22 共犯者
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>>55 [イアンから返答を聞き、マーゴを喰らった後だろうか。]
さて…。 俺も巡礼中の身だ。 殺気立った巡礼者に殺される訳にはいかねえ。 ヴェスパタイン…。頼みがある。
[そう言って、自分の頬に傷を刻むよう、 同胞に頬を差し出した。]
(76) 2010/08/06(Fri) 23時頃
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>>76 [頬に傷を負ったヘクターが柊の葉を手に 村に遅れて戻ったのは深夜に近かった。]
「マーゴと少し離れて歩いていたが、 急に彼女の姿が視界から消えた。」 「その時に自分は正体不明の何かに襲われた。」 「この頬の傷はその時に付けられた。」 「森を探したが、彼女は見つからなかった。」
[広場に戻ると、「村人」達にそのように説明を行った。]
(79) 2010/08/06(Fri) 23時頃
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墓荒らし へクターは、若者 テッドの事が一瞬頭に浮かんだ。
2010/08/06(Fri) 23時半頃
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―三夜目の巡礼後・深夜・ヴァンルナール家― >>79 [そのまま屋敷に帰ると重い扉を閉める。 血で染まった身体の汚れを落とす為、浴室へ。
衣服を床へ脱ぎ落とすと 古代の象形文字のような刺青が入った背中が水に映る。 古い銃創や裂傷痕でその紋様は所どころ欠けていた。
汚れや血糊を洗い落とす。 その中に長い黒髪が混ざっていた。
彼女の香りの微かに残るその毛髪を手にし、 その夜の事を、思い出していた。]
(137) 2010/08/07(Sat) 01時半頃
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―回想・三夜目の巡礼・夜・森の中―
[彼女は獲物。狩りの標的。 神聖なる、儀式の捧げもの。 我らの、敵と成り得る存在。
マーゴと二人、巡礼者は森の中を歩く。 ゆっくり、ゆっくりと歩を進めて行く。]
――手でも、つなごうか。
[そんな事を言いながら、人目に付かない場所を探す。]
(140) 2010/08/07(Sat) 01時半頃
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>>140 [これは、ただ相手を油断させるだけの会話。 絶対に実現しない、と判っている会話。 それを知っていて、敢えて行う不毛な言動。]
なあ、マーゴ。 もしこの儀式を二人無事にやり遂げたら……俺と。 ああ、いいだろ? ラトルとヴァンルナールなら、家柄も格も十分だ。 年寄り連中も反対はしねえだろうから…。
[彼女と目を合わせられない。
…何故だろう? 今までの「獲物」にはそんな感情など、 決して持った事など無かったのに。]
(142) 2010/08/07(Sat) 01時半頃
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>>142 マーゴは、信じたいって言ってたよな。俺の事。
[手をつなぎながら、森の中を二人で歩く。 周りには誰も居ない。 どうしたの?と彼女は普段通り優しく接しただろうか。]
マーゴ…。俺は……。
[二の句が継げない。 ゆっくりと彼女を両手で抱きしめる。 暫くそのままで、彼女の存在を全身で感じ取ろうとする。 鼓動を感じる。吐息を感じる。 そして彼女と最後の接吻を行い、決意を固める。]
―――せめて、痛くないように、一瞬で。
[今宵の月は、やけに明るい。]
(147) 2010/08/07(Sat) 02時頃
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>>147 [唇を離すと同時に、彼女の小さな体に衝撃が走る。 あ…。と小さな響きだけが森に木霊する。
互いに目は合わせたまま。 体を合わせたまま。 彼女の口が何かを伝えようとするが、音にならなかった。
ヘクターの右手は彼女の両乳房の間を貫き、 その腕は胴体を貫通し、その傷は背中まで達していた。]
なんだよ…。 護り刀、持ってたんじゃ…ねえのかよ。 俺の事、本当に、信じて…。
(153) 2010/08/07(Sat) 02時頃
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>>153 [ヘクターの手刀の先には、 さっきまで彼女の中にあった心臓が鼓動していた。 彼女の体を貫いたまま、そのまま掌を握り 中で微動するそれを握り潰す。
腕を引き抜き、手中の肉塊を口にする。 髪をすき、頬を撫でる。 何故この様な感情が湧きあがるのか、 ヘクター自身さえも解らない。 そして、動かなくなった彼女の躯を抱き上げ、もう一度口付ける。]
ごめんな、マーゴ…。 ごめんな―――。
[少女を抱きしめたまま膝を付き、天を仰ぐ。 そして慟哭。声にならない叫び>>0が森に響き渡る。]**
(158) 2010/08/07(Sat) 02時半頃
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―回想・巡礼三夜目の深夜・森の中― >>55 [マーゴの躯に牙を立てる。 その牙が喰い込んだ白い肉体から、 赤い珠が円状に広がっていく。
やがて、腹を裂き、紅い肉を喰らう。 淫靡な音を立てながら 彼女の血肉を己が肉体と同化させる。]
これで…マーゴは我らと一体となった。 彼らは我らと共に。 我らは彼らと共に。
[それはヒトの顔ではなく、 ただ獲物を喰らう獣の顔。 イアンはこの様子すらじっと見ているのだろうか。]
(183) 2010/08/07(Sat) 15時頃
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―回想・巡礼三夜目の明け方・遺体安置室―
[誰もいない教会の地下納骨堂前の部屋に 安置されたニールの遺体に近づく。 遺体の血を舐め、嘗て味わった 「血族」と同じ感覚を感じ取る。]
我らが血族―――。 我らの代わりに、人の子の手によって還りし者。 祝福は我が与えん。
汝の肉体と魂は、我らと共にある。
[そう言って、パピヨンやピッパにしたのと同じように 肉体を捕食し始める。 ぽっかりと空いた腹部には、 聖地の土を詰め、また布で覆う。 彼らに一礼し十字を切ると、そのまま立ち去った。
そして、四夜目の巡礼へ―――]
(191) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―四夜目の巡礼・夜・広場―
[今夜は一層ビリビリとした悪意が強く感じられる。]
ガキどもが…。 殺気を其処ら中に撒き散らしやがってよ!
[その感情に呼応するかの如く、 彼の闘争心も高まっていく。
オスカーやテッドと目が合えば、 鋭く睨み返しただろう。]
(193) 2010/08/07(Sat) 15時半頃
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―四夜目の巡礼・夜・森― >>193 [広場で巡礼者たちと言葉を交わしたかもしれない。
そしていつものように 一番最後に、森に、入る。]
今夜はあの片割れにするか? あの挑むような目。 神を畏れぬ不敬で愚かな思想。
同胞に危険を及ぼしかねん。
[それに―― 今夜は特に、血に飢えた気分だ。]
(195) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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>>196 あん? 俺に言ってるのか?
巡礼が始まる前に そんな下品なモンちらつかせんじゃねえよ。
[そう言ってオスカーに不敵な笑みを返し、 森に入っていく彼をじっと見つめていた。]
(197) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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―四夜目の巡礼・夜・森の中―
[今夜も巡礼開始の合図の鐘が鳴る。
巡礼者の中で最後に森に足を踏み入れたヘクターは 半人半獣の姿になると、森を駆ける。
そして、道を歩くオスカーを見つけると、 深い森の中へ勢いよく蹴り入れる。]
―――よお。 御使い様、探してんだろ?
(198) 2010/08/07(Sat) 16時頃
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>>198 [深い森の中で、オスカーと対峙し、 黒髪の少年の手に握られた拳銃を目にする。]
なんだお前、銃持ってたのか。 なら、これァいらねえな。 せっかくお前の為に持って来てやったのによ。
[そう言って散弾銃を地面に投げる。]
まあ使うにしろ使わねえにしろ、 好きにするがいいさ。 その前にお前を肉塊にしてやるからよ。
[姿勢を落とし、戦闘態勢を取ると 獲物をじっと睨みつける。 牙が伸び、体躯も一回り大きくなった。]
…来いよ。楽しもうじゃねえか!!
(200) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>201 [彼の問いには明確には答えない。]
「ヘクター」が散々教えてやってたのによ。 まだわかんねえのか。
俺を前にしても、 まだそのような戯言が言えるか。
[オスカーから眼を離さず、じりじりと間合いを測る。]
(202) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>200>>202 [それは、一瞬で終わる筈だった。 金髪の少年を屠った時と同じように、 間を詰め、オスカーの喉笛を狙う。
しかし、その瞬間、女の声が脳に響く―――]
「一緒に、変わっていこう?」
……マーゴ?
[あっという間に狩り終える筈だった。 今頃オスカーの首は落ちている筈だった。
それなのに、突然の幻聴と激痛。 接近し振り上げた腕が、一瞬だが静止する。
その一瞬の躊躇が、決定的な隙になった。]
(205) 2010/08/07(Sat) 16時半頃
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>>204>>205 が……っ!ぐお……!
[至近距離から放たれたオスカーの銃弾は、 ヘクターの頑強な肉体をも撃ち抜いた。 その衝撃でその巨躯は後方へ吹き飛ぶ。]
痛えじゃねえか! このガキがああああああっ!!!
[出血を始めた脇腹を押さえ、 自分に傷を与えたオスカーに吼える。 森の獣とは明らかに違った鳴き声。
暗闇に響き渡る銃声と咆哮が、 森を往く他の巡礼者にも聞こえたかも知れない。]
(207) 2010/08/07(Sat) 17時頃
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>>207 [旧来行われてきた生贄の儀式では、 「御使い様を敬い畏れる」人間の肉を取り込む事で、 御使いたる森の獣神らは力を得ていた。
その力を行使し、新たな敬意と畏怖を広める。 いわば相乗効果があったのだが―――。
もしかすると、今までに食べた生贄達の血肉が… ソフィア、パピヨン、ノックス、ピッパ、ニール。 そしてホリーやマーゴの想いが、彼の肉体へ作用し、 その一瞬の隙を作りだしたのかもしれない。]
「我らは彼らと共に。彼らは我らと共に」か…。 はッ、ちくしょうが、てめえら……。
[剥ぎ取った上衣で傷口を押さえ、闘争心をむき出しにする。
オスカーに加勢する者が居たら、 ダメージと出血に弱りつつも彼らと応戦するだろう。]**
(211) 2010/08/07(Sat) 17時頃
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>>207>>226 [咆哮の後、再びオスカーに飛びかかる。]
ほんとよ…まだまだガキかと思ったのによ…! てめえら姉弟揃って…!
[負傷と出血の為か、 普段より攻撃のスピードが落ちているようだった。 接近するテッド>>279には、気が付いていない。]
(280) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>283 [オスカーの銃弾を紙一重で交わす。 こめかみに赤い筋が走る。
しかしその瞬間、 テッドが力いっぱい振るった剣>>284が、 ヘクターの腹部に深く突き刺さる。]
ぐうっ!! ……ちッ。 なめやがってよおぉぉ!
[剣が刺さったまま、 テッドを吹き飛ばそうと体を反転させる。 地面に鮮血の華が広がった。 何故だ、身体が重い……!]
(287) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>287 げほっ、げほ…!
[内臓を損傷したか、片膝をつき喀血し始める。 しかし眼は狙いをつけたままで]
ガキどもがぁ!調子に乗ってんじゃねえぞ!!
[そのまま勢いをつけ、 宙に浮いたテッドに飛びかかる!]
(291) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>291 [ヘクターの大振りな攻撃は空を切り、 同時に大きな隙を生む。
そこからは一方的な展開だっただろう。]
(292) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>292 [繰り出されるテッド>>293やオスカーの攻撃。 彼に其れを全て交わせる程の力はもう残っていない。]
(―――致命傷…か。)
[本能で自らの限界を悟ったか、 引き抜いた剣を投げ捨て、 止めを刺そうと走り込む少年らを打撃で吹き飛ばす。
やがて彼は大きく跳躍すると、 大樹の枝に飛び乗り、彼らを見下ろす。 そして息を整えると、彼らに大声で語り始めた。]
(295) 2010/08/07(Sat) 23時半頃
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>>295 大いなる原罪を持って生まれし人の子よ!
我らは代々この森を聖地とし、守ってきた。 祝福されし人の子を愛し、育んできた。
なのに何故!
お前達は感謝を忘れ、畏怖を忘れ! 儀式を堕落させ、聖地を汚す!
そして一方的に契約を破棄し、 我らの存在すら消そうとしている!!
―――汝らは我らの消滅を願うのか? 我らの力を思い出せ! 我らと共にあった時代を思い出すがいい!
[彼が叫ぶ度に、オスカーやテッドの頭上から、 小雨のように赤毛の森獣の血液がポツポツと降り注いでいるだろう。]
(297) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>297 オオオオオおおおおおおおおおッッ!!!
[それは最後の咆哮か。 銀の同胞へ向けて、何かを伝えようと、吼える。
そして、そのまま、「ヘクター」は森から姿を消した。 無事に森を出た巡礼者は家路についただろう。]
(301) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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―四夜目の巡礼後・深夜から早朝・アレクサンデル屋敷―
[赤い毛並みの狼は「ヘクター」の形に戻ると、 血を滴らせながら、最後の力を振り絞り、 アレクサンデル屋敷のイアンの部屋に突入する。
――ガシャン!!!
窓から血まみれの巨躯がイアンの前に現れた。]
…よォ。
(304) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>304 [肩で息をしながら、 ヒューヒューと言った呼吸音と共にイアンと対峙する。 血を滴らせながら、ドッ、ドッと足音を立て、 ゆっくりと彼に近づく。]
(ぐっ…ちくしょう、目が翳んで良く見えねえが…。)
[傷だらけの両手をイアンの頬に伸ばし、 イアンの顔に自らの顔を近づける。 他の者には聞こえないよう、 だがイアンにははっきり聞こえるように言った。]
イアン―――。
どうか、「あの方」を、頼む。 お前、なら、きっと、あの方を、助けて……。
(305) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>305 [続く言葉は、気管から上がる血塊に遮られる。 暫く咳き込み、床に血反吐を撒き散らす。
と、次の瞬間。 いつもの「ヘクター」のような 人懐こい顔をイアンに向け、悪戯ぽく笑う。]
ああ、それから、もいっこ…。 この前の煙草…、一本くれねえか?
(307) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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>>307 [イアンから煙草を受け取っただろうか。、 咳き込んで血を床に吐き捨てた後、そのまま口に咥え、火を受けただろう。
壁にもたれ、そのまま腰を下ろす。 床に敷かれた絨毯がみるみる赤く染まっていく。 口に咥えた煙草を指で挟み、随分懐かしい香りのする煙草をゆっくりと吸い込む。]
ふう……。 …やっぱり、旨えな。
[ふぅ、と煙を吐きだしたが、もうそれ以上紫煙が上がる事は無かった。]
マーゴ、お前はまだ還る途中か? これから行っても、間に合うかねェ?
[やがて腕が力なく垂れ下がり、 ヘクターの指に挟まれた煙草は、 床に溜まった血痕の上に、ジュという音を立て、 落ち、赤く染まり、消えた。]**
(310) 2010/08/08(Sun) 00時頃
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