270 食人村忌譚
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
7日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
[石動と錠の家は瞬く間に燃え上がった。
まだ息のあった石動は炎を吸い込み喉と灰が焼ける激痛に悶え。
それでも弟を庇うように覆い被さる。
少しでも暑さから逃れられるようにと。
それ一瞬だった。
玄関が火に焼かれ落ちた時だった。
外気が入り込み炎が大きく膨らみ、まるで生きているかのように二人を飲み込む。
後はもう覚えてはいない。
必死で弟に縋りつき抱き締めていた事しか。]
[鎮火した後に様子を見に来たならば全焼してしまった家と。
その家に二体の遺体を発見する事が出来るだろう。
焼け焦げてしまったその遺体を食する事は不可能だろう**]
―― 風 ――
[びゅおう、びゅおう。
悲鳴のような声を上げて風は村を吹きすさびます。
風はひとつの死体の前に像を結び、
幼い少女の姿を作りました。
まだ姉妹が仲の良かったころ。
巫女になる前の想いでの残滓]
……姉さん、姉さん。
[無残にもかち割られた頭を撫でて、
優しい声音で少女は囁くのでございます]
頑張ったわね、つらかったわね。
私はずっと見ていたからね。
姉さんがどんなに頑張ったか。
どんなに不安な中、ひとりで戦ったか。
すごいわ。姉さんは、私の自慢の――……
[無邪気な少女は、起きることのない姉に語り掛けます。
ずっと、ずっと。風は止むことはありません]
―― 風 ――
……櫻子。私の可愛い櫻子。
[吹きすさぶ悲鳴のような風の音は、
やがてひとりの名前を呼ぶ声となるのです]
櫻子、あなたは最期までとても綺麗だったわ。
私たち、家族になれたのよ。
幸せね。とてもとても、幸せね……。
[風は、優しき聖母のような笑みを浮かべる
女の形をとりました]
[風は優しく、やわらかく。
眠っていた櫻子の頬を撫ぜるでしょう]
かかさま、か。
私は母になれたのね。
子を最期まで孕むことはできずとも。
巫女の義務は果たせずとも。
母に――……
[愛おしげに、風は優しく櫻子を包みました**]
[私に、志乃を罰する資格などはない。
わたしと、それから彼。
重なるように崩れ落ちている
二つの身体を見下ろす。
絶命の間際、私は彼の脚に刃を突き立てた。
頭も良い、それなりに力もある彼に
正当法で勝てる見込みはない。
卑怯な小娘が用いた手段も、皮肉なことに
妹を殺めたものと同じであった。]
[脚の健常な時分から、錠は、いつでも石動のあとばかりついて回っていた。
村の、同い年な他の子らと遊ぶより、兄のそばにいることのほうが多かった。
十歳を過ぎ、脚の動きが悪くなりはじめれば、兄への依存は更に強くなっていった。
様々な治療を試みるも、徐々に動きの鈍ってゆく両脚。
そのぶんだけ、兄への執着が膨らんでいった。
それをおかしいと思ったことは、一度もなかった。]
[けれども、これで良い。
私が彼を、彼が私を殺したことは明白だ。
禁忌を犯した下手人など、
村を裏切った罪人など、赦される必要はない。
そうは思えど、事切れた姿に背を向ける。
目を背けるように。
罪悪感など、後悔など。
今となっては、どうしようもないことだ。]
( 兄さん……
………兄さん……──────)
[兄の重みを感じながら。
炎の熱に焼かれる前に、意識は途切れた。
精一杯、せめてその背に回そうとした手は、届いたか。
たったひとりに、一欠けらだけ食べられた身は、次の命を得ることができるのだろうか。
その時はまた、あにおとうととして生まれることができるだろうか。
もしかしたら、一人分には足りないから、ふたり一緒になるかもしれない。
それもまた、悪くない。
なんでもいい。
いっしょならば、なんでも……………]
[風が吹く。
旋風が、人の形を作って
事切れた方の私の頭を撫でる。
最後に見た姿とは違う、幼い頃のもの。
そそっかしくて手が掛かる、
けれども、誰よりも優しい
自慢の妹の姿がそこにあった。]
ゆり。
私、がんばったよ。
下手人のひとりも、やっつけたんだよ……。
[けれど、守りたかった村には、
その中には、もう、
妹は生きてなどいないのだ。]
……なんで、どうして。
[ただ、平和な、“いつも通り”が
欲しかっただけなのに。
どうして、こうなってしまったのだろう。
小さな妹の背に縋り付く。
ぽろぽろ、堰を切ったように
流れる涙も、空気に溶けて、消えていく。*]
― ―
………………。
[途絶えたはずの意識が、不意に戻った。
身体が軽い。炎の熱を感じない。
なにより、もう十年以上ぶりに、杖もなしに己の足で立っていた。
いや、これは”立って”いるといって良いのだろうか。
真っ黒く焼け焦げた、兄と、己だったものが、そこにある。
まるで、大きな泥団子のようだと思った。
嗚呼そうだ、いっそ本当に、泥のようにふたり混ぜこぜになってしまえばいいのに。]
兄さん。
……兄さん……。
[兄も……兄の魂も、そばにいるのだろうか。
黒い泥団子の前に佇んだまま、静かに呼び、その姿を探した。*]
―集会所/弔いの場―
[言葉は次々と変遷していく
『約束』、『約束したかった』
『未練』、『言って欲しかった』]
申し訳ありません
首を絞められていると、何も言うことはできないんです
[苦笑しながら相槌をうつ
小指と、約束と、生者が紡ぐ言葉の繋がり
殺されながら、次々と受け止めていた言葉に対し、
感じたことは多々あった
けれど、言って欲しかった内容については、
心当たりはなかったから、
自分ではうかがい知れぬことなのだろうと見切りをつけた
もっとも、求めるものがあったならば、
そう言葉を交わしてくれればと、思ったりもしたけれど
もうそんな仮定をしたところ、意味はなにもないのだから]
ミナカタが食べるのを見ながら、幽体の小指を何となく擦った
[リツと志乃に振舞われる、
抜け殻となった2つの死体
毒を受けても、時間をかけても、
僅かになってでも仕込まれた肉に、目を細める
毒の詳細や腑分けの経緯などは分からずとも、
ゆりの体には多くの手が加わっていたのだろうと感じる
それが、ありがたくも、愛おしい
思えば、この村にきて最初に食べたのも人肉だった
教会で禁忌とされた食人行為を犯したことで、
しばらくは、自分は地獄に落ちるのだと悶え苦しんでいたものだ
けれど、村の因習の中で、
もっとも早く受け入れられたのも、この弔いだった]
[腕の肉を求めたリツは、
その心中になにを思っていたのだろうか
死の予感を抱いているだろう志乃は、
何を思い、なお食らうのか
それは、江津子が窺い知れることではないけれど、
やり方は違えど、他者の死と向き合うという意味では、
故郷とさほど変わらないありようだと感じたからだ
死者のために時間と気持ちを費やしてでも、
弔いの作法を通じて、生きている者たちの明日へと繋ぐ
外と、何にも変わりはしない
もっとも、その場で抱く胸の内は、
言葉を介さなければうかがい知れぬ、
人それぞれだとは思うけれど]
そうですね そういう運命にあるのなら、
ぜひ、またお会いしましょう
できれば、時間が経ってから
[リツ;15にそう送ったところで、
ここにいる面々も2つに分かれた
少し、思案した末に、
ミナカタと丞の方へとついていく]
風が、ふいていますね
[相討ちた2人の決着にも、
炎に飲まれた兄弟の行く末も知らぬまま
ゆっくりと集会所を後にしたのだった*]
―神社―
ごめんなさい……
[儀式の代行者を務めた容と、疑りを抱いていた進
重なるような2人の遺体を目にして
おおよその出来事は察することができた]
しっかりと任を遂行できていれば、
お1人で危険に晒すことは、せずにすんだかもしれないのに
[容に語り掛けながらも、進の遺体へと視線をよせる
その様子は、少なくとも、己が運命を受け入れる姿とは、
見ることができなかったような気がする
仮に演技であったとしても、
あの日の表情とはほど遠く感じる
たとえ下手人であったとしても、
その姿もまた痛ましく、自然と両手が組まれていく]
ごめんなさい 責任を負わずに、逃げてしまって
あなたを1人――――――――
[続きの言葉が紡がれる前に、風を、感じた
風はやむことはありません
空気に深みが増していくのを、感じます
じっと混ざり合う何かに触れて、
そうですよね と少し寂しく微笑みます]
1人では、なかったんですよね
離れても、ずっと
[そう思って目をつぶるのは、身勝手な贖罪に逃げ込もうとしているからか
背後で、何かがぶつかる音がする
争う声も、混じっている
たとえ、身勝手な贖罪だとしても、感じていることに偽りはなく]
家畜ではありません
[伝えた言葉は、ミナカタに対して]
家畜は心配や狼狽を殺してまで、
巫女としては立ちません
危険を賭して、敵わぬ相手に1人
立ち向かおうともいたしません
[それに、と口にする続きは、
江津子にも感じられたかどうか、
分からない光景だったかもしれないが]
離れていても、互いに思いあえる姉妹の姿も、
家畜の在り方とは思えません
[新たな殺し合いへと進む背後を見やり、呟いた]
それすらも、家畜と感じてしまうのでしたら、
ミナカタさんのことを、寂しく思えてしまいます
[目は伏せたまま、殺しあう姿は、
これ以上は、もう見ない]
もし、変えることができるなら、
もう、終いにしませんか 人間同士の殺し合いは**
…… かかさま。
[続けて聞こえた声。明瞭な輪郭を持っていく視界。見えた姿に、娘はそう呼ばわりを口にした。死する手前と、同じように]
……いっしょ。
みんな、いっしょ。
[言葉を重ねるように呟く。
ふ、と。にこりと、嬉しそうに微笑んで]
私、 しあわせ、 だよ。
[その幽かに、抱擁を返した**]
[己には子がいない。
女と関係をもったことは幾度かあるから、もしかしたら、どこかで知らぬうちに生まれているかもしれないが、おそらくは相当薄い。
なにせ、初めて女を抱いた頃には、もう脚を病み始めていて、ろくに相手を満足させることができなかったし、それ以前の問題として、こちらがあまりまともに勃たなかったのだ。
勃つには勃っても今度は、精を放つまで至らなかったり。
それらは、己の脚が不自由で、女のほうに事を委ねることが多かったせいだと。]
1
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
7日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る