25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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― 大広間→自室 ― [>>525常より平静に欠けた鵠の声を聴く。 弟弟子の名を強く呼んだ華月のことも。]
―――…その呼び名は堅苦しいな。
[主と、そう変わった呼び名。 ぼやいたのは虎鉄を運んでいる間のこと。 高嶺は虎鉄には触れず、だから彼の冷たさを知らない。 りん、鳴る音に目を遣れば首振る鳥の名の姿。 何か、あったか。それとも何かを思うたか。]
(553) 2010/08/06(Fri) 11時頃
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……、… …私の花と成ったのなら、お前もまた高嶺だ。
――…下の名は…、朧という…。
[>>558戻す鵠には笑みが零れる。 憂いとも、煽る色とも違うもの。 その後教えるのは高嶺ではない下の名前。
掠れる声に黒檀が見るのは二つの花と、倒れた――]
……恐れているのか…?
[訊くのは、何に対してか。]
(565) 2010/08/06(Fri) 11時半頃
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[瞬く姿に高嶺の黒檀が細まる。 ――…そう、なるのだ、と。 理解する様子に、目をゆっくりと閉じ]
…知らぬ名を呼べるはずもあるまい。 ああ…、そちらの方がいい。
[見つめられる理由はわからず首傾ぐことになるが、 呼ばれる声には頷いて呼び名を許し
小さな声には、もう一つの花はどのような反応を示したか。 苔色の瞳を高嶺もまた見る。伏せた紫苑色の瞳も。]
……そうか。
[小さな声への返しに揶揄の色は混じらない。 黒檀は、前を見る。気付けば部屋は直ぐ目の前で]
… ……私は…未だわからん。
(578) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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[恐れに対し、鵠に同じように小さな声で。 黒檀が伏せられ未だ恐れを抱かぬと、そう呟く。]
――…あの場では…よく…わからなかった。
[まんまるが人狼病だということも。 思い出すのは―――…散らされる、紅。 少し、強めに目を閉じてから りん、と 鳴る鈴の音にゆっくりと顔を上げる。]
―――…、
[高嶺が、生贄を語る花を見る。 その先を…語れと、そう促すように。 一度寝かされる虎鉄に目を向けてからまた鵠を見つめ]
(579) 2010/08/06(Fri) 12時頃
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[黒檀もまた、華月の姿を一度見る。 話し込むような話題の時には、 口を閉ざすことも多いようだったから 今もそうなのかもしれず]
……感情、
[実感伴わぬよう、不思議そうに呟いて。 気遣わしげな視線に気付けば浮かべるのは 薄い笑み、それは高嶺の名のもので]
…恐れの感情を抱かずに済むのなら… それは悪いことでは…ないな。
[それから聴く、白き鳥の舞の話。 耳に残るは落とされた時の鳥の声。 黒檀は伏せられ、それから白鳥の名を見る。]
……伝承の話だ。 それは物語の鳥の話で…鵠の花の話ではない。
(593) 2010/08/06(Fri) 13時頃
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[語らぬもう一つの花の笑みが見える。 真っ直ぐにこちらを見られると、黒檀が細まった。]
――…ことが起これば、変わるかもしれん。 ……変わらぬ方がいいな。
[感情の話。 何事も起こらなければいいと言うことか、そう口にし。 同じように笑む花の姿は常と変わらない。]
……ああ、喉が渇いた。 …淹れろ。
[そう言って、華月に頷く。 小さな反応が見えたのは生贄の話を聴いた時。 もう一人、生贄の話をした鵠を見て]
(603) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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……つまらない話ではなかった。
[謝る花には首を横に振って。 黒檀の見る先がゆっくりと、下がる。 先程から少し、気に掛かっていた、 幾度と強く握られ白くなっている手。]
…… …
[そっと、躊躇いがちに手を伸ばす。 触れることを怯えるかのように慎重な指先の行く先は、 白くなった鵠の手ではなく、みどりの黒髪へ。]
(607) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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[鵠が手を避けぬのなら、何時か迦陵へとしたように。 一度だけ撫でて、手はそっと鵠から離れた。]
(609) 2010/08/06(Fri) 13時半頃
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[鵠から拒まれるがなく触れれたのなら、 同じ手は今度は華月にも伸ばされた。 こちらは淹れた茶への礼も含まれているのかもしれず]
(616) 2010/08/06(Fri) 14時頃
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[自ら触れようと思うことはあまりなく、 二つの花に触れた後は暫し自分の手を見ただろうか。 問われる声に向けるのは黒檀]
……なんとなくだ。
[その声音には、戸惑いと安堵が感じられたか。 切り替えるように一度目を閉じた後、二人を見て]
……伝承の話だ…、鵠…恐れるな。 お前達は、成ったばかりの私の花だ。
―――…お前達は人狼に殺されるな。 ―――…赤い眼にも、殺されるな。
[命じる口調は、高嶺の声で。 言い切ると、華月に淹れて貰った茶を飲んだ。]
(625) 2010/08/06(Fri) 14時頃
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[顔見合わせる二つの花には笑みが零れる。 楽しげに笑った筈の黒檀には憂いの色。]
―――…、
[頷く二人に、高嶺も小さく頷く。 香る茶の水面に視線を落とし]
……楽しそうだと…、…そう思った。
[ぽつりと呟くのは、唐突な言葉で。]
…お前達を、傍に置けば…、
[次いだ言葉の後に黒檀が眺めるのは、 大事に取っておいた何時かの紙の蓮。 二つの花を初めに見止めたのは使い走りの茶と席でもあった。 宴の前鵠に問われた剪定の理由を一つ明かし]
(639) 2010/08/06(Fri) 15時頃
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[もう一つ、大きな理由はあったが… それは自嘲の笑みと共に、飲み込まれる。]
……花の名家と謳う高嶺らしからぬ理由だな。 …今のは、忘れろ。
――…夜風に当たってくる。 お前達も…ずっと付き添っていると気疲れするぞ。 休むか…、気晴らしでもするといい。
[茶器の中を空にすると、憂いの色の黒檀は窓の外を仰ぐ。 ――――…今宵の月は、丸い。]
(642) 2010/08/06(Fri) 15時頃
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[反芻する鵠の言葉に肯定も否定も返すことはなかった。 口にしてしまった言葉を、高嶺は続けず]
―――…部屋に戻るまで気付かなかった。 一つくらい仕掛けは明かせ… 花主に逆らうとは言わせん。
[紙の蓮には黒檀を柔らかく細めて。 言う言葉は楽しむようなもの。
気をつけてと、その声には頷いて部屋を出る前]
………鵠、
[呼ぶのは、一つの花の名。]
(654) 2010/08/06(Fri) 15時半頃
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……紐の留め方が甘い。
練習しておけ…あまりに下手なようなら、 その時は荷物持ちに格下げだ。
[言うのは、結われたばかりの髪のこと。 細まる黒檀は煽るようにも見えただろうか。
部屋を出て行く。 宛てのない散策ではなく、向かう場所は真っ直ぐに。]
(656) 2010/08/06(Fri) 15時半頃
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[共に在った二つが離されたあの日から、 月の日が来る度に満月を見上げて名を呼んだ。
三つの月に もしもの期待を込めて。
六つの月に 離れた姿に、涙を濡らして。
十の月に 呼ぶ名は何時しか、甘く 焦がれて。
諦め、呼ぶことをやめたのはいくつの月を見送った後だったか。]
(661) 2010/08/06(Fri) 15時半頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/06(Fri) 16時頃
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[ゆっくりと歩んで、先に見えるは太鼓橋。 月が照らすその場所に人影はなく、 近くから下駄の音が聞こえることもない。
見えぬ人影に躊躇うように歩みは遅くなる。 先程までの約束が酷く遠く感じられて。
浮かぶ月は――… 独り見上げたあの幾つもの月と同じ、
ぽたりと、
雨の雫が落ちた気がして。はたと、足が止まる。 見上げても雨など降っていなくて月を仰ぐ。 雫が落ちるのは、黒檀からだとは 気付かずに。]
(676) 2010/08/06(Fri) 16時頃
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―――…かすみ…
[下駄の音なく、声が聴こえる。
振り返った黒檀の瞳は何故か濡れていて。 媚びぬ笑みの霞とは対照的に、 月に照らされ艶めいたもの。
常とは違う霞の、あの頃と同じ姿に。 濡れた瞳は喜ぶのではなく、少し苦しげに…歪む。]
(686) 2010/08/06(Fri) 16時半頃
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――…夢かもしれん、
[目の前の霞は何を想って涙を浮かべるのか。 浮かぶのは――…あの頃と違う憂いの笑みで。]
…夢ならば、よかった…。
[変わったのは、霞だけではなく朧も。 あの頃にはもう戻れるはずもなく。
けれども、手は怯えるように――… 届かぬ筈の霞の姿へと、伸びる。]
――…夢ならば…触れられる、
[そう、呟いて。]
(694) 2010/08/06(Fri) 17時頃
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懐刀 朧は、霞に触れることなく、伸びた手は下ろされる。
2010/08/06(Fri) 17時頃
懐刀 朧は、記者 イアンと本郷は話をしただろうか。
2010/08/06(Fri) 22時頃
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[刷衛がセンターからの人間だということは知らない。 主が居なくなった後の、二つの花の先も。
一度霞へと触れようと伸ばし、降ろされた手。 月を見上げた。黒檀から落ちる雫は何色か。 朧の中の月の下で落ちる雫の色は透明ではなく、]
(752) 2010/08/06(Fri) 22時半頃
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―――…私も…ずっと、夢見ていた…
[あの日、離されてから…幾度月の姿に名を呼んだか。 記憶の月は全てが美しいものではなく、]
…お前になら…、
夢叶うのならお前に…―――――…たい…と。
[ザァ、と木々が風に揺らされた。 届かなかったであろう言葉は霞の姿に強く願うことであり、 似た想いは選んだ二つの花にも抱く…もう一つの理由。]
(755) 2010/08/06(Fri) 22時半頃
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[二つが分かたれてから。
手を離された奥座敷で名を呼びながら 白の残滓に月の色を穢したことも幾度となくあった。
艶を見せる同じ顔に抱くは、恋慕とも異なる情欲。 月夜に照らされた儚き月の姿に触れようとするには… あまりに、この手は穢らわしい…月を、穢している。]
(757) 2010/08/06(Fri) 22時半頃
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[それでも月の夜には夢ではなく現に焦がれ… だから、また黒檀から濡れるものが落ちるのだろう。]
(759) 2010/08/06(Fri) 23時頃
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懐刀 朧は、メモを貼った。
2010/08/06(Fri) 23時頃
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[―――現ではなく、夢…その狭間。]
……夢であっても…
[――…叶うのならば。 月明りに浮かぶような白い手が頬に触れると 結われた髪が震えるように揺れる。 濡れた瞳は目の前の同じ顔から逸らせない。
おずおずと、同じように…手を伸ばし、届かぬ筈の月に触れる。]
(771) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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―――……かす み…
[雫拭われ近い距離で呼ぶ名は、 幾度も白く穢した月の夜と同じく、 欲をなんとか押し殺した艶めいた響き]
(772) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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[触れた手は、 白い頬をすべり首へと絡め引き寄せるように
霞む月の姿を とらえた。]
(773) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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[艶帯びる声に短く零れるは熱の篭る吐息。 あの頃と変わらぬ幼き笑みよりも 花を経た後の今の姿の方に…煽られる。]
――…一夜……夢が…見たい…
[埋まらなかった過去の月の日の記憶を。 共に在った証を刻みたい…刻まれたい。]
(782) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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[濡れた黒檀が伏せられると雫が落ちる。 同じ温度の吐息を絡め、月の下で交わす口付け、]
――…かすみ…
……隠れよう…、
[艶めいた笑み、きっと今は同じ顔をしている。 幼き日の言葉で霞の手を取ると隠すのは本邸の奥座敷に。]
(786) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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― 本邸・奥座敷 ― [今は人狼の騒ぎのことも忘れて、 二つの月は白布の波の中へと隠れ。]
―――…、
[欠けた時を埋めるように名前を呼び合い、 触れる場所から一つに溶け合おうとする。
同じ長さの髪をも絡めて霞む月の白い喉が反れれば 其処には刻まれる永遠には決して残らぬ証。]
[濡れるは瞳ではなく触れ合う熱の孕む場所。 ――――…どれほど、夢を見たか。]
(791) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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[ゆっくりと丹念に開いていけばそれだけ目の前の艶は増し、 白から薄く紅く色付いていく姿は正に花の如し。]
―――…かす み…
[隠すことを止めた艶めいた声は憂いを宿して。 強請られるまま暴いていけば裡から一つに解け合った。
穿てば啼く声を甘く掠れるまで欲し、 朧月に染まっていく声が、白へと果てるまで。]
……かすみ…、
…私にも…欲しい…
[啼く同じ顔に切なげに求めるのは、同じ形の証。 与えられれば朧の啼く姿も、霞む月にまた似て。]
[其れは月の在る場所が傾ぐまで続けられようか。 夢が終わる時を、少しでも引き伸ばすように…共に。]
(815) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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―――… …っ …い、
[喘ぐ声の中に混じる、望み。 満たし、満たされることでその願いは遠ざかる。 それはとても甘美で――…けれどもこれは、一夜の夢で。]
[また染まる白、果てた時に涙流す黒檀は憂いを 深くして。]
(824) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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