162 絶望と後悔と懺悔と
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/10(Mon) 21時半頃
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[見たくない。 知りたくない。
けれど識っている。 出てはいけない囲いの外へ出たものの末路は、 家畜となるか鬼となるか──。
──その、どちらかしかないということを。]
(147) 2014/02/10(Mon) 21時半頃
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直お兄ちゃん──
[絢矢と直円の関係は、五年前で止まったまま。
守護部隊に保護された仲間の呼称を 戦場で呼びやすく短く変えても、 絢矢にとって、直円は今もお兄ちゃんのまま──。]
──どうして、ここにいるの?
[絢矢は感情を抑え込んだ人形のような眼で ただ真っ直ぐに、直円を視た。
見たくなかった、その瞳の色を確かめるために──。]
(148) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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―陸軍駐屯地 端地→―
[眉を顰めている間に、声が掛かる。>>132 応じることは視線と歩みで表した。 流水のあとを流れる葉のように、動きは精練されている]
敵は撤退を始めるみたいだ……
[退路なら、戦火の薄い所を選ぶだろう。 後詰が到着した報もある。 連綿と血の道が、振り返らぬ背後に敷かれた]
(149) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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[ぎゃらり――金属音を響かせ、唸りを上げる鞭剣を 双児が鋼糸で捌き、その隙を突いて肥満の鬼が鉄拳を振るう]
けっ、しゃらくせえ。……鬼のくせにやるじゃねえか。
だが、な――
[姿勢を思い切り下げた状態から踏み込み、鉄拳を掻い潜って、するり巨体の裡を取ると、匕首を心の臓へと叩き込んだ]
――まずは一つ。
[次の獲物に視線を向ける。
>>142すぐ近く、残酷な運命が迫り来ることを知らぬ周の口元に再び、獣の笑みが浮かぶ]
(150) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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―駐屯地・司令所の近く―
[悲鳴は軍靴に混じる。 此方を見た軍人は、子供がと眉を顰め。
次いで学帽の奥の紅と、刀に武器を構え直す。 視界の端に同族を捉え>>143、 加勢にと足を向けた。
声に。そわりとしたというのもある。]
(151) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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―司令所付近―
[新手が視界に入る。銃だった。 かわしきれない武器だとは、訓練で身に染みている。
だが、放たれた鉛弾がいくら速過ぎると言えど、 取り出してから撃たれるまでの時間さえあれば、 どうとでも出来るつもりだった。
今は間が悪い。 もっと近い位置の人間を相手にしているし、 ここを動くと零瑠に射線が通ってしまう。
火薬の炸裂とほぼ同時、右腕に激痛が刺さる。]
――ッう!
[剣を取り落とすまではないが、構えには堪えない。]
(152) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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[衝撃に顔を歪めた吸血鬼へ攻勢に転じようと、 手近の人間が一歩踏み込んで来て――
やはり、他と同じように胸を一突きにされた。 柔い嘆息]
……こっちを抜かせると、痛いよ。
[右手に錐のようなスティレット、 新たに抜いた左手には波刃のクリスナイフ。 こちらも西洋装飾だから、 フランベルジュを短剣にしたものとも表せるか。
言葉にすれば剣の二刀でも、リカルダが携える 脇差とマインゴーシュの組とは趣も意味合いも異なる。 ――左手は、傷口を裂き潰すもの]
(153) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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[力任せに刃を押し下げる。 この初陣で初めて絶叫を上げさせた。 それも、頭側部に短剣を握ったままの左手を 叩き付けて折るまでの話]
(154) 2014/02/10(Mon) 22時頃
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[巨体の倒れる音が響き、土煙が舞う。 動かなくなった躯は邪魔なだけだ。
足場に変えようとして。 隙が生まれた。後方で炸裂音。>>152]
柊。
[ただ名を呼ぶに留めて、零瑠は地を蹴った。 心配は要らない。
後方は彼に任せたのだから。]
(155) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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絢矢ぁ?
[突然目の前に現れた人影]
ほらぁ、直円おにいちゃんだよ どうしてここに…――ってそんなこと
直円にぃがここにいるんだよ 目の前にいるんだよ?
[何故そんなことをと少し絢矢をなじるような声をあげる]
ねぇ 直円にぃ、待ってたよ 一緒に帰ろう
[この時ばかりは昔みたいににっこりとほほ笑んだ**]
(156) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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[倒れ込む人間の体を、胴に刃を残して抱き止める。 空いた左手で死体の腰から制式の洋刀を抜き取った。 鞘走りの音が、あまり綺麗ではないと思う。]
[投擲。
回転をかけて放つ刀身が、銃を向けた兵士を刎ねた]
……ふう――
[およそ3ヶ月。鳥籠の外を許されてからというもの、 何人かの孤児だった者達と違い、 明之進はその顔を隠したりはしない。]
(157) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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[絶叫を背に、巨躯を踏みつけ戦場を見下ろす。>>154 刀身を手に、口を開いた。]
死に急ぐ輩は此処か。 我等相手に抵抗など、無駄と知れ――…
(158) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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げ…………?
[自分の前に躍り出てくる姿。名前を呼ばれる。 功名心に猛る顔が…………露骨に曇る。]
………………。
[ホリーから借りた鬼たちの方を振り替える。 直円に従っているのではない、ホリーに従う鬼たちを。 動揺は隠せない。状況を……察した。]
(159) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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初めまして、どこかでお会いしましたか?
[瞳が赤く煌めいた。]
(160) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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[肥満大兵の鬼を斃し、双児へと意識を向けた瞬間。 ぞわり――首筋が総毛立つ。
反射的に身を翻し、死した巨漢へと視線を向ければ。 骸の上に立ち此方を睥睨する、詰襟姿の若い男の姿>>158]
新手か――。
[学生帽の影から覗く面差しは、旧知の友に似て。 不意に胸がざわめいた]
(161) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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[>>156振り返らず、首を振る。
そうだ──とも言えない。 違うとも言えない。
直円であって、直円でない──]
───…円、
[静かな──けれど何か堪えるような、 掠れた声が漏れた。]
(162) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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降伏を。さもなければ、死を。
[長さは違えども、同じ刀同士。>>161
ほぅと一声漏らして口許に笑みを浮かべる。
鍔を鳴らし、繋がれた双子に合図を送ると同時に、高く跳んだ。 勢いを刃に乗せて、振り下ろす。]
(163) 2014/02/10(Mon) 22時半頃
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[>>159息を呑む気配。 俄に曇った表情は言葉以上に雄弁だ。
なのに直円は──>>160]
直、 お兄ちゃ、
…────、 そう。
[紅玉を思わず紅の虹彩を見据え、 絢矢は──ゆるやかに膝を曲げ、腰を落とした。]
(164) 2014/02/10(Mon) 23時頃
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……大事ありません。
[短く呼ばれただけの名前に返す声は、一拍遅れ。>>155 だが、人の身ならぬ耳には届くだろう。]
……弾が残りました。
[後ろに抜けないように残したとも言えるが、 失態を恥じるように独りごちる。
左の指で傷口をくじる。すぐ塞がってしまうから、 弾が抜けないと後で面倒な事になるのだ。 血塗れの指が鉛玉をピンと捨てた。
次はやはり、撃たれる前に止めよう]
(165) 2014/02/10(Mon) 23時頃
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和算家 直円は、メモを貼った。
2014/02/10(Mon) 23時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/10(Mon) 23時頃
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[絢矢と円が直円と対峙している場へ舞い降りるようにやってきたのは黒い影だった。]
なんだ、挟まれてるって言うから来てみたけど。 大した事は無いじゃない。
[尤も、ホリーからはそう見えるだけで。直円や他の吸血鬼にはピンチなのかもしれないが。]
この子達も、貴方の昔のお友達?
(166) 2014/02/10(Mon) 23時頃
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― 陸軍駐屯地 ―
[彼らの追撃の意思が薄かったのは、きっと幸運なことだった。 それほど、実は取り乱している。 黒頭巾はそのまま捨ててしまったため、その金色の頭は、きっと遠目でもよく見えてしまう。
だから、サミュエルは、堪るものがあれど、必死に走った。
そして、とある建物内、潜伏を図る]
――……リー……
[乱れた息の元、 その名前を呼ぶと、やっぱりふと一雫溢れた]
(167) 2014/02/10(Mon) 23時頃
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………………ホリー様。
……………………。
いえ、お初にお目にかかりましたよぉ。
[しばしの沈黙の後、言い切った。]
(168) 2014/02/10(Mon) 23時頃
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―駐屯地・通信施設― [指揮官を狙いながら、辿り着いた場所。
通信兵たちは、戦況を伝えている。 指揮系統を乱し、通信を破壊する。それは合理的だと考えた。 無線の耳障りな音、監視カメラもあるかもしれない。
銃弾に焦げた穴の開き、切り裂かれた赤いフードが、 通信兵に忍び寄る、見張りは既に事切れている。 ――悲鳴を上げさせぬように、喉笛を裂く。
血泡と空気の漏れる音を最後に、 通信部隊の無線は途切れる。
そして、兵士の銃剣を拾い上げ、 通信機器に突き立てた]
(169) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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[リーの言葉、言っていたことを思い出す。 忘れていたんだろう?そんなわけはない。 同時にマユミのことを言われて、面食らったのも事実だ。
うなだれると、右腕、袖のポケットから、マユミのスカーフを取り出した]
――……だっで、 あいづ、きっど、……おでのせいで、 あいづ……
[またそこでも溢れた。 マユミがホリーとした会話、それはいつまでも消えない悪夢だ]
(170) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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[そうだ。 敵を葬りながら前進を続ければおのずと退路に追い込めるんじゃないかな。 難しい話じゃない。基本的にやることは変わらないし]
……。
[敵がひとり物陰から飛び出してくる。 いくらこの辺が戦場の外端(それも縮まりつつある、と思う)に近い場所とはいえ、 一人見かけたら三十人はいると思え……だっけ。その言葉の示す通りになるかもしれなくて僕は身構えた。 抜いたのは脇差だけ。
息を飲む音が聞こえる。 敵は僕を目の前にして、撃つのをためらったんだ]
(171) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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[―――またか。 ここにいるのは守られるべき存在でもなければ助けられるべき存在でもないって示すために、 僕は帽子のつばに手を当てた。目が見えやすいようにちょっぴり引き上げる。
目の前で相手をしているのが何者か目に焼き付けてから死ねばいい]
――っ!
[そして僕は敵に飛び掛かったんだけど、飛んできたナイフに邪魔された。新手だ。 二人の位置は微妙に離れていて二人一緒に間合いに入れられなさそう。
ってか、ほんとに30人出てきたらどうしよう]
(172) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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そう、知らない子達ね。 なら何のためらいも無く殺せるわね。
[そう言って笑いながら、右手には先ほどの戦闘から抜き身のまま持っている日本刀があった。]
(173) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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[だが、次には頭を振る。 そう、それどころではない。
このことを、きちんと報告せねばならない。 あの孤児院での連れ去られた面々が、吸血鬼化している可能性…。
そして、通信器を弄り、連絡をとろうとする。
>>169癖のある声は駐屯地通信施設に向けて…]
――……通信しまず こちら、第二諜報部・サミュエル団……。
[その声はどこに通じたか]
(174) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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サミュエルは、通信の返事がない?
2014/02/10(Mon) 23時半頃
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──ごめん。
[短い宣言は、背後の円へと向けたもの。 しかし直円へ言ったようにも取れるかもしれない。
機動隊と鬼の衝突は未だ続いているけれど、 地の利も機動力も勝る機動隊に 鬼達は徐々に数を減らしている。
その中心で、絢矢は母に似て来た目許を伏せ、 次に視線を上げた時──]
鬼は──、殺す。
[機械か人形を思わす、 感情乏しい眼差しで直円を見た。]
(175) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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ええ、この人たちなんて知りませんよぉ。 僕の知人では……断じてぇ!ありませぇん。
[ジャキッ、ジャキッ。 両腕に鈎爪を装備した。悪意に満ちた形状の。 そして、ゆっくりと身を屈める。害虫のような姿勢だ。]
僕の軍功になる予定のぉ!葱を背負ったぁ!
カモだぁ……。
[瞳は狂ったような赤。狂っているのか。 狂うようにすることで、何かを振り切っているのか。]
(176) 2014/02/10(Mon) 23時半頃
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