92 【バトルRP】歴史英雄譚
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[どれくらいの間、そうしていただろう。 冷たい石造りの部屋の中で、私はじっと蹲っていた。]
――ここは、どこ?
[答える声はない。 世界に復讐を、と囁いたあの声は、誰のものだったのだろう。百二十年の間に魂すらも擦り切れて、形を失いかけていた私を、ここへ呼んだのは?]
今更、私に何をしろと…
[街を、世界を呪いながら、あのまま消えてしまいたかった。もうすぐ、その時が来ると感じていた。それなのに。]
(65) 2012/05/21(Mon) 11時頃
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[不意に、抗い難い力を感じた。 抱きすくめられたような息苦しさ。]
――あ、
[その力に引きずられるようにして、私は立ち上がる。 背中を守る壁を見失い、再び恐怖が襲う。私は必死で腕を伸ばし、壁を探した。
数歩進んだところで石壁よりも更に冷たい、金属の感触に触れた。低い位置には把手のようなものがある。どうやら、扉のようだ。
倒れこむように扉に身を預けて、把手を回す。ぎい、と音がして、扉は僅かに開いた。]
(66) 2012/05/21(Mon) 11時頃
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―一階、どこかの廊下―
[眩しい。
重い扉の隙間から差し込む光が、私の目を刺す。 痛む眼窩を押さえて、私は暫くの間そこに立っていた。
慣れてしまえば、それはそう強い光ではなく。むしろ、薄ら暗い程だ。 石で造られた、広い廊下。遠くに小さな窓が見え、僅かに青空が覗いている。 反射的に、私はその青空を恐ろしい、と感じた。絵画のような、不自然な青。私の記憶のどこにも存在しない、つくりものの青だった。]
――世界、を?
[時折、頭の中に声が響く。 私は、耳に貼り付く声を払うように緩く首を振った。**]
(67) 2012/05/21(Mon) 14時頃
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[響く声に、私は思わず溜息をついた。
違う。世界は変わらない。変えたいとも、思っていない。 私の望みはほんのちっぽけな事で、そして酷く大それたもの。 切り取られたような青空から目を逸らし、私は窓に背を向けて歩きはじめた。 重い足を引きずりながら、呟く。]
消えてしまえばいい。 何もかも。
(90) 2012/05/21(Mon) 23時半頃
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[長い回廊を、あてもなく彷徨う。
結界石を壊すのだと、声は言った。 彼の言う事を総合すると、ここは呪術的な楔であるらしい。 その結界とやらを壊せば、世界は破滅へと向かう、と。
生きていた頃の私なら、そんな非科学的なこと、と一笑に付したことだろう。 しかし今となっては私自身がこの上なく非科学的な存在なのだ。 内心苦笑しながら、私はそれを探す。
壊れてゆく世界の端で、私を見つけられなかった彼らにざまあみろと言ってやろう。それが私の、本当に最期の言葉になるのだ。そう思うと、鬱屈した気持ちがほんの少しだけ、晴れるような気がした。]
(107) 2012/05/22(Tue) 00時半頃
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