156 カイレミネ島の雪
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[マドカが冬将軍だと知ったら、マユミはどんな顔をするだろう。 あの、従姉妹を妹のように思っている。人一倍優しい少女は。
冬将軍を、許せないと言っていた。 けれどマドカの言葉が。70年前の話が本当なら。冬将軍を眠らせればマドカも一緒に眠ってしまう。
苦々しい顔で、はぁ、と詰めていた息を吐き出した。]
…………。 言っても信じてもらえるかも、わかんねぇよなぁ。 俺が冬将軍で、嘘をついてるって思うかもしれん。
[冬将軍を望んでいた様子のトレイルが、冬将軍がマドカだと証言したところで後押ししてくれるとは思えない。モニカと自分の二人で、どこまで信じてもらえるか。 それは、マユミに限ったことではなく。島の誰もがそうなのかと思うと、再びぞくりと背筋が震えた。]
(53) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[重い気持ちで部屋に戻ろうとし。
――――くらり。
また、軽く視界が揺れて壁に手をついた。 頭を振って目を開ければ、いつも通り。なんなんだとまた首を傾げながら、部屋に戻った。]
(62) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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[>>58部屋から出てきた泣いているトレイルを見つければ、近づき。幼い震える声で引き止められ、その体を引き寄せると緩く抱きしめた。 この家と同じ。まるで、少年で時間を止めてしまったような。
子供をあやすように、ぽんぽんと頭を撫で。]
行かねぇよ。 傍にいてやるから、もう寝とけ。
[再びトレイルを寝台へ押しこんで冷えた体に毛布を掛けると、傍の椅子に腰かけ。 もしマドカとモニカの行方を聞かれれば、ゆるく首を振って。外が吹雪で追いかけられないことを伝えた。 そして。]
(65) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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さっき邪魔したことは、謝らねぇから。
お前は待ってたのかもしんねぇけどな。 取り込まれそうになりゃ、全力で止めようとする奴がいることと。 取り込まれたら泣く奴がいるってことは、覚えとけ。
[自分とマユミ。そしてモニカ。それ以外にも、息を切らせて呼びに来たケヴィン、様子を見に来たクリストファー。こんなに、気にかけている者がいるのに。]
……誰も、代わりになんてなれねぇ。 それは、お前も同じなんだぞ。
[気にかけてくれる者が何人いようと、足りないのかもしれない。 診療所の前に並んだ雪だるま。昔この家で感じた空虚感を思い出し。自分が代わりになんてならないこと、なれないことの無力さを、黙って飲みこむ。 静かにとつとつと話しながら、いつかの記憶のようにその手を眠るまで握っていた。]*
(68) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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― 翌昼・トレイルの家 ―
……けほ。
[寝台の傍でそのまま眠ってしまった後、明け方の寒さに震えて目が覚め。空いていた客室を借りて仮眠を取れば、目が覚めたのは昼過ぎだった。いがいがする喉に、軽く咳をして起き上がる。 診療所では、そろそろ薬が出来た頃か。 トレイルの部屋を覗けば、目を覚ましたところのようだった。>>80]
(88) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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おう、ちゃんと起きたな。
[マドカに、冬将軍に取りつかれそうだったのを思い出し、安堵する。 きょろきょろ見回すトレイルに近づけば。伸びてきた手に、服を握られる。覗きこんでお願いしてくる顔は、どこか不安そうで。 いつものように茶化そうとしたが、あまりに頼りないその様子に黙って頷いた。
昨夜の心細そうに引き止める声と。お兄ちゃん、と謝る幼い様子に不安はまだ消えない。]
……今日はえらく、甘えん坊だな。
[飛び出していったマドカや、診療所の様子も気になるが。それらをひとまず押し込める。 ここでトレイルを放っておいたら、あとでマユミにどやされる気がした。]
(89) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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