262 【突発誰歓RP】聖夜におうちに帰れない村
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りんと冷えた冬の朝焼けは、ひどく澄んでいた。
気付けば雪雲は遥か彼方に遠く、
何にも邪魔されぬ朝日は堂々と。
白銀に染まった世界をゆっくりと、
ゆっくりと昇りながら照らしはじめる。
目覚めた鳥の群れたちが樹上から飛び上がり、
ひぃひぃと鳴きながら横断していく。
子供達も、『サンタクロース』となった大人たちも
まだ浅い夢の中。
(#0) 2016/12/23(Fri) 21時半頃
けれども聖なる夜は明け、朝は誰にも平等にやってくる。
(#1) 2016/12/23(Fri) 21時半頃
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おーおー泣くな泣くな。 いや泣いてもええんか。 クリスマスに泣いちゃあかん法律なんざ 何処ぞにもあらへんもんなー。
[先ほどの剣幕とは真逆に、 ぺこぺこと謝り泣き始める女性。 うんうんわかるわかるで。失恋直後のおにゃのこちゅーのはメンタルがね? いやわかるんやけど、正直俺ぁ慰めのスキルにゃ自身あらへん。]
…あー、せやせや。
[何となく手の中で居心地の悪そうなペンギンの時計。 この贈り物が彼女との恋人との関係に なんかケツレツ的なアレを齎したんやろ。多分。]
(27) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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あんなぁ、確かえーっと… そ、多分あっちの橋…赤い橋があるんやけど… …の、近く……駐輪場の横。 リサイクルショップがな、あるんよ。 時々世話んなるんやけど。
そこに売っぱらっちまえばええねん。 折角ならほかすよか役に立てちまい?
[ぐい、と女性の手の中にその時計を押し付ける。 それからなお彼女の足元でてちてちとうろつく犬に しゃがみ込んでから声を掛けた]
おめさん、そこまで案内できっか?
(28) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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[汚いまだらの名無しの犬は、 鳴き声あげず、こて、と首を傾げるだけ]
…出来んよなぁ、うん、知っとる。 でもねーちゃん一人じゃ あぶねぇもんなぁこん夜中に。
んじゃ、一緒に居てやり。 犬一匹居るだけでちゃうやろ。
[な?と手を伸ばし、犬の頭を撫でる。 犬はぺろりと自分同様に汚く汚れた手を舐める。 小さく微笑んで、男は立ち上がり。 折れたビニール傘と、散らばった小銭と。 諸々のがらくたを拾い集め、 最後にスチロール板を抱え上げて、]
(29) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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ほな。 メリークリスマス、ねーさん。
[最後に一度だけ振り返ると、歩き去って行った。
勿論、相手に『人間と思われていない』なぁんて 夢にもうつつにも思わずに、だ。]
(30) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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[普通の人間と俺は、対等になれん。 対等になれんから、逃げる。離れる。隠れる。]
ゆーて、もーちぃとすりゃあ朝か。 コンビニで雑誌読んでぬくりつつ暇潰すかねー。
[そういえば夕飯食いそびれとった。 道理でひもじいなぁ、とポケットの金を確認する。 1000円札が2枚。小銭がたくさん。 ひぃ、ふぅ、みぃ………………]
あ。
(31) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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[公園の雪の上。 忘れ去られ、犬の足跡に潰れた上、 しけてふにゃふにゃになった諭吉の顔は、 なんとなく、泣き顔に見えただろう]*
(32) 通雨 2016/12/23(Fri) 22時頃
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[>>28めそめそが一向に止まらずに怯えていたら、手の中に戻るペンギン(重い)。 今となっては忌々しい、役に立たなかったオフ会の残骸。 これを、売っぱらって役に立てろ、という提案を耳にした。
もう一度、しゃくり上げて、 そこでようやく頭が冷静になる。]
……あ。
[そうだ。よく考えたら、これは結構な値打ちがしたし。 売り払えば帰りの交通費が出て余りあるだろう。
今までどうして気付かなかったんだろう。 腕の中のペンギンを見下ろした。 幸い、すっ飛んでいった際についた傷はちょっとしたものだ。]
(33) myu-la 2016/12/24(Sat) 20時半頃
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……あっ。 はい、その……あの。
[>>30とても優しかったモンスターは、聖夜の挨拶を残し、その巨体を翻して去っていった。 後に残ったのは犬っぽい影。あたしの後をついてくるらしい。 眼鏡は無くしたままなので、結局モンスターの正体は分からずじまい。
まあ、でも……。 種族が違っても分かり合える。分かってくれる。許してくれる。助けてくれる。 そんなこともあるんだなあと、別の意味の涙が溢れ出た。
忌々しいクリスマスだけど、ちょっとした奇跡のように感じる。 ——例え勘違いに勘違いが重なったとしても、だ。]
(34) myu-la 2016/12/24(Sat) 20時半頃
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[赤い端の近く、駐輪場の横。 都会のモンスターが教えてくれた場所へ向かう。 リサイクルショップはこんな時間でも開いていて、おそるおそる入り込んで、 へっぴり腰になりながらペンギンの時計(重い)を見せてみた。
もしかしたら品物がお気に召さず、センスのない田舎者は死すべしということで、 地獄の業火で消し炭にされてしまうかもと身構えたけど、 事は上手く運んで、お札を何枚か懐に入れることができたのであった。
足元でこっちを見上げてわふわふと息を吐く、犬っぽい影の頭を撫でる。]
(35) myu-la 2016/12/24(Sat) 20時半頃
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……そう、だ。 これ、おわびに……。
[手に入った金額から交通費を除いて余ったお札を数枚、犬っぽいのに咥えさせる。 諭吉ではなく、野口だけど。
お金のことはしっかりケジメをつけておくべき。と、何かの本で読んだ。 後から慰謝料を請求されて財産差し押さえされることのないように、 魔除けのような意味合いを込めて、犬っぽいのに託す。
破れたプレゼントの包装紙(重くない)の裏側に、持ち合わせのボールペンで走り書き。
『お騒がせしましたごめんなさい>< メリークリスマス』
さっき言いそびれた挨拶をメモに添えて、野口に重ねて咥えさせ。 ちゃんと届けてくれますようにと、犬っぽいのをもう一度撫でて、別れた。]
(36) myu-la 2016/12/24(Sat) 20時半頃
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[眼鏡は見つからないままだけど、もうそんなことを気にする余裕もなく、 へとへとの体を引き摺って駅へ向かう。 始発電車がもう動いているだろうか。
都会はこわいけど、なんとか生き延びた。 今はそれを喜ぶ……べきなんだろうか。*]
(37) myu-la 2016/12/24(Sat) 20時半頃
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─ 河川敷 ─
あー、さっぶ。
[ねぐらの消えた橋の下。 人目を避ける様に、男は一人。 ぬるい缶コーヒーを啜りつつ、朝日を眺める。
下流から昇ってくる朝日は眩しく、 緩やかに流れる水面の遥か向こう側。 再会を果たしたふたり>>2:63の小さな影法師は土手からも見えて、男の口をおや、と開かせたかもしれない。
んな早くから仲良ぅ散歩か。なんて。 男はその奥を、向こう側を、冬の足跡を知らない。
少しずつ、日の光があたりを温めていく。 何はともあれ、夜は越えられた。 急に力が抜けて、意識がゆるやかに消えていく]
(38) 通雨 2016/12/24(Sat) 23時半頃
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[
首輪は波に引きずり込まれ。 リードは千切られ、金具はこぼれ。 原型をどんどんと奪われていく。
]
(39) 通雨 2016/12/24(Sat) 23時半頃
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[
その首輪の中に。 飛沫をあげて飛び込んで、 勢いよく鼻先を突っ込んだのは、
まだら模様の海豚だった。 ]
(40) 通雨 2016/12/24(Sat) 23時半頃
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………おう?
[目覚めれば、足と足の間に あの間抜けな名無しの犬が座り込んでいた。 日光にしてはやけに生暖かいと思ったのだ]
おう、あのねーちゃんは大丈夫なんか。
[犬は何も喋らない。 ただ、黙って振り返った。 その口は、犬の言葉は何も語らず、
誰かの言葉を>>36、気遣いを、届けに来ていた]
(41) 通雨 2016/12/24(Sat) 23時半頃
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………何や。 余裕そうやんけ。メリーが言えるなんざ。
[口元が少し上に上がる。 見覚えのある包装紙、あのペンギンの奴やんけ。 よだれに濡れたそいつを引き抜けば、 べたりとした野口が数人、呆れ顔でこちらを見ている]
久々やなぁ。 真っ当な人からなんかもらったんって。
[焚き木に突っ込みかけていた諭吉よりも、 その野口たちは明らかに額は低いのだけれども。 それでも、随分とありがたい物に見えたのだ。
拾い物。捨てられたもの。忘れ去られたもの。 そういうものを集めて生きてきた俺だし、 そういう存在が、俺だもの。 そうじゃない、『贈られたもの』なんて。 例え金でも、なんて久しぶりのことだろか]
(42) 通雨 2016/12/25(Sun) 00時頃
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[ふと目線をあげれば。 たたん、たたん、と向こう側の橋を電車が渡っていく。 始発電車。日常が、ひとの世界が、目覚めた。 きっと子供達もじきに目覚める。 また世界は賑やかに、そして少し居辛くなるんだろう]
…さて。行くで。 同じ場所に家つくっちゃあ、 いつまた撤去されっかもわからんからな。
[僅かな荷物。丁寧に畳んだ包装紙のクリスマスカード。 それから相変わらずどんくさそうな、気まぐれな犬を連れて。
男は歩き出す。川沿いを、ずっと、ずっと。]**
(43) 通雨 2016/12/25(Sun) 00時頃
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[朝の列車に揺られながら、緊張の糸が切れる。 視界はぼやけたまま、眠気がどっと込み上がり。 窓の外、白んでいく朝の景色も碌に見れなかった。
とんだクリスマス・イヴだった。 これから家に帰って、ネットの友達に連絡を取って…… 先のことを考えると途方に暮れるけれど。
まあ、何も得られるものがなかったわけじゃない。とは、思う。 ブルーな気持ちは、今の空の色よりは薄い。
うとうと、心地良く揺られながら微睡み、すぐに思考を手放して。 クリスマスの朝、冒険を終えて帰路に着く。
そして。 ……また寝過ごして、今度は反対方面の知らない駅に降り立ってしまうことに—— なったかもしれないし、ならなかったかもしれないけど。
いずれにせよ、それは聖夜の後のおはなし。**]
(44) myu-la 2016/12/25(Sun) 00時半頃
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