204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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―マラカイトグリーン/3階廊下―
[引き結ばれた唇。>>1:538 消えたであろう言葉を、ノックスは紡ぐ。]
――どうして、ラルフは逃げるようにして部屋に入っていったのか……かな?
[遮る右腕の手首を掴み、壁に押し当てた。力が籠るのは仕方ない。]
それこそ、ラルフの口から教えて貰うと良い。
[皮肉混じりに笑う。あぁ、大人げない。 ノックスを見上げて動じない緑色をじっと見据え。]
……目は口ほどに物を言うというけれど。
(4) 2014/11/17(Mon) 10時半頃
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何か言えないことを、したんだ――ね。
[警告が足りないのか。 もう一方の、包帯を巻く手をフィリップの頬に宛がった。]
いいかい? フィリップ。 君が‘大人’なら、僕は何も言わなかっただろうけど…… 制御出来ない‘子供’だから、こんなにも不安になるんだよ。
[嘘だ。誰であっても、不安になる。]
(5) 2014/11/17(Mon) 10時半頃
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他の子に対してでも、ね。
衝動が襲ってきたら、ホレーショーの顔を思い出すことだ。彼が悲しみ嘆く様を想像すると良い。
それでも――…僕の大事なトレイルとニコラを、抱いたり、喰ったりしたら――…
[言葉を止め、フロスティーブルーを寄せた。**]
(6) 2014/11/17(Mon) 11時頃
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―マラカイトグリーン/3階廊下―
[ただ一人だけを見詰めていた。見せた揺らぎも逃さず。>>15]
――…だったら、なに? 残念だけど、君の透明な声は聴こえない。
言う後悔と、言わない後悔と。 どっちが良いのか、よく考えたら良いよ。
……どうか伝わって欲しいって、見ているようにしか見えないけれど。
[憤りにも似た感情の爆発。>>16 唇の触れそうな距離で、ふっと笑った。]
そう? 困ったね。嫌いな奴には言いにくいだろう? でも……そうだな。嫌いな奴だから、食い殺されたくなんて――ないだろう?
[背けた顔。晒された首筋。 これ以上を考える前に、俯く前に、声がかかった。>>11]
(41) 2014/11/17(Mon) 16時頃
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[掌の下で頬が緩む。>>17]
僕だって止めたいさ。 でも、フィリップが素直じゃないから、こんな事になってる。
[ラルフを探しに来たフランシスへと顔を向け、フィリップの脚間に入れていた脚を引く。扉の閉まる音に息を吐いた。
掴んでいた力が緩む。 あぁ、早く。愛しい子達を抱き締めたい。**]
(43) 2014/11/17(Mon) 16時半頃
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―マラカイトグリーン/3階廊下―
[フィリップの手にあるマグカップ。両手を塞ぐもの。 こうして居るのは衝動のせいだけではない。フランシスに見付かった。 扉の向こうには、まだ人が居る。
バーナバスになら殴られそうだと息を吐き、フィリップを解放した。]
……君の保護者はホレーショーだ。 付かず離れずに居れば、君自身の身だって――獣だって、安心だよ。
[嫌がられるだろうから、頭を撫でることをしなかった。 閉まったままの扉を見詰め、ノックスの足は階下に。]
(55) 2014/11/17(Mon) 20時頃
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―ピンクベージュ/2階―
[水を張った器を手に、1歩ずつ階段を下りていく。 固く結ばれた唇。逃げる身体。低い唸り声。
――拒絶。]
………
[水面の波のせいか、ノックスの笑みは歪んで映っていた。]
(74) 2014/11/17(Mon) 20時半頃
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[吸い込んだ空気に混じる食べ物の香り。 炊事場の排水設備に流してしまえば良いかと、ノックスは足を進める。
後ろから、誰がついてきているのか。 殺された気配を察することは出来ず。>>76
胸元の僅かな重み。‘夜’は冷ややかに光を求めた。>>72]
(82) 2014/11/17(Mon) 21時頃
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[『食われる』事の無かった我が身。 フィリップの言葉に触発されて考えてみると、やけに滑稽に思えた。
居間の入口から、誰の姿が見えただろう。 栗色が見当たらず、視線を階段に向け――…>>84
口の端を持ち上げた。 そうして、忘れているよと唇が音を紡ぐ。]
(92) 2014/11/17(Mon) 21時半頃
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[そんなに驚くようなことかと、フロスティブルーがフィリップを見下ろす。
忘れ物は鳥。今は何処に在るのかと、視線を室内に遣る。 トレイルは居ない。 ニコラはソファ近くに居る。
ディーンの白い指が伸ばされるのは――…
「きっと、あれがそうだわ」 器からインクの匂いが漂う気がして。
歯の奥を、噛みしめた。]
(109) 2014/11/17(Mon) 22時頃
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[緋色のルーツは羽を休ませ。 まるで‘狼’達をその大きな瞳で眺めているよう。
ノックスはソファの方へと1歩、踏み出す。 何を話しているのかなんて、聴こえない。 聴こえないのは耳鳴りのせいか。]
……にこ、ら。
[そんな風に、誰かを見るだなんて。]
(126) 2014/11/17(Mon) 22時半頃
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[初めて触れた手には、鞭の跡が残っていた。 うそつきと言われても、抱き締めて、繰り返した。
嘘ではなくなったと、笑って。]
………
[ラルフの視線に気付かないのは酷なことだろうか。 けれど。一緒に住もうと見上げたあの月は、とてもとても、まぁるくて――…]
ニコラ、おいで。こっちに おいで。
[テーブルの上に器を置くだけの意識は働いていた。 足早に、ディーンとニコラの側に寄り、 大きくなったニコラの手を掴む。>>137]
(141) 2014/11/17(Mon) 23時半頃
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[離れないから、手を伸ばす。>>137 困ったように笑うから、手を伸ばす。
まだ、大丈夫だと、守れると思って。 生きているものはダメだと言ったのに。
離れないから、手を伸ばす。>>139 金の髪を掴んで、無理にでも引き剥がして――…。
ダメだと言ったのに。]
(150) 2014/11/17(Mon) 23時半頃
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[この両目など、潰れてしまえば良かった。 そうすれば、首を振る彼を見ずに済んだかもしれない。>>152
――緩やかな、けれど確かな、拒絶。
甘えた色を含まぬ声。]
……僕は、 うそつきに、なってしまうのか な。
[強く、強く。掴んだ力が抜けていく。 頬に伝う熱いものを見せたくなくて。]
(159) 2014/11/18(Tue) 00時頃
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[振り払われたくなくて。
ノックスはニコルの手を、指を、 ゆるりと離してしまった。]
………
[指先に温もりを残したまま、後ろに下がり。]
(166) 2014/11/18(Tue) 00時頃
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生きて、欲しいんだよ。ニコラには。 僕も 好きだか、ら。
[残される側は、ツラい。>>179 謝るのに、腕を離さない。 自分のように生き残るのを、せめてと願いを口にして。
ノックスは居間から出ていくのを選択した。
結局、腰に下げたナイフを振るうことはなかった。
ディーンにかかる言葉に二人を見やる。>>161>>168
もう片方の指に、掴んだディーンの髪が数本付いていた。 穢らわしいと、振り払った。*]
(183) 2014/11/18(Tue) 00時半頃
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― /階段を下る―
[足下がふらつく。 踏み板から落ちずに済んだのが奇跡に思えて仕方ない。]
トレイル、トレイル……。 どこだい? トレイル……
[掠れた声で、もう一人の名を呼ぶ。 居間には居なかった。なら、また1階に居るはず。
階段を下りていったのはフィリップだから。 焦燥で喉が枯れてしまいそうだった。]
(191) 2014/11/18(Tue) 01時頃
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[階段の下に居たのはフィリップだけではなかった。 それが幸いなのか、分からない。
真っ先にノックスに向けられるのは琥珀色。 今の酷い顔を少年たちには見せられなくて。
顔を背ける。]
(195) 2014/11/18(Tue) 01時頃
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[ナイフの柄に手を伸ばす。 これは木肌を削るもので、皮膚を剥ぐものではない。
現実と、想像と。 深呼吸を繰り返し、ぐと腕で両目を擦った。
そうしてから、3人へと顔を向けた。 逸らさない様にして、笑おうとする。
誰が庇護下にあっても、‘保護者’なのだから。]
(200) 2014/11/18(Tue) 01時頃
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[ラルフの視線は逃げないから、彼の肩を叩いた。 大丈夫だと示すように。]
そう……? ありがとう。
[フィリップが嘘をつくことはないと、頷いた。 すると、温泉――いや、貯蔵庫かとその方角を見やり。変わらぬ警戒の色が、今はありがたい。]
……シメオン。隣に座ってもよい?
(203) 2014/11/18(Tue) 01時頃
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[シメオンに伝えようとしたことは、全て無駄になってしまった。彼に伝えていれば、何か変わっていただろうか。
空けられたスペースに腰を下ろす。 脚と脚が触れる。]
あぁ、シメオンにこれだけは、と思って。
[頭を撫でようと腕を伸ばした。 ただ、謝る為に。]
……ごめん、ね。僕は 無力だった。
[短い言葉。けれどこれで、伝わるだろう。]
(208) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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[安堵し微笑み返すラルフの様子と>>206、 今にも噛み付きそうなフィリップと>>205。
不自然にならない程度に、ラルフからはすぐに手を離した。 悪い大人を増やしては、いけない。]
……あぁ、いってらっしゃい。ラルフ。
[遠ざかる姿とフィリップを見て。彼等二人だけにするのもと口を開く。]
……扉は、開けておくんだよ?
(218) 2014/11/18(Tue) 01時半頃
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[宙に残された手を膝の上に置いた。>>216 握り締めると傷が傷んだ。]
……そう、だね。 嫌われても良いから、ニコラを閉じ込めることは、出来たかも知れない。
[責める言葉に返していく。]
ディーンを殴ってでも、引き剥がすことも、出来たかも知れない。
……けど、僕はどれも、出来なかった。
(222) 2014/11/18(Tue) 02時頃
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―エバーグリーン/椅子を背負っていた頃の話―
[歌の発表会があるから見に来てくれという姉の命令に、弟は従う以外の選択肢がなかった。束にした小振りの黄色い花を膝の上に置き、都度、拍手を送る。
姉の歌を褒める者は多い。けれど、ノックスには退屈な歌声としか聴こえなかった。 『ゴミ溜まりに棄てられたピアノみたいだ』という酷評をぼんやりと思い出す。
出演者たちは上手に歌う。けれど、退屈なのは変わらない。
「高慢ちきなクソガキ」と姉が憤慨する少年は最後の登場。 彼の歌も気に入らなければ帰ろうと、始まる前に席を立った。通路を歩く足が止まり、振り返る。惚けた顔をしていただろう。その声に、その歌声に、一瞬で心を奪われた。
誰よりも上手で、誰よりも高く清んだ声で、誰よりも完璧で、誰よりも楽譜通りで、誰よりも表情が素敵で――…。]
(225) 2014/11/18(Tue) 02時頃
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……はぁ。
[ずっと聴いていたいと思っていたのに。 ――…誰よりも退屈だと、感じてしまった。
両親らしき二人のように。あの小さな体を抱き締めて。 そうして悦びを教え。乱れた吐息混じりに音の外れた歌を囀ずってくれたなら―――イイノニ。]
(226) 2014/11/18(Tue) 02時頃
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[あれから。幾つか年が巡った。 通りで誰かが歌っているから――彼のことを思い出した。
小さな背に舌を這わせ肩に噛み付く。手は悪戯に下肢をまさぐる。それでも、栗色の髪の少年は、ノックスの腕の中で完璧な歌を奏でていた。 乱したいのに、乱れてくれない。 もう少し、もう……すこし。
――そんな、ことを夢想しながら。 ナイフを木肌に滑らせていく。
窓の外、赤い月は満ちている。だからこそ愉しい。]
(229) 2014/11/18(Tue) 02時頃
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― /階段下―
……そう。
[聞き分けの良い子のようにも聞こえる言葉。 途切れた言葉の先。何を思うのか。]
俺、が? なに?
[思わず背を抱こうとして。フィリップの視線を思い出して手を引く。]
(233) 2014/11/18(Tue) 02時頃
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[聞こえない、最早叶うことのない、願い。>>232]
……謝るのは、大人だからだよ。
僕達が旅をしているのは、子供たちを守る為なのに。 こうやって、 悲しませる為ではない……から。
[だから、ごめんと。ノックスは再度口にした。 顔の見えない頭。躊躇った末、厚い服に被われた背にとんと手を置き、すぐに離した。*]
(234) 2014/11/18(Tue) 02時半頃
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―ビスケット/貯蔵庫―
[大人だ子供だと線を引く。首輪を持つか持たないかの違いで。
シメオンを1人残し、貯蔵庫の扉に向かう。 温泉の香りが届くのは、ノックスの言葉を守ってくれているからだろう。]
……トレイル? 居るかい、トレイル。
[呼び掛ける。どうか居てくれと、奥へ。 挟まっていた場所へ。]
(238) 2014/11/18(Tue) 02時半頃
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ノックスは、トレイルの名を呼びながら、前にはなかったインクの匂いに眉を顰め。
2014/11/18(Tue) 02時半頃
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[靴裏が踏みつけたのは、万年筆。 布の塊を前に膝を折る。
腕を伸ばして、抱き締めた。 頬に触れた手が濡れる。]
……見つけた。トレイル。愛しい子。 泣いてる。誰が、泣かせた?
(242) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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フィリップに呼ばれて、3人で何か話していただろう? 彼は何も言わなかったけど、何かしたのは――確かで。
[涙の理由はそれかと思っていたものだから、唇が告げる3文字に、ノックスの目にも涙が溢れた。]
ニコラ…… そぅ、ニコラ が。 トレイルを悲しませてるの、か。
[涙を見せないよう、布に目を押し当てる。]
(246) 2014/11/18(Tue) 03時頃
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[居間に長く居られないだろう。 階段を上がって、それからを想像しかけて首を振った。淡雪の幸福を思い出して。]
………本当に?
[首を振るトレイルを伺う。 そうして、音のないままの唇に……触れた。 唇の動きを捉えたくて。]
(248) 2014/11/18(Tue) 03時半頃
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―エバーグリーン/椅子を背負っていた頃の話―
[すやすやと眠るニコラの髪に口付けを落とす。額に頬にと滑り、小さな下唇を吸うだけで後は我慢をした。
外に出て冷えた空気を吸う。 月明かりを受けたビスケット色の髪は夜気に目立つ。気の向くまま歩き出した。材料になるものが落ちていたらと淡い期待と共に。 ゴミ捨て場に少年が倒れているのを見付けた。誰かに食われたのかと眉を顰めた。こんな目立つ場所に棄てるだなんて。 微かに上下する胸、白く細く吐き出される吐息。まだ――生きていた。]
(259) 2014/11/18(Tue) 09時半頃
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っ! 君、しっかり! しっかりして!
[頬を叩いて起こす。生きているのなら流石に見捨ててはおけない。 開いた瞳の色はシノワズリ。何か声を出そうとしているのか、けれど音はなく。
姉は何と呼ばれたか。あぁ、そうだ。『ゴミ溜まりに棄てられたピアノ』。]
……可哀想に。おいで?
[腕の中に抱え上げた。エバーグリーン。愛しい子。もう僕を、退屈にはさせないで。>>0:740**]
(260) 2014/11/18(Tue) 09時半頃
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―ビスケット/貯蔵庫―
[唇に触れても、布に包まっていても、冷たさしかなかった。>>249>>250 いつ、捨てるのか。
命を拾い上げた日を思い返し、息を飲んだ。]
……困ったな、トレイル。 僕が君を? そんな日が、来るわけないじゃないか。
[今すぐ抱き締めてやりたいのに。それではトレイルの顔が見えない。頬の涙を拭ってやるばかり。]
(261) 2014/11/18(Tue) 10時頃
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むしろ、僕は――… 僕の方が 怖いのに。
僕を
[――捨てないで。 白い吐息に混ざり、音は消える。]
(265) 2014/11/18(Tue) 10時半頃
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[そんな風に下がる眉が、ニコラを思い出させる。 手を掴んで、困ったと半面を向けた彼の。
もう、そんな表情はさせたくないのに。]
……トレイルにもそんな顔をさせて、僕はいけないお兄ちゃんだ、ね。
[目の端を指の腹で拭ってやる。涙が止まった事を確かめ。離した手はトレイルの手を取る。 交わす視線。]
……君がまだ、そうやって僕を見てくれるのが、嬉しいね。
(267) 2014/11/18(Tue) 11時頃
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[ことトレイルに関しては、慎重に希望と絶望を繰り返し持たせた。次のお医者様ならきっと、と。 あの夜。黒地を白と赤で飾りながらも、強く睨みあげてきた瞳。何を言おうとしているのか、想像して――心の内で嗤った。
捨てないで。離れていかないで。 懇願は言葉にせず。彼の指先に口付け、残した赤の痕で以て示した。]
(269) 2014/11/18(Tue) 11時半頃
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[もう一方の手が、ノックスのビスケット色に触れる。 地肌に触れた冷たい手。手の内で、少しずつ暖かくなっていく手。]
ん、ありがとう。 いいお兄ちゃんで、いなければ ね。
[驚かせたことに気付かない、振りをして。 トレイルを抱えあげようと体勢を変えた。]
(274) 2014/11/18(Tue) 12時頃
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[ノックスにとって、トレイルがどれ程の価値を持っているのか。日頃のキスや触れ合いで、伝わっているものだと思っていた。]
あぁ、もうそれは あの人にとって要らないものだと 思うよ。
[指差したものに視線を落とす。残りの少ないインク。何を書いたのか、もう読めない真っ黒い紙。]
大丈夫。一緒に謝ろう? そうしたら許してくれるさ。
……温泉のところで良いかな。一番手っ取り早い。
(276) 2014/11/18(Tue) 12時半頃
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……トレイル。違う。ちがう。 あれは君じゃない……。
それに、僕はあんな風に君を……捨てない。
[インク瓶から視線を引き剥がすように、トレイルを抱えて貯蔵庫を出た。冷たい場所から、温かい場所へ。]
(279) 2014/11/18(Tue) 13時頃
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―ミルキーホワイト/温泉―
[開けた扉から白の湯気と匂いが漏れ出していた。 話し声は しない。
水の跳ねる音が聴こえ。]
おーい。
[ノックスはトレイルを抱いたまま、足を踏み入れた。]
(280) 2014/11/18(Tue) 13時頃
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[捨てるつもりなどないから、捨てないと言葉にした。 けれど。本当に捨ててしまったら? 行かないでと、助けを求めてくれるだろうか。
ずっとずっと、ひた隠しにしてきた衝動をぶつけたら。また、罵しりの目で、見てくるのだろうか。]
……な
[腕の重みにふと思う。 様子を見ているだけかと思ったから、トレイルを連れてきたのに。
湯の濁りは幸いか、不幸か。]
(284) 2014/11/18(Tue) 13時半頃
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……あぁ、トレイルが凍えそうだったから。
[温泉に入れさせるつもりで居た、けれど。]
いや、まだ入ったばかりだろう? もっと温まって行くと良い。
(285) 2014/11/18(Tue) 13時半頃
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[トレイルが首を振っても、ノックスは彼の求めるようには体を降ろさなかった。
フィリップの表情の固さ。その理由は分かる。 けれど。
ラルフまで、あの明るい人懐っこい、昔と変わらぬ笑顔を向けてくれないのは――寂しいと感じた。]
……ラルフ。
[こっちを向いてと、名を 呼んだ。]
(305) 2014/11/18(Tue) 14時半頃
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[湯気があるとはいえ、肢体から極力目を逸らす様に努める。 フィリップとトレイルの間に、ノックスに言えない何かがあると知っていて。どうしてこの子の肌を晒せようか。]
……いや。早くフランシスの所に戻ると良いよ。 僕も、君とは顔を合わせないようにする。
[名を呼んで向かせたくせに。]
(309) 2014/11/18(Tue) 15時頃
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―――トレイル!!
[急な血の香に腕の中を見下ろす。 喉の傷みと共に悲鳴が上がった。>>308]
何をっ
[爪を立てる手を制止させるために、その手を掴んだ。 バランスを崩すのに耐え、片膝を着く。]
(311) 2014/11/18(Tue) 15時頃
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[何故、そんな泣きそうな顔をするのか。>>268 遠くにある血臭には気付けない。
突然の自傷行為。 血に濡れた手は二人に伸ばされ。
まるでノックスから逃れるように、動くから。]
やめて、くれ!
[ラルフが出ていく。フィリップも行ってくれ。 動かないなら、また貯蔵庫にでもトレイルを抱えて戻るだけ。]
(318) 2014/11/18(Tue) 15時半頃
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[湯本から、入り口から遠ざかろうと、壁際にトレイルを下ろし、見上げる額に口付けてから腕の中に閉じ込める。
何に突き動かされて居たのか、耳許で名を呼ぶ声はメッザ・ヴォーチェ。エレジーアコ。]
トレイル……。
やめて、くれ。あんな風に、自分を傷付けて…… どうかしたのかい?
君は――…
[傷口を抑えた指の隙間から、血が流れる。]
(321) 2014/11/18(Tue) 16時頃
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[顔を首元に寄せた。甘い香りが近くなる。
唇開き、指輪に噛み付いた。 チェーンを引きちぎろうと、強く引く。
いつまでもいつまでも、目障りだったもの。 ぷ、と湯の中に吐いて棄てた。]
あの2人に、どうして欲しかった、の?
[シノワズリを覗き込み、髪を撫でる。 トレイルの透明な声を待ってから、傷口に唇を落とし――鮮血をすすった。
月の色に似た髪が、赤に染まる。**]
(324) 2014/11/18(Tue) 16時半頃
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―ピンクホワイト/温泉―
[トレイルが気にしたのは『ラルフ』の方だった。>>326]
……僕が気安く接してしまったから、彼を困らせてしまったんだ。 だから、もう合わないようにするんだよ。
[正論。表の理由。 フィリップが聞いていたら、物言いたげに睨まれるかも知れない。
遠ざかってくれて良かった。>>336 トレイルの身から流れる赤を、見せたくなかった。]
(398) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[指環は湯の中で黒に染まるだろう。過去との繋がりを断ち切った唇は、愛し子の名を呼ぶ。>>327]
……トレイルの家族は、僕達だろう? そんなに昔が恋しいかい。 歌を忘れられないのかい?
[夢想の中で。悲鳴を上げて暴れる少年も、従順に口を開ける少年も。
終いには『僕を食べて』と――…口にした。それは痛みから逃れる為に強制された言葉であり、懇願の言葉であり。
本能に従いながらも死の喪失を伴わない、至福の時間。]
(400) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[聴こえるようにわざと音を立て、舌が柔らかな桃色の肉をなぞる。溢れる血が咥内を満たす。臓腑に落ちた甘露はノックスの衝動を容易く呼び起こし。 裂いた肉片は首輪の存在を主張した。]
……とれい、る。
痛くない、かい?
[上衣の中に滑り込ませた手が、止まった。*]
(407) 2014/11/19(Wed) 00時頃
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ノックスは、トレイルの『痛み』に口端を持ち上げた。笑う。嗤って――…
2014/11/19(Wed) 00時頃
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――っ
[肩から離した赤い唇を、彼の唇に押し当てた。 抉じ開けて流し込む血を飲み込むまで。
軟らかな舌を噛みきってしまわないよう。 その分、腰を抱く腕に力が籠った。]
(421) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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[全人の血が甘露になる訳ではない。 感じる味は正直だ。
喉の鳴る音、両肩に指が触れる感覚。]
………は、 ぅ ん……
[離した唇の、息が上がるのは熱のせいだけではない。]
食べられるって、痛いんだ、よ。 ねぇ、トレイル。箱の話は……
(434) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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|
うん……。いい子だね。
[頷き返し、栗色とビスケット色を触れ合わせた。]
僕がトレイルを食べたら……僕だけが、残される。 それで 良いの? それでも、良い?
僕を置いて、僕を棄てて――…。
もっともっと、痛くなるのに。
それでも、君は――
[食べてと、言うの?]
(448) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[鮮やかで歪んでいる欲望を、衝動と共に奥へ奥へと押しやる。
眼底が疼く。あの男とは違うのだ。 じっと瞳を見詰め。 その奥の、意志の光を捉えようとして。]
……そう、か。良かった。
よか、 た。
[首を振ったトレイルに頬を寄せる。 彼の望む音が、あるとは知らず。
願いを 知らず。]
(470) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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――けれど、ねぇ。トレイル。 僕は、君が 誰かに食べられるだなんて、
嫌、なんだよ。
[この髪も、この肌も。 僕が居なければ、君は生きていけないだろうに。]
『僕を食べて』だなんて……
どうか、僕以外には 言ってはいけないよ?
[1枚の板で隔たれた向こう側で。 食われた身のあることを知らず。
止めていた手を動かし、トレイルの背を撫でた。]
誰にも。だれにも……。 そぅ、フィリップにも―――ね。
(481) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[傾げた首に答える。]
一気に食べてしまわないように、 君が死んでしまわないように、それぐらいは――…ね。
[試した事はないけれど。きっと今のように抑えられると過信する。
わざとフィリップの名を出した。 浮かんだ困り顔に、苛として。]
……トレイル?
[傷口から血が溢れているから。 彼の手を取り、赤に染まった指先を口に含み、綺麗に舐め取った。十指を全て。]
(493) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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ん? あぁ……そうだね。
[じっと見上げる瞳は永遠の色。>>486 揺らぐ湯面の下、落ちた指環。
そう。新しい家族の証が必要だ。
服に隠れる胸元へ、1輪の華を添えようと。 ニコラにもと考えて、胸が……傷んだ。]
……外に、出たい?
[止血の為に布を押し付ける。 他に、綺麗にしておくものはあるか。上から下まで眺めやる。]
(496) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[どうにもならないもの以外、出来うる限りの願いは叶えてきた。
いつも満たされないのを知っているから。
それでも生きようとする君が。 声を失ってからの君の方が、とても魅力的だというのに。]
………なかなか、難しいね。
[赤の染みていく黒は重く。 指差しに同意した。]
(498) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[ナイフを使い、生成りの布を裂いて包帯にした。 傷を塞いできつく締める。
ノックスは1枚、己の服を脱いでトレイルに被せた。 どうせ取りに行くのなら、薄着になっても平気だと。
両手で掬った湯で、髪と顔とを軽く洗ってから。 連れてきたようにトレイルを抱えあげた。>>499]
……?
[閉まっていた扉を、開ける。 鳥の、やけに煩い声が聴こえて――]
(501) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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―カナリア/1階―
……シメオン か?
[目に入ったのは、喰われ、そのままにされた遺体だった。 散る髪は、触れるのを躊躇った色。
死んでしまった――…モノ。
腕の中の愛し子に、声をかける。 見なくて良いの? と。
いつもなら強く抱き締めて、見せないように、聞かせないようにするのに。]
(505) 2014/11/19(Wed) 03時頃
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[見ると良い。
君の望んだものの、結末を。
大きな衝動の過ぎた、跡を。 ノックスは、‘保護者’だから。]
フィリップ。ホレーショー……。
[酷く、残念だよ。本当に。
ノックス達と代わるように、鳥は湯に羽根を濡らして。跳ねる水音。]
(513) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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[腕をつつくのは、ノックスが綺麗にした指だ。
階段に向かうと、見上げる位置にフランシスが居た。>>508]
………
[唇が言葉を紡ごうとして、何も出来ないまま。 身を預ける小さな体を抱き締め直し、1歩、また1歩と階段を上がった。**]
(516) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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