270 食人村忌譚
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ミナカタに1人が投票した。
イスルギに5人が投票した。
鬼丞に1人が投票した。
イスルギは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
錠が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ミナカタ、志乃、リツ、鬼丞、源蔵の5名。
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―――…あんた、 今「ミナカタ」じゃないだろ
[良き村人の頼れる存在であるミナカタがそんな顔をしていいはずはない。この温かささえ感じる血に濡れた場所で、そんな悠長な台詞なんて、吐いていいはずがない。 それでも、どこか笑みを含んでいるような囁き>>5:33に返せたのは、それだけだった。鉈を持つ手は、それ以上あがらない。
彼がこの二人を殺したわけじゃない。 ただ、おかしいだけだ。 狂っているだけだ。 それだけで決めつけられるほど、愚かな勇敢さを持ち合わせてはいない]
(0) 2017/12/02(Sat) 01時頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 01時頃
[石動と錠の家は瞬く間に燃え上がった。
まだ息のあった石動は炎を吸い込み喉と灰が焼ける激痛に悶え。
それでも弟を庇うように覆い被さる。
少しでも暑さから逃れられるようにと。
それ一瞬だった。
玄関が火に焼かれ落ちた時だった。
外気が入り込み炎が大きく膨らみ、まるで生きているかのように二人を飲み込む。
後はもう覚えてはいない。
必死で弟に縋りつき抱き締めていた事しか。]
[鎮火した後に様子を見に来たならば全焼してしまった家と。
その家に二体の遺体を発見する事が出来るだろう。
焼け焦げてしまったその遺体を食する事は不可能だろう**]
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[ミナカタの赤く汚れる口元から思わず目を逸らせば、倒れた二人の惨状が改めて視界に入る]
鼠なんかに例えられちゃあ、 可哀想だ
[血濡れたという理由で豚小屋が使われなくなるならば、神社はどうだろう。巫女は殺され、巫女の姉も殺された。系譜は途絶え、生まれ変わりが成ったとしても、それを見分ける術はない。
二人を無事に運び出してこの場の血を綺麗に洗い流しても、もはや神社としての意味を持つことはないだろう。 それとも、人を喰らう村の神社は、最初から穢れていたのだろうか。躊躇わず、理性を振り払って、脳天目掛けて鉈を振り下ろしたほうが良かったのか。
考え込んだように見えて、その思考は刹那。 殺し合った二人の死に理由があるのなら、それを作った「下手人」がいるのならば、その肉を喰らわなければ、終わることは出来ない。>>3:17 たとえ、いつかは来る終わりが、悲劇だけでなく村の終焉だったとしても**]
(1) 2017/12/02(Sat) 01時半頃
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真剣師 鬼丞は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 01時半頃
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そうだったのか。話してくれてありがとうな。シノ
[シノから理由を聞くとシノの頭を撫でようとして]
そういう事なら、一度ススムにも話を聞いてみた方がいいかもしれないな……
[既にススムは居ないとは知らぬ男はそんなことを呟く]
分かった。シノを弔う時には必ず俺がころす 約束だ
[シノの恐らく最後になるであろうお願いにしっかりと頷いて答えた**]
(2) 2017/12/02(Sat) 14時頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 17時頃
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―― 集会所 ―― [石動、錠のふたりへ]
お前も石動も、 人を見くびるのがうまい そんなところまで似なくていいだろう
[――この場合は“人”ではなく“俺”か。
独り言ちる調子で付け加えたのは >>5:6錠の言葉に、さきにあった石動の言葉>>4:182を並べて。
結局、あにおとうとのふたりは行った。 譲歩と言い置いたそれ>>5:4を果たさずに。 あれらは、こちらの意をわかっていなかったのではなく、 汲まなかっただけだろう。 男が強制的に健を断たんとするとも、思ってなかったのだろう。 いともたやすく、背は向けられた。]
(3) 2017/12/02(Sat) 20時半頃
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慣れちゃあいるが、
――…… 本当に、 見下げるのがうまい
[ひとりになって呟き落としたそれは、 袂のうち 鞘から抜かれもしなかった短刀のもとへ滑り落ちる。
振るわれることなく、背を送った。 ――それを自問する。 殺すべきだったか。 おとうとを殺さんとするあにを殺して、 その手指を血に染めるを止めて、それで。]
[生きるすべが人より劣る体で、 ひとの情けをうけて、あしをひっぱり、生きていけと。]
(4) 2017/12/02(Sat) 20時半頃
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[それは、予想できる“錠の”いくさきではない。 集められた不具者すべての眼前に拓かれているみちだ。
罪なく人を殺す禁忌。 それがあるからこそ、不具は、片輪は間引かれずある。 ―― だからこそ、己のここに呼ばれるは温情と思った。 己も、災禍あり傷を負ったものも、ここに呼ばれるのは 周囲をようやく楽にできる機会なのだと、思って、だからこそ]
――…… それで、どう生きていけというんだろうなあ
[おろした瞼のうちに浮かばせたのは、錠だけではなく、]
(5) 2017/12/02(Sat) 20時半頃
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―― 集会所:炊事場 ――
[男がそこに訪れたときには、 弔いの肉がいくらかあって 調理をしたあとを思わしき道具が残っていた。
リツと志乃がいるなら、 なかばおざなりに声をかけ ――志乃には頬の傷は平気か、と付け加えもし
「石動は、自分の死ぬ前に錠を殺しに行った] 「錠もそれを求めていたので止めていない」 そんな、簡素な説明を二人に告げる。 それに至る一連の会話も、必要ならば、 弔い肉を椀に乗せ湯を沸かしながら口にするが。]
(6) 2017/12/02(Sat) 20時半頃
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[集会所にいた面々より遅れて 弔い肉を食し終わったころ ―― 薬湯のために時間は余分にかかっていたが―― ふいに、炊事場からうかがえる夜の空が、 煌々としていた。
人の声。 距離があり、その内容の判別もできないほどぼやけた、 火災が生じたを騒ぎ立てる ―― 村人の声だ。
集会所の葬式の世話は手伝いはしないが、 やはり火事となると騒ぐのだな ――そんなことが浮かんだのは 煌々とした明るさがあのあにおとうとの家の方面からだったのが一番の理由で、きっとあの二人に違いないと、確信にも似た得心があった。]
(7) 2017/12/02(Sat) 20時半頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 21時頃
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―― 焼けた、きょうだいの家 ――
[男がその、家の残骸の場所に着いたときには、 召集のかからなかった村人がいくらかいて、 石動と錠のとこだよなあ あれらは集会所に呼ばれていたな、などと確認を取り合っては その家の大方が燃え、枠組みにちらちらと火が残るさまをみては 延焼の懸念はないと見て ぱらぱらと疎らに散っていった。
呼ばれた者のことは、呼ばれたもののなかで。 そんな“村九分”の意識もきっとあったのだろう。]
[だから男は、そこに一人でいて、 焼けた家から零れたと思わしき 焼け焦げた木材の破片を、 靴でにじりつぶした]
(8) 2017/12/02(Sat) 21時頃
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発明家 源蔵は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 21時頃
―― 風 ――
[びゅおう、びゅおう。
悲鳴のような声を上げて風は村を吹きすさびます。
風はひとつの死体の前に像を結び、
幼い少女の姿を作りました。
まだ姉妹が仲の良かったころ。
巫女になる前の想いでの残滓]
……姉さん、姉さん。
[無残にもかち割られた頭を撫でて、
優しい声音で少女は囁くのでございます]
頑張ったわね、つらかったわね。
私はずっと見ていたからね。
姉さんがどんなに頑張ったか。
どんなに不安な中、ひとりで戦ったか。
すごいわ。姉さんは、私の自慢の――……
[無邪気な少女は、起きることのない姉に語り掛けます。
ずっと、ずっと。風は止むことはありません]
―― 風 ――
……櫻子。私の可愛い櫻子。
[吹きすさぶ悲鳴のような風の音は、
やがてひとりの名前を呼ぶ声となるのです]
櫻子、あなたは最期までとても綺麗だったわ。
私たち、家族になれたのよ。
幸せね。とてもとても、幸せね……。
[風は、優しき聖母のような笑みを浮かべる
女の形をとりました]
[風は優しく、やわらかく。
眠っていた櫻子の頬を撫ぜるでしょう]
かかさま、か。
私は母になれたのね。
子を最期まで孕むことはできずとも。
巫女の義務は果たせずとも。
母に――……
[愛おしげに、風は優しく櫻子を包みました**]
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[刃で裂かれた進の足。 まだ温もりを感じてもおかしくない血溜まりから 掬い上げた血と、幾らか切れた肉と内臓。 固まる前の濃厚な液体。 舌の味蕾に1つ1つ絡む味は、噎せる程の甘さと鉄。
肝よりもするりと喉を通る癖に、 肉よりも味を主張する。
その味を確かに美味いと感じた中に、 ピリリと痺れを感じた、それを。
人間と家畜の味の違いだと誤解した。 丞の知る“ミナカタ”のままなら>>0 気付いたかもしれない話。 飲み込んだ、過ぎた時をやり直せるはずはない]
(9) 2017/12/02(Sat) 21時半頃
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……“ミナカタ”じゃないって? じゃあ、俺は誰だよ。
[彼らの目に俺はどう映っていたのだろう]
鼠に例えられて……可哀想なのは……。
どっちのこと、いってる? ……?
[丞の手の中にある鉈は振り上げられもせず、 振り払われることもない。 視線を無残な2つの塊に向けられた>>1]
(10) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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あんたも……信心深い。
[彼の考えが刹那なら>>1 俺が自身の違和に気付くのも刹那。
舌が回らない。 味蕾に纏わりついた血の痺れがまだ残っている。 いや、残っているどころか、唇もピリリと痺れるが 慌てて口を押えた指の感覚が判らない。
しくじったと気付いた瞬間。 血に染まった鍬を、ぐ、と握りしめる]
その肉、食うなよ……どく、まじってた。
[まだ言葉はちゃんと形を取っている。 忠告しつつ、感覚を呼び戻すために 血が滲んでいるのに、味が薄い気がする]
(11) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[私に、志乃を罰する資格などはない。
わたしと、それから彼。
重なるように崩れ落ちている
二つの身体を見下ろす。
絶命の間際、私は彼の脚に刃を突き立てた。
頭も良い、それなりに力もある彼に
正当法で勝てる見込みはない。
卑怯な小娘が用いた手段も、皮肉なことに
妹を殺めたものと同じであった。]
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[焼けた匂いが喉を擦る。軽くせき込みながら、
死体の確認をすべきだと思い、 焼け焦げ、半分以上の崩れた家のなかに 二つ死体がない可能性も思って
それでも足を踏み入れはしなかった。 きっと死んでいると思いもし、また、 妙な焦燥にも似た何かがあった。 巫女の毒で死ぬを見たときのような、食われ得ぬ死に対して
漫然としたそら恐ろしさ。]
(12) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[脚の健常な時分から、錠は、いつでも石動のあとばかりついて回っていた。
村の、同い年な他の子らと遊ぶより、兄のそばにいることのほうが多かった。
十歳を過ぎ、脚の動きが悪くなりはじめれば、兄への依存は更に強くなっていった。
様々な治療を試みるも、徐々に動きの鈍ってゆく両脚。
そのぶんだけ、兄への執着が膨らんでいった。
それをおかしいと思ったことは、一度もなかった。]
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――……
どんな姿かたちで また生まれることになろうとも、
石動は、あれは、弟の肉も、命も 錠を殺したことも全部 自分のものにして、
ひとかけら濯ぐことも厭うた、 のか……?
[足先でにじった木片は答えない。もとより答えの得るべくもない。 男のおもうことは石動の考えることではなく、「わからん」ことばかりで、到底、思考の流れを理解できる気もなかった。
あくまで男は、“死んで食われずにあったから”この形でいきるのだと言い聞かされたかつての子供は、そう、きょうだいの死と食らわれ得ぬ肉を思い]
(13) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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―― 「また」>>8 などと いったお前は、 次はどんなかたちになるだろうな
[口をつぐみ、息を吐いた]
そも、……おまえは、また生まれたいと思えたのなら、 ――――よいことだろう
次も願わくば、あにのいるおまえに。なれるよう。
[ただあにひとりのはらへ収まったからだ。 食われずにおわるだろうあに。 次があるとして、五体損なわずにあるのだろうか。 ふたり、分かたれずに生まれてくるかもしれない、などと。 まとまりのない思考は、因果の輪廻にしゅうちゃくする。
あにおとうとが 流れる輪廻のなかにもどったとして 因果の果てにねじれをみるかどうかは、“また”が来なくては 筆を執ることもないだろうけれど*]
(14) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[この毒は進の致命傷になったものだろうか。 それとも時間が経てば抜けるだろうか。
もし死を待つばかりの毒だったら。 ゆりもそうだったように、 何とかして食われてしまうだろう。
冗談ではない。 食われてこの村に再びなんて悪夢。 そんな悪夢の床に臥す位なら]
(15) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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(その前に、間引かなければ)
(16) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[けれども、これで良い。
私が彼を、彼が私を殺したことは明白だ。
禁忌を犯した下手人など、
村を裏切った罪人など、赦される必要はない。
そうは思えど、事切れた姿に背を向ける。
目を背けるように。
罪悪感など、後悔など。
今となっては、どうしようもないことだ。]
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[『皆を騙り続ける』“ミナカタ”の名を継ぐもの。 村という群れを守る為に不要なものを間引く役目。
今はもうこの村自体が不要なのだ。
それなのに、何故丞に忠告したのか]
毒なんかでしんだら。 家畜の、えさにならない、だろ?
[それが本心かどうか。 誰が俺の心の中を見抜くことが出来る? 俺は俺を食う家畜の数を減らす事に集中する。 その殺意が、掴んだ鍬を迷いなく丞の背に 振り下ろそうとするが。
江津子の抵抗に刻まれた肩の傷の痛みが 一撃で彼の脳天を砕くことは叶うまい*]
(17) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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