126 生贄と救済の果てに〜雨尽きぬ廃村・ノア〜
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―現在・???―
[降り止まぬ紅き雨の中、ソフィアは歩く。 決して急がず、しかしその足取りはしっかりと目的を持って。
…焦って走り回ったとしても、探しモノは見つからないだろう。 今、体力を無駄にするわけにいかない。 だから、消耗しない程のギリギリの早足で。]
[その足の向かう先にあるもの、 少女が目的としていることは――
――ホレーショーの『殺害』。]
(5) 2013/06/21(Fri) 20時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/21(Fri) 20時半頃
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―回想・今より少し前、森にて―
[広場を離れ森の奥へ、強力な魔法が発動された場所まで早足で駆ける。>>74 ホレーショーが森に消えてから、どれほど時間が経っただろう? ヤニクを刺した後は気が動転していて、森の中をどう移動したのか、時間も記憶も曖昧だった。]
(…初めて。初めて、人を刺したんだ……)
[身を護るため、魔物を攻撃することはあったけれども。 会話の成り立つ相手、意志や感情の顕著な”人”を傷付けたのは、これが最初。]
(6) 2013/06/21(Fri) 21時頃
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[さくり。と
これまで対峙してきた硬い毛皮や甲殻と違って、柔らかな感触が手に伝わる。
レイピアはいとも簡単にヤニクの左手を突き抜け、その先の感覚器を破壊した>>63。]
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(7) 2013/06/21(Fri) 21時頃
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(ヤニクさんを刺したことは、本当に正しかったの?)
(彼らが私達の敵だとしたら、)
(どうして…)
(どうして…?)
[戦う姿勢を見せず。むしろ無抵抗でさえあって。
剣を構えるソフィアに対して投げられたのは、 円環ではなく、真実を求める言の葉…>>51]
(8) 2013/06/21(Fri) 21時頃
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[悩みながら辿り着いた先が広場だったのは何の因果か>>4:69。]
[ここに置いていったのは、 ――迷う心。躊躇う心。>>4:73]
[でもそれは、 正しい判断を下すために、必要なもので。]
[…きっと。 正解を求めて、ここに取り戻しに来たのだ。]
[だが今は、その"心"の在り処が、何処かわからない――>>4:74]
(9) 2013/06/21(Fri) 21時頃
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[わからなかった。
何が、正しいのか。 誰を、信じたらいいのか。
自分は、どうしたらよかったのだろう。 この先、何をしたらいいのだろう…?]
[拠り所を失くした思考は、ふわふわと彷徨う。
縋るように探した姿は、 何時も優しく見守ってくれたヴェラだろうか、 力強く頷きを返してくれたホレーショーだろうか…]
(10) 2013/06/21(Fri) 21時半頃
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― 回想・廃屋で ―
[それは、廃屋を出る前のこと。 運んだ遺品の中にあったのは、未来を詰めた皮袋。>>4:82]
[また、涙が溢れて。 最後に、ヴェラの頭を撫でてから、その場を後にした。]
(11) 2013/06/21(Fri) 21時半頃
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[光の柱が立ち昇ったと思しき場所を目指したのは そこで何かが起きただろうという確信もあったけれど、
――心の何処かで、光を、 明るい未来の存在を、求めたからかもしれなかった。]
[…しかし実際に、そこに着いてみれば。]
[派手に荒らされた泥濘。 たくさんの魔物と人の足跡。
雨にも関わらず周囲の木々は焦げ付き、 水溜りだったものには氷が張っている…]
(12) 2013/06/21(Fri) 21時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/21(Fri) 21時半頃
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― 現在・廃屋→ ― ッりゃァァッッ!!!
[4人の魔法使いが戦い、3人が命を落としたこの場所。 血の臭いに引き寄せられた下級魔物達が、大挙して押しよせてくる。]
[円月輪の欠片を開放して、投擲し、まとめて狩っていく。 大分消耗したであろう、供物の修復を行いながら。]
(13) 2013/06/21(Fri) 21時半頃
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[戦いの、跡。 それはあまりに明確で、疑いようもなく。]
[――しかし何も。 何も、残されてはいなかった。]
[遺体の一つも。遺品の一つも。
それがあったことを示す跡はあるのに、 まるで世界には、ソフィア一人しか存在しないかのように――]
[一体ここで、何があったというのだろう。
…何か。何か手掛かりを。 懸命に泥濘を探すけれど、雨で流れた地面に残るものは少なくて。]
[しかし、ふと顔を上げれば。 かなり遠いが、ふらりふらりと人を背負い歩く人影>>4:100]
(14) 2013/06/21(Fri) 21時半頃
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ていうか、何で私が追いかけなくちゃいけないのよ! ムカツク!!
[追いかけているのは、私の勝手だけれど。 姿を見せたと思えば、見つけたと思えば、すぐに居なくなるホレーショー。]
[3人の魂が、自分の右腕に宿っているならば。 自身とヤニクを除けば、残るのはソフィアと彼のみで。]
[ホレーショーから聞けた言葉は、『殺し合わないと…生き残れない』>>4:4。その言葉だけ。]
貴方が魔物じゃなかったら。 やるべき事は、『対象』を殺す事。 殺し合う事じゃない。 やっぱり……そういう事なのよね?
(15) 2013/06/21(Fri) 22時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/21(Fri) 22時頃
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[ふわりと、ブーツを使って"飛ぶ"。 その人影の背後、木々の後ろに音もなく。
何事か話しているようだが、気付かれないように少し距離を取ったため、声はくぐもり聞こえづらい。]
[見えたのは、酷く傷付いた誰かと、涙を流すコリーン>>4:103の背で、 地面に横たわるその人をぎゅっと抱きしめ、彼女は何事か囁いて、]
(16) 2013/06/21(Fri) 22時頃
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[その右腕に何かが流れ込むのを、
――それが、死に瀕した魔法使いに対して向けられる行為であるということが、 離れた位置にいる少女にもわかるほど――
とても強い力が彼女の腕に宿るのを、ソフィアは感じた。]
[相手が誰なのかは、ここからではわからない。 しかし。 泣きながらその命を奪ったコリーンは、魔物には見えない…]
(17) 2013/06/21(Fri) 22時頃
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(彼女が魔物でないとしたら。 敵ではないとしたら。
……私がしたことは。)
[コリーンが"人"であって欲しいという気持ちと、 自分が犯した間違いを認めたくない気持ちと。]
[真実を確かめたくて、コリーンの後をつける。 遺体と遺品を大事に背負い、コリーンは村の方へと―近くの廃屋へと、それらを運んでいく>>3]
[彼女が廃屋を後にしたのを確認して。 ソフィアはその中へと、入っていく。]**
(18) 2013/06/21(Fri) 22時頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2013/06/21(Fri) 22時半頃
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[その時、僅か耳に届いた悲鳴>>4:106 びくりと身体を震わせて。]
[赤い雨を跳ね上げて、全力で駆け戻る。 ヤニクと別れた、廃屋目掛けて。]
[そこで見た光景は。>>2]
……何やってんのよ。
[震える声、涙声で声をかける。 ――……私こそ、何やってんのよ。 隙をついて、攻撃するべきなのに。**]
(19) 2013/06/21(Fri) 22時半頃
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− 村の中で −
[ヤニクの僅かに上下する胸元に右手を置いて贄にしようと 手を開き掛けて、動きが止まる]
……あのお人好しの馬鹿が助けたのは…お前なのか。
[底なしのお人好しだった。 彼が禁忌を犯したと言う噂を聞いたのはいつだったか。 しかも見知らぬ子供を助けたと言う。 もうその時には俺は魔に堕ちていたかどうかすら。 思い出せない。
ただ、今ある感情とすれば羨ましいと言う感情か。
助けたかった命を助ける事が出来た魔法使い。 どれだけ禁忌と言われても、代償を払っても。
俺の出来なかった事を成し得た魔法使いが羨ましかった]
(20) 2013/06/21(Fri) 23時頃
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自分を犠牲にしても…助けたかったか……。
[俺が魔に堕ち、大切な者の記憶を失っても 得たかったもの]
(21) 2013/06/21(Fri) 23時頃
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[自分の名前を紡がれても返す言葉はない。
廃屋を後にしたコリーンは、集まってきた魔物を己が供物で切り払いながらホレーショーの元へと向かう。]
……。
[真実に至った彼女はこれからどうするのだろう。
ホレーショーを庇おうとした背中を思い出す。
目の前にいたのは魔物なのに、彼を想っているように思えた行動。
―残る魔法使いは、彼女を含めて三人。
結末が近い。]
……バカじゃねぇの。
俺なんか、助けて。
結局、なんも出来なかったよ。
あんたみたいに強くなんて、なれなかった。
[傍にある気配は、いつも共に在った魂]
[見覚えのある、大きな背中]
長生きしろ…って言われたけどさ、
……ダメだったっぽいや、うん。
[情けなくて、悔しくて]
[こんなところでぽろぽろ泣いてるのは、やっぱガキだ]
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[贄にする筈の右手は動かない。
右腕と『聖杯』に奉げた魔の俺がヤニクの命を求め、 飢餓の声を上げる。 その本能とも言うべき声にまだ従わないのは、 恐ろしく冷静な俺が、ある事に気付いてしまったからだ]
(22) 2013/06/21(Fri) 23時頃
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―いつか・廃屋の外で―
[亡骸と遺品を残し、コリーンが廃屋を後にする。
右腕に宿るヴェラも、当然彼女と共にある。
去り際、ふと捉えた、その場所へと入って行く人影……。
コリーンは気づいていなかったのかもしれないが、右手はちゃんと彼女を見ていた。
無事だったな、の後に続く言葉は、氷の魔物への確信]
……お前だったのか。ホレーショー。
まったく。そうと言ってくれれば手加減などしないものを。
[こんな状態なのだから、偽りの強言の1つくらいは、許して欲しくれと求めたい。
何もない廃屋に入って行くソフィアが、あの魔物だとは思えないのだから。
声をかけてやりたかったが、魂はどんどん彼女から離れて行く]
弱いままでいい。
[ヴェラは、ぽつりと呟いた。
群の中には、力を持たないものもいる。だから、外敵が現れたなら、父親の狼が前に立ちはだかり家族を守る。
癒し手のソフィアは確かに重要な能力は持ってはいるが。
ただ、自らを弱いと名乗るのとともに、折々感じていた自信のなさから、父親の背に隠れている子供の狼を想起してしまうのだ]
弱いままでいい、が。
[父親が倒れたら、母親が立ちはだかる。母親が倒れたら、年長の子供が立ち上がる。
強い者から、弱い者へと、その立場は引き継がれ……だから]
精一杯、戦え。
[彼女がその場で見た光景に、何を感じるかは分からないが。
もう見えないソフィアに向けて、弱い者同士のエールを送った]*
[―やがてコリーンはその場所に辿り着く。
そうすれば、彼女の右手に宿る魂にも其処に広がる光景が見えた。
ヤニクを生贄にせんとするホレーショーの姿。
けれど、ヤニクの身体に右手を置いたまま、ホレーショーは動かない。]
…ホレーショーさん。
[名前を紡ぐ事は出来ても、自分には彼の‘声’が聞こえる故に、早く糧にとは促せない。]
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[どれだけ逡巡していたのか。 近付く気配>>19にすら気付けないほど。
掛けられた声に、 まだ上下する胸からゆっくりと右手を離す。
そして振り向くことなく、背を見せたまま]
広場で決着付けようか。
[掛けた声はそれだけで、コリーンの目の前で 氷を纏う蜥蜴の魔物へと姿を変える。
そしてそのままただでさえ脆い廃屋の壁を 突き破り、広場へと消え去った]
(23) 2013/06/21(Fri) 23時半頃
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− 広場 −
[紅い雨はまだ止まなかった。 残っていた雑魚を喰らっても、完全な回復にはほど遠い。
何故ヤニクを喰わなかったかと責め立てる様に右腕が疼く]
(24) 2013/06/21(Fri) 23時半頃
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……泣いているのか…。
[俺の行動に怒っているのだろうか。 誰が怒っているのだろうか。 俺はどうしてこんな事をしているのだろうか。
失いかけた魔力や体力の回復に記憶が代償として消えていく。
愛した女性の存在どころか。
愛した事さえ。
泣いた事さえ。
一瞬とは言え感じた幸福も、全て消えていく]
(25) 2013/06/21(Fri) 23時半頃
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[そして広場に、心無くしたただの魔物が残った]
(26) 2013/06/21(Fri) 23時半頃
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―止まった手―
[男の背に近づいていく右手の中で、ヴェラもその光景を目にしていた。
ヤニクを生贄とするのを、確かに止めていたその手。
『救済』の思考を持たないヴェラには、ヤニクは僅かに延命をしたようにしか感じなかったが……。
意図が分からず、先ほど感じた思いが形を変えて矛先を向け……ただじっとその光景を目にすることしかできなかった。
やがて、こちらに向けられる言葉。『決着』の2文字。
やがて氷の魔物と化したホレーショーは広場へ向かい……]
いかんな。一度思い始めると、気になってしかたがない。
それに……。
[ヴェラの魂は、狼を象ったまま、ふわりと浮遊する。
行く先は、先ほどの呼びかけがが聞こえた場所]
すまんが。ここ、構わないか?
[詫びや、再会の言葉を排し、共にいても? と問いかける。
この場所にはツェツィーリヤの魂も、まだ共にいたのだろうか。
ホレーショーの動きを気にかけているであろう、彼の邪魔をする気は、今のところない。
ただ、ふん、と鼻息をつき。言い訳のように付け加えた]
私は、1人でいると寂しくて死んでしまうタチでな。
[殺し合った者同士。断られたなら、当然距離を置くつもりだが。
見守る、と誓ったが。この結末を1人で受け入れるのは、弱いヴェラには少し荷が重すぎるのかもしれない]
イアンといるならばツェツィーリヤとの会話も、もちろんお邪魔をするつもりはない。
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