204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[眠るまで強請り、与えられた口付け。 欲しがって与えられても、足りずに餓えた獣のように求めた。 向けられている衝動にも気付かず、与えられる口付け。 どこまでも保護者とその養い子の関係なのかと思い。 寂しかった。
揺り動かされ、目が覚める>>176。 変わらず外は荒れているようで、時間は分からない。
警戒する様子のバーナバスに頷いて、その後ろをついて共に部屋を出た。]
(208) 2014/11/22(Sat) 23時頃
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[フィリップの保護者の名前に、ゆるりと瞳を瞬かせる]
彼も……?
[そんな、それでは、フィリップは]
……フィリップ。
[嘆きの深さがわかった気がした。
フィリップが、保護者を大切に思い頼っていたことを知っている。
その、彼も、死んだというのなら]
…………
[何もいえずに、冷たくなった体に縋りつくフィリップの頭を、
触れることのできない手で撫でる]
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[ 小さく唇を動かし。 一度きつく目を閉じて、 なんとか――ドナルドのほう、気遣うよう見て
項垂れラルフのからだを抱きしめる フィリップのそばに膝をついて耳を傾け ]
――そんな……。
[ 小さい声は辛うじて聞き取れる程度。 保護者さえ喪ったと、フィリップは謂ったのだ。 ああ しっかり、 しないと
――自らに言い聞かせながら、フィリップの背を撫でようと、した ]
(209) 2014/11/22(Sat) 23時頃
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[小さく息を吐き出し、呼吸と気持ちを落ち着ける。 冷静に、そう言い聞かせる時点で既に冷静でないのだとはよく言ったか。
ドナルドにも、問う声は短い。]
なあ、なんでノックスは殺したんだ。
[ノックスが愛しんでいたのは二人の連れ。 ラルフへと抱く恋情を知る由もない男は、短く疑問を浮かべる。]
(210) 2014/11/22(Sat) 23時頃
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[気遣うようなフランシスの眼差し>>209に ドナルドはゆると目を細め大丈夫と音なく綴る。
本当は大丈夫と言えるだけの何かなんてもっていなくて 憎悪するまま衝動をぶつけることさえ考えて]
(211) 2014/11/22(Sat) 23時頃
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ーーーーーー……………っ
[暖かい 温度が背に触れて また 身体が震える]
………………っ う……
[そのまま 声を押し殺し 獣であり彼は 小さく震え始める]
(212) 2014/11/22(Sat) 23時頃
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[バーナバスからの短い問いかけ>>210に 少しばかり考える風に眉を寄せた。]
俺もそれが知りたい。 ――…過保護、みてぇだし。 ノックスだけの理由じゃ、ねぇような気がする。
フランシスが歌うの止めたのも、 ノックスがトレイルの為に、言ったし。
[想いあい、喰い、喰われるならば 獣としてなら本望な部分もあっただろうと思いながら そうと思えぬ何かをフィリップの慟哭から感じる。]
(213) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[フィリップが抱きしめた亡骸を見て、哀悼を感じないわけではないが。 男は自分の背に隠すようにしたプリシラの存在を思う。
奪われた命が、プリシラでなくてよかったのだと。 密やかな安堵をこっそりと零した。]
(214) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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――…フィリップ。
[呼び掛けるは常のバリトン。 フィリップへと視線向け おいで、という風に両の手を彼へ向け軽く広げる。]
(215) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[頷いたトレイルを見て、頷きを返して。 ポケットに入れっぱなしだった小刀を取り出して、少し考えて]
はい。
[数分後、差し出した腕肉の切り身。 お湯でちゃんと洗ったのだけども、トレイルは渋い顔をしていた。 ちゃんと料理しなきゃだめだろうか]
料理……したことないねえ。
[小首を傾いで。 とりあえず、自分で食べておく]
ねえ、トレイル。 ノックスとはいつまで喧嘩するの?
[あんまり長いと困ったなあ]
(216) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[ フィリップの背を撫でる。 言葉も見つけられない 今の自分にできること。 己の大切な人を、人で在ろうとして 耐えてきたのに別の獣に奪われた――過去の自分の亡霊が、重なり、泣いている。]
……ノックスが作ったオルゴール ラルフは昔買って
……大切な宝物にしてたんだよ…… なのに、あんまりだ……
[ ドナルドの述懐に嗣ぐ声は、 やはり、所々震えては不安定だ。 ]
(217) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[かかる低い声色 微か ラルフの額から 頭を上げて
歪み始めた孔雀石が覗く
かなりの躊躇の後 ラルフの肉や 血で 赤くなった 指先 広げられた腕の 袖を少しだけ掴んで
もう片手 拳を作って 噛み付いて 震える]
(218) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[ニコラから切った肉片を貰って その濃いピンクの、にごった赤の、塊を 利き手でないほうの掌にのせてしげしげと眺めた後 くん、と臭いをかいで ちろっと舐めたトレイルは、渋い顔で首を振った。
もう二日何も食べていないけれど さすがに、これは、と。
料理の仕方は、トレイルもあまり知らない。 肉片をニコラに返しながら >>216彼の問いに困った顔で笑う]
(219) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[だって、あれはもう トレイルの知る
ノックスではないのだ。
だから]
(220) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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― 居間に至るまで ―
[胸の痛みに蹲っていたディーンは、足音に顔を上げた。
胸の痛みは引かない。
しかし、ニコラの在るところが、ディーンのいるべき場所だ。
彼の後に続き、彼の見る光景を見ていた。
ノックスとラルフの営みに、思うところは無い。
ラルフのようにニコラに抱かれたいとは思わないし、ノックスのように彼を抱きたいとも思わない。
ただ、ラルフの腹にナイフが突き立てられるその瞬間だけは――]
――……。
[腹を食い破るニコラの歯の感触と、汚れた口元を思い出した。
ディーンは目を逸らし、小さく息を吐く。
おおよそ健全とは言えないが、これが欲情と言えるものと同義であることは、随分前から知っていた。]
[また、彼に食べられたい。
鋭い歯で肉を破かれて、血まみれの手で腹の中を弄られたい。
唇を、血が出るほど噛まれたい。
眼球の奥、誰も触れたことのない場所まで指先で抉られたい。
中身を全部曝け出して、彼に見て欲しい。
彼だけに、見て欲しい。]
…………。
[しかし、彼に、今の姿は見えない。
見えたところで、食われる為の身体が無い。
ニコラがトレイルの手を引いて去っていく。
ラルフの遺体を複数の人間が見て、一様に悲しげな顔をする。
その光景を見ながらディーンは、ラルフが死に至る理由を悟る。
――彼は、多くの人に愛されていたのだ。]
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[バーナバスの後ろを歩いて、居間に着く。 獣の唸り声>>178にぎくりとバーナバスの後ろに隠れた。 言いつけ通り、傍を離れず話を聞いているが、血の匂いとその状況に理解が追いついていない。]
(221) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[ノックスは、いなくなっただろう? 僕たちで、何とかしないと。
そう、ゆっくり唇を動かして 焼けば食べられないかなと、提案する。 いくつか、食べられそうなところを切り身にして 火に炙ったあと、塩でもかけたらどうだろう?**]
(222) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[>>211 ドナルドはくちびるだけで だいじょうぶ、だと形作った。
でも だいじょうぶなはずなんて、ない。
ずっと、大切な仲間だったのだから。 だいじょうぶなはずなんて ないのに。
自分さえ
そうなのだから
――気遣っての 遠慮しての ことだろうか]
(223) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[物語は起こり、展開していく。
展開していくにあたって特に重要なのは事件だ。
たとえば、その時点では倒しようのない敵が現れる。その敵を倒す為に、登場人物たちはアクションを起こす。
或いは皆から愛される誰かが死ぬ。それによって、彼に向けられていた感情が登場人物の思い思いの方向へ分散していく。
ラルフの死は、物語が展開する為の、重大な事件だ。
展開は変化を呼ぶ。
変化しない登場人物は――いない。]
[フランシスとドナルドが、フィリップを慰めるのを見る。
彼らなら、と思ったとおりの行動に、
そのままフィリップの悲しみが少しでも薄れればいいと思う]
……忘れて欲しいわけじゃないけど。
哀しいままでいて欲しくないな……
[わがままな感情をぽつりとこぼし。
オルゴールの話に、三階の荷物の中にある宝物を思い出す。
そういえば、最期のとき、オルゴールの音色が聞こえた気が、した]
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ーーーーーー……………っ
[暖かい手が背中 撫でるから 耐えられずーーー孔雀石から 滴がこぼれ落ちる]
…………う っ
[堪えようと 強く目をつぶる]
(224) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[躊躇する間もただじっと待っていた。 袖を掴む手指の赤はラルフのもの。 フィリップの動きに応じて ドナルドは震えるその背を抱き寄せる。]
――…よしよし。 お前さんがかなしいのも分かってる。 苦しいのもわかってる。
[彼と自分の悲しみが同じとは言わない。 その感情は当人だけのものと考え]
あんま噛みしめンなよ。 ――…ほら、痛いだろ?
[フィリップの口許を親指の腹でなぞり]
(225) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[――彼も、変化を免れないのではないか?
浮かんだ疑問符を打ち消す手段は、今のディーンにはない。
もし、眼球が腐るより早く、彼が忘れてしまったら?
もっと他に大切なものを見つけてしまったら?
ラルフがその場にいることにも注意を払わず、ディーンは静かに立ち尽くしていた。
彼は、トレイルの手を引いていった。
トレイルが彼の唯一になるかも知れない可能性など、考えるまでも無い。
トレイルは、彼の側で、まだ生きているのだ。
もう触れられない自分とは、わけが違う。
彼と一つになってしまえば、もう苦しむことはないと信じていた。
同じものになってしまえば何も怖がる必要はないと思っていた。
そんなディーンの幻想を打ち砕く声がする。]
――……違う。
錯覚なんかじゃない。
僕は、確かに永遠に一緒なんだ。
僕の肉は、ニコラの身体を作る。
だから僕は、ニコラとずっと……ずっと、一緒にいられる。
[生者には聞こえない声で、ディーンは呟く。
バーナバスの言葉を肯定することは出来なかった。
まるで、喰われてしまえばそれで終わりだとでもいうような。
自分の抱く欲望そのものが、罪悪であるかのような。
ディーンは、顔を伏せる。溢れ出そうなものを唇を噛んで堪える。
その代わりに胸に刺さる棘の痛みが増した――ような、気がした。*]
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[抱き寄せられて 額がぶつかった ドナルドの 胸辺り 暖かい 克明に 思い出す 額の暖かさ 笑かけてくれた]
………………っ くっ
[苦しい かなしい 肯定されて 堪えきれない しゃくりあげる 強く閉じたまぶたの 端から 熱いものがこぼれ落ちて
なぞられた口元 緩く 二回ほど 首を振るうちにはずれて]
う………………ぁあ
[そのまま両手は ドナルドの服を強く握りしめた]
(226) 2014/11/22(Sat) 23時半頃
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[大丈夫、とフランシスに向けた。
ラルフの死を嘆くのは復讐を遂げてから。 そんな言葉が続くのは心の中でのみ。
ひとを殺せばひとでなくなるのだろう。 喰らえば獣に堕ちてしまうのだろう。
そう思いながらも止まれない。
大人になれば、とそんな先の話をした事を思い出す。 フランシスを哀しませるだろう。 そう思うのに腹の底で澱むものは消えてはくれない。]
(227) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[首を振るフィリップの口許から外れれば安堵の吐息。 苦しげな音>>226に僅か目を伏せる。]
――…落ち着くまでこうしてるから。
[ぽんぽんとあやすように背を撫でて 寒さに凍えぬだけのぬくもりわけられればと思う。]
(228) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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―フォッグ/2階廊下(1階への階段寄り)―
[――ノックスさん。
呼ばれて目を開いた。 黒髪を揺らし、琥珀の瞳で覗き込む少年が居た。 ラルフ。と、名を呼べば、ぱっと笑顔の花を咲かせた。露店で出逢った頃のままのラルフだった。 ビスケットの髪を撫でる幼いもみじ葉。ノックスはまた、目を閉じる。
愛し子達の姿は何処にも見えない。寂しさを慰めるように、髪が梳かれていく。]
(229) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[呼ばれて目を開いた。>>157 愛し子が、居た。]
………ニコラ。あぁ、ニコラ。
[こっちにおいで。手を伸ばしきらない内にぺたぺたとニコラは近付き。]
ぁぐ!! [咄嗟にその足首を掴んだ。 それでも彼が体重をかけるのを止められなかった。冷えた足の裏、爪先。臓腑にかかる痛み。床に押し付けられた背骨が軋んだ。]
ぐ、ぁあっ ニ……、苦し ぃ
[息苦しさに喘ぎ、圧迫された消化器官が、胃壁が収縮する。 寝起きの戯れには度合いの過ぎる、重み。]
(230) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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