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[ひゅるり、風が吹く
風は感じるのに、髪が浮く事もなく
私の肌は、風を感じるのに
風が触った時の、くすぐったさは感じない
ああ、私はただ空を仰ぎ
口から出る音楽にのみ、魂が乗る
ああ、私の瞳は赤い月を映すのみ
音を聞く耳はあるのに、音が皆死んだように静か]
あ――――…
[さぁ、私は気がつくだろうか
もし何かの音が、私の耳に届いたなら
私は彼女に気がつくのだろう]
[歌が止んで、ピッパのくちびるから声が漏れる
………ピッパ!
[娘は堪らず名を呼んだ]
ん…――――
[私の名を、呼ぶ声がする
深く深く、地の底から…――――
いや、地の底じゃぁない 私が高い所にいるんだ
ああ、そうだ この声は、あの子の声だ]
なんだい、マーゴ
[ふわり、そこから飛び降りる
飛び降りたら、死ぬような高さなのに
今は、まったく怖くなかった気がする]
[高い樹の上から飛び降りるのが見えれば
娘は慌ててピッパ
死んだ実感がわいたといっても
条件反射のような行動だったから
気づけば動いていたというのが正しい。
ふわり、と舞うピッパに目を丸くした。
危なくないのだと知れば安堵の息を漏らし]
逢いたかった。
[微かな笑みを浮かべてみせる]
ピッパは歌が上手なのね。
やっと、ちゃんと聴けたわ。
[素敵だったと素直な感想を彼女に伝えた]
逢いたかった…――― ?
そうか、随分逢わなかった気がするな
[伸びた彼女の手に、きょとり
なんだろう、なんだかおかしい
何がおかしいのか、わからないのに
何かおかしいのは、よくわかるんだ]
歌? ああ、歌か…―――
そういや、ちゃんと歌った事なかったな
[彼女の感想に、少し気恥ずかしさを感じ
だんだんと、私が元に戻る
ぼーっとした頭のまま、彼女に手を伸ばすんだ
朧な感情の中にある、寂しさが埋まるよう]
【人】 記者 イアン―夜の森 >>101 >>129― (133) 2010/08/07(Sat) 01時半頃 |
[優しくてあたたかな人。
失いたくなかった存在。
疑問符付きの返しにこくっと大きく頷く]
たった一日のはずなのに
逢えなかった時間がとても長く感じる。
寂しかったよ。
[あの時の喪失感は心寄せていた故のもの。
それを寂しさと表現して]
……うん。
だから、聴けて嬉しかった。
ピッパの声、私は好きよ。
[耳に心地好い歌声を思い出すようにゆるく目を細める。
伸ばされた手に返す仕草は抱擁の其れ。
生者には触れられなかったけれど同じなら触れられるだろうか]
【人】 記者 イアン―アレクサンデル家 >>131 >>134― (138) 2010/08/07(Sat) 01時半頃 |
一日…――――
そっか、一日逢わなかったか
[一日も、たったのか
月は今もそこにあり、昨日もそこにあったのに
私の赤い月は今もほら、空高く輝いたままなのに]
寂しい想いさせたな、悪かった
[何が悪かったのか、私にはわからない
記憶に霞がかかり、思い出す事が出来ない
わかるのは、彼女が暖かかった事]
ん、そっか
聞きたかったら、いつだって歌うよ
[魂同士ならば、きっと触れられる事だろう
抱擁に、感触があるかはわからない
ただ、魂が記憶した人肌の温かさくらいは、感じるはず]
【人】 記者 イアン―アレクサンデル家― (143) 2010/08/07(Sat) 01時半頃 |
私には特別長い一日だった。
……ピッパは悪くないよ。
それに、また、逢えたから、それで十分。
[あの時、見ていることしか出来なかった。
守るといったのに動くことが出来なかった。
何も出来なかった自分が悪いと思いながら
其れを口にしないのは彼女の死を語りたくないから。
自分も死んでいるのに、おかしい、と
心の片隅で思いながら言葉を綴る]
やっぱりピッパは優しいよね。
またピッパの歌が聴きたい。
ねぇ、私にも、……歌えるかな?
[おずおずと彼女に教えを乞うてみる。
触れるぬくもりはきっと彼女の心のぬくもり。
寂しさを埋めるようにぎゅっと抱きしめて
顔を上げて彼女を見詰める娘の顔は何処か幸せそうだった**]
【人】 記者 イアンあっ!そうだ! (148) 2010/08/07(Sat) 02時頃 |
メモを貼った。
ん…――――
いくらでも逢えるよ 同じ場所にいるんだもの
[そう、彼女は、私は、ここにいる
本来は、悲しい事なはずなのに
自分自身の姿を知らない私は、そう綴る
同じ場所にいる事を、悲しむ必要があるんだろうに]
優しい、のかな
[彼女を抱く私の手、私を抱く彼女の手
ああ、なんと暖かい事だろう
体の温もりは、心に届かないものなのに
魂だけのこの身だからこそ、心が直に暖まり
幸せそうな彼女の顔が、私の心を直に掴むから]
うん、きっとマーゴも歌えるさ
私が教えてやるから
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
[彼女の希望に答えようと、私は歌う
彼女を抱いたまま、彼女の温もりを体中に感じながら
肉体を失った虚ろな存在が、喉が無いから魂を震わせ
耳がないから心で聞いて、曲に乗るのは本当の感情
生者の歌は、死者の歌に敵する事など出来ないんだ
心の籠った歌どころじゃない、心が即ち歌なのだから]
ノックの音聞こえたら 今夜は舞踏会
紅のドレスにしようか 貴方が望むなら
風の記憶追いかけて 雲の様に舞い
森の鼓動聞きながら 川の様に歌うよ
夜空に散る水晶は 紅や蒼に輝き
張り付いた女神の矢が 今日はとても眩しい
手を取り合い歌いましょう
暁が 私を 迎えに来るまで
【人】 記者 イアン―アレクサンデル家・地下書庫― (155) 2010/08/07(Sat) 02時半頃 |
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 記者 イアン―アレクサンデル家・地下書庫― (157) 2010/08/07(Sat) 02時半頃 |
メモを貼った。
メモを貼った。
【人】 記者 イアン―真昼の森― (166) 2010/08/07(Sat) 10時半頃 |
【人】 記者 イアン−真昼の森>>172− (174) 2010/08/07(Sat) 13時半頃 |
[どくんと、あるはずのない心臓が脈打つ感じがする
彼女の髪の香りすら、感じる気がする
そっと彼女の頬に伸ばした手が届いたのだとしたら、彼女の柔らかさすらも感じる事が出来るのか
潮が満ち、月が満ちるように 私の心の奥底の、からっぽになった井戸の中 暖かさと優しさが、満ちる事はあるのかな
もっと近くに、もっと深くに、もっと奥に、もっと、もっと
私はもっと、温もりが欲しい
彼女を感じる事の出来る部分が、出来るだけ多くなるように 体全体で擦り寄る私の事を、彼女はどう感じるだろう]
悲しい歌聞こえたら 今夜も舞踏会
今日も一つ一つと 足音は消えて
炎の矢すら追いつかず ただゆらめくのみ
剣より槍より 君に捧ぐ踊りを
大地に散る星々は 夜の闇にとらわれ
流れを知る女神の目は 今日もやはり美しい
手を取り合い踊りましょう
暁が 貴方を 迎えに来るまで
此処にいればまた逢える。
[魂となって留まる理由は何だったか。
心残りがあったのかもしれない。
遺してきた者の事が気になった。
これから先の事が気になった。
儀式で犠牲となった目の前にいる彼女の事を
ずっと気にしていたから――]
ピッパは優しい。
自分の考えをしっかり持っていて
大事なのが何かをちゃんと知ってる人。
[村の考えに染まらずに己の考えを持ち
それを貫いた彼女に憧れのような感情を抱いていた。
彼女のぬくもりを手放す事が出来ずに
寄り添いながら歌い始めた彼女の調べを心で感じる]
[ピッパが歌えると言ってくれたから
娘は彼女の教えを受け止めおずおずと音を奏でる。
心に響き心を揺さぶる彼女の調べに添えるは仄かな彩り。
直ぐ傍で聞く彼女の歌声に胸が締め付けられるようだった。
娘の眸に映るのは彼女の姿。
眩しげに目を細めるは歌う彼女の美しさに見惚れるから。
彼女の繊手が頬に触れる。
心がくすぐったいような甘さを感じた。
彼女の手に自らの手を重ね伝えるのは心の温度]
手を取り合い踊りましょう
暁が 貴方を 迎えに来るまで
[心にぽっかりとあいた穴。
彼女の存在を感じてその虚無感が消えてゆく。
ピッパがいる事が何よりも心強く嬉しかった**]
― 失われた記憶の欠片 ―
[娘にとって最後の巡礼の夜
ヘクターに誘われて娘は彼の隣を歩いていた。
疑う事を知らぬ娘は人ならざる者の手を取る。
娘の手よりも幾分大きな男の手を握り――
そう、手を繋いで歩く気恥ずかしさもあって
男が柊の木がある場所以外に向かっている事にも
気付けなかったのだ。
不意に始まる話
心を読まれたのかと驚いてヘクターを見上げる。
何故か此方を向いて呉れぬ彼の横顔を見詰めた]
家柄なんて気にしない、けど……
[兄のように慕っていた彼だから
支えとなりたいと言ったのだけれど。
伝わっているのか如何か不安になる]
― 失われた記憶の欠片 ―
如何したの……?
[確かめるようなヘクターの言葉
首を傾げてそれから ふ、と淡い笑みを浮かべた]
――…信じたい。
私はヘクターを信じてる。
[仮令何者であろうとも娘は目の前の男を信じていた。
心を伝えようと言葉にするのだけれど
彼にそれは届いていただろうか。
抱き寄せられる娘の肩が緊張からかぴくと跳ねる。
見詰める眸に何も言えなくなって塞がれるくちびる
とくりとくりと奏でる自らの鼓動。
高鳴っている事を知られるのが恥ずかしくて
羞恥に染まる頬が月明かりのもと晒される]
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