204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[ニコラの赤い唇が紡ぐ言葉もまた、透明なナイフだった。ノックスの身を抉る。]
……そぅ むず かしい……ね。
[一番大事だと囁いて。彼等が裏切らないと、信じ続けてくれると、――思っていた。
苦いものを口にした時のように、表情が歪む。]
(231) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[ニコラだけを手元に置かなかった理由の1つに、怖れがあった。
いつか彼も拐われる。 手の届かないところに連れていかれる。 いや。彼が、ノックスを置いて、
――月に帰ってしまう。
羽衣を纏えば帰ることが出来るのなら、そんなものは奪ってしまいたかった。]
(232) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[声を歌を取り戻せば、トレイルもノックスを置いていくだろう。彼に相応しいのは沢山の観衆の居るステージなのだから。
騒音を嫌い、不協和音を嫌い、音の本当の美しさを知る彼が、ノックスの何を認めてくれると?
1人だけでは駄目だった。 彼等でないと駄目だった。
平等でないと駄目だった。 双眸でないと駄目だった。
もしも、もしも。 片方が瞑れても―――…もう片方が在れば、彩の世界を見ることが叶うだろうから。]
(233) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[結局。ノックスこそが、愛し子達を信じきれていなかったのかも知れない。
大人だから、信じることの難しさを知っていた。
繰り返し与えるヌガーの甘さも絶望も。ラルフを彼等の前で愛したのも、喰らったのも。彼等の信を試すかのよう。
怒らせると分かってはいた。 けれど、怒らせたかったのも事実。それだけ彼の中に、ノックスが居ると分かるから。
トレイルの世界は、ノックスとニコラだけ。そうしたのは自分だ。なのに、他人の干渉に過敏になる。過保護になる。
トレイルの世界は、ノックスとニコラだけ。つまり、ノックスが居なくなっても――…彼の世界は、崩れない。>>222
そして、ニコラの世界にノックスが居なくなっても――…彼の世界は、崩れない。]
(234) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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―――っ
[胃の中のものが逆流した。口の中に留め、ごくと無理やりに飲み込んだ。 冷えた体に、頬に触れたニコラの手と、時折かかる吐息だけは温かかった。]
―――…
[蓋のずれた、音を忘れたオルゴール。哀れな愛の形。
哀れだった。愛しかった。
ニコラが笑う。ニコラが囁く。>>159
彼の言葉。『かわいそう』な相手。 ……あぁ、自分のことか。]
(235) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[天地が逆しまになった感覚。これで二度目だ。
ふ、と息が漏れた。]
……そう、か。
そうか。僕は、かわい…そう……なのか。
[哀れで、弱い――存在。
まるで言葉をなぞるように。 ニコラの指は唇を撫でる。]
(236) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[ドナルドの腕の中、
涙をこぼすフィリップの悲しみが、少しでも癒えればいいと思う。
ドナルドが、考えている復讐には瞳を翳らせ。
聞こえてくる慟哭を、受け止めている]
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―居間― [撫でる手から離れて、 フィリップは低く呼ぶ、ドナルドの方へ。]
――……、――
[泣く声を、抱きとめる様子を、 フランシスは胸元で手を握り締めながら、ただ、見ていた。]
(237) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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――?
[ふと、聞こえた声にゆるく瞬く。
今まで、フランシスやドナルド、フィリップたちしか視界に入っていなかったけれど。
もう一人、ディーンの姿が見えて]
ディーンさん……?
[ニコラと消えた後から、姿を見なかった人がいることに、ゆるりと首をかしげた]
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[腹の、胸の重みは変わらない。 いや、増々重苦しくなる。]
あ―― あ” がっ!
[指先が舌の上に触れた。咎める理由などない。伸びた指は奥に向かう。
引き起こされた嘔吐。>>159 先程飲み込んだものがこみ上がってきた。
――返して!
誰かに喉を締められるような感覚がした。琥珀色が何を言っているのか、聴こえなかった。]
(238) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[声が聞こえる。
ディーンは数度瞬いて、視線をゆっくりと声の方向へと向けた。
血が滲む程噛み締めた唇は、しかし傷ついた様子すらない。]
――…………君は、良いな。
愛されている。
君は、まとも だから。
[声は淡々と、平坦に響く。
ディーンの口角はほんの僅かに持ち上がった。
自嘲だ。彼を羨ましいと思う自分に対する。]
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[撫でられるたびに しゃくりあげる 一度暖かさに溶けて 堰を切った それは とても止まらなくて 額を胸につけて 声を殺し 震え続ける
こんな風に 誰かに縋って 泣いたことはなくて 縋りなれない身体は 握りしめたてと 額と 回された腕の 背中に温度を感じ ]
(239) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[耐えきれず、ノックスは顔を横にして胃の中のものを吐き出した。
胃液に混じった赤、アカ、あか。 ラルフの身に流れていた、もの。
ノックスが好きになった、もの。 ノックスが壊した、もの。
背は、黄色い液以外吐き出すものがなくなっても震え。
空っぽの胃の中に、ぽたぼたと落ちていくニコラの言葉に、不思議と満たされていった。*]
(240) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[>>222トレイルはなにを言ってるんだろう。 きょとんと首を傾いで、瞬きをする。 声が聞こえないんじゃなくて、意味がわからなかった。
ノックスはいなくなってなんかないのに。 ああ。でも、そう言うのも仕方ないのかな。 トレイルの世界は、とっても綺麗だから。 綺麗じゃなければ、トレイルは許せないから。 きっと、拗ねちゃったんだ。
思ってから。 ふ、と口元に笑みが浮かぶ。
いま、彼の世界には自分だけなんだって。 そう思って]
(241) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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焼くとこ……ペチカ?
[じゃあ、うん。わかった]
ねえ、トレイル。
[可愛い僕の弟]
僕だけが。 僕だけは、なにがあってもトレイルの味方だからね。
[行こ、と手を引いた]
(242) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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[声が届く様子に、彼は食べられてしまっているのだと思った。
ディーンの様子に首をかしげ。
羨ましがられている理由に軽く瞬いた]
……ディーンさんだって、
フランシスと仲良さそうだったし、シメオンとも……
[愛されていることは否定しない。
みんなの愛を、実感したばかりだから。
今も、嘆いているフィリップが見えるのだから]
まともだとか、そういうのは愛される理由になるのかな……
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[しゃくりあげるを宥めるように 手はフィリップの背を撫でる。]
――…今は何も我慢しなくていい。 俺が受け止めてやっから心配すんな。
フィリップ。
[額宛がう彼の顔、その頬に口許撫でた手が宛がい 指の腹は流れる涙拭うように動いて]
(243) 2014/11/23(Sun) 00時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/11/23(Sun) 00時半頃
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[顔に触れるては 見知らぬ感触 なのに 優しく拭ってくれて ああ けれど]
ラルフ……に会いたいーーーー
[言葉に甘えた もう一度 あの 優しい琥珀色と
目線を合わせて笑いたい 同じような気持ちを 共有したい いっしょに ぎゅっとしあって眠りたい 5人で 旅ができたら と 未来を考えて 互いの嬉しさを感じたい]
[ドナルドに それを言っても 困らせるのはわかっていた 短い けれど大切な時間を思い出して]
(244) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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うん……そうだね。
[ここにいるけれど、フィリップには見えない。
そのことが哀しい。
フィリップの涙が止まるように願いながら、ドナルドが慰めてくれていることにほっとしている]
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[フィリップの声>>244に ドナルドの身体が微か震える。 吐息零して隻眼をやや伏せて]
――…会いたいな。
[会えないと分かっているから余計に胸が痛む。]
(245) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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―居間―
……
[慟哭が突き刺さるようだ。 自身の身体を抱くように、己の腕を掴み、視線を斜めに伏せて、 密やかに眉を寄せた。
――様々に、よどむこころ。唇を噛む 嫌な予感。ざわつく。ぎちりと痛む。
泣きじゃくるフィリップへ 受け止めるというドナルドへ、 思わしげな視線を、向ける。]
(246) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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[会いたい。 ――唇を引き結ぶ。]
(247) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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[ドナルドも 同じように会いたいのだと 思えば こくりと しゃくりあげながら頷く
そこからは 人の心なのに 人の言葉紡げなかった ただ 同じように ラルフを失って 悲しむドナルドにすがって声をあげて泣き続ける]
(248) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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[フランシスも同じく ラルフに会いたいと思うだろう。 過保護な保護者がどれほど心痛めるかも知れるけれど 飼い慣らせぬ衝動持つ獣は その爪で、その牙で、傷つけてしまう事を怖れ]
(249) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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―フォッグ―
……
[遠くで何かが聴こえる――と、思った。 ラルフの死を嘆く声だと、遅れて理解した。
彼等はこれからどうするのだろう。
――…裁くのか?
死には死を?]
(250) 2014/11/23(Sun) 00時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/11/23(Sun) 00時半頃
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[抱きとめる温度。 甘え方を知らぬ子供のようだと思う。 実際、己よりも幼いのだろう。 フィリップのかなしみを消す術はないけれど それでもかなしみを理解し共感し寄り添う。]
――…フィリップの声、 きっと、届いてる。
[誰に、とは言えぬまま抑えて囁く。]
(251) 2014/11/23(Sun) 01時頃
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[また――慟哭を、見せてしまったら。 もっと、ドナルドを、フィリップを、 悲しみに沈めてしまうだろう。 声を潜めて飲み込んだ。
年上のものとしてだろうか、 フィリップの涙を抱きとめるドナルド。 その背に、触れて、撫でる。]
(252) 2014/11/23(Sun) 01時頃
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[ニコラは、変わらない。 大きな子供。 大事な家族 そして、唯一の味方。
ほっとして、彼の言葉に頷いた。
ペチカ そうだ、火だ。
眠る前にそこで何をされたかを 忘れてはいないけれど ニコラに利き手を引かれながら、歩き出す]
(253) 2014/11/23(Sun) 01時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2014/11/23(Sun) 01時頃
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ーーーーっ
[ドナルドの声に こくこく と 声をあげて泣きながら頷く]
[泣き続ける心と同時に 燻る黒い衝動は 本人よりも 本人の大事にしているものを 踏みにじることに意識が向いている
慈しむ 子供らと 一生隔たれて あれ
そう 呪う気持ちどす黒く]
(254) 2014/11/23(Sun) 01時頃
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[背を撫でる手の感触>>252。 その温度は保護者のものと知れる。 困ったように眉が下がる。]
……大丈夫、って、言ったのに。
[強がりを声にのせる。 情を掛けられてしまえば 泣かぬと決めたのに泣いてしまいそうだった。]
(255) 2014/11/23(Sun) 01時頃
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