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Parsley, sage, rosemary and thyme…
[木漏れ日に揺れる唄
重なる旋律
物語を口遊む調べ
柔らかな風で回る白い花びら
くるくると まるでワルツのように。
狐色の花の香り
空は溶けるような青。雨粒は降ってこない。未だ一人のまま。]
[涙色の花は雨露を落とした。
柔らかな少女の肌を彩ろうとする花々に。
道化のように振る舞う男には、花弁を揺らすだけの挨拶を。
羽ばたくことなど出来ないから。
物言わぬ花は梔子のよう。
佇んでは、静かに咲き誇る。
空は雲一つない快晴。
雨は降っていない。
小鳥が囀るような音を背に花は一度、雫を垂らす。甘酸っぱい初恋の味*]
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―微睡み・腕の中―
[その意識は揺蕩う。ふわふわと、浮かぶように。ただただ幸せのみを抱いて。
ああ。そっか。
あたし、咲いたんだ。
その思考をきっと何回も何回も何回も忘れては忘れ。
だけど。最後の
さいごのおもいでは。
『オマエに覚えててほしいから』
それは目の前の記憶として流れずに思い出としてそっと、仕舞われて。]
(だいじょうぶ)
[思い出を忘れたって思いは残る。そう微睡みながら信じる。遠く、泣き声を聴きながら**]
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[涙の残像が消え切らない顔で笑った顔が見えた。 (6) 2014/09/09(Tue) 01時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク―廊下― (7) 2014/09/09(Tue) 01時半頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク…ふ、危なっかしいなんて酷い事言う… (12) 2014/09/09(Tue) 21時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク………シーシャ、君は何処まで覚えてる? (13) 2014/09/09(Tue) 21時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[「オレが酷いこと言うのはいつものことだろ」 (19) 2014/09/09(Tue) 23時半頃 |
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![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[二人の様子を、再び背中から見守る。 (29) 2014/09/10(Wed) 01時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[思い出そうとする。 (31) 2014/09/10(Wed) 01時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[『謎掛けをしよう。』 (36) 2014/09/10(Wed) 03時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク["弾いててくれ" (37) 2014/09/10(Wed) 03時頃 |
[意識。
終わりはなく始まりはなく未来はなく過去はない。
ただ
今 ここに
意識だけがある。
思考。
それは散って行く花びらのような儚いもの。
感覚。
今ここにあるもの。確かなもの。]
[明るさを感じる。
柔らかい 温かい明るさ。
花が光に笑う。少女も笑う。
笑った つもりで。
もう その笑顔は咲き誇る花が持って行った。
樹のにおい。なかま。
触れる何か。とりだされたなにか
わからなかったけれど。
髪を撫でる手の感覚だけは、わかった。
花は咲いている。]
―記憶・忘れられた場所―
[そこでは食べるものはなかった。
家族 は
それは、多分鉛の弾に撃ち抜かれたり。
知らない場所に売られて行ったり。
そういう存在があるということはわからなかった。
暗い路地。
食事にありつけると聞いて。ついていった。
暴力があった。怒声があった。
千切れたパンのかけら。
身体中の痛みを耐えて食べた。
突きつけられたナイフ。
必死に逃げた。足がもつれた。
信じられるものは何もなかった。]
[死が直ぐ側にあった。どうやって生きるか。
狡猾さと疑心が必要だった。
嘘と言うナイフを人と人は突きつけ合っていた。
そんな頃。
花が 咲き始めた。]
[花を咲かせる人間を蒐集する好事家。
そこに、少女は売られた。
疑いなく。売られたという自覚もなく。
狭い部屋。
静寂。
長い時間。
疑心がない事に気付いた主が、
花を愛でるように
何度も少女を騙した。
それは、時にはひどく ひどく少女を傷つけるもので]
[……警官隊。怒号。喧噪。
医者を、という声。
保護されたとき 少女は泣いていた。**]
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─回想・楽英─
[途切れる調べ。
続きを奏でるのは乾いた、舌の音。
硬くなった瘡蓋を見下ろしては重苦しいため息を吐いた、ある昼のこと。]
……また咲いてるし。
[家を追い出された子供が帰り道を辿るために残した小石。
…ではないが、点々と着いて来るような花びらの軌跡に重苦しいため息を吐いていた、ありふれた日常。
繰り返しだと自覚できる日々。
それがどんなに幸福であったかなど、その頃の彼に分かるはずも無く。
穴抜けになった記憶の底と、コードを睨めっこしながら、まだ瘡蓋で分厚い指を弦の上に乗せていたのだっけ。]
[記憶を失ってしまっても、経験までは無かったことにならないのでは?
友人との手紙でのやり取り。
それは、塞ぎ込んでいた彼が再び楽器を始めるきっかけ。
ひとつひとつ楽譜を睨みながら、奏でていく。
時折弾き方を忘れても、弾き方を教える本はある。
彼は文字が読めた。そして楽譜もまだ読むことは出来た。
だから思い出すことは容易で。
そしてこのやり取りはまるで、ギターを始めたての頃のようで。
特に苦痛には感じていなかった。
時折、手首や肩に根を下ろす花が邪魔である。そのことを除けば。]
…邪魔っけ。
[ブチリ。 呟きと同時に。
散るは花びら。失った記憶は何か。
また掻き集めればいい。
楽観的に考えては、ただただギターを掻き鳴らしていた。
楽しそうに 嬉しそうに笑いながら。]
あんたも弾いてみる?
[問いかけた先の顔は、誰だっただろう。
何と答えてくれただろう。
今それを知るのは微かに揺れる花々のみ。]*
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![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク―日が沈んだ頃― (55) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[風に踊らされる花々が、夕日が差し込む、四角く切り取られた壁の内側。] (56) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[穏やかな旋律と共に揺れるのは、空っぽになった服の左袖。 (57) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[また最初から弾き直そうとする。 (58) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク夢を見ていた。 (59) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク『……いるよ』 (60) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
![]() | 【人】 さすらい人 ヤニク[顔がくり抜かれているみたいで、表情はよく見えなかったけれど、その声は酷く辛そうだった。 (61) 2014/09/10(Wed) 17時頃 |
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