73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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[差し出されたサイラスの手を>>5:157 取りたくても、いいのだろうかと惑えば先にフィリップに取られ、中途半端に動いた空の手を握ってサイラスに笑顔を向けた。 突然頭に乗って髪をついばんできた紅い姿に抗議しながら部屋に入って席についた、けれど。
いつもと違うサイラスの様子に気遣わしげな声をかけても震える彼の元には届かなかったか。席を立ち、支えるように寄り添った]
サイラス、熱いよどうしたの… 移せば楽になるなら、移しちゃえばいいよ
[何を言っているのかはわからないまま、ただ頷いて]
(5) 2012/01/02(Mon) 01時頃
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俺はずっと傍に――
[願いは最後まで紡がれることなく唇は奪われ 衝撃に瞳を見開いた。自分の中にある熱い何かを呼び起こすだけ呼び起こして、ほとんど持っていかずに唇は、離れた]
サイ、ラス……?
[塗れた唇で名前を呼ぶ。
答えは、なかった]
(6) 2012/01/02(Mon) 01時頃
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ねえ、なんで… どうしよう
[意識を失ったサイラスを抱きあげるようにして顔を覗き込む。頬に触れても目が覚めることはなく。サイラスに口付けられた意味も、いや意図はなんとなくだけどきっとわかった。けれど、その時のサイラスの気持ちは?
何を考えていた?]
ねえフィリップ、どうしよう 俺…サイラスのこと、
やっぱり、好きなの、かな
[廊下に倒れていたノックスも、寝入ったように見えたジェフも、サイラスと一緒なのだ。 祈るように、瞼に口付けようとして…綺麗になった、胸元に気づいた。 自分の胸元に、肌蹴れば棘があるのだろうか?この痛みは、何もないほうがおかしいけれど]
(9) 2012/01/02(Mon) 01時頃
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うん…
[曖昧に頷いたのは、フィリップが知っていることについてか、自分の感情を再確認してのことか]
冷たい、よね とりあえずベッドに運ぶ 医務室、ジェフ先輩いるし…
[そのままサイラスの身体を抱えようとして、けれど抱き上げる前に体力的なものではなく、胸にはしった痛みに取り落としそうになる]
(12) 2012/01/02(Mon) 01時半頃
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うん…あの、ごめん ありがと
[フィリップの後についていき、眠るサイラスの傍に座る。少年の吐息はいつしか薔薇のようになり、自身がその香りを気にすることはなかった]
多分、目覚めないんだよ
[胸を押えて頷いた。サイラスの髪をかきあげて、その手を自身の唇に触れさせて]
…おやすみ
[囁いて、立ち上がった]
(17) 2012/01/02(Mon) 02時頃
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ん、食べよう。今度こそ
[差し出された手を、指を絡めるようにして取り、けれど何事もないようにテーブルへ向かった]
もう卵固まっちゃってるだろうけどね
[少しだけ手のつけられたサイラスの分から目を逸らせば床にスプーンが落ちていて、拾おうと屈みこむ。いつ落ちたものなのか、覚えていなかった。あの時、きっと耳に入っていても認識していなかっただろうから]
(20) 2012/01/02(Mon) 02時頃
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それなら…やっぱり熱いまま食べて欲しかったな
[立ち上がり、スプーンをくるりと回して笑いかけた。 次は、きっと。思いはするけれど口に出せないのは、次がないかもしれない、とも思っているから。少なくとも同じものはもう作れない。 サイラスが眠っている限り]
(23) 2012/01/02(Mon) 02時半頃
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うん、きっとね
[次こそは、と相槌をうてないことをすまなく思う。 伸ばされる手に座ろうよ、と促して。手を繋ぐのはいいけれど、今あまり近くに来られたら熱が移ってしまう。 足りない、足りないと叫ぶ棘が身体の中をぐずぐずに溶かしてしまいそうで]
ん、どした――?
[浮かべる笑みは常と同じになっただろうか。サイラスが、倒れたのに、それはいっそ異常なほどで]
(26) 2012/01/02(Mon) 03時頃
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うん、一緒…だよ
[フィリップと一緒にいるならば、いるためには、この棘をさらけ出さなければならないだろうか。一度触れてしまえば戻れない]
一緒にいてくれるんでしょ なら…
[言葉を飲み込んで、オムライスを口に運ぶ。裡にこもる薔薇の香りのせいか味なんてほとんどわからなかったけれど、何かの境目のように、きっかけのように大事にゆっくりと咀嚼する]
(28) 2012/01/02(Mon) 03時頃
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[空になった皿にスプーンを置き、フィリップを、人も鳥も両方見て]
あ……いや、片付けるね
[何があっても、その言葉の力強さと、恐ろしさに怖じ気ついた。 サイラスの分にラップをかけ、自分の使った皿とフィリップが食べ終わっていればそれも全部流しにいれて]
ね、ちょっと休もうよ。 お腹いっぱいになったら眠くなったしさ
[嘘でも本当でもない戯れの言葉に胸の棘のせいか一言*付け加えた*]
一緒に、寝る?
(30) 2012/01/02(Mon) 03時半頃
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もうずっと、夜なんだよ
[会話しながら、フィリップの隣に滑り込んだ。サイラスの眠るベッドには背を向けて、いつもぬいぐるみにするようにフィリップに抱きついた。熊狐はテーブルに居座った紅い姿に好きにさせて]
ずっと、こうしてようよ
[フィリップの首のあたりに頭を押し付けて、何処かから聞こえる声に耳を澄ませた]
(36) 2012/01/02(Mon) 15時半頃
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何処に、いるのかな…
[不安が混じる声で呟いて、回した腕に力を込めた。したいこと、してあげたいこと、されたくないこと。全てが絡み合ってどうすればいいのかわからなくて]
ねえ、フィリップ どうしよう
[項に触れる手に吐息を更に熱くしながら、混乱したまま言葉にする]
俺とキス、してくれる…?
(38) 2012/01/02(Mon) 16時半頃
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カルヴィンは、フィリップに、「痛い…」と呟いて
2012/01/02(Mon) 16時半頃
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痛いのは、違うんだ
[胸の痛みは棘が刺さったから、だけだと。そう思い込みたくて首を振った]
だから大丈夫、きっと…
[身体を離されたのが不安を煽って、そのまま唇を寄せる。触れる直前に躊躇ったのは、薔薇の願いを思い出して、でも]
キスするなら、フィリップが、いい
[強請る言葉は薔薇の香りを纏い、甘く響いた]
(40) 2012/01/02(Mon) 17時頃
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[心の中で薔薇に謝りながら、けれど薔薇のおかげか、そのキスは今までしたのとは違い深い陶酔をもたらす。唇が深く交われば胸の痛みは薄れていき]
…ん、もっと
[呼吸すらもどかしくて全てとかしたくて。いつしか瞳は閉じられ、周りなんて気にならなくなった**]
(42) 2012/01/02(Mon) 17時半頃
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[こんなに深いキスをしたのは初めてで、お互いにきっと下手だったけれど 熱くて、熱くて もう、何もわからないくらいとろけていた。 此処が自分の部屋だということも、すぐ隣でサイラスが眠っていることも、頭の中から薄れていって]
俺、は フィリップの もの、だよ
[言い聞かせるように、ただ繰り返した]
(55) 2012/01/03(Tue) 00時半頃
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嬉しい、の?
[花開くごとに息はあがり、香りもより強くなる。痛いとか、痛くないとか、後のことなんて考えていられなかった。これが本当に自分自身の望みなのか―― ロバートと交わした会話が頭をよぎる]
俺も、んっ 嬉し…っ
[嬉しいのは、本当。これだけは確かに けれどその先は――?迷う気持ちのせいか、未だ棘は少年の中にあり、けれど答えを出せばすぐに精気を吸おうと移動するのだろう]
(62) 2012/01/03(Tue) 01時頃
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え…
[一瞬固まって薄く目を開いた。フィリップの瞳がいつもと違って、少し怖かった、けど]
いい、よ
[自由にしていいって言われたから。それは責任の押し付けとかそんなのではなく、本当に 本当の意味でフィリップのものになろう、って決めたから]
俺も、もう どうにかなりそ…っ
[再び目を閉じて、押し当てられた熱に手を伸ばした]
(68) 2012/01/03(Tue) 01時頃
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…ぁ、こわ
[言葉と一緒に唾を飲み込んだ。大丈夫、きっと大丈夫。自分の気持ちは信じられなくても、フィリップの想いは信じられるから]
ん、い…たく、ない…っ
[勿論、嘘だった。直に触れた熱は熱くて怖くて、固く閉じた眦から涙が零れたけれど 胸に感じていた甘い痛みが溶かしてくれた。それも棘の魔法なのか、痛みはすぐに快感に変わって]
あつ…い
[篭る熱すら蜜のようだった]
(75) 2012/01/03(Tue) 01時半頃
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フィリ ップ、 んっ、ごめ ん
[涙と一緒に謝るのは、枷がなくなって移り始めた棘のことか。それとも、口にはできない願いのことか]
ずっと、一緒…だよっ
[熱が放たれれば、棘が抜ければきっと眠りにつくのだろう。サイラスと、同じように。 今、フィリップに穿たれている時でさえ、甘い声をあげていてもなお、心の何処かはフィリップのものにはならなくて
愛したいと思うのに。 好きになりたいと願うのに。
口には出せない。ただ、一緒にいる。いて欲しい。 そして放たれた熱は甘い痺れと共にどうしようもない想いまで夢へと連れて行く*]
(79) 2012/01/03(Tue) 02時頃
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