84 戀文村
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それより、どこかへ行く途中だったんじゃないか? こんな所で道草を食ってないで早く行けよ。
[いつになく感傷的な事を言ってしまった。 重い空気を吹き飛ばすように、くすりと口許に笑みを浮かべてホレーショーを追い立てた。]
(207) 2012/03/25(Sun) 15時頃
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[エリアスの頼みに、もう一度頷いた。 その時が来れば、恐らくは今度こそ戻っては来れまい。 彼に限らず、別れを告げたい者はいる]
[その背中を見送って、広場に座り人々を眺める。 子供や老人の姿が目立つ。
結局勤務中とやっている事が同じだ。 刺繍の犬が、問いかけている様にも見えてくる。 自分は所詮兵士であり、兵士であろうとしている。 国に忠を尽くそうとしている。 この村からも、愛国心を持って銃を取り出て行った者が多少はいただろう。 自分もそうだった。その選択が間違っていたと思いたくはないが、 今のこの戦況と、国の方針に納得いかないのは、如何ともしがたかった。
ベンチで、膝の上に着いた両肘で頬杖をつく。 じっと、村の広場を見つめている]
(208) 2012/03/25(Sun) 15時頃
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[ひと通り墓地を掃いて回って、ようやくひと息。
昨日は行けなかったから、今日こそエリアスとナタリアの家を尋ねよう。そう誓って、準備の為に一旦家に戻った。]
(209) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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− 回想 墓場 −
[墓地で逢うヨーランダは酒場で出会う時と違い、 近寄りがたい雰囲気を見せる。 軍から彼女を守ろうと死者達が庇っている様に見えるのは きっと自分の中に後ろめたいものがあるせいだ]
……仕事か。そうだな。
[丁寧に、心を込めて、自分には決して出来ない仕事。 目を細めて眩しそうに見た]
こんなに大切に扱われりゃ幸せだろ。 本当は一部でも返してやれりゃいいんだが……悪いな。
[戦場では人間より弾丸1つの方が価値がある。 それに比べれば、と続け掛けてまたバツの悪そうな笑みを見せた]
(210) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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昨日ブローリンと飲んだんだけど、ありゃ酒のバケモンだぜ。 飲んだ事あるか? 無かったら驕る事だけは止めといた方がいいぜ。
[話題を酒場へと変えて、ブローリンについて口を尖らせた。 ヨーランダが驕る事など有り得ないが、下らない話題は それ位しか思い付かず]
お互い仕事が減るといいな。 おうじゃ、また酒場でな。
[それだけは本心から口にして、追い立てられる様に墓場を後に]
(211) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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− 現在 役場からの帰り −
[ぼんやりと雪に残る足跡を見ながら考えていた。 あの時サイモンに他に何と言えば良かったのか。 配属先次第では生きて帰れるかも知れない? 妹はそんな弱い奴じゃないだろうと叱咤激励? 国の為に働けるのだから名誉ある事? 軍人としては万歳三唱で送り出すのが正解だろう。 だがそれをするには]
あんな奴に名誉だとか激励とか…出来るわけないだろう。
[ぶつぶつ言っていたところに、部下の1人が駆け寄って来た]
(212) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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あ、どうした? 悪いな探させて…は? 上官が来てる? 聞いてねえって。 判った、すぐ戻る。
[突然の上官の来訪を知らせる連絡に自然と足早になる。 伝令も無しにここに来ると言う事は裏の目的が合ってだろう。 上層部の意図の確認やこちらかの直接の意見を言える機会だと 逸る気持ちのまま駆ける姿を誰か認めただろうか。 誰に呼び止められても軽く手を挙げるだけで今は駐屯所へと]
(213) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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─ ホレーショーが去る直前>>211 ─
馬鹿か、そんなのお前が謝る事か。 お前みたいな下っ端に、何も期待してないさ。
ブローリンが? へぇ──。 私も酒には強い方だが、お前が言うんだから相当だろう。 是非一度勝負を挑んでみたいものだな。
[死体を返せれば──。そう言うホレーショーにいつもの調子で悪態を吐いて、去りゆく背中を見送った。]
(214) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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―本屋―
[簡単なブランチを終える。 日に日に食事の質が落ちていくのは仕方の無い事。 金銭得る方法が塞がれていくのだから]
……こういう時、ドアを開けたら其の先が目的地だった なんて物語みたいなことが起きたら良いのにと思うよ、本当
[昨日今日で一度に売れた栞の代金を小袋に入れて 青年は店の扉を開く。 キョロキョロと辺りを見渡した。 少し先には役場が見えるが、何時もと少し様子が違う]
穏やかじゃないね。
[村の空気が、違う気がした。 青年は未だ赤紙の件を知らない]
(215) 2012/03/25(Sun) 15時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 15時半頃
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[自宅に戻れば、顔色の悪さを心配した母親に外出禁止を言い渡されるのは間違いない。 だから、少しでも顔色が元に戻るまではまだ家に帰らず。
途中、午後の集配にまわっているウェーズリーと擦れ違ったりすれば会釈を返し]
父さんから、手紙きてるんだ…… って……母さん、ウェーズリーさんにまで、そんな…… 大丈夫、無理はしてないし。
[旧びた自転車を止めたウェーズリーから、自宅に手紙を届けたときに「エリアスが外に出てったっきりなかなか戻らないから、見かけたら帰るようにいってやって」などと母に頼まれたことを告げられて顔をしかめ。 顔色の悪さを指摘されれば大丈夫だとくりかえす]
……ちゃんと、暗くなる前には帰るから。
[二十歳にもなるというのに、子供のように心配されていることが不満でちょっと拗ねたようにかえす]
ウェーズリーさんは、お仕事がんばって。 それじゃあ、また。
[いいことと、ちょっと都合が悪いこと、両方を告げてくれた郵便屋と別れて、散歩の続きをする]
(216) 2012/03/25(Sun) 16時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 16時頃
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− 駐屯所 −
[切れた息を整え、身支度を整えて上官の部屋の扉を叩く]
失礼します。ホレ―ショー=アルバーン入ります。
[普段とは違う、軍人の姿に上官はじろりと一瞥しただけだった。 溜息を1つして、机に書類を投げ捨て用件だけを伝える]
物資ですか。 こちらでも金属、毛皮、食糧などをあらゆる手段で 確保と輸送を努め…違う? と言いますと。
[ノルマをわざと守っていない事についての処分でも来たのか と思ったが違うようだ。 処分で自分が前線に出されるのは結構な事だが、 村への重圧がかかるのだけは避けようとして 言い訳を考えていたが、杞憂だったようで。 だが、まだその方がマシだと思わせる上官の言葉に 流石に凍り付く]
(217) 2012/03/25(Sun) 16時半頃
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申し訳ありません。 もう一度伺いたいのですが……その意図は。
[上官から提供を求められたのは、この村の残った人間の内訳。 女、子供もそうだが、一見訓練されていない兵士に見えない男達も。 聞けば他の場所でも確認していると言う。 サイモンに届いた赤紙や、総力戦と言う言葉が飛び交う中、 隠れていた更に残酷な現実が晒される]
……特攻…。 待って下さい! 納得出来ません! 何で俺達じゃないんですか!? 俺達は戦う為に、国を守る為に死ぬ覚悟で兵士になったんです! まず俺達からが当然ではありませんか!?
[サイモン達が、いや、これからこの村に届く赤紙の配属先。 それは確定の「死」が齎される部隊。遺体も拾ってやれない。 あまりに無残な事実に思わず吼えた。 だが上官は五月蠅そうに鼻を鳴らしただけで]
(218) 2012/03/25(Sun) 16時半頃
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「兵士は貴重な戦力で、そうでない人間はその身を弾にして働いて貰う。その方が敵も油断するだろう」
[合理的だ、と言い切った上官に飛びかかろうとした身体を 背後にいた部下達が抑え付けられた。 怒鳴り付けたくても怒りのあまり言葉が出て来ない。 血が滲むほど拳を握らなければ抑え付けられない衝動]
「そんなに暴れたければ配置転換出来る様話しておいてやる」
[無様だと笑う上官に、せめて今すぐの移動を希望を申し出ても、 物資の把握と報告の方が先だと相手にはしてくれなかった。 興奮している自分の姿に機転を利かせた部下が、上官に 報告を買って出る。 報告される村人の名を聞きながら、引き摺り出される様に 部屋から追い出された]
(219) 2012/03/25(Sun) 16時半頃
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何なんだよ。なあ。何なんだよ。
[力無く座り込む自分の背後に部下の1人が苦笑する]
「余計な事言わないで下さい。折角安全枠にいるのに。 こっちまでとばっちりが来るじゃ無いですか」
[直後に彼は吹っ飛んだ。殺気だった分隊長の姿に流石に 部下達は凍り付く]
一般人を送り出して安心してる奴、他にいたら前に出ろ。
[慌てて否定し、用事を見つけて立ち去っていく部下達を 追い掛ける事はしない。 本当は叫び出したい気持ちを押さえて、上官が出て行くのを待った]
本当に……何やってんだよ…俺…なぁ……。
[暫く後、防寒具も身に付けず、 項垂れて座り込んだ軍人の姿が村外れにあった**]
(220) 2012/03/25(Sun) 16時半頃
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ううん、役立てて良かったわ。 またねエリアス。
[素直に奢られてしまおうか、また今度返せるのだから。 カフェを後にゆったりと歩き始めると、 途中赤い手紙の話を聞いた
サイモン…… 最初に徴兵されない弱者までもが無差別に対象となる その意味は本当に在るのだろうか
憤りを感じるが、それを面には出す事なく 靴音を響かせて本屋へと急いだ**]
(221) 2012/03/25(Sun) 17時頃
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女主人 ダーラは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 17時頃
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[まだ自宅には戻らないまま、道を行く。
そうやってうろついていればいろんな人と出会えるから。 家に長い間閉じこもっていた後は反動で散歩が長くなるのは何時ものことだった。
ヨーランダ>>209と道で出会うのも、そのせいで]
あ、ヨーランダさん、こんにちは。
[あまり接点はないのに、それでも滋養のある薬草をもってきてくれたり、何かと気遣ってくれるこの女性はもう一人の姉のような感じでみつめている]
え? ああ、また薬草を持ってきてくれたんだ……いつもありがとう。
[にこりと笑って薬草を受け取る。 母親も、墓地にいくことは嫌がっていてもヨーランダとの付き合いにまでは口を出さない。 それはきっともってきてくれる薬草のおかげもあるのだろう]
(222) 2012/03/25(Sun) 17時頃
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秋にも沢山くれたよね。 あのおかげで冬はだいぶマシだったよ。
[冬の間はどんな草も雪に覆われてしまうから、干して煎じた薬草は重宝する。 ちゃんとした医者は、いまはもう村におらず。 軍に所属している医師に頼るしかないけれど、病弱な役立たずを見ることにはあまりいい顔はされていない。 楽しい話題だけ口にできればいいけれど、顔色の悪さはやっぱり指摘されてしまう]
……体調が悪いわけじゃないよ。 赤紙がまた、届き始めたのを聞いただけ、だから。
[ヨーランダはもうきいていただろうか。 知らなければ、サイモンに届いたことを告げるし、知っていれば重い吐息をこぼすだけで]
(223) 2012/03/25(Sun) 17時頃
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――うん、大丈夫。 戦地にいったって、必ずしも死ぬわけじゃ、ないしね……
[軍上層部の思惑を知らないからこそ。 召集令状が死への招待状となっていることはまだ知らず。 国が国民を捨て駒にするほど戦況が追い詰められていることも知らぬまま]
きっと、もうすぐ春が来るよ。 その頃には、戦争も終わってるといいね。
[そんな希望を口にして、ヨーランダと別れた**]
(224) 2012/03/25(Sun) 17時頃
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病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 17時頃
病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 17時頃
病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 17時頃
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―役場前― [書類を持って外に出ると、ホレーショーがいた>>192 赤紙が来た人間は誰か知りたいようだった]
あの…サイモンさんが…
[役場の中を見て、伏し目がちに]
あと、上司のハワードさんの死亡届を今からヨーランダさんのとろこに…
[招集されるのが赤紙なら死亡届は薄い青色の封筒に入れられている。 そのまま挨拶してホレーショーと別れ、墓地に向かった]
(225) 2012/03/25(Sun) 18時半頃
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― 墓地 ― [ヨーランダが出かける前に会うことができれば書類を渡す。そこでいくつか会話があれば会話をしただろうか。もし会うことができなければまた明日持ってくるか、ウェーズリーに頼むことにして、母の眠る墓に向かう]
母さん…父さんの言ってた通りだったよ…
[母に語りかける]
(226) 2012/03/25(Sun) 19時半頃
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……見守っていて…ね。
[不思議とその目に涙はない。しばらくそうして佇んでいた。]
(227) 2012/03/25(Sun) 19時半頃
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[昨日の内に、暖炉で乾燥させた薬草は薬研で挽いて、小さな布に包んで湯で煎じれば飲める状態にしてあった。 その他、傷に効く草やら山菜やら、山で採れた有用なもの全て、女が手ずから編んだ籠に入れ、家を出た。
と、ちょうどセレストがやって来た所で]
───また、か。 このところ増えているな。
戦況は芳しくないという事か。
[青い封筒に入ったハワードの死亡通知を受け取り、タイプライターで記された無機質な文字に視線を落とした。]
(228) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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―路地―
エリアスじゃないか。調子はどうだい? さっき手紙を届けたら、お母さんが気にしていたよ。
あんまり遅くならんうちに、 早く帰って安心させてやんな。
[不機嫌そうな青年を見送り、 自分もまた配達に戻る。 次は峰向こうの一軒家。 その次は本屋へ。
まだまだ仕事は続いている。 たとえ、誰かが死ぬ手紙を受け取った日でも]
(229) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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ウェーズリーは、相変わらず配達と集荷の繰り返し**
2012/03/25(Sun) 20時頃
病人 エリアスは、メモを貼った。
2012/03/25(Sun) 20時頃
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[女は近隣の村の、同じ生業の娘と手紙をやり取りしている。 自身は殆ど村から出た事などないが、以前その娘が村を訪れた際に親しくなり、それから数は多くないが、情報交換にと時たま手紙をくれるようになった。
そこに書いてあったのは、娘の村では、とうとう戦えない身体の弱い者や女子供まで召集され始めたという驚くべき話。 信じられない思いが強かったけれど、こうして連日訃報が届けられるのを思えば、娘の手紙の内容も、事実なのかもしれない。
そうであるならば、娘の村から然程離れていないこの村にも、同じように無差別に赤紙が届く日も遠くない話かもしれなかった。]
(230) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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[ヨーランダの言葉に>>228]
…今日、サイモンさんに赤紙が来ました。 これから…もっと厳しい現実が待ち受けているかもしれない…。 それに、招集されたら何も残りません。 …何も…。
[うつむく顔は憔悴しきっていた。]
(231) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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―役場―
[クラリッサから何かしら聞いた事があれば覚えておいて。しばし考え事をするようにその場に立っていた。セレストが外に出てくると軽く挨拶をかわす。赤紙や死亡通知の話にはならぬよう、言葉少なめに、だが。
少しその場にとどまっていると、大柄な例の軍人の姿が見えた。普段の陽気さは感じられない。軍人である彼の姿を見かけて、サイモンが普段の柄にもなく、すごい剣幕で掴みかかっていた]
・・・・勝手なものね。 私、自分の家に令状が届いたのじゃなくて、ちょっとほっとしてるのかもしれない。
[そう言って2人を見つめていたが、ふだんは陽気な軍人の方が何か喋った様子に目が止まった。なんだか、不思議な目の色をしていたようにも感じたから]
・・・・??
[細かな話までは聞き取れず。やがてその場を後にした]
(232) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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[勿論、セレストにそんな話はしない。 徒に不安がらせたくはなかったし、女自身も信じたくない思いが強かったから。]
────。
[平気か?とは聞かない。 直接の上司を亡くして平気なわけなどないのだから。]
…──サイモンにも?
[女の眉が跳ね上がった。 上司に続いて同僚まで亡くそうとしているのか。
──いや、まだ帰ってこないと決まったわけではない。
女は逸る思考を振り切るよう頭を振って]
辛いだろうが、無事に帰るのを信じて待つしかないな。 私達に出来るのは、それくらいだ。
(233) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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[『何も残らない』と言うセレストの肩に手を伸ばす。 中身のない、空の墓を見続けている女には、痛いくらいにわかる言葉。]
何か、思い出を残せたら、いいのにな。 何も戻って来ない。 今のままでは、残された者が辛すぎる───。
[女はナタリアと、ナタリアに預けられた手紙を思い出す。 想いを、言葉にして遺せたら、それは一つの形として残された者の心に残るのだろうか──と。]
(234) 2012/03/25(Sun) 20時頃
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[肩に触れた手に力を籠めてセレストの細い身体を引き寄せ、頭を自分の肩口に押し付けんとする。
いつもと同じ。 自分からは弱い所を見せられないセレストを、強引に自分の裡に引き寄せて、温もりを分け与え、出来る事なら少しでも解放を促そうとする、不器用な女なりのやり方。]
一人で溜め込むなよ。 お前が無理をしていると、村の者が悲しむ。
お前の笑顔は皆に元気をくれているから。 時々は、吐き出してスッキリするといい。
(235) 2012/03/25(Sun) 20時半頃
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―墓地―
[役場から家に向かう足取りは少々おぼつかなかった。 同じように赤紙が届く可能性は、もしかしたらどこの家にもあるのかもしれない。女子供でも、軍需工場で働きに出される事はあると、父からの手紙にはあった。
もちろん、今度赤紙が出されたらそれは命一つを弾にしての特攻か、いずれにしても死が確実である等と、知る由もない]
・・・・・あっ・・・いる。
[墓場に、墓守りの女性と、セレストの姿があった。
黙って通り過ぎる事はできなかった。 その場にそっとかがみこんで、十字を切る]
(236) 2012/03/25(Sun) 20時半頃
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