162 絶望と後悔と懺悔と
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[近づく、足音のない、足音。 その気配は静かで冷たい熱を持つ。]
――何を遊んでいるの。
[>>4>>7 もちろん事情は知っている、 しかし殊更周の姿を見るためには動かなかった。
彼という存在がここにいるのは酷く違和感だ]
(10) 2014/02/14(Fri) 00時半頃
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……あなたが彼を捧げるのは、 お父様の御前でなのでしょう?
[眉一つ動かさずに 零瑠に投げる言葉、もちろん周にも聞こえるだろう。]
(12) 2014/02/14(Fri) 00時半頃
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[涼平は、己の言葉を肯定した。 妹たちを裏切った、その言葉を肯定した。 周はまだ抗う意思はあるのだろうか。 ――冷えた思考のままに、視線を向ける]
零瑠、 お父様の御前に捧げると言った者を、 ―――勝手に殺そうとしていたのでしょう。
その供物があるからご褒美をいただいたのに、 いけないわね。
[かつりと近づく、 零瑠の手を留めるのは難しいことではない。]
(26) 2014/02/14(Fri) 01時頃
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――…あなた、弱くなったわね。
[ただ一言、周に向けた言葉は、 気を失ってしまっていれば届かないかもしれない。 彼はいつまでここにいるつもりなのだろう。 苦しみ、戦うだろう、弟妹たちを置いて]
……、
[する、と零瑠に触れた手をひいた。 >>33 感謝の言葉には首をゆるく振る]
(38) 2014/02/14(Fri) 01時半頃
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[>>44 周と視線が交わった、静かな緋色の瞳。 感情はなにもない、その声音も平坦なもの。 その響きに彼が感じたものは、彼自身に属するものだろう。
>>37 零瑠が彼を自室へ運ぶのを手伝ったりはしない。]
……いらないわ。
[差し出された指に、 珍しくわずかに眉根を寄せて見せたのは、 その指についた緋が理由ではない*]
(56) 2014/02/14(Fri) 03時頃
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― 周 ― [その目立つ派手な軍装、 戦場で命がいらないとでもいうような。
昔からそうだった。 いつも喧嘩の傷の手当は、相手から受けたものではなくて、 周自身が殴った拳のそれ、まるで自分のことを顧みないような]
もう、ちびちゃんたちが泣くでしょ。
[いつも、そう怒りながら、手当てした*]
(74) 2014/02/14(Fri) 20時頃
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― 襲撃へ ― [片手の一振りは、由縁の不穏な脇差だ。 上意討ち、無礼打ちに歯向かうを許された刀。 銘は鳴兎、鬼斬りの大将の一振りであったという。
左の手には袖の下、 仕込まれるのは暗器。
返り血の目に入るを防ぐフードはしない、 視界の狭さと引き換えだからだ]
――……、
[周の身は零瑠に委ねられたまま、 その行く末を見守るような時が己にあるか。 ――時勢を待つ、幾度も思い出す直円の言葉]
(88) 2014/02/14(Fri) 23時半頃
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[――緋色の瞳にゆらぐ火。 炎はあの日の記憶を呼び起こすもの。 理衣の言っていた“原因”そこには自分自身の咎もある。
過ぎる記憶に、今は捕らわれることはない。
戦争は物資が無ければ出来ない。 そもそも食わねば生きられぬのだから当然のことだ。 補給基地を攻める、というのば、物資を奪い手に入れるという意味で非常に効率的ではある、 だが吸血鬼が人の物資を手に入れても“家畜”の餌にしかなるまい。]
……倉庫に火をつけるのもよろしいかと思います。
[的確に攻めるということは、早期決着が近づくということ]
(107) 2014/02/15(Sat) 00時半頃
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[>>102 下される命令。 先だってのようには駆け抜けない、 今日は理衣の傍らにある]
……、
[彼が動かねばならない時が、来るはずだ]
(113) 2014/02/15(Sat) 01時頃
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[>>128 視線が交わって一つ頷いた]
……呼ばれたら、教えてね。
[告げた一言はそれだけ、 その意図は理衣にもわからぬものかもしれないが、 その言葉のさす意味は一つと知れるだろう]
少し、先に行くわ。
[果たすべき主命もあった、それを先に片付けてしまおうと]
(138) 2014/02/15(Sat) 01時半頃
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[罠により四散した吸血鬼の屍を踏み行く、 ――守備部隊の首、けれど父が言いたいのは、 つまり“家族”の首を取って来い、ということだ]
――……、
[茂みの中に見える照準のわずかな反射、 夜目は正確にそれを捉えて、地を蹴り――貫く。 断末魔をあげさせぬまま、返り血だけが鮮やかに。
血の匂いはきっと魔を探す者に届くだろう>>137]
(139) 2014/02/15(Sat) 02時頃
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[>>142 言葉にはゆるく目を伏せた。 答えは出ない、会ってどうするというのだろう。 ――ただ、その存在を知った、それだけで良かった]
……会って、どうしたらいいのかわからない。
[零した言葉には、 感情らしきものが滲んでしまった]
(144) 2014/02/15(Sat) 02時頃
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[存在は既に感じている。 小袖を塗らす返り血は夜には暗く沈んだから、 そこにあるのは場違いにも見える、袴姿の女学生だ。
月明りに照らされる陶器じみた白い頬、 潤みを帯びた緋色の瞳は、ひたりとそちらを見た。 陰を見る、遮られた先に感じる気配
足音は無い、 ただ風に黒髪はさらりと零れて、 その瞬間に地を蹴る]
――……、、
[>>150 月明りを背後にして、 跳んだ影と迫る刃の煌き、それが彼の視界に映ると共に、
その血塗れた刃はひたり、と止まった]
(163) 2014/02/15(Sat) 02時半頃
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[言葉を失っていた。 口唇は開きかけて、閉じた。 じっと見つめるその視線に、わずかに眼差しを歪める。
山吹色の髪、黄金よりも優しい金色。 記憶よりも少し精悍になったような輪郭。 唐突に訪れた邂逅に、動けなくなるのはこちらも同じだった]
……、
[今、この場所で会いたくなかった。 為すべきを前に、乱される己の裡。 歪んだ眼差しが狭まって]
――……っ、
[引こうとした刃を留められた手の温もり]
(179) 2014/02/15(Sat) 03時頃
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はなし て、
[感情のないような声音は、けれど震えた]
(180) 2014/02/15(Sat) 03時頃
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[握り締められて、引き寄せられる腕。 どうして、抗えなかったのか。 抗おうとした意識はあったのに、 その手も足もろくな抵抗をしてくれなかった]
っ……、
[記憶とは違う声、 同じなのに違う声。
自分よりも大きな節のある指と、、 自分より高い位置にある目線と、 自分を軽く抱きとめた肩幅と、
包み込まれてしまう体躯]
(196) 2014/02/15(Sat) 04時頃
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な、っ……、
[眩暈のような混乱の訪れ。 思考しようとする意思を奪うのは、
ふさがれた視界と、懐かしい温もり、 変わらぬ土の匂い、伝わる声の震動。
髪にかられめられた指と、 強く抱きしめるその腕の力。]
(197) 2014/02/15(Sat) 04時頃
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サミュエル……
[呆然と呟いて。
どうして、と問いにならない問いの言葉が零れた。 寄り添うからだのかたちは、子供のままではいられなかったことを伝えて。
だから、こんなにも呼気の奪われるような苦しさが]
………、
[2度目の「離して」はもう、声にならなかった。 苦しくて、喘ぐように見上げた先、視界も揺らいで滲んだ*]
(198) 2014/02/15(Sat) 04時頃
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―貯水場近く― [考えないようにしていた。 自分を弱くするとわかっていたからだ。 “さみしい”なんて、感じたことなかったのに、 ぎこちなく離れていくのは、さみしくて。
見上げた先、灰色の瞳。冬の曇り空の色。 でも知っている、彼の目の中に写る色は、緋だ。 ここは戦場で、自分は彼の敵だ。なのに]
……サミュエル、
[掠れた声が告げる言葉、 滲む緋色は苦しげに歪んだ]
(234) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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だめだよ……、 サミュエルくん、
離して。
わたし、もうあの頃のわたしじゃない。
(235) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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本当は少しだけ、気づいてた。 サミュエルくんが、わたしを少し特別にしてくれていたこと。
それはすこし淋しくて、 でも淋しかったのは――、 一緒におなじことがしたかったから。 ずっと一緒にいたかったから。
[何も考えずに一緒にいられるように、 だから男の子たちが羨ましくて、でも、今は]
……でも、もうだめだよ。
(236) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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ごめんね。 あなたを守れなかった……、 みんなのことも、守れなかった。 あんなお願いをしてごめんね。
[後悔していた、言葉。 『みんなをお願いね』>>1:69 背負わせてしまった願い、それを悔いていたのは――]
……わたし、どうしていいかわからない。 どうすればあなたは、幸せになれる……?
[刃を握りなおすのは、彼に向ける為じゃない。 けれど呪縛を意識すれば、抗うことは苦痛を伴う。 ちがう、私が刃を向ける相手は――]
(237) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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[――ずっと、この時を待っていたのに]
(238) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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わたしも、理衣くんも、 あなたに幸せになってほしいと思ってる。
でも、もう一緒にはいられない。 そんな方法なんて、どこにもない。 ……ひとつだけあるけど、でもそれだけは駄目だから。
[>>247 腕の力は痛いほど、 本当は体の痛みじゃない、わかってる。脆くなった。 心の柔らかな部分が押し殺していた感情が剥きだして、 でもだから、刃を握る手に力をこめた]
……ごめんね、わたし行かなくちゃ。
[代わりに身を預けた、ほんのわずかの間。 寄り添うような重みはきっと、軽くて温度も無くて、 すぐに消えてしまいそうなものだっただろうけれど]
(256) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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[>>249 そらされた眼差しの行方を目で追えば、 光る物の溢れそうになるのは、わかってしまう。 滲んだ緋、うまく微笑めないのは、 人でなくなったせいか、それとも零れるこころのせいか]
……あなたが好きよ。 ずっと一緒にいられたら、よかったのに。
今でもそう思うから、 わたしに間違いを起こさせないで。
[心を曝したのは、もうこれで最後でもいいと思うから。 踵を少し持ち上げて、口唇を寄せたのも、きっと同じこと。
そして、その離れがたい腕の中から逃れようと、 刃を持たぬ片手でそっと彼の胸を押した]
(257) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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―補給基地― [滲んだ緋色は雫となって、 頬を伝い落ちた、流れるその冷たさを、 口唇のふれた時、彼も感じたはずだった。
別れの言葉はいえなかった。 再開を願う言葉も、再開の無い別れの言葉も、 どちらもいえなかったから]
――……、
[今、駆けるのは夜の中、 獲物は雑兵を払うには向かず。 屠った兵から長物を拾い、寄る者を薙いだ。
見つけるのは難しくは無いだろう。 一番濃い血の匂いのする場所、 戦場ではいつだって、彼女はそこにいた]
(272) 2014/02/15(Sat) 23時頃
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―補給基地・ホリーの元へ― [激しい剣戟の音、 無情動の眼差しがそれを見つめる。
>>269 ホリーと戦う者たちの姿、 対吸血鬼用の武器を持つ者が、ふたり]
時は為ったと、思う?
[問う先は――今は亡き]
(283) 2014/02/15(Sat) 23時半頃
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……当たったら、ごめんなさいね。
[拾った長物、 白刃の刃を渦中に投げつけて、 ――激の音の間合いの中へ。
紫袴がふわりと揺れて、 抜いた刃は墨の色、黒く塗られて夜光もせず。
ホリーの背後に身を滑らせる、 その背を護るかのように背後を狙う、 刃を一度受けて]
(288) 2014/02/15(Sat) 23時半頃
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[返す刀は――、 身を捩るほどの勢いで、 そのまま背後に振りぬいてホリーの黒髪を散らす。
うなじを狙う一撃は、 もちろん戯事の域を超えていた。
それすらも、鬼にとっては遊戯かもしれないが]
(290) 2014/02/15(Sat) 23時半頃
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お姉様……、
お父様のお許しはいただいております。
お姉様の全てを、わたしのものに。
[姉の速さは熟知の上、 すべてを交わすつもりは無い、 ――ここには“武器”を持つ者も2人いる。
かつての兄と妹の顔を確かめた]
(296) 2014/02/15(Sat) 23時半頃
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[先の戦の父よりの褒美、 ほしいと願い出たのは姉のすべて。 ――悪趣味な遊戯を、父はいとも簡単に了とした。]
そちらの2人? “敵”のことは、知りません。 どのように動こうと、それはお2人の勝手でしょう?
[誰かとよく似た弁を述べ、
黒塗りを左に持ち変えて、白刃を再び拾う。 その余裕は、圧倒的な実力さゆえのものとは、少し違う気がしたのだ]
(304) 2014/02/16(Sun) 00時頃
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ならばまずその左手を、 落とせばよいということですね。
[白刃は一の太刀を捌くもの、 最初の一撃だけでいい、続く刃は身に受けて、 黒の脇差は、けれど言葉の通りには、狙わない。
――突くを狙うは、 その宝石のような紅い眼窩。 逃れられても、視界を遮る影となり、
“知らず”ふたりの助けとなるだろう]
(316) 2014/02/16(Sun) 00時頃
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