間の外。 だけど自分の部屋に持ち帰るにはきっとリスクも高い。 別の場所、更にはあまり人が来ない… たとえば物置や暖炉の中、そんな場所になるのでしょうかね。
[ぽつりぽつりと零す推測は、さて、誰が聞いているだろう。]
(94) 2012/09/27(Thu) 02時頃
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[それから頭にふわりと、暖かな感触。 それは頭を撫でられたのだと気付くまでに、暫くの時間を要した。
表情が、剥がれそうになる。
俯き隠し、取り繕ってあげた所で どこかへと向かうその足取りをゆっくりと追った。]
(96) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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―ジェフの部屋―
[僕がたどり着いた頃には、部屋の中は煙の匂いが満ちていた。 窓の外を見下ろす背中。 見つめながら、冷えた僕の左手が少しだけ強張った。]
……ミスター。 タバコは大人の嗜みかも知れませんが、害為すものでしかありません。
[考えて、掛けた声はそんな他愛もないもの。]
貴方は林檎を探さなくて良いのですか? もしかすれば……いえ、もしかしなくとも…あれを手にすれば。
[そう、告げる。 答えはいかようなものだっただろう。]
(97) 2012/09/27(Thu) 02時半頃
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……………。
[暫くの沈黙。 彼はまだ、僕を子供として扱うだろうか。 この見た目は、やはり子供でしかないのだろうか。]
ミスター、この街の外れにある第1研究施設をご存知ですか? 10年ほど前に爆発事故が起こり、多くの犠牲を生んだ。
[ぽつりぽつりと話す言葉に、右足の銀が揺れた。 これ以上を話すなと、足枷が囁く。]
(98) 2012/09/27(Thu) 03時頃
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……、………。
[言葉は止まる。 僕はいったい、彼に何を言うつもりだったのだろう。 明かしてしまいそうになった烙印を隠す。 誰が信じると言うのだろう。 成長の止まった人体など、御伽噺でもあるまいに。]
ミスター、僕は林檎を探してきます。 戯言をどうかお許し下さい。
[頭を下げる。 そして踵を返し向かうのは赤い絨毯の向こう側。 栄光の消滅が、死に彩られし場所へと…**]
(99) 2012/09/27(Thu) 03時頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 03時頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 03時頃
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―栄光の消えた寝室―
……………。
[階下の騒ぎはまだ届かない。 僕が向かうのは女主人の寝室。 そこにあったのはシーツにくるまれた赤だった。
変わり果てた姿をその目に焼き付ける。 命の終わりと噎せ返るような、香りを。
ガラクタと変わり果てた彼女にかける言葉はない。 濡れた烏の眸を向けて、無表情に見下ろしていた。]
(119) 2012/09/27(Thu) 14時半頃
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誰が殺したんでしょうね。 禁断の果実が欲しくてか、彼女が憎くてか。
[ゆっくりと浮かべるのは、笑み。 似つかわしくない大人の表情。]
まあいい。 余計な真似さえしてくれなければ。
[ポツリと呟いた声が誰かの耳に入ることがあったかどうか…**]
(121) 2012/09/27(Thu) 14時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 15時頃
靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/27(Thu) 21時半頃
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―栄光の消えた寝室―
[部屋に充満した匂いは、鮮明に記憶を呼び寄せる。 塵や煙、薬品の、焼け焦げた、血の匂い。
―――霞む、煙草。
嗚呼、僕の中の均衡は崩れはじめている。]
………信じるはずないじゃないか。 僕があそこで造られた玩具だなんて。
[彼が問う言葉に、僕は返さなかった。 呟く部屋は死体と二人。
義手や義足をより向上させる為の研究施設。 そこに人として生を受け、人として扱われず そして人ならざる身体になった僕。 身体のあちこちが機械に満ちた、撥条。 この街の技術の産物だなんて。]
(196) 2012/09/28(Fri) 01時頃
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[適当な紙を探し、まだあたたかな右手で綴る。 禁断の果実を探しても自分のものになるわけじゃないと言った、あの人へ。 そのつもりで、認めた。]
【木は森に。 果実は果実に。】
[盗んだものの場所を示す紙をポケットにしまい込んだ。 その時か、背後に気配が訪れたのは。]
(200) 2012/09/28(Fri) 01時頃
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やぁ、ジョセフ殿。 そんな青白い顔でこのような場所に、いかがしました?
[僕を見詰める眸。 それは怯え、恐怖、畏れ。 そして隠しきれぬ…――殺意。]
怖いですか? 殺人鬼がこの屋敷の中にいることが。 外堀を狂犬に囲まれていることが。 不相応の場所に落ち着きなく在ることが。
それとも――…
[背に手を翳す。 昨夜盗んだ果物ナイフが、抜かれる。]
(202) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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こ の 、 僕 が ?
[ギラリと刃は煌めく。 まるでその輝きは、失われた林檎のように。]
その眸、やめてほしいなぁ。 僕を気持ち悪い生き物みたいに。
…――大嫌いなんですよね、そういう眸。
だから僕の為に、死んでくれません? ……“狼に噛まれた”とでも思って下さい――ッ!!!
(204) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[駆け出す小さな身体。 濡れた烏の眸を見開いて。
ナイフは確実に喉元を狙う。 飛び上がり、突き付け。
三階からの騒音は階下へ届くのだろうか。
握りしめた銀が貫いたのは―――……**]
(205) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2012/09/28(Fri) 01時半頃
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