258 【突発誰歓】鬼渡し弐
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―黄昏時の過ぎたあと―
[ただ1度の瞬きのように短い間気を失っていた。瞳を開けた時そこに広がる夜空には赤色など映らなくて、ああ、帰ってきたんだ。なんて悟る。いま、なんじだろう。 ポケットの中をさぐってスマートフォンを取り出せば今度はちゃんと動いてる。神への賛美の楽譜が写った待ち受け画面に浮かぶ時間は、夕暮れと呼ぶには遅く、深夜と呼ぶには早い刻。どっと疲れが押し寄せてそのまま腕をぱたり、落とした]
……はは、
[終わった、終わったね。と感嘆を共にしようと傍を>>0見れば、……その様子が明らかにおかしくて喜びなんか吹っ飛んでいった]
……アキくん?アキくん!?
[声をかけて背中をさするけど、効果があるとは思えなくて。病院でも診療所でも、そんなものがこの村にあるかはわからなかった。だけどこのまま彼を置いていくなんて気はまるっきりないから、その身体を背負ってもう一度走ることに躊躇いなんてない]
(8) indust 2016/11/22(Tue) 22時頃
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[苗字も、アキくんという呼び名以外を知らない子の家を探すのは骨が折れるどころか不可能だろう。だからきっと『亜沙華(あさか)』の扉を勢いよく叩いたかもしれない。……そこ以外で自分の顔を知るものなんていないだろうし。
彼らの助けを経て明乃進の家に辿り着くことができたなら、彼の身の上、彼の体のこと、……もしかしたら聞いてしまうかもしれない。その時には泣き出さず静かに聴いている。
―――それから、
篁の家に時折海外から荷物が届くようになる。それは風景のスケッチ、それは建物の写真、それは異国の土産物。それはしがない作家の絵本。世界の広さを思わせるあらゆるものが。
彼の訃報を聞くまで、荷物はどこかから届くだろう]*
(9) indust 2016/11/22(Tue) 22時頃
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