162 絶望と後悔と懺悔と
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
7日目
8日目
9日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
|
─ 陸軍駐屯地:東端傾斜地 ─
[その鬼は──見目は可憐な、 人形と見紛うほど美しい少女であるのに そこに心があると信じられないほど冷たい声を出す。
だから──]
…──よかった
[だから絢矢は──安心する。]
ホリー・ニルヴァーナがオマエみたいな鬼で良かった。 オマエが相手なら、 優しいボクの仲間達でも、躊躇いなくオマエを殺せる。
(8) 2014/02/12(Wed) 00時頃
|
|
[止血する暇もなく加え続けられるダメージに 血は止め処なく溢れ続け、 絢矢の視界は既に夜が訪れたように暗い。
ホリーの声も、どこか朦朧とした意識の中 遠くから繰り返し響くよう。]
…──そうなる前、に
オマエを……
[嗚呼──鬼の、言う通りだ。]
(円も、周ちゃんも、サミュエルも、 涼ちゃんも、キャロも、みんな、優しくて──)
[──だからボクは、 一人でもみんなを殺せるようにと思ったのに──]
(30) 2014/02/12(Wed) 00時半頃
|
|
(…………ねぇ
またいつもみたいにボクを撫でてよ……。
キミが頭を撫でてくれたら ボクはどんなことでも頑張れるんだ……。
ねぇ、リッキィ……)
[視界が霞む。
鬼の纏う漆黒のレースの裾も 我が身と大地を染め上げた真紅も
もう、見分けが付かない──。]
(37) 2014/02/12(Wed) 00時半頃
|
|
[次第に遠くなる意識の中 眷属に──という少女の言葉を聞くと 絢矢は歯を食いしばり、首を横に振った。
日本刀が揮われるなら、抵抗もなく斬り伏せられるだろう。
けれど──、 鬼がその言葉を実行しようとするなら、 その前に、小太刀で己の喉を掻き切るつもり──。]
(45) 2014/02/12(Wed) 01時頃
|
|
神……宿…──、
[離れゆく気配に、 疲弊しきった躰から力が抜けた。
それでも──意識だけは手放すまいと]
直、おに、ちゃ──
連れて、く
[血が滲むほど強く、己の手の甲を噛んだ。]
(49) 2014/02/12(Wed) 01時頃
|
|
[陸軍駐屯地の東の端──緩い傾斜を僅かに下った処。
転がる機動隊の亡骸に紛れるように、 虚ろに眼を見開いた首を抱いて 誰のものとも判然としない血溜りに臥した少女が一人。
──首のない躰に寄り添うように倒れている。
誰か駆け付けて声を掛ければ 白蝋のような面を上げて、直円の躰を指し示す。
意識を失っても、首だけは離そうとせず──*]
(55) 2014/02/12(Wed) 01時頃
|
|
─ 帝都守護部隊隊員宿舎 ─
[救助された直後、 絢矢は多量の失血で病室に運び込まれ それから一昼夜眠り続けた。
目を覚ましたのは深夜。
闇に眼が慣れるのを待って 絢矢はそっと点滴を外した。]
(64) 2014/02/12(Wed) 01時半頃
|
|
[聖水銀──始祖の血を 僅かずつでも身に取り込み続けた影響で 傷の治癒は常人より遥かに早い。
それでも、酷く抉る為の武器に傷付けられた肩の傷は、 まだじくじくと膿み、高熱と痛みを発し続けている。]
…──お兄ちゃん
[その手に首のないことを知ると 絢矢は周囲を見渡し それでも見つからないと裸足のまま寝台を降りた。]
(68) 2014/02/12(Wed) 02時頃
|
|
[暗い廊下に、 ぺたりぺたりという足音が響く。
身に付けているのは手術用の簡素な貫頭衣一枚。 季節はまだ冬の最中。 膝上まで覗いた白い脚が、薄闇に浮かび上がっている。]
(73) 2014/02/12(Wed) 02時頃
|
|
[幽鬼のような足取りで 笑みを忘れた機械の少女は遺体安置所を目指す。
いる確約はない。 けれど──自分が守ろうとしたものを 安吾もジャニスも蔑ろにはしないだろうと 確信めいたものを抱いて、分厚い扉を開いた。]
─→ 遺体安置所 ─
(75) 2014/02/12(Wed) 02時頃
|
|
[そこは気温だけは周囲より低く設定された 只々広いだけの部屋だった。
先日の戦いで出た死傷者の数は優に数十を超え、 通常の施設には収めきれなくなった遺体を 家族の元へ返すか、あるいは荼毘に付すまでの期間 置いておくだけの場所。
遺体を収める袋の数さえ足りず 布を掛けられただけの遺体が数十 横並びに寝かされていた。
中には──手足や頭など、 躰の一部が胴から分かたれたものも、多数。
絢矢はその中を、死臭に顔を顰めもせず ぺたりぺたりと足音をさせて歩いて行った。]
(87) 2014/02/12(Wed) 02時半頃
|
|
─ 遺体安置所 ─
[吸血鬼とされた者の中には 隊員の家族だった者、知人だった者もいて そういう者は、隊員の遺体と共に安置所へ運ばれる。
例えそれが味方を幾人も手に掛けていたのだとしても。 自分達は鬼とは違うと示すかのような“平等”を、 帝都守護隊は貫いている。
直円の遺体は、部屋の奥。 吸血鬼化させられた人間の安置された 少し他と隔てられた区画に横たわっていた。]
(105) 2014/02/12(Wed) 11時半頃
|
|
[白いシートの下には胴体の膨らみがあり シートは少しだけ深く沈み込んだ後、 一抱えほどの丸いものの形に膨らんでいた。
中を見なくても、シートの端に 彼が使っていた鉤爪が置いてあり、 この遺体が直円のものだと示している。
絢矢はそれを一瞥すると ぺたぺたとそこへ近付いて行ってシートを捲る。
直円の遺体は、血も埃も綺麗に洗い落とされていて>>85 その死顔はとても穏やかに見えた。
──例えそれが、唯の願望だったとしても。]
(106) 2014/02/12(Wed) 11時半頃
|
|
[絢矢は、冷たい床にぺたりと座り込み 暫くは兄の頭を無言で見下ろしていた。
閉じられた瞼の下に、忌まわしい紅の潜む。]
───…
[吐く息の白さと体感温度が比例しない。
感覚を失ったように何も感じない膚が 部屋の温度と同化するように冷たくなっても 絢矢はまだ、座り続けている。
やがて、直円を見るのをやめた絢矢は鉤爪を手に取った。]
(107) 2014/02/12(Wed) 11時半頃
|
|
[鈍い輝きを放つ凶悪な姿形。 抉った肉を更に掻き乱すように拵えられた形状。
この武器に抉られた肩の傷は一生残るだろう。 ともすれば痛みさえ。
熱と痛みを訴え続ける傷口は 兄が生きていた証のようで──]
──────、
[絢矢は──鉤爪の先端を、 己の頬へ引き寄せ、 爪の先の食い込むほどに強く押し付けた。
そのまま引き下ろせば、 きっと貌にも消えない痕が残る。
それは薄れない兄の記憶となり──]
(108) 2014/02/12(Wed) 11時半頃
|
|
[けれど────]
…──直
[絢矢の手はそこで止まった。
成そうとする意思が、 止めようとする何者かの手に抗うように 鉤爪を掴んだ手を震わせる。]
お兄ちゃ──……。
[今際の際に呟かれた直円の言葉>>428が絢矢を縛る。
傍目にはわからない攻防が数十秒続き 絢矢は諦めたように鉤爪を置いた。
鉤爪は僅かに頬の表面を傷つけ、 赤い玉を浮かせるに留まった。]
(109) 2014/02/12(Wed) 12時頃
|
|
[絢矢の手が、直円の頭部を抱え上げ胸に抱き寄せる。 髪を梳いて、そこに兄がいるように語りかけた。]
直お兄ちゃんは本をいっぱい読んで賢いはずなのに、 やっぱりちょっと抜けてるね。
ボクの顔なんて大事にしてもしょうがないのに 傷付けないように無理な戦い方までして。
……ごめんね、お兄ちゃん。
ボクが誰かに嫁ぐ日は永遠に来ない。
だって お兄ちゃんをこんなにしておいて ボクだけ幸せに、なれるわけがないでしょ───?
(111) 2014/02/12(Wed) 12時頃
|
|
[もう戻れない。
彼らも、自分も。 直円の他にも、孤児院の子らを眷属とした──と ホリーは円に告げていた。
ずっと考えていた可能性の最も避けたかった形での肯定。]
ボクはこれからも──みんなを殺す。
[生き残ってしまったから。 他の誰にも同じ思いをさせたくないから。]
ホリーも始祖吸血鬼も殺す。 孤児院ではぐれた仲間も殺す。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも弟も妹も、 鬼になっていたら──全部殺す。
(112) 2014/02/12(Wed) 12時半頃
|
|
[例えばそれが、幼い憧憬の対象であった真弓でも。 小さな自分をすら女の子扱いしてくれた理依でも。 霧のように寄り添い体温を分けてくれた明之進でも。 穏やかで繊細で、顔を見ると少しだけドキドキした零瑠でも。
誰よりも長く、誰よりも近くにいて、 きっとお互い、誰よりも仲良しだったと思っている 大切な、大好きな──リッキィでも。]
(114) 2014/02/12(Wed) 12時半頃
|
|
待っていてね、お兄ちゃん。 ボクがちゃんとみんなを解放してあげる。
…──それで、
全部の贖いが終わったら、 “そっち” で会おうね?*
(115) 2014/02/12(Wed) 12時半頃
|
|
─ 帝都守護隊隊員宿舎 ─
[陸軍駐屯地での衝突から三日後の朝。 周と涼平の失踪──鬼に連れ去られたとの目撃情報──を聞き 絢矢は隊員の止めるのも聞かず、単身宿舎を飛び出した。
最初に向かったのは激戦の爪痕色濃い陸軍駐屯地。 司令部と通信施設だけが辛うじて復旧していたが 急拵えのそれはいつ吸血鬼の襲撃に遭うとも知れず 近く、完全に放棄される予定だと聞いた。
再び陣を敷くほどの兵が、足りていないのだ。]
(117) 2014/02/12(Wed) 13時頃
|
|
[施設の撤去作業の傍ら、 破壊された対吸血鬼武器の回収も進んでいる。
建物の一つに集められたそれは、 持ち主が生きていれば宿舎に持ち帰られ、 持ち主に返還される予定となっている。
周の武器は、まだ駐屯地に置いてあった。]
周ちゃん──。
[真ん中で見事真っ二つに断ち折られた刃と白鞘を 布に包んで胸に抱き、持ち主の名を呼ぶ。
厭な想像が過ぎる。 もし周と涼平が、鬼になって戻って来たら──。
そしてそれは、決して低い可能性ではない。]
(119) 2014/02/12(Wed) 13時半頃
|
|
[これ以上何を捨てればいいと言うのだ。 何かと引き換えにしなければ、 今以上の強さを瞬時に得ることなど出来やしない。
笑うことはやめた。 泣くこともやめた。
次は痛みを捨てようか。 それとも書物に描かれた達人のように目を潰せば、 見たくない物を見ずに、 本当の機械のように敵を屠れる鬼になれるだろうか。
そう──それは鬼だ。
強さを求めれば求めるだけ、 斃すべきモノに近付いてゆくような────錯覚。]
(120) 2014/02/12(Wed) 13時半頃
|
|
[内蔵を冷たい手で撫でられたような 悍ましい想像の感触。
絢矢は折れた長ドスをきつく握り締め、 それ以上の収穫の得られそうにない駐屯地を後にした。*]
(121) 2014/02/12(Wed) 13時半頃
|
|
[周の武器を携え、次に向かったのは 駐屯地に程近い補給基地。
失踪者の情報を求め手当たり次第話を聞いたが 有力な情報は掴めなかった。
落胆を抱え補給基地を出る。
小袖の上には 丈の長いケープ風に改造を施した軍服。
さて次にどこへ向かおう──と辺り見渡して 見慣れない砂色の外套を纏った人影>>103を見つけた。]
(129) 2014/02/12(Wed) 18時半頃
|
|
[砂色の外套の下から覗く色は赤。 隊の中に赤を好んで着るものはいない。
赤は──鬼の色だから。
しかし、敵地に一人で鬼が現れるとも思えない。]
───…
[自分の知らない隊員か、 隊員の身内だろうと推測しながら 念のため警戒を解かず、砂色の人影へと足を向けた。]
(135) 2014/02/12(Wed) 19時頃
|
|
─ 補給基地 ─
[砂色へと、歩調変えず歩み寄る。 顔は端から隠していない。]
───ここに何か用?
[急襲に対応出来る距離を保って、声を掛けた。]
(140) 2014/02/12(Wed) 20時頃
|
|
───?
[相手の息を呑む気配。 訝るように速度を落とし]
……───
[いたんだね、と言われ──悟る。 記憶の中と殆ど変わっていない声。 纏う空気は飄々と。]
理、依──?
(142) 2014/02/12(Wed) 20時半頃
|
|
[外套の下から、 五年の歳月を窺わせぬ幼さの残る容貌が表れる。
眇めた眼は理依の瞳へ。 虹彩の色を確かめようと視線が注がれる。]
───、
[ホリーがはっきりと名指しで眷属と呼んでいた理依。 確かめるまでもないけれど、僅か距離を縮めて]
何をしに、来たの。
[感情の読み取れない、機械の貌で尋ねた。]
(147) 2014/02/12(Wed) 20時半頃
|
|
どうして?
[理依が殺し合いを否定した直後、絢矢は尋く。]
直お兄ちゃんを、ボクは殺したのに。 ボクを殺さなくて──いいの?
[構えはまだ取らない。 白い外套の下、周の白鞘を撫でて]
円もサミュエルも、キャロも。 みんないる。
[現状を説明しながらも 笑まぬ菫は無感情に瞬く。]
(149) 2014/02/12(Wed) 21時頃
|
|
───…。
[変わったと言われると、 絢矢の視線は一度空へ彷徨いでるように揺れた。
けれどそれを知るのは本人だけ。 遠目には変わらぬ眸が理依を見据えている。
訊くべきことを訊け。 感情を凍り付かせて得た強固な理性が告げる。]
周ちゃんと涼ちゃんは──どこ?
(150) 2014/02/12(Wed) 21時頃
|
|
そう。 でもボクは、
ボクは──…
望んで直お兄ちゃんを────狩ったよ。
[理依が目を閉じ溜息をつく間、 絢矢はその様子を眺め、再び目を開けると唇を開く。]
明ちゃんと零お兄ちゃん。 やっぱりいるんだね。 まゆお姉ちゃんもいるんでしょ?
周ちゃんと涼ちゃん、返して貰えない? 家族──“だった”でしょ、ボク達。
(154) 2014/02/12(Wed) 21時半頃
|
|
[絢矢は首を傾げた。]
返してもらう。 明ちゃんも、零お兄ちゃんも、お姉ちゃんも。
[リッキィも──。]
理依のことも、ボクは取り戻す。
ねぇ、どうやったら会えるかな。 みんなに。
周ちゃんと涼ちゃんを早く返してもらわなきゃ。 鬼に──される前に。
(162) 2014/02/12(Wed) 22時頃
|
|
出来るよ。 直お兄ちゃんは帰って来た。 他のみんなも、いずれ。
[刈り取った命をして帰って来たと称す。 歯車は狂い出した。
もう戻れないのは──絢矢も同じ。]
二人──? 支配しているのは始祖吸血鬼だけじゃないの?
[尋ねながら、浮かぶのは漆黒の少女の貌。 直円は彼女に従っているようだった。]
もしかして、もう一人はホリー・ニルヴァーナ?
(171) 2014/02/12(Wed) 22時半頃
|
|
[コクリ、頷く。]
理依、真弓、零瑠は始祖に。 明之進、リカルダはホリーに。
憶えた。
二匹を斃せばみんなは──
[今より楽に──逝けるのだろうか? それはある意味、ホリーに手を出すという宣言。]
──ねぇ理依。
ボクは今日ここで理依に会えて良かったと、思う。
(191) 2014/02/12(Wed) 23時頃
|
|
ここにはボクしかいない。
[仲の良かったサミュエルも周も見ていない。]
ねぇ──…リィ
[直円を殺す所を円に見られなくて良かったと思う。 円は直円に懐いていたから、 あの時、円がすぐに戻って来なかったことを、 どこか安心していた。]
キミにその気がなくても──、ボクはキミを取り戻すよ。
(192) 2014/02/12(Wed) 23時頃
|
|
ボクはホリーを殺す。 リィを取り戻す。
だから── だからねぇ、リィ。
ここで死んで──。
[そう言って、絢矢は 頬を引き攣らせるような無理やりの笑みを作り、 『菖蒲』を抜き放つと同時に、その懐へと切り込んだ。
──けれど。 直円から受けた治りきらぬ傷の痛みに、切れ味は鈍い。]
(193) 2014/02/12(Wed) 23時頃
|
アヤワスカは、トレイル(零瑠)への贈り物は、まだ鞘で揺れている。
2014/02/12(Wed) 23時頃
|
[完全に踏み込み切れなかった。 躱されることを予測し、 二撃目へ移るべく筋肉は動いていた。
なのに、返って来た肉を貫く手応え。 刺し貫くに適した造りの刃が理依の脇腹に埋まり]
────!!
[反応の遅れた腕ごと掴まれる。 人間相手なら容易く抜け出せただろうけれど 鬼の膂力を振り払えるに満足な距離はない。
もがく絢矢の耳許に落ちる声。 絢矢は一度、抵抗をやめた。]
(206) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
|
|
今じゃなければ
[抑揚に乏しい声。 感情の代わりに記憶を掘り起こすように、絢矢は尋く。]
ボクじゃなければ
[理依の言葉は、己の生の期限を定めているようで。]
…──────、
もしかしてリィにも、『特別』な誰かが見つかった?
[優しく突き放されたまま数歩後ろへよろけ 距離を取る理依を真っ直ぐに見詰めた。]
(207) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
|
|
……───そう。
[その瞬間だけは 人形のように動かぬ絢矢の眉が どこか淋しげに下がった。
理依の口振りは、やるべきことを終えたら 自分以外の誰かになら 殺されてもいいと言っているように聞こえたから。
例え──鬼になったとしても 特別を作ろうとしなかった昔よりも 彼は“幸せ”になったのではないかと、思った。]
ボクも──ずっと、みんなが大好きだよ。
[絢矢も答える。 変わらぬ表情で、家族への愛情を。]
(218) 2014/02/13(Thu) 00時頃
|
|
───わかった。
[伝えるよ、お兄ちゃん。 そう言って、別れを告げる理依へ 『菖蒲』の鞘から解いたものを投げる。]
ボクからも、『お願い』。
これを零お兄ちゃんに渡して。 あの日渡せなかったプレゼント。 お兄ちゃんの──誕生日の。
[投げ渡そうとしたのは 艶やかな若草色の菊結び。>>2:35]
ボクはもう、きっと直接渡すことは出来ないから。
[出逢えばきっと、殺し合いになってしまうから。]
(221) 2014/02/13(Thu) 00時頃
|
|
[手品のように舞う砂埃。 晴れた後には誰の人影もない──*]
(223) 2014/02/13(Thu) 00時頃
|
|
[>>227伝言───]
───…
[思い浮かべ、絢矢は頭を振った。 切り揃えられた髪がふわりと舞う。
言葉になったのは別なこと。]
連れて行った二人を返して。 伝えたいことは──それだけ。
…───っ
[そして、見えなくなった姿の代わりに残された言葉に 絢矢は強く、『菖蒲』の鞘を握った。]
(232) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
|
|
[零瑠に一番伝えたかったのは 馬鹿みたいに単純で、短い言葉。
文字にしてしまえばたった五文字の、他愛ない──。]
…──おめでとうって、────……。
[毎年毎年言ってあげたかった。 祝われても嬉しくないと言われる歳まで、 飽きずに毎年言い続けたかった。
零瑠にも──、 明之進にも真弓にも理依にもリカルダにも直円にも。
結局──言えなかった言葉は吹き付ける冷風に掠れ 誰の元へも届くことなく、掻き消えた。*]
(236) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
|
|
[理依を見送ったその足で 絢矢は補給基地に駐留する将校へ、 吸血鬼が次に襲撃する地は ここである可能性が高い──と報せた。
情報源は明かせなかったけれど 直円を討ち取った少女の言葉は軽んじられることなく その報せは通信で瞬く間に各地へと伝わった。]
(241) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
|
|
─ 補給基地 ─
[伝達を終えると、絢矢は補給基地の一室を借り、 戻りきらぬ体調の回復に励んだ。
痛みは薬で抑えられるが、 傷が塞がり切るまでは出来る限り動かない方がいい。
翌朝には、補給基地を守るための戦力が 各地から派遣されて来るだろう。 仲間には、必要なことはその時に伝えればいい。
サミュエルへの届け物も、その時に──。]
(249) 2014/02/13(Thu) 01時頃
|
|
[外套と小袖を脱ぎ、襦袢一枚で寝台に潜る。
薬の効果で真っ逆さまに落ちてゆく眠りの間際 理依と交わした会話を思い起こす。
願わくば理依の言葉が真実であるように。 信じた己の判断が過ちでないように。
絢矢は祈るように目を閉じた。*]
(250) 2014/02/13(Thu) 01時頃
|
|
─ 補給基地(三日後夕方) ─
[薬の齎した重い眠りから浮上し 開けた瞼の隙間から赤光が眼を射る。
窓から射し込む赤錆びたようなその色に 直円の、理依の、瞳を染めた紅を思い出す。
時は夕刻。 不意に──忘れたはずのものが込み上げて来るのは 間もなく来る日没に、 魔が勢いを増して来ているのだろう、と 時刻のせいにして絢矢は寝台をおりた。
簡素な窓を開けて風に眼を瞬かす。]
───…安吾さん?
[外から、聞き覚えのある声が聞こえて来る>>290。 絢矢な部屋を出て、声のした方へ向かった。]
(306) 2014/02/13(Thu) 10時頃
|
|
早いですね、安吾さん。
[急ぎ来たので、外套の下は襦袢のままだが 前を留めていれば周りからは見えない。]
安吾さんにお伝えすることがあります。
──先日の駐屯地襲撃の折、 新たに確認された複数の上級吸血鬼ですが その支配者がわかりました。
理依、白兎真弓、都零瑠は始祖吸血鬼による支配。 柊明之進、リカルダ・アーランは ホリー・ニルヴァーナによる支配下にあるようです。 直円の吸血鬼化も、ホリーの手によるものです。
つまり──どちらかを先に討てば 実質、敵戦力は半減する。
(307) 2014/02/13(Thu) 10時頃
|
|
安吾さん。
[淡々と、兵士の口調で告げた後、 息を吸い──]
ホリー・ニルヴァーナを討ちましょう。
[決然と断言する。]
子が親吸血鬼を守ることは周知ですが 今ならホリーを守る戦力は一つ削れています。
始祖を斃すには時間も人手も掛かる──。 その間にホリーらに合流されれば 今度こそ壊滅する危険性があります。
(308) 2014/02/13(Thu) 10時頃
|
|
そうなる前に── こちらから先手を打って出ましょう。
[そこまで言い切ると、 一度自分を落ち着かせるように呼吸を整え]
もう一つ──まだ誰にも伝えていない情報があります。
先日の戦いで、ボクはホリーに言われました。 自分と戦いたくば一人で神宿に来い──と。
(309) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
|
|
安吾さん。 ボクを囮に少数でホリー討伐隊を組みませんか。
多人数で移動すれば察知されるかもしれない。 だけど、限られた極小数の隠密部隊なら、 ホリーにだって感知されずに動けるはずです。
もし、この作戦が通らなくても 明朝ボクは一人で神宿へ向かいます。
これ以上、無駄な犠牲は出したくない。
(310) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
|
|
例え一人でも、ボクは──ホリーを討つ。
(311) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
|
|
…──突然、勝手を言ってすみません。
実は、補給基地襲撃と支配者の情報は 理依から直接聞きました。 正午頃、彼はここに。
目的は不明。 目的はない──と言っていました。 言葉通り、交戦はせずに彼は退いた。
──…。
ボクからは以上です。 後の判断は──安吾さんにお任せします。
[再び一気呵成に言い切ると、 ぺこりと頭を下げてその場を辞した。*]
(312) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
|
|
─ 三日目深夜 ─
[それは深夜。 鬼も眠る丑三つ時。
寝入ったサミュエル>>237の部屋を、絢矢は訪れる。
ノックもなく、音もなく。 眠るサミュエルの口を、絢矢の手が塞ぐ。
恐らくは、気配に気付いたサミュエルの反応の方が先。 絢矢は唇の前に人差し指を立てて、 キャロライナを起こさないようにと視線で告げる。]
(313) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
|
|
[闇夜に静謐な瞳が、サミュエルを見下ろしている。]
『俺を殺したいならホリーを狙えばいい。 俺はあの子を守らないといけないから。』
──理依からの伝言。
[絢矢は戦地で用いるような発声で 殆ど音を発さずに言葉を伝える。]
それと、これ。
[外套の下から、適当な布切れに巻かれたものを サミュエルの手に握らせる。]
駐屯地から持って来た。 折られてるけど──周ちゃんの、武器。
[手放す前に、一度鞘をぐ、と握り、 それから指を解いた。]
(314) 2014/02/13(Thu) 11時頃
|
|
[話にはまだ続きがある。 絢矢はサミュエルを部屋の外へと誘った。
扉を横に配し、サミュエルと向き合う。 見上げるサミュエルの表情は 年下の自分が言うのもなんだが 鏡で見る自分の顔とよく似て来ていると思う。
あまり笑わない。泣かない。 それを哀しいと思う心も麻痺して来ている。
──已む終えないことだと思うけれど。]
(315) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
[感傷を断ち切り、絢矢は会話を再開する。]
ボクは明朝、神宿に行く。
[安吾にも告げた言葉を繰り返す。 夕刻よりも、少し柔らかな声で。]
本人直々のお招きだから、ありがたく受けるよ。
サミュはどうするの? 来てくれるならボクは嬉しい。
安吾さんには話したけど、 ホリーに気付かれずに行動出来る兵士は限られる。 その点サミュなら何も問題ないから。
(316) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
[サミュエルを見上げた視線は 迷うように一度床に落ちて、また、サミュエルを見上げる。]
…──うぅん、出来たら一緒に来て欲しい。
ホリーだけでもきついのに、 理依まで来たら、一人じゃ絶対に勝てないから。
(それに、来るのは理依だけじゃないかもしれない。)
どうするかは任せる。 来てくれるなら、日の出前に訓練場に来て。
夜明けとともにボクは発つ。 待ってるよ、サミュエル。
(317) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
[サミュエルの返答がどうあれ、 絢矢はここでも確約を求めず、部屋を離れる。
次に円と共通で使っている部屋へ戻り 音を立てずにそっとその扉を開けた。]
─→ 自室 ─
(318) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
[闇を縫うように、円の寝台へそっと寄る。 ホリーに削がれた耳には包帯が巻かれているだろうか。
絢矢は傷口に痛みを与えぬようそっと円の頬を撫でた。
見下ろす眼差しに 眠る円の顔を焼き付けようとするかのように 長い間、ただそうして、じっと見詰めていた。*]
(319) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
─ 四日目:夜明け前 ─
[地平線から陽は昇りしも、未だ暗い彼は誰時。
そこに誰が現れようと、現れまいと。
これ見よがしに白の外套を風に靡かせ いつぞや戯れに隊員のくれた紅を唇に刷き。
絢矢は宿舎を出立した。**]
(320) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
|
|
─ 早朝:神宿へ ─
[神宿への道中、 はじめは、昇る朝日を見ながら速足で歩いた。
しかしアスファルトに刻む足音は徐々に早く、強く。 いつしか絢矢は駆け出していた。
一刻も早く、一秒でも早く。 ホリーを狩らなければ周と涼平が危ない。 彼らはきっと、今も吸血鬼の居城で抵抗を続けている。
一部でも鬼の支配が解ければ状況は好転する。 そうと信じて絢矢は走る。]
(367) 2014/02/13(Thu) 22時頃
|
|
[傷など──失血など 放っておいてもっと早く出立すれば良かったと 己を責める声が裡から湧いて来る。
サミュエルは、足音も聞こえない距離から それでも自分を見失わずついて来てくれている。 姿が見えなくてもわかる。
サミュエルに同行を申し出た時、 絢矢には兄の答えがわかっていた。 それがどれほど危険なことかも。
だから──死地への連れ添いを頼むようで、 頼むと告げるのを躊躇した。
けれど、きっと。 話してしまった時点で、頼まずとも彼は付いて来た。 付いて来てくれていた。
サミュエルとはそういう兄だ。]
(373) 2014/02/13(Thu) 22時頃
|
|
[気配も音もなく、 それでも寄り添う心を背に感じながら──。
──結局、絢矢は神宿へのほぼ全行程を、 ひと時も休まず駆け抜けた。*]
(374) 2014/02/13(Thu) 22時頃
|
|
─ 神宿 ─
[そこは──一度震災で壊滅的な被害を被ったことなど 嘘だったかのように整備されていた。
それでも、建築物は高くとも二階か、三階。 ──その程度の背の低い建築群の中に 天を衝く高さの巨塔が在った。]
───…、
[見慣れぬ高層建築を正面に据え 絢矢は立ち止まり、塔の天辺を見上げた。
純白の外套が風に裾をはためかせ、 それが軍服であると気付いた年若い着物姿の少女が、 何かに怯えるように路地へと消えた。]
(379) 2014/02/13(Thu) 22時半頃
|
|
[慣れない紅を引いた唇で 通行人の一人を呼び止め、言伝を頼んだ。
ホリーの訪れを待つ間、 絢矢の左手はずっと鞘に結んだ下緒に触れている。
着物や帯や絹紐の感触は 忌まわしい記憶の引鉄であったが、 しかし同時に、幼心に馴染んだものでもあった。]
(384) 2014/02/13(Thu) 22時半頃
|
|
[サミュエル(と、来ていたならば安吾)は 絢矢にも察知出来ない死角に潜んでいるだろう。
使いの鬼が現れれば、 躊躇なく後に従い建物の中へと進む。
後ろを気にする素振りなど見せない。 気にせずとも兄なら、 必ずなんとかすると信じている。]
(394) 2014/02/13(Thu) 23時頃
|
|
───。
[中には思ったよりも人がいた。 鬼も何匹か。
人間が皆一様に浮かべる、 貼り付けたような笑みに恐怖の陰を感じ取る。
憐れみを瞳に浮かべぬように。 しかし決して眼を逸らさぬように。
意思の力で己を抑え込み、 家畜と蔑まれる人間の貌を眼に焼き付ける。]
(404) 2014/02/13(Thu) 23時頃
|
|
─ 神宿:高層建築屋上 ─
───ッ
[最後の鉄の扉を抜けた瞬間 吹き抜ける風に髪がはためく。
その風をすら切り裂くように 鋭く前方を見据えれば、 蒼穹を背負って悠然と佇む、漆黒の少女がいた。]
(425) 2014/02/13(Thu) 23時半頃
|
|
[屋上の中央まで来ると白を脱ぎ捨てる。 風に舞い上げられた外套は屋上を越え、空へと。
白の下には禍刻の空に散る薄紅の花弁──。 小袖の花を風にはためかせ、 絢矢は『兄』と『妹』を鞘より解き放った。]
ホリー──ニルヴァーナ。
ボクがオマエを狩りに来たよ。
[戯言を視線で跳ね除け、凛と立つ。
菫の眼差しは揺るがない。 ──例えその傍らに、紅の在ろうとも。]
(435) 2014/02/14(Fri) 00時頃
|
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
4日目
5日目
6日目
7日目
8日目
9日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る