315 【La Mettrie〜存在という機械が止まる時】
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[ 鋭い声が鈍色の空を引き裂くように響き渡った。
―― これが、エンジェルシイラの声、なのかしら?
ぎこちなく声のした方へ顔を向ける。 声の主をみつけることはできたのだろうか。
自分の知っているどんな生きものの鳴き声とも 違うように感じる。
不吉な予感に身を竦ませ、 祈るように指を組んで頭を垂れた ]**
(2) 2022/12/30(Fri) 13時頃
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[ 通路から現れた人影が、急に目前へ迫ったかと思うと 制止する間もなく、噴水の傍らに置かれた果実をガツガツと口に運んだ。
そこにあったのは、ラルフが玉蟲に投げつけてくれたのとは違う種類だっただろうか。
口にする果実に毒があるのかもしれないと考えもしないのは、摂取できると“識っている”のか、“関係ない”のか。
何も言う隙も与えられずに、金髪の彼――ジャーディンが庭園へと去って行ってしまえば、ただ茫然と見送り、彼が、未だ水に口をつけていないことには気がついていないだろう。]
(13) 2022/12/30(Fri) 20時頃
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[ 畑があると誘われた区画で、フェルゼが口にしたものは、俄かには信じがたいものであった。]
ヒッ…っ!!
[ 胃の中に嘔吐すべきものが入っていなかったことが唯一の幸いだった。
フェルゼは、“畑”と言った。 良く育っている、とも。
―― 育てて、食べているのだ。
彼がそれを咀嚼している音が聞こえる。
昆虫食の文化がある土地があるというのは聞いたことがあった。 けれども、目にしたことも、己がそれを口にしたことは未だなかったのだ。
失礼だとは思いつつも、じりじりとフェルゼとの距離をとるために後ずさる。
どこにも、逃げる場所などないというのに。]*
(14) 2022/12/30(Fri) 20時頃
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マーゴは、フェルゼに、ロイエは眠れる場所を見つけられたのかしら?と尋ねたかもしれない **
2022/12/30(Fri) 20時頃
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>>16 [ 白皙の青年はこちらへ不思議そうな視線を向けた。 まるで、私が何に反応したのかわからないという様に。
たしかにそうだろう。 私だって、果実を食べるところに悲鳴をあげられれば 何故?と思うだろうから。
この世界で、”安全な食べ物”を分け与えるのは かけがえのない善意だ。 彼も純粋な好意で、それを示したのだろう、けれど。
この人は、違う。
違和感がじわり、胸に広がった]
(33) 2022/12/31(Sat) 16時頃
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>>16 [ ロイエは、城の3階のファルゼの部屋で眠っている、と聞いた時、安全な場所を提供してもらったのかと、はじめは思った。
けれども、続く言葉に、違和感は膨らむ。]
『もう目覚めないと思います』
[ それ、は?
疲れ切っていたロイエの様子を思い出す。 どこか、壁のあるところで眠りたいと、そう言っていた。
どこかで、眠ることさえできれば 戻ってきたら、言葉を交わしたいと思っていたのだ。]
(34) 2022/12/31(Sat) 16時頃
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もう、目覚めない?
[ 求めていた地へ辿り着き、彼女の眠りは穏やかに訪れたのだろうか。
目覚めないと『思います』ということは、 彼が手を下したということではないのだろう。
まだ出会ったばかりとはいえ、 知る人との別れは、辛く切ない。
ぎゅっと目を瞑り、固く拳を握りしめて。 もう目覚めないのであれば、 せめて一言、お別れを告げたい。
3階へと向かおうとするでしょう]*
(35) 2022/12/31(Sat) 16時頃
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>>23 [ 声をたてられないでいるマリオを、左腕の影に隠すように伸ばして、少しだけ前へ出た。 ジャーディンの様子は普通ではなかった。
いや、この世界でもう“普通”なんてないのかもしれない。
ここまで生き延びてラメトリーへ辿り着き、大丈夫だと思える人に出会えたことのほうが稀有なのだ。
マリオが髪を隠したことには気がつき、後で尋ねるかもしれないが、今はただ、その気迫に飲まれ。
ジャーディンが“赤い果実”だけに反応しているということには、マリオが教えてくれなければ気がつかなかったことでしょう]
(42) 2022/12/31(Sat) 22時頃
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>>38 >>39 >>40 [食欲は失われていたけれども、先ほどジャーディンが口にしていた果実が“そう多くなければ大丈夫”なのであれば、できれば果実を食べたいと思った。]
・・・ありがとう。覚えておきます。
[ギリギリまで飢えたときに、それを口にするかどうかは、まだわからない。]
(43) 2022/12/31(Sat) 22時頃
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[動けないものたちがこの世界を狡猾に生き抜くために進化を遂げ続けているということについては、すとんと腹に落ちた。
蟲はもちろん恐ろしい。つい先ほどだって生命の危機を覚えたばかりだ。ラルフが駆けつけてくれなければこの世界とはお別れしていただろう。
植物の進化はどうだっただろうか。毒をもつもの、人に擬態するもの、霞のようにそこにあることがわかりにくいもの。触手のように巻きつかれ、命を落としたものの姿を見たこともある。
かつて植物の種子は、より遠くへ移動するために生き物にあえて“食われて”いた。魚卵も別の泉に移動するために同じ手段をとるものもあったという。
けれども、フェルゼの今の言葉はどうだろう。まるで植物が意思を持ち、繫栄のために生き物の身体を殻として使用しているように聞こえる。
それは、かつて針金虫が蟷螂を乗っ取って水場へと導いていたことを髣髴とさせた。]
(44) 2022/12/31(Sat) 22時半頃
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[ ロイエに一目会おうと3階へ向かう途中に中庭を通り抜ければ、ジャーディンが噴水を覗き込んでいる姿を認めた。>>26 >>30
魅入られたように水鏡を眺める姿は、先程の様子とは一変、落ち着いているようにも、困っているようにも見え、その表情に一瞬躊躇う。
―― 人のためになることをしなさい。
祖母の教えは呪いのように彼女を蝕む。
ロイエへのお別れは一刻を争うというわけでもない。 ならば]
・・・あの、ジャーディン、さん
[正面から目を合わせる勇気はなかった。 少し遠くから、伏し目がちに声を掛ける。]
エンジェルシイラがいるときには、少し待った方がいいって、 さっき、フェルゼが >>0:110
[エンジェルシイラが何者かも、それがいつ来るかはわからないけれど、それは伝えておいた方がいい気がして。]**
(46) 2022/12/31(Sat) 22時半頃
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マーゴは、焚火が消えてなければ、温まってくださいと、嚏をしたジャーディンに
2022/12/31(Sat) 22時半頃
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>>48 [思ったよりも可愛らしい返答だったものだから、思わず顔をあげて彼をまじまじと見た。肩が震えているは、冷えか、それとも惧れか。
小首をかしげながら、あれが人を食べるかはわからないのですが、と付け加えた。
水を守りたいだけなのかもしれないし、あるいは人を食すのかもしれないけれど、あの耳障りな鳴き声を聞くと肌が粟立つと自分も告げる。]
私はマーゴ。
[一緒にいるようなら、マリオやラルフを紹介したことでしょう。
持っていた布はすでに濡れてしまっていたので、彼に差し出せるものはなかった。小さな焚火で彼の服は乾かすことはできただろうか]
(49) 2022/12/31(Sat) 23時頃
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痛みますか?
[首を抑える仕草に、つい声が出た。 癖のようなものだ。譬え痛むと答えられ、痛みに寄り添ったところで、何ができるわけではないのに。]
庭のアレ、とは植物のこと?
[生えていた、ならばそうだろう。 植物の悪意を感じることができるのか、と問おうとして、 なんとなく口を閉ざした。]
空腹だったのですね。 あの果実、少しなら大丈夫みたいですけど・・・
[体調に変わりはないですかと口にしようとして、己の浅ましさに朱が走る。これではまるで、あの果実が食べられるかどうか確かめているみたいではないか。]
(52) 2023/01/01(Sun) 00時半頃
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[彼の首筋に這う刺青が、 焚火に照らされて、あかあかと主張した。
刺青を入れている人は少なくはないけれど 彼のような風貌の人には珍しいな、と思い ついつい目が引き寄せられてしまうのだった ]
(53) 2023/01/01(Sun) 00時半頃
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[耳先まで赤らむ様子に、己の不躾な視線を恥じるが 露にしてもらえれば、皮膚の下仄かに明滅する蔦に目を見張った。]
それは、どうして・・・?
[何がきっかけで、身の内にそれを棲まわせることになったのか、 聞いてもいいのだろうか。
彼の顔色をうかがいながら、さらに質問を追加する。]
『渇く』のですか? 水、は?
[そういえば、彼は果実を口にした後、そのまま庭園へと向かった気がする。
水を飲むと、ひょっとして、彼の中のその汚染された植物が育ってしまうのだろうか?
判らないことばかりで混乱する。
ただ、逝きかけた祖母のために水が欲しかっただけなのに。 とんでもないところに足を踏み入れてしまっているのだと気づき、口元を覆い身震いした]**
(56) 2023/01/01(Sun) 02時頃
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マーゴは、私がいると洗えないですね、と、焚火から離れて暗いところでじっとしている。
2023/01/01(Sun) 02時頃
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[ ここの庭園にはいないけど、と語ってくれた言葉が本当なのかどうかは判らなかったけれども、続いた言葉は場を和ませようとしているのかと思って、少し可笑しくなって笑みがこぼれた]*
(59) 2023/01/01(Sun) 12時半頃
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