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[一緒になれば何不自由ない生活が待っている、
なのに姿を消す理由は何だ。
きっと相手の男に唆されたに違いない。
助け出さなければ。そう思った。
始めて恋をした女が、別な男を愛していた。
その事実を旦那様は、受け入れる事が出来なかった。
見付けだしたマーガレットは、酷い姿だった。
甘やかされて育った良家の末娘が、
慎ましやかな村の生活に容易く馴染めるはずも無い。
やつれて、疲れ切って、身体を壊していた。
パーティー会場でたおやかに笑っていた彼女とは
まるで別人だった]
[けれど、それでも、彼女は幸せだったのだろう。
連れ戻そうとする旦那様を拒んだ。
構わず無理矢理連れ戻そうとしている所に、夫が戻った。
旦那様は激昂して、その男を殺した。
連れ戻したマーガレットは泣き暮れて、次第に衰弱し、
旦那様の屋敷で程無く息を引き取った。
旦那様は、マーガレットの死を受け入れられなかった。
その死に顔は、旦那様が恋に落ちた
美しかったマーガレットとかけ離れていたから、余計に。
「死んだのはマーガレットでは無い」
と言い出し再びマーガレットを探し始めた。
何処かに僕のマーガレットが居る筈だ、と。
旦那様は少しずつ、狂って行った]
[代わりに差し出されたのはマーガレットの娘だった。
生まれて間もない、マーガレットに似た女の子。
妻は身体を壊し、夫は治療費を稼ぐために朝から晩まで働き詰めで、娘は、孤児院に預けられていた。
マーガレットが最期まで娘の事を話さなかったのは、夫の様に、危害を加えられる事を怖れたためだろう。
けれど結局は見つかってしまった。
旦那様はその赤子を、マーガレットの生まれ変わりとして育て始めた。
それとは別に、家の為の形式的な婚姻は必要だった。
赤子が育つまでは、
両親祖父母は流石に待ってはくれなかった。
そうして迎えた妻は、大層嫉妬深い女だったから、
マーガレットに何かあってはいけないと、乳母に任せて
この屋敷で、ひっそりと育てさせる事にした。
身代わりのマーガレット。それが私。
マーガレットの娘のマーゴだなんて、酷い手抜き*]
[頭を打った女性は気を失っただけだったようだ、
首を絞められた女性も旦那様が手を離して程無く、
派手に咳込んで、嘔吐いていたから、死んではいないだろう。
二人を連れて行ったのは私を引きずり戻した男性、
汚れた部屋の片付けをしていた女性は、
私をお風呂に入れた残りの一人だろう]
「話し合いはお済みですか?」
[4人だけだろうか、そう思った矢先に声を掛けて来たのは、
全く別な燕尾服の男性だった]
(随分と大所帯でいらしたのね)
[それとも、一度逃げ出したからこそ、
急ぎ呼び寄せ増えたのかもしれない。
屋敷を逃げ出す道は、やはりない。
ならば生から逃げる道を…ぼんやりと考えた]
[投票先を、と、おばあ様に急かされて考える。
サイラスと、牧師様と、あの女の子…確かレティーシャと名乗っていたか。
あとはケーキ屋さんのご家族と、…レティーシャに出逢う前に逢ったあの女性、名前を教えてくれた、ノーリーンさん。かみさまがもう居ない事を知らない私は、彼も避けたいと思った。
あともう一人、お姉さまの名前を、私は知らない。
けれどあの店の踊り子だと伝えれば通じるだろう。
避けたい人が随分と居る事を思いだして、
死にたがっていた心が揺らぐ。
けれどどうせ、もう会えないなら、同じ事]
避けたい人はいるの、けれど、それ以外は、良く判らなくて…
[ならばその全員を教えてください、
そう言われて口を開いて…言葉に詰まった。
サイラスの名前を挙げて、旦那様に伝わるのが、怖かった]
村で暮らしてきた人の中に、
紛れ込んでいるなんて思えないわ。
…確か、旅の方が来ているって、聞いたの。
だから、その人に――…
[お話ししたい、なんて思っていた気持ちは、
最早私の中には残っていない。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
心の中で見知らぬ誰かに何度も何度も謝った。
けど、サイラスを護りたいの。
人狼からでも、処刑からでも無い、……旦那様から*]
―回想:深夜の来訪者―
[男に触れられるのは嫌だと、そう思っていた。
けれど、彼が私を抱く事など無いだろう。
そう判っていたから、触る位、いっそ構わないと思えた。
自分で死ぬことも出来ない私の救世主。
神様でも、天使様でも無い、彼は多分きっと、狼さん。
犬に見える人間じゃなくて、人間に見える狼なら、
例外だと考えようと、そう割り切って。
芳しい薔薇と…微かに鉄錆に似た匂いがした。
鋭い牙が肌を裂き肉に食い込むその感触に
最初にサイラスを受け入れたその瞬間を思い出して、
ふるりと身を震わせ甘ったるい吐息を零した]
[その後は、まるで現実とは思えない光景だった。
物語の1ページに迷い込んだみたいで
現実味が無くて、ただ茫然と見惚れていた]
……――まぁ、綺麗。
ねぇ?……―――。
[時を経て少しだけくすんだ、白い壁紙に赤が咲き乱れる。
心の中で彼の名を呼んだ。
今宵、死が二人を別つ。
けれど、私はこれからもずっとあなたを想い続ける。
心は貴方の傍に、いつまでも、いつまでも。
ねぇサイラス、貴方も思い出の私を、
いつまでも愛し続けてくれるでしょう?
愛してるわサイラス、あなただけを、何時までも…]
[失血に伴い、次第に遠ざかる意識の中、
夢見るように紡ぐ想いは執念に近く、
まるで呪いの様だと、気付く理性は
愚かなまでに初恋に狂う女の中には、もう残っていない。
苦痛や恐怖を凌駕する、喜びが其処に在った
永久の眠りへと堕ちて行く――……*]
―回想:素敵なお茶会?―
[二人きりの生活には広すぎる食堂で、
二人きりで使うには大きすぎるテーブルの端で、
此処は私の住む屋敷。
私の使いなれた銀食器を使って
何故だか牧師様が食事をしている。
私はその対格にお行儀悪く頬杖をついて、
その光景を眺めていた。
テーブルの上には横たわる私。
なんてへんてこな、夢]
[
牧師様は無邪気に笑うから、
私はその隣で、拗ねていると伝わる様に、
頬を膨らませて見せた]
あらまぁ、酷いわ牧師様。
お茶会でも食事会でも何でも良いけれど、
私と、の催しのつもりなら、
私の分の席とグラスを用意して下さらないと…。
[けれど牧師様に、私の姿は見えないみたい。
声だって届かない。
けれど仕方ない。
だってこれは、夢だもの…]
[眠る私は、そうと望んだ通り、綺麗な顔をしていた。
彼が見る最期に、相応しい顔をしていた。
そんな私を
お礼代わりに彼の頬へと触れぬキスを贈った。
この姿を彼が見たら、如何思うかしら?
美しいと、思ってくれるかしら?
私だけの王子様を。
けれど愛のキスで目覚めさせて欲しい訳じゃない。
私を愛するが為に嘆き、悲しみ、
そして私を彼の思い出に、美しい侭に焼き付ける、
その瞬間を、待ち侘びて、
もう鼓動を刻まぬ胸が、けれど弾む心地を覚えた。
ああ、早く彼が訪れないかしら。
私だけの王子様、愛しのサイラス**]
―回想:王子様の訪れ―
[
待ち侘びた瞬間へのカウントダウン]
私は此処よ、早く迎えに来て!
[眠る私の傍ら、
テーブルの上にお行儀悪く腰掛けて居た其処から飛び降りて
くるりとバスローブの裾を翻して、踊る。
そして、ふと気付く
あらいやだ、私ったら、こんな格好。
でも良いわ、綺麗な顔で眠れたから。
贅沢は言っちゃいけないもの。
心の中で、彼を呼ぶ。ねぇ早く、早く。
こっちよ?ねぇ早く、迎えに来て]
[随分と遠回りをする彼に焦らされながら、
けれど待つ時間も心が弾む
愉くて素敵なものだと、初めて知る。
彼の焦燥が、伝わってくる。
それはそのまま、私への想い。
「迎えに行ってあげたら宜しいでしょうに、
全く、意地の悪いお嬢様だこと」
姿は見えない、おばあ様の声が聞えた気がした。
軋んだ音を立てる扉。そうして、足音が近づいてくる。
5.4.3.2.1.……0!!]
[愛していると、
応えてくれた時と同じくらい、心が震えた。
深い悲しみは、それだけ私を愛してくれている証拠]
ああ、すてき。
もっと苦しんで、もっと悲しんで!
もっと聞かせて…――私の為の愛の歌を。
[最初はそうして歓喜していたけれど…
けど何故かしら?心が痛むの。
浮かれていた心が、沈んで行く。
蹲る彼をそっと抱き締めて、
けれどその体温にはもう触れられない]
[生きて居たら、きっと
こうして顔を見る事も叶わなかった。
私を喪った悲しみに嘆く、その姿を見る事も無かった。
抱き締める事も出来なかった]
これで、よかったのよ、ね?
[もしかしたら、
もう一度巡り合って、もう一度抱き合って、
寄り添って、愛を囁き合って、
…いつか、醜い私を知ってしまっても、
受け入れてくれる日も…訪れたかもしれない、なんて、
抱き締めて、微笑んでくれた彼を思い出して、
そんな、夢みたいな有り得ない可能性に縋って生きて、
何度も、何度も絶望し続けるより、これで、よかった筈、
けれど、もしかしたら、
もしかしたら―――……]
[
もしかしたら、なんて、考えた所で、
もう、総て、終ってしまった、
終る事を望んで、足掻くことなく終らせてしまった。
夢みたいな有り得ない可能性の欠片すら、消えて、
もう何一つ、叶わない]
……、…ねぇ、サイラス。
私、間違ってしまったのかしら――…?
[けれど、彼には言葉は届かない、
もう、時間は元には戻らない]
……いやな、ゆめ。
[ぽつり、溜息交じりに零して。
正しく幽霊屋敷の主となった、少女の姿は、掻き消えた**]
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 早口言葉 ダイミ―前日:村― (13) 2015/04/23(Thu) 07時半頃 |
【人】 早口言葉 ダイミい…っ! (14) 2015/04/23(Thu) 07時半頃 |
―前日早朝・処刑場―
[チャールズは「神にも人狼にも見捨てられた」と言った
けれど、「レティーシャ」もメアリーも、話を聞こうとしてくれていた。
フランシスカは顔をみせに来てくれた。
人には見捨てられていなかったのではないか。
もっと早く、執着を捨てて心ある人に目を向けていれば、孤独に押しつぶされ、滅びを望むことなどなかったのかもしれない。
違う未来を望んでも、今更おそい。]
メモを貼った。
メモを貼った。
ー現在・祭壇ー
[私の下に、私がいるの。
ふわり、ふんわり。
足は地面についていなくて、何かから抜け出した感覚。]
……やっと、死ねたのね。
[なんでそんな事が口についたんだろう。分からないな。
あと、もう一個だけ分からない事があるの。]
最後迄ありがとう、「もう1人の私」。
[向かい合ったことはないのに、一目で分かったよ。どうして目の前にいるのかはよく分からないけれど。
ね、「もう1人の私」。]
メモを貼った。
[とうとう時間がやってきて、首に縄をかけられた。
荒い縄の感触はざらざらと不快で、肌に当たるたび頭をそらす。けれど、それが生きている証。
薬師の女にはせっかく命救われたと言うのに、老いた彼女より先に死ぬ事になってしまった。
詫びたいけれど、当分詫びられる場所には来ないでほしい。
見物人の中にチャールズの姿を見つければ、目を細めてそちらをみやる。]
何をごまかしていたのでしょうね。
[小さく呟いた。
ごまかし方にたけているのだと男は言った
穏やかな笑みでごまかし続けてきたことは、ただ人狼であることだけなのか、それとも?]
[いずれにせよ答えを聞く事は叶わない。
村長の指示で、足場の箱は奪われて――
愚かな女の生涯は終わった**]
【人】 さすらい人 ヤニク― 3日目・広場 ― (18) 2015/04/23(Thu) 12時頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク― 4日目 ― (19) 2015/04/23(Thu) 12時頃 |
【人】 さすらい人 ヤニク[村の奥にある屋敷を出て、歩いていれば。 (20) 2015/04/23(Thu) 12時頃 |
メモを貼った。
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