162 絶望と後悔と懺悔と
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[与えられた聖水銀の最初の一杯に 少女は躊躇なく手を伸ばした。
細い、棒きれのような手には 大きすぎるくらいのコップを顔の前まで掲げ]
“ ”
[唇を微かに動かし いつかの──目指す『その日』を思い浮かべ 咲き初める桜のような、淡い笑みを浮かべた。
息を詰めて、満たされた液体を飲み干す。 雫の一滴さえ残さぬように。
これが──少女の見せた、最後の笑み。]
(326) 2014/02/09(Sun) 10時頃
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― 試練 ― [苦痛に悶えてそれでも打ち勝てたのは、負けたくないという思いと、何よりサミュエルの声が聞こえていたから>>319。 その時は意識になかったが、抱き締めてくれている間>>320の言葉は、確実に支えになっていた。 無意識に暴れてその爪がサミュエルの頬を傷つけてしまった。 呻き声が漏れ、堪えるために何処かしら噛んでしまったことも、その時は気付かなくて。
先に経験していたとはいえ、サミュエルがそうしてくれたことを知って感謝した。 彼が傍にいなければ、あの長い夜は終えられたかは分からない。**]
(327) 2014/02/09(Sun) 10時半頃
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>>327
大丈夫だったが?
[朝、目が覚めたなら、ほっぺたに絆創膏をつけた姿で、キャロにオレンジ色のジュースを差し出した。 それが、オレンジジュースでなく、人参ジュースなことは、きっと誰もがもう知っていること]
おまーも、つよがっだんだな。
[聖水銀を少しずつ飲む。 それを決心したとしても、その試練は必ずしも超えられるものではない。 実際、乗り越えられず、冷たくなった者、 試練中に暴走し、飛び降りて命を落としたケースもあると、きいた。
自身もひどかった。 だが、その時、浮かんだのは、あの時の場面。
ホリー・ニルヴァーナとマユミが業火の中で…]
(328) 2014/02/09(Sun) 11時頃
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――……あとは、身体をつくっでいぐだ。 おでも細いけど、おまーもでっがいほうじゃねぇべ。
[実際、キャロの力は想像以上に強かった。 服越しにでも噛み付かれた肩口は、肉が抉りとられそうになっていたけれど、それは見せずに]
がんばっただな。
[試練を乗り越えたものは、決して多くはない**]
(329) 2014/02/09(Sun) 11時頃
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─ 現在・帝都守護部隊隊員養成所 ─
[夜明けを待つ訓練場。 地平線は藍から東雲へと色を変えつつある。
他に人のいない、ガランとした空間に 響く──規則的な風切り音。
空気はまだ蒼い。 吐く息の白さごと空間を真横に切り裂くのは 刃のない訓練用の模擬刀。
それを握る腕は、五年前と較べ、 細くとも靭に伸びた少女の右腕だった。]
(330) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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[左の腕には模擬刀を収めていた白鞘を握り、 規則正しく、淡々と、澄んだ樋鳴りを重ねてゆく。
纏う装束は膝上まで裾を断った小袖。 色は烏羽。
死者を悼む黒に近く──しかし決定的なそれを否定した色合い。
小袖の袖を翻し、少女は只管に空を刻む。]
(331) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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[『聖水銀の試練』の日より、 少女は着物を好んで身に付けるようになった。
あの日──全身を千々に裂かれるような痛みの中で、 少女は幾つかの消し去りたい記憶を取り戻した。
家を出た父の末路。 母の乱心。
────己の犯した、その罪を。
紅に嘗め尽くされ崩れ落ちた孤児院とは違い あの桜と菖蒲の咲き乱れる不可侵の庭園は 今も何処かで穏やかに朽ちているのだろうか。
幼さ故に、断片的な記憶には謎も多いけれど。
少女は──父と母の名と貌と、 兄になる筈だった人の名前を思い出した。]
(332) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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[試練に耐える夜、痛みを感じたのは躰のみならず。 真に引き裂かれそうだったのは心。
四と十一の歳、 己の頬を叩いた血飛沫の温かさが 忘れようにも忘れ得ぬ血汐の腥さが 何度も、繰り返し少女を責め立てた。
同室の少女は、側にいただろうか。 深夜、縋る相手を求めて彷徨い出す手を 少女は己の肩に爪を立てて留め、 枕に顔を埋めて声を殺した。
くぐもった呻き声は時折数名の名を成し 夜明けを前に、遂に震える腕が虚空へ伸びた。
その手は最後、誰かに掴まれたように一度震え、 不意に脱力し、寝台に落ちた。]
(333) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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[この日、枕に吸わせた雫を最後に、
少女の眼から──涙は涸れた。**]
(334) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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[うとうとと微睡んで居たところで扉をノックする音、 >>296どうぞと少女を迎え入れて話を聞いた]
我が部隊では、君の入隊を歓迎する。 よく決意してくれた。
無論厳しい訓練も試練も待ち構えている。 それでも、構わないのだね?
[自らの道を選ぶその決断を、まだ幼い少女にさせる それがどういうことになるか知らない訳ではないが 今はただ、彼女の決意を尊重する]
――何にでも……な。
[少なくとも吸血鬼の餌になる未来はこれで無くなる、 たとえ顔見知り、兄弟、親友、愛する人そのどれもが 吸血鬼になっていたとしても殺せる力を*]
(335) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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アヤワスカは、イアン(安吾)の訓練の最中も、表情を変えることはない。
2014/02/09(Sun) 13時頃
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―回想―
――……男の子はいいなあ。
[そう昔のことじゃない。 食堂の椅子に座って、ちらりと理衣を見ながら言ったことがある。 少女が理衣に主張するところを要約すると以下だ。
先日殴り合いの喧嘩(ではないと言ってた気もするが) >>315をしてた二人は、いつの間にか仲良くなっていたし。 サミュエルとだってやっぱりいつもどうりに仲良しで、 言い合いとかしててもなんだか楽しそう。
そしてこんな主張をしたのは、 サミュエルと少し喧嘩したからだということは、 理衣なら気づいていたかもしれない]
(336) 2014/02/09(Sun) 14時半頃
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「二人って仲がいいよね、 ……もしかして昔から知り合い?」
[切欠はサミュエルに向けたそんな言葉だ、 彼の答えをなんだか少し、言葉を濁すような素振りに感じたのだと思う。 ちょうど「女の子だから」を理由に、あれこれ制限され始めた時期だった。
過敏になってたせいで、些細なことで拗ねた。 男のたちだけで秘密を持ってる、仲間はずれにされた。ずるい。 多分、そんな気持ちに振り回されて、もういい、と席を立って、 それからサミュエルとほんのり気まずくなった。
後から反省して謝った、何で拗ねたりしたのか、 それが「さみしさ」のせいだったなんて気づいてなかった*]
(337) 2014/02/09(Sun) 14時半頃
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―むかしのおはなし― [器用だなあ、と思ってた。 その手が生み出すものは綺麗だったり、楽しかったり。 器用でちびちゃんたちの面倒見もよかったキャロライン。 怪我が多かった円は彼によく包帯を巻いてもらってた]
いくらキャロくん器用でも、 自分で手当てするのは難しいものね。
[>>312 彼が小さな怪我をしたのは、ガラスの破片のせいだ。 装飾品作りに使えないかと持ち込まれた、綺麗な蒼い色硝子。 それを拾ってきたのは自分だ、橋の近くにあった廃教会]
(338) 2014/02/09(Sun) 14時半頃
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[木造で壁もはがれてぼろぼろで、 窓も割れてあまり人も近づかない場所だった。
――もうこの町の神様は死んでしまったのだ。
そんな風に思ったのを覚えている。 それでも割れた窓から差し込む光の筋はとても綺麗に、 床に広がる割れて散った色ガラスを照らし出していた。
ステンドグラスは知っていた、何が描かれていたのは知らない。 白い硝子もあったから、その蒼は天使様の衣かもしれないと、 そんな話をキャロラインにした。]
私のせいで怪我したようなものだもの、 お礼なんていいよ。
[そう言って、お礼のことは忘れていたけれど。彼に渡したあの色硝子は何かに生まれ変わることが出来たのだろうか、と。時折、そんなことを思い出す*]
(339) 2014/02/09(Sun) 14時半頃
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―回想・帝都守護部隊養成所―
[入隊が許された頃。 訓練が終われば焦燥と怒りにまかせ、自分を苛むように木刀を振り、精も根も尽き果てては泥のように眠る。
――そんな日々を、ただ繰り返していた]
(340) 2014/02/09(Sun) 15時頃
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[今日も木刀をひたすらに振り回し、やがて体力を使い果たし地に伏す。 既に日は暮れ周囲は昏い。空には白く輝く満月。 月光の下、倒れたまま呼吸を整える周の上に不意に影が過ぎる。
ふと其方へと首を向ければ、いつの間にか傍らにやって来ていたジャニスと視線が交錯した]
(341) 2014/02/09(Sun) 15時頃
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――ハイムゼート教官。 [起き上がろうとすると、ジャニスに手で制される。 だが、さすがに寝たままという訳にもいかず、半身を起こした。 何故、誰にも相談せずに独りで木刀を振るのか。 問われれば]
安吾兄――。 津久居教官……だけじゃなくて、 他の教官にも、面倒かけるわけにいかねえ――いきませんから。 [そんな、殊勝な答えを返す。 孤児院を襲撃した金色の鬼――始祖との戦いで、帝都守護隊は大きな人的損害を受けた。 教官役の隊員は訓練生の世話以外にもするべきことは幾らでもある]
(342) 2014/02/09(Sun) 15時頃
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[答えたのは理由の半分に過ぎない。 だが隠しているつもりのもう半分の理由――焦燥と怒りなど、疾うにジャニスは見抜いているだろう]
――……。
[ジャニスは僅かに考える素振り。 そして、見て覚えろとばかりに剣術の基本となる歩法を示す。
知らしめられるは武の精髄の一端。弱き人間が鬼と戦う為の術。
やってみろ、などと言われるまでもない。 今、目の当たりにした技術を血肉にせんと立ち上がる*]
(343) 2014/02/09(Sun) 15時頃
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―帝都守護部隊養成所―
[訓練終了後、日課の独り稽古を始める。 ジャニスに教えられた歩法を脳裏でなぞり、ゆっくりと型をさらっていく。 一頻り型をさらい、呼吸を整えて水を飲んでいると、稽古が一段落するまで待っていたらしい、キャロライナに声を掛けられた>>295]
組手の稽古? ……ああ、俺は構わないぞ。 [申し出を快諾し、模擬刀を構える。 実戦さながらの訓練を日々行えるのは偏に聖水銀の力によるものだ]
いくぞ。 ――――っ。
[互いに剣を向け合うや否や。裸足の足で地を掴み、蹴る。 撃ち込み、捌き、また撃ち込む。
周の口から零れるのは荒い呼吸の音だけ。 気合も掛け声なく、己の全てを得物の切っ先に込め、キャロライナの動きを全身で捉えようとする*]
(344) 2014/02/09(Sun) 15時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/09(Sun) 15時頃
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― むかしのはなし:hands ―
……?
[僕はアマネにーさんの手を握ったまま首を傾げる。>>248 物好きってことは僕がやってることは変なのかな。怪我したところに「いたいのいたいのとんでいけー」って言うかわりみたいなものだって思ってたのに。 僕はただ、僕らのために身体を張るアマネにーさんに何かをしてあげたくて――]
……じゃあ、アマネにーさんはさびしい時誰とこうしてるの。
そんなこと言うなら、……行っちゃえばいいんだ。その人のところに。
[僕はアマネにーさんに勝手なことを言ってしまったと気付けない。 くるりと後ろを向いて、駆け込むのはいつも寝ているベッドのある部屋*]
(345) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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双生児 ホリーは、メモを貼った。
2014/02/09(Sun) 15時半頃
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―回想・サミュエルについて―
[黙って首を横に振ると、食堂に微妙な空気が流れた。 これまで好き嫌いをした事がなかった子供が、 初めて何かを食べる事を拒絶した。
サミュエルが作った野菜が初めて食卓に載った日の事である]
……、……
[態度の変化に、好き嫌いを窘める声よりも なんで? と疑問視する声が多く上がった。 だから言った。]
かわいそう
[小さな畑を手入れして育てた事を知っていた。 知ったから、今まで食べて来たその他の全部が そうやって、誰かが大事にしてきたもののように思えた*]
(346) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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−マドカ夢― [マユミに教わりながらリッキィや絢矢、女の子たちで作った色とりどりの衣装をきた子供達。 ふんわりとしたシフォンの布は理衣とサミュエルがどこからか仕入れてきてくれたもの。
手先が器用なキャロライナと明之進が作った銀紙星の飾りを手に持って、直円が作ってくれた台本道理にちょっとしたお芝居を交えて歌う。 周や涼平大きなお兄ちゃんが達がつくってくれた舞台の上で跳ねて。
ほら、零にぃ みてみて!
キャッキャと声を立てながらわらってる幼子 きっときっと零露は喜んでくれる きっと]
(347) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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[だけど
ねぇ、ジョージ気を付けて… デメテルそんなに跳ねたらあぶないよ
だってだって
踊る子供達 ――ぐらぐら揺れてる頭 高くなる歌い声にあわせてくるくると回り出す]
(348) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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[――ダメッ!
いつかキャロライナが読んでくれた絵本 壁の上からおちる卵の怪人
間に合わない 間に合わない
ジョージに手を伸ばしたらデメテルの頭が落ちる デメテルの頭を受け取ろうとしたら ハナの顔が地面に落ちる
Humpty Dumpty Humpty Dumpty All the king's horses and all the king's men Couldn't put Humpty together again]
(349) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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[届かない、間に合わない 足もとに転がる子供たちの顔 あの時の吸血鬼たちの顔が暗闇に浮かぶ
叫びながら目覚める 恐ろしさと後悔になき声を上げながら]
(350) 2014/02/09(Sun) 15時半頃
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―むかしばなし―
[>>315理依に格闘の練習をしようと提案されたとき、少し前に企てていた襲撃計画を知られたのかと、僅かに口元が強張る]
――……。
[バツの悪さもあったし、彼の出方も見たかったので、仕方なしに練習と称する殴り合いに付き合うことにしたが 理依の本気ぶりに、やはり計画に気付かれていたのだと確信するも、今更降りるわけにもいかず 最後は本気の殴り合いになってしまった。
孤児院の職員達に引き離され、これからどうしたものかと考えていると、喧嘩も襲撃計画の存在もなかったかのように、理依は気軽に話しかけてくる]
(351) 2014/02/09(Sun) 16時頃
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……ったりめえだ、踏んだ場数が違えっての。
[理依の感想に、そう口にはするが、膂力や喧嘩の経験で及ばない分、知恵を使い小技を駆使する彼は、正直なところやりにくい相手だ]
……安吾の野郎は――あの強さはおかしいだろ。 けど、次にやったら、絶対に負けねえ。
それよりも、お前、俺のこと馬鹿だと思ってんだろ。
[実際、馬鹿なのだが]
(352) 2014/02/09(Sun) 16時頃
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[痛み止めと混乱した頭のせいで ぼんやりしてよくわからなかったけど
誰かがずっと手をさすっていてくれた 私が寝付くまでずっと>>123
すこし冷たい指先 だけど触られているとほんのり温かくなる お母さんとか知らないけれど お母さんの手ってもしかしたらこんなのなかって その手がそばにある時だけは 安心した気分になって眠りに落ちた]
(353) 2014/02/09(Sun) 16時頃
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[そしてまたくりかえす悪夢 燃えていく孤児院の夢 にたにたした吸血鬼の夢 あの時扉の外にいた大きくて怖いものの夢
それでも、どうにか落ち着いた頃には ふっくらした頬は削げ落ち 瞳はぼんやりと昏く陰り まどかの幼さい表情はすっかりと抜け落ちていた]
(354) 2014/02/09(Sun) 16時頃
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―名前の話― [7年前まだようやくお箸を使えるようになったくらい頃だった。 習字の筆をぶんぶんと振り回しながら零露から教えてもらったばかりの自分の名前をなんどもなんども広告の紙の裏にくりかえし書いて遊んでいた]
えっ−とね ここは思いっきりはねるーっ
[大胆な筆さばきは自分の顔に墨を跳ねるどころか 読書のついでに子守り番をしていた直円にまで被害をもららす]
うわーっ 直円におひげー おもしろー
[相手が怒ってるかどうかも気にしないで ゲヘヘっと大笑いをして直円を見上げた]
(355) 2014/02/09(Sun) 16時頃
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