25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[ゆっくりと向かうのは、風そよぐ庭にまどろむ桜のもと 友人の姿を見遣り、小首を傾いで その鎖骨の上にその弦楽器を乗せ、顎で挟むようにして高く持ち上げる。 弓を手に、すぅとひいた]
――――…
[流れ出る 柔らかくそれでいて繊細な音色は、異国の楽器ならではの音色。 頑なに閉ざしていた冬ではなく 春の到来を告げる曲。
楽器に添えられた指は正確に音を紡ぎだす。 足りなかったはずの色をそこに添えて]
(543) 2010/08/04(Wed) 14時半頃
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― 庭 ―
[足元に伸ばされた人間の、セシルの手を もう避ける必要は無い。 嬉しそうな微笑すら浮かべ、流し見遣る
そこに怯えていた子供の姿は無く ほころんだ蕾は噂どおり見事な花を咲かせてみせた**]
(545) 2010/08/04(Wed) 14時半頃
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― 庭 ― [まどろむセシルの笑みを見下ろし、薄い唇を開く]
……目覚めの歌を子守唄にか 夜があけては仕方の無い事とはいえ
[弦はその間も音を紡ぎ続けていた。 小鳥の囀り 木々の葉が揺れるさま 和楽器には無い音色がひととき庭に華やかないろを添える]
――…
[視線を上げる。 テラスにあった人影が丁度席を立つようだった。 僅かに視線を下げる]
(554) 2010/08/04(Wed) 17時頃
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― 庭 ―
[テラスの人影が消えて暫くして 弓を下ろした。 音は夏へ向かわず止まる]
……
[浮かべるのは、苦笑い]
良く、寝てる
[隣に座り、楽器を抱えたまま セシルの柔かな髪に手を伸ばした]
(558) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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― 庭 ― [楽の音止めてしまえば、庭には静寂が戻る。 僅かに鈴の音を聞いた。 顔をあげ、ずれた眼鏡をそっと指で押し上げる] ……?
[首を傾ぐ。 戯れに触れていた手をひらひらと手招いた]
(564) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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― 庭 ― [近づく鈴の音に、瞳を揺らす。 唇が綻び、僅かな弧を描いて]
……
[ほぅ、と息を吐く。 怯えた様子は無い]
手を
[近づく相手にかける声は硬質ながらも媚を含み 雪のように白い手を伸ばした]
(569) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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― 庭 ― [触れれば、雪よりも暖かい 熱が引いたとはいえ、日の下で長く居た為に]
是を 日の下に、長く晒すわけにも
いかないんだ
[言葉を選び、紡ぐ これをと視線を一度膝の上においた弦楽器へやって。 少し眉を下げて困ったようにちらり見上げる冬の色 紫苑色を斜めに流し見遣る]
助けて。
(571) 2010/08/04(Wed) 19時頃
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― 庭 ― ……鳴らぬはずの音は、届いたかい [小首を傾ぐ]
花であれと、高嶺さまが仰るから かの人が 若しやと思ったんだ
それも、選定を終えたと聞けば 無駄だと知っているけど
[交えた瞳の色を翳らせ、つと視線を流す。 眉を下げ 薄くにじむ、目元の朱 握った手、引く力僅か強めて]
足を痛めていて……立ち上がるに これを持ったまま片手では難しくてね
(576) 2010/08/04(Wed) 19時半頃
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― 庭 ― それは、そうだろう……ね まだこちらでは珍しい異国の楽器だ ロビンが習ったのは、舞も歌も
[言葉を紡ぐ所々に間が空く]
どうして? ……その答えは、彼だけが知っているよ。 迂闊と謂うけれど、お陰で私は目覚める事が――
[支えて引かれる 膝にあった楽器が滑り落ちそうになるのを空いた手が止めた]
あ、っ
[弾みがついた。 軸足で止められなかった様子で、体重はそのまま目前の相手へ 冬色に映ったのは、テラスにあったその人の影]
(581) 2010/08/04(Wed) 20時半頃
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― 庭 ― [ぐらりと傾いだ身は白鳥の傍に 片手で支えた楽器は落とさない。 一際大きく鳴った鈴 僅かに眉を顰める]
あぁ……思ったより力があるんだ? 目測を誤った
[見上げ、間近で囁く]
めが覚める……言葉どおりさ 態度を改めねばと、そう思った 噂の「ロビン」のままでは駄目なんだろう
実践中なんだよ。 もう遅いと、哂うかい?
[はにかむような笑みを浮かべ、心境の変化を告げる 視線は一度交えてから庭先へ]
(588) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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お恥ずかしい所を……本郷、さま?
[身を預けたまま、視線の先の声に顔を向けた 名を確かめるように語尾があがる]
(589) 2010/08/04(Wed) 21時頃
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― 庭 ―
瀕死の白鳥ならば、習った記憶があるな。 あの舞は、特殊な床と靴が入用なんだけど
……白き鳥の舞 昨夜の……見ていられなかった、あれか
[遠い目をして、やがて首を振る]
嗚呼、もう問題無いよ 離してくれないか、少し汗臭いだろう 昨夜は高嶺さまに無理矢理床に押し付けられてしまったから
[つ、と片手で胸を押す際 指先がなぞる]
(598) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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― 庭 ―
……知っているも何も 色々な方が呼んでいたのは、聞き覚えて
います。
[語尾を迷う風に間が空いた]
足裏をぱっくりと切りまして 昨夜は臥せっていたんです 宴の最中に情け無いことですけども。
[首を傾いだ本郷に説明する。 不注意を恥じるように、眉を下げて笑んだ]
(599) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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此方でも、白鳥は湖に身を投げて死ぬね ……恋する相手と共にだけど。
[白鳥を振るわせた事に満足そうな笑みひとつ]
――――――ロビン。 それでも、聞き覚えはありませんか。
[名を知らないと言われ、眉を寄せた。 冬色は手元で鳴る音を見遣る。 下げた視線を追ってずれた眼鏡を指先で押し上げて]
眼鏡を割りました。 治療は、最初に夜光とセシル……いや、月瀬 が。
[簡素に語る昨夜の出来事]
(605) 2010/08/04(Wed) 21時半頃
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執事見習い ロビンは、呉服問屋 藤之助から離れる。「倒れないよ」と苦笑いを浮かべて。
2010/08/04(Wed) 22時頃
執事見習い ロビンは、本屋 ベネットの口から出た名と言葉の意味に瞬いた。
2010/08/04(Wed) 22時頃
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……え、ああ……見聞き能わぬままでは 花とも呼べぬ でしょう?
[続いて投げられた言葉に反応する前に間が空いた。 頷く]
今朝は、もうすっかり良いんですよ 歩くと痛みはありますが……眼鏡も頂いたし、視界は開けました。 しかし、夜に手当してから未だそのままでした。 ご忠告感謝します、本郷さま ……感謝ついでにお願い事など、失礼でしょうか
(611) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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……そう、随分違う 高嶺さまに呼ばれた……なら 独り朽ちるのはキミじゃない
[まだだと本郷に語る白い鳥 視線を向けて、薄く笑みを引いた]
未だなら、早く行くといい 主の用事が第一だろう? 呼び止めてすまなかったね
(613) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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― 庭 ― ロビンと、普通に呼んでくれれば良いのに。 意地の悪いことを謂うんですね?
[眉根を寄せて、少し見上げる。 音に反応して視線はまた下に。 手にした楽器と弓は日の当たらぬよう後ろ手に持った]
傷を残さぬためにも 一度湯を使い清めたいんです、が 先ほどお話した通りこの足では少し。 湯殿へ、私を……
[本郷の視線に促されるように願いを紡ぐが、語尾に迷う]
(623) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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……未だ、違うのか……? 高嶺の花は
[目前での応答を見聞きし、呟く]
(625) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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―――…
[鈴のおと 扇が鳴る。
呆けたように、立ち尽くした 表情が無い]
(633) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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[唇吊りあげ息を吐く、本郷の視線に気付くのがまた遅れた]
ああ、嗚呼……ご無理なら構わないんです、本郷さま ひとりでも、時間はかかりますが たどり着けぬ事は無いと思いますし
[庭のこの先から、花達の棟のさらに奥となれば距離があって 大分難儀するのは目に見えている。 鉄色をした瞳を見上げる冬の色は翳っていた]
(635) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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……勿体無い事だな、と 言葉が、うまく見つからなかっただけだよ。
[首を傾いだ白い鳥 そちらにも気付き、首を振った]
いや、どうしていいのか 少し混乱した
[言い直すもしっくり来ない様子で、弦持つ手を胸に当てる]
(639) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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― 庭 ―
そうだ、本当に自分でも頭が真っ白で……良くわからなかっ
[空白の説明は的を得ない。 抜け落ちた冬の名残は何処へ]
あ
[不意に小柄な身を担がれ、驚いたような声を洩らす。 片手に弓、片手に楽器]
これでは、暴れられません。 ……本当に意地の悪いひと
[あまりな扱いに拗ねたように呟いた]
(646) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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― 庭 ― んっ……
[軽い音と同時に、尻に走る短い痛み ぴく、と身を跳ね 冬色は地面を睨む]
暴れてなど、いないのに。
[そこに眠るセシルに一度視線を投げ、そらす。 揺れる振動が腹から伝わる 唇を咬んでおいた]
(651) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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執事見習い ロビンは、湯殿までこの格好かと呟いた。人目をひきそうだ。
2010/08/04(Wed) 23時半頃
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― 本邸渡廊下→B棟 ― [白い鳥が尻を見ていたかどうかは担がれた姿勢では見えない。 侍従に告げる本郷の声。 顔は上げず、不恰好な姿勢のまま大人しく担がれている。 文句の一つもあげず 怯えた様子もなく]
(659) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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−B棟居室− [浴室の前で下ろされて、漸く視界が逆様から元に戻る]
此処は ああ、早い到着は……本郷さまの棟でしたか
[あたりを見渡し、現状を呟く。 用件だけを告げていく相手を見上げ、瞳を一度伏せる]
――楽器は、ケースが離れに。 元有る場所へお願いします
[幾人かの気配。 冬色の瞳が本郷を見上げ、白い指先が袖へと伸びる]
どちらに行かれるのか……問うても?
(668) 2010/08/05(Thu) 00時頃
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ケースがそのまま、開いていますから 見れば解るものですよ。 手入れは、後で私が向かいます。
[問い掛けの答えを渡されて 冬の色をした瞳を冷たい鉄色からそらす。 伸ばした指は、宙を彷徨い落ちる]
少し…………寂しい それだけ、です
[まだ何か。 一言返し、口元に笑みを浮かべた]
(674) 2010/08/05(Thu) 00時頃
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……頼みましたよ 楽器はどれも、扱いは慎重に など 謂わずとも、良い事でしょうね。
[侍従の手が伸ばされる。 身を預けてされるがままに衣服が肌蹴ていく。 足を覆った包帯は、矢張りまだ少し朱が滲んでいた]
共寝……? 未だ、朝になったばかりですよ。
嗚呼、でも気分が向かない事はわかりました。 これ以上ご迷惑もかけられませんね? 随分とお手を煩わせました
[間を置かず湯浴みの用意が整っていく。 湯気の立つ浴槽を見やる瞳に落胆の色は無い]
(684) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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― B棟居室 ― そんな心算は…… また、知らぬ場所にひとり置いていかれるのが、 寂しいと それだけですよ
[誘うといわれ、戸惑いを表情に浮かべる]
ええ、それでは宜しくお願いしましょう。
[屋敷に来て一度も下げたことの無い頭を下げて 本郷を見送ると従者達に浴室へと連れて行かれる事となった]
(694) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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[浴室にまで手伝いの手は伸びる。 身を清められ、別の侍従から新しい着替えを渡された]
……着物?
[眉を寄せる]
成る程、洋装よりも脱ぎ着はし易いと 怪我人への配慮は、貴方達か 本郷さまがそこまで私を構うとは思わぬ故 [用意された薄灰色の着物に袖を通す。 着付けも、傷口の治療も全て白い手を使う事が無かった。 用事を済ませた侍従が下がる。 ほ、と息を吐いて 傍らの机に置かれた眼鏡に手を伸ばした]
(696) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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― B棟/廊下へ ―
[湯気で曇っていたレンズを丁寧に布で拭く。 壊れ物を扱う手は 楽器を持っていた時よりも慎重に。
やがて身支度を終えると、するりと部屋を抜け出した。 石鹸のにおいをさせながら、なれぬ棟をゆるりと歩く]
(700) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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