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嫌じゃないって、言ったよう?
[少し怖気づいたことを棚に上げて、唇を尖らせた。けれど、「今したって」という言葉と伸ばされた手にやっぱり少しおどおどして。
耳を掠めるように頭の後ろを撫でられると、安心したように肩の力を抜いて、ヨーランダの肩に頭を預けた]
う、うん。ちょっと、怖いの。
ネルの体が、ネルのものじゃなくなるみたいな感じがしたの。
……うん、嫌だったわけじゃ、ないんだあ。
[掛けられる言葉に同意するように目を閉じてこくこくと頷く。
耳に触れられるとぴくりと体が震えたけれど、口付けされた時のような刺激はないので目は閉じたまま]
探す?
でもヨーラ、しっぽないし。
[ネルは耳としっぽが敏感みたい。だけど、ヨーランダには耳はあってもしっぽはない。
ぱちりと目を開けて首を傾げた]
ふふ。うん、そうだったね。
[謝ってしまうともっと駄目かなと思って、唇を尖らせるネルの頭をそっとなでた。おどおどする様子にはくすくすしながら、そんなにだったんだ、と思い至る。
安心したように身体を預けられて、こちらも安堵して。そっと、優しくなでて、心が落ち着くように。しばらくそうする。少しだけ、自分もネルの肩に身体を預けて]
そっか。うん、そうだよね。なんだかぞくぞくっとして。
俺もちょっと、そんな気分になる……。
[耳に限ったことではなかったけど、頷いて]
誰のものになっちゃうんだろう。ふふ。
[少し笑いながら、耳に触れただけでこうなっちゃうんだったら、もっと触れたらどうなっちゃうんだろうと考えてしまって、恥ずかしくなって固まってしまった]
え? うん。
[ネルの声に、我に返ったように]
しっぽは……うん。ない、ね。
[なんだかちょっと考えてしまってから、そう答えて]
あ。けど髪が尻尾代わり。……にはならないか。あはは。
[少しごまかすように笑って]
けど耳とか首とか、目元とか、きっとこそばゆそう。ふふ。
ネルはやっぱり尻尾も、敏感なのかな。
[見えるなら尻尾を見て、訪ねながら。なんとなく自分の尾てい骨に触れてみる。もちろん尻尾はないけど]
[撫でられる手が優しくて、伝わる体温になんだか安心する。
ふわんと口元に緩んだ笑みが浮かぶ]
ヨーラも? おんなじ。
[恥ずかしい。けれど嬉しい。ヨーランダと一緒だと思うとくすぐったい気分になる]
誰のものになるのかなあ……?
ヨーラ、の?
[ネルの思うようにならないネルの体。そうさせているのがヨーランダなら、ヨーランダのものということになるのかも。
そう考えると、ちょっぴり怖いけど、なんだか悪くない気もする。
そんなことをふわふわ考えていたから、ヨーランダが固まってしまったことには、気づかなかった]
髪はダメだよう。だってネル、だいじょうぶだったもん。
でも、ヨーラの髪、綺麗で、ネル好き。
[へにゃっと笑ってそう言って。こそばゆいと申告されたところをじいっと見つめた。
そんな風に言われたら、確かめたくなってしまう]
しっぽ?
よく、わかんない。
……あっ。
[言ってから、失言だと気がついた。確かめようかと言われてしまいそう。
誤魔化すように、ヨーランダの背中をしっぽでぱたり]
ふふ。なんだか落ち着くな。
[お互い身体を預けあう形に、そう呟いて。ゆっくりとネルを優しくなでる]
うん、おんなじ。ふふっ。なんだかくすぐったいね。さっきからずっと。
[恥ずかしくなってきて、思わず前を見て、少し俯いてしまう]
……おれ、の?
[そう言われると、もっと、なんだか変な気分になってきて。胸も熱くなってきてしまって、息を吐いた]
ふふ。じゃあ。俺はネルのになるのかなあ。
[自分を落ち着かせるように、そう言って]
そ? ああ。そうだね。
なんだかちょっとくすぐったそうだけど、髪自体は分かんないもんね。
[笑みを見せながら]
ふふ。嬉しい。俺もネルの髪、すきだな。
[髪質は正反対といっていい感じかもしれないけど、そう言って、ネルの髪にまた、少し口付けた。じぃ、と見つめる意図には、あまり気づかなくて。不思議そうにしながら、ネルを見る]
ふふ。うん。そっか。
[微笑みながらも、尻尾自体は、何か勝手に触れるのは躊躇われて。特に何もしないまま、尻尾でぱたりとされて、笑う]
くすぐったいよ。ネル。
[言いながら、ぎゅっと、ちょっとだけ強引に抱き寄せる]
うん。なんだか、安心するの。
[えへへ、と照れ笑いしながら言って、続く言葉にうんうんと頷く]
くすぐったい、けど。でも嬉しいの。
お揃い!
[くすくす笑ってそう言うと、ヨーランダは俯いてしまった。不思議そうに首を傾げる]
うん、ヨーラの。
ヨーラは、ネルの?
……ふふ、なんか、変な感じなの。
[くすぐったい。でもなんだか悪くない気分。さっきからネルの顔は緩みっぱなし]
えー? ネルの髪、ヨーラみたいにさらさらじゃないよう?
全然言うこと聞いてくれないし。
[唇を尖らせてそんなことを言って、跳ねた金色をちょっとつまんだ。
ぱったんぱったんしっぽではたくと、強引に抱き寄せられて、きゃあ、なんてふざけて声を上げたけど、本当はとてもどきどきしている]
お揃い!
[そう呼んで、顔を上げて、ぴょんと座ったまま、少し飛ぶように]
ふふ。うん、くすぐったいよね。
[そっとネルの手を取って、また、自分の胸に手を当てながら、ネルの胸にもそっと伸ばして]
そう? ネルは俺ので、俺がネルので。ぐるぐるしちゃうね。ひよこと卵、みたい。
[くすくす笑う]
ふふ、いいじゃない。そんなネルの髪も、好き。
[いとおしそうに、口付けて、それから撫でて、抱き寄せる]
ふふ。ネル、女の子みたい。
[きゃあ、と言う声に、言いながら、その目を見て]
さっきから女の子だったけどね? えっと、最初から。
[なんだか言い方がまずかったかな、と慌ててフォローする]
えっと、その。
[きゃあと言う声に、どきどきしてしまったとはなぜか言えなくて、どう説明しようと迷いながら]
かわいかったから。
[ぽそりと言った]
[手を取られると、どきどきして。
ヨーランダの手がネルの胸に伸びるのにも、どきどきした。
どきどき、どきどき。手のひらから伝わるヨーランダの鼓動と、うるさく鳴るネルの鼓動。
重なって溶けてひとつになって、どっちがどっちかわからなくなる]
うん、ぐるぐる。
ふたりなのに、ひとつみたい。
[本当にひとつだったら、こんなにどきどきすることなんて、ないんだろうけど]
好き? そうかなあ。
でも、ヨーラが好きなら、いいかな。
[はにかみながらそう言って]
……むむ?
[続く言葉に首を傾げた。けれど、慌てたように言葉が続くとあはっと噴き出す]
そうだよう! ネルは女の子です!
……って。
[けれど、ぽそりと告げられた言葉に、真っ赤になった]
そんなことないよう。
そんなこと、言われたこと、ないもん……。
[もじもじしながらぼそぼそとそんなことを言って、俯く]
[どきどきが、すごく伝わってくるようで]
すごい。……どきどき。
[そっと、思わずその胸を包むようにしてしまって、慌ててやめて。それでも、胸の音は聞いたまま。ちょっと、手が汗をかいていた]
ぐるぐる。どきどき。
ふふっ。
うん、混じってて、二つなのに、一つ。混ざったり、重なり合ったり。ぐるぐる。
[もう片方で、ネルの手も取って、自分の胸にも導きながら、目を瞑って、微笑む]
うん。元気で、かわいいネルにぴったりだよ。
ふふっ。うん、ネルは女の子。
[頷きながら、笑って]
だって。……すごくどきどきしたもん。さっき。
[ネルの言葉に俯いて、あかくなりながら]
ん、だったら、今から一杯言う。ネルはかわいい、よ。
かわいい。
[また少し、強く抱き寄せて、けど、優しく髪をなでて、そっと、耳元で、力強く言って。撫でる手が少し、頬を伝って。そっと、頬に口付けた]
[ものすごくどきどきしていることが伝わってしまって恥ずかしい。
でも、ヨーランダもどきどきしてるから、いいかな、とも思う]
ヨーラも、どきどきしてるの。
えへへ。
[あっちこっち気ままに跳ねている髪も、ヨーランダがそう言ってくれるなら、好きになれそう。
でも、また可愛いと言われて、あわあわ]
どきどき? ヨーラ、ネルにどきどきしたの?
でも、ネルもヨーラにどきどきしてるの。
……あうう。
[また可愛いって言われた。そんな風に言われたら、どうしたらいいのかわからなくなる。
あわあわおろおろしていると、口付けが頬に下りてきて、思わずぎゅっと目を瞑った]
うん、どきどきで。倒れちゃいそう。ふふ。
[胸の音を感じたまま、少しネルにもたれかかって、笑う。そっと、ネルが気にしているらしい髪を静かに撫でながら。また跳ねてしまうけど、気にしない]
うん。した。どきって。
……あんまりかわいい声を出すもんだから。
その前からしてたけどね。ふふっ。
[頷いて]
わぁ。ふふ。嬉しいな。お互いが、お互いをどきどきさせて、どきどき、お互いにどきどきしてるんだね。
……嬉しいな。
[また、ネルの髪を優しくなでながら。そうして頬へと口付けを落とした。ぎゅっと瞑る目には気づきながら、それでも、口付けて。髪や耳のときよりは少しだけ、強く、2.3秒]
ふふ。ネルの味。におい?
[少し悪戯気に言って、離れて。目が開かれたら、それを見て、にっこりと笑う]
……嘘だあ。
[だって、楽しそうに笑っているヨーランダは、ネルの目にはヨユウシャクシャクに見える。
いっぱいいっぱいなのは、ネルばっかり。
だけど手のひらからは、ヨーランダのどきどきが伝わってくる]
ネルばっかりどきどきしてるみたいに、見えるの。
なんでかなあ。
[ネルはちょっといろいろ顔に出すぎなんだろうか。唇を尖らせて少し考える。考えてもどうにもならないけど。
そしてまた、頬に下りてきた唇にどきどきする]
あ、あじ!?
[顔から火が出そう。向けられた笑顔を恨めしそうに睨んで、ちょっと仕返ししたくなった。
ぎゅうっと抱きついて、唇を落とすのは、さっきくすぐったいかもと言われた首筋]
ふふ。本当。
[また、ネルを抱き寄せて、お互いの手から、どきどきを伝える]
なんでだろう。ネルはきっと、素直なんだよ。
だから。
……それに、なんだろう。ちょっとでも余裕ぶらないと、冷静じゃなくなっちゃいそうで……。
[少し、うずもれるような体勢になりながら、恥ずかしげに、そう言って]
ふふ。うん。あーじ。
[恨めしそうな顔に、にこりと微笑む顔は、余裕そうに見えても、その実すごく赤くて]
わっ。
[抱き疲れてびっくりした声を出しながら、首筋に口付けられて]
〜”う、う”。
[声にならない声を上げながら、悶える]
はう、
[ネルの唇が離れたら、少し涙目で、そちらを見るだろう]
素直? うー。
なんか、負けてる気がする。
[口をちょっと曲げて言うけれど、恥ずかしげなヨーランダが見られたら、少し満足。そんな満足も、味発言で吹っ飛ぶわけだけれど]
…………えへへ。
[首筋に落とした口付けは、ある意味自爆攻撃で。
真っ赤な顔でちらりと見上げると、涙目のヨーランダと目が合った。
少し赤い目元にますますどきっとする。
男の人なのに、なんだか色っぽい]
ヨーラの、味っ!
[どきどきするのを誤魔化すようにわざとちょっと偉そうに言うけれど、ネルの頭からも湯気が出そう。
へったりと垂れた耳が、ネルにも余裕が全然ないことを伝えている]
[しばらく何かを言おうとして、うまく言葉にならなくて、口をぱくぱくさせて、それから、落ち着いたと思ったら、味、と言われて。更に真っ赤になる]
……ううう。ネルぅ。
[ぎゅっと、それ以上目を見ていられなくて。勢いのままネルを抱きしめて。色の混じった息を吐きながら、何とか落ち着こうと、息を整えるけど、近くにいるネルを感じてしまって、なんだか逆効果で]
はふ。
[熱っぽい目でネルを見ながら、おかえしに、その首筋に口付けた]
[とっても動揺しているヨーランダを見ると、少ししてやったりな気持ちになる。ネルにも全然余裕はないけど。
どきどきさせられっぱなしだったのだから、これくらいしてもいいと思っている]
えへへ。なあに?
わっ。
[恨めしげな声に、ちょっと優越感を覚えつつ返事したけれど、ぎゅうと抱き締められたらそんな余裕はなくなった]
よ、ヨーラ……?
[ネルに届くヨーランダの吐息が熱い。それがネルを落ち着かなくさせる。よくわからないけど、ぞわぞわする]
え?
[ふと目が合った、その瞳が、吐息と同じように熱っぽくて、どきりと心臓が跳ねる。射抜かれたような、気がした]
にゃぁっ!?
[ネルは人狼なのに。首筋に降りてきた唇に、上げたのは猫のような悲鳴で。
背筋を抜けていくぞくぞくした感覚に、思わずヨーランダにしがみつく。しっぽがぶわっと膨らんだ]
……ん、ネルぅ。
[しがみつかれて、ぎゅっと抱きしめて。熱は収まらないどころか、余計に帯びてしまって
もう少し、もう少し、と首筋に何度か、口付けを落として、結果的に、少し舌でなぞる感じになってしまって]
……なんだろ。俺。おかしくなっちゃった。みたい。
[そうぼそりと呟いて、なんとか顔だけ、ネルから離れて。にこりと微笑む。その顔も、目も、相変わらず熱っぽかったけど]
あんまり抱きつくと、危ないよ?
[言いながら、ぎゅっと抱きしめて、ネルの首と肩の間に、顔をうずめる。相変わらず、息は、熱い。どきどきは、もうどうしようもないくらい、伝わっていくだろう]
あ、あ、やだあ……。やっ、嫌じゃないんだけどっ、だ、だめ。
あうっ。
[首筋に、何度も何度もヨーランダの唇が降ってきて。ネルがネルでなくなりそうな気がした。ネルの体なのに、どうにもならない。
反射的に拒絶の声を上げてしまって、でも嫌がっていると思われたくなくて必死で訂正して、なにがなんだかわからなくなる。
ヨーランダの唇も吐息もとても熱くて、触れられたそこから、ネルの全身も熱くなっていく]
……はあっ。
[ヨーランダの顔が離れて、ようやく大きく息を吐く。ネルの瞳も熱っぽく潤んでいる]
ネルも、おかしいの。
ヨーラ、熱い、よう……。
[荒い息を吐きながら切れ切れの声でそう言って、危ないという意味がわからなくて首を傾げる。
危ないと言いながら、強く抱き締めてくるヨーランダはとても矛盾していて、でもそんなことももうわからない]
やだ。
[危ないと言われてもしがみつく。ぎゅうっとしがみついて体を支えないと、ネルを保っていられない気がした]
嫌じゃないけど……?
[言われながら、止めようとしたり、けれどむさぼる様になってしまったり。自分でもなんだかよく分からない
熱く熱くなっていくのはネルも同じで、そんなネルをもっと見たいと思ってしまって。何とか、離れて]
熱い、ね。すごく……あつい。
[ネルの熱さと、どきどきと、息の上下と、全て感じながら]
……ん、すごい。ネル、かわいい……。色っぽい。
[潤んだ目元に思わずそう言って、けどそう言う自分の目元も、きっとそうなっていただろう]
ふふ。一緒だね。一緒に、おかしくなる?
[膨らんだ尻尾にも気づいていて、なんだか自分の尻尾もさっきから危ないのだけど、気にせず抱きしめていた。そっと、その頬を手にとって。潤んだ目でネルの目を眺める]
……ん。
[やだといって、しがみつくのに、こちらもぎゅっと抱きしめて、その体重が心地よくて、酔ってしまいそうで、ネルを見つめる]
熱い、よ?
ネル、変なの。
[潤んだ瞳でそう訴えて、けれど戻ってくるのは熱っぽい眼差し]
い、色っぽ、い?
ネル、色気より、食い気なのに。
[荒い息を吐きながら、そんな色気のないことを言ってしまうのは、やっぱりネルで]
ヨーラ、も、おかしいの?
一緒?
[なんだかヨーランダの目は酔ってるみたい。多分ネルも酔ってるんだろう、と思う。ヨーランダという、男の人に]
嫌じゃ、ないよ?
でも、ちょっと、怖い。
[ネルがネルのものじゃなくなる。ヨーランダのものになるなら、それもいいかも、なんて思う気持ちも半分。
でも、やっぱり怖い気持ちも半分。
だけど、ネルの頬に触れるヨーランダの手は優しい]
ヨーラ、は?
ヨーラは、どうしたい?
ふふ、そうだね。変みたい。
[そっと、眼差しはそのままに、撫でて]
うん。色っぽい。食い気があって色っぽいだって、あるんじゃないかな。
[ちょっとだけ、和みながら、笑って、抱きしめる]
うん。一緒。
[そっと、また、首元に、口付けて]
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