103 善と悪の果実
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[不意を突かれたのは不覚だった。
あの林檎がそいつを狂わせたのなら、それも当然の帰結だったのだろうけれど。
脇腹に刺さった冷たい刃は、普通ならばどう考えても致命傷。
されど、呪いか呪いのせいか。
止まるはずの心臓は止まらぬ。]
テメ……ぇ……
[悪態は弱々しく掠れて、覗きこむ姿には届かない。
視界が失血で霞む。
背格好と髪の色で、あのお巡りだとは知れたが。]
[一度では死に切れぬ。
それは二度死ぬ苦痛を否応なく味わうハメになるということ。
コイツが自分を恨んでいることぐらい、知ってはいたが。
深く押し込まれる刃。
傷口抉られる痛みに、カッと両目見開く。
声にならぬ断末魔。]
ふざけン、なッ……!!
[罵声はもう、空気を揺らさぬ。
その声が現世に届くことは、もう無い?]
[否、それは、罪深く思慮浅いエヴァの末裔達へと届く。
黄金の林檎の魔性に堕ちた者たちの元へ届くのは、
それに人生を狂わされてきた数多の亡者たちの声だ。
その実に焦がれ、その実を求めたが故に死んだ、
数多の者たちの呪詛を吸って、
林檎は、空気揺らさぬ音楽を奏でるのだ。]
――遠い記憶【被験体・0678】――
[街の外れ、第1研究施設。
鉄、歯車、錆、煤、臓器、廃液、そんな中で少年は生まれた。
人間同士の愛など存在しない。
材料としての掛け合わせの生だった。
名も知らぬ男の種と、名も知らぬ女の卵。
生まれた少年は番号が割り振られた。
【被験体・0678】
右足に枷られた銀には、そう刻まれていた。]
[少年は黒く艶やかな髪に、白く透き通った肌。
それから、快晴の空のような青い眸を持っていた。
生まれて来た意味など教えられることはなく、
ただただ他の材料たちと共に、一定のサイズになるまで生かされ続けた。
歳は13を数える頃。
少年は材料として生まれた事を知る。]
【被験体・0678】
身長 --- 148cm
体重 --- 34kg
血液型 --- A(RH+)
仔細 ---
小さく痩せ型。
子供用内臓機導入サンプル、並びに摘出後の臓器提出。
該当器は、脳、眼球、肺、心臓。
いずれも試験作であるため、常にカルテに記入のこと。
[少年の身体に埋め込まれた撥条。
それはこの街の技術であり、この街の富。
そして新たな生の可能性でもあった。
しかし――――]
―栄光の消えた寝室―
[はたと、目を開いた。
汚く褪せた髪に、浅黒い肌、濡れた烏の眸。
目まぐるしく巡った記憶。
夢か現かわからないそれ。
頭を振れば、傍にあるのは僕の変わり果てた姿か。]
…………殺された?
[眸を丸く見開いて、自分を見下ろす。
そして光を宿さない眸は、つうと、殺人犯を映した**]
[思慮浅く、誘惑に堕ちるは、女。
唆され、その実を手に取るは、男。
人が人としての叡智を手に入れた日は、
その手を罪に染めた日だった。
小さなアダムと小さなイヴ。
ただひとつ違ったのは、イヴがアダムから作られたのではなく、
アダムが半分作り物の機械人形だったことか。
繰り返される愚かな罪を、林檎はその金の皮に映し、
罪深き愚かな亡霊たちの啜り泣きを束ねて唄う、唄う。]
…畜生、め。
[腹を押さえて、ヨロリと立ち上がる。
殺したのは、誰だ。
いや、殺される切っ掛けになった、
罪深き果実に手を出したのは誰だ。
こちら側は安らかな世界などでは無い。
自鳴琴は。黄金の林檎は唄い続ける。
あの世からの呪詛を紡いで、音にしたのがその音色。]
[恨みが、魂を染めて怨霊となる直前、
胸元にひとひらの純白の花。]
ケッ、モノ好きな。
[その気紛れに手向けられた花に、魂はほんの少し救済されたなど、信心深くない男には解らぬ。**]
おまえじゃあ、ねぇの?
[責めるように聞こえる声は、果たして幻聴……?]
…そら、お前の両手はこんなに赤い。
赤い、赤いぞ?
何故、赤い?
[林檎は唄う。罪深き欲の虜となった男に聞こえる声で。]
拭おうと洗おうと、罪の色は消えぬ。
ならば手首でも切り落とすか?
[ざわざわざわ。
奪われたものたちと、巻き込まれたものたちと。
無数の呪詛が紡ぐは不協和音。]
―歌姫のすぐ傍―
[悼むような歌姫の傍。
突如として現れるのは、あの烏。
対峙する片方を。
林檎の唄に狂う彼を。
真っ直ぐに見詰める、あの烏。]
子供を殺した次は、女性ですか?
[無表情が、嘲う、わらう。]
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