194 花籠遊里
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[とまらぬ『花』が目の前にあるでしょうに。 決して口には出しません。 言の葉にすれば、まるでそれこそ未練がましく思われて また揶揄で返されてしまうのでしょうから。
射干玉に映りこむのは、悪趣味に笑まれる顔で それを映す僕は、微笑むこともなければ怒るでもなく ただ、ふわりとした印象があるだけの無表情。
それが一度微かに揺れたのは 性質の悪いお言葉>>25に、でした。]
…───意地悪な『蝶』。
[手折る気などないくせに。 僕は長い睫毛を一度伏せました。 自覚もなく、愁いを帯びて俯きかけたのでございます。]
(29) 2014/09/21(Sun) 18時半頃
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[俯きかけたその顔が地面へと落ちずにあったのは 手招きする姿を眸が捉えたからでございます。 そしてその先、姿を見せるのは金色の蝶でありました。]
ベルさまっ。
[陰っていたはずの表情は、ぱあ、と明るさを取り戻します。 ふわり、微笑みを浮かべると どうやら御二方とも、なにかあったご様子でした>>26>>27 意地の悪い御方の表情、揶揄。 そして美しい御方の染まる顔。 長くこの廓にあれば、大体の予想はつくもので。 『蝶』が『蝶』とお戯れになったのでしょう。 交互にお二方を見て、少しの間口を噤み。 そして、もう一度『花』の微笑みを浮かべました。]
(30) 2014/09/21(Sun) 18時半頃
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ちょこれーと…!
[微笑みはすぐに、満開の笑みへと変わります。 また逢いに来てくださったこと、それに甘味のお土産です。 嬉しくて、頬が緩まぬ筈がありません。 甘味の中でも、ちょこれーとが僕は一番好きなのです。 ベルさまにはお話していないのに、なんて素敵な『しあわせ』でしょうか。]
頂いても、よろしいんですか? お茶でもお淹れします、ご一緒にどうですか。
[盗み聞きだなんて思ってもいません。 ですからベルさまがどうして気まずそうにしているのか判らないまま 小走りにベルさまのお傍へと寄りました。
ベルさまには、笑顔でお傍に寄るというのに 彼の『蝶』へは自ら近付きもせず、ただ射干玉を向けるだけです。]
(31) 2014/09/21(Sun) 18時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 19時頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 20時半頃
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ちょこれーと、大好きなんです。 あっ、でも、くっきーもすきですっ。
[ベルさまは微笑み返してくださいました>>32 そのお顔は、やはりとても端整でお美しいと思います。
「クッキーじゃなくて」と仰られた時には ふるふると首を横に振りました。 ざっはとるてというものも食べてはみたいのですが それより何より、お気持ちが嬉しいのでございます。
そして渡されるもうひとつの包み>>33 包みの中のものと、渡されている御方とを見ては見るのですが ちょこれーとくっきーに、お茶に、と。 あまりに似合わなすぎる気がいたしました。]
(38) 2014/09/21(Sun) 20時半頃
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櫻子は、ヘクターさまは包みを受け取られるのでしょうか…?
2014/09/21(Sun) 20時半頃
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[「いつも墓守代わり」だの>>39 何も謂わず、肩を竦めて見せたりする>>40 そんな意地悪な御方です。 こめかみを掻く指先は、甘いお菓子を受け取らずに居られました。 そしてその唇がまた意地悪な語ばかりを紡ぎます。 射干玉の眸は一度、秋色の方へと移ります。
じ、と見詰めている間はほんの数秒だったでしょう。 けれど明確に、少しだけの間を置きました。
何を告げるか、開いた薄い櫻色の唇は言の葉を添えます。]
───あれば、入れて差し上げましたのに。
[そしてきっと、酷く哀しい顔で微笑みました。]
(45) 2014/09/21(Sun) 21時頃
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櫻子は、ニコラスさまに向き直ります。
2014/09/21(Sun) 21時頃
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好きなもの、ですか? ええ、っと。
[問われて振り返る頃>>43には哀しげな色は薄まり 何が好きだろうと、数多くある好きなものを思い返しておりました。]
んーと…、珈琲…ちょこれーと…お花… 我儘なので、たくさん思い浮かんでしまいます。
[少し困ったような顔をして微笑んでから ふと、思いついたように手を打ちました。 折角美味しいお菓子を持って来て下さったのですから。]
朧さんや丁助さんにも、分けて差し上げてもよろしいですか?
[それともお茶に誘ったほうがいいのでしょうか。 甘い物を誰かと一緒に食べるのは、僕の『しあわせ』のひとつです。 今はもう消えてしまった藤色と、数日前ここでそうしたように。
(46) 2014/09/21(Sun) 21時半頃
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……?
[見上げたベルさまのお顔は、なにやら耐えておられるようで>>47 僕は何か変なことでも謂ってしまったのでしょうか。 判らずに見上げることしか出来ません。]
はい、牛乳をたっぷりといれたものが。
[勿論入れずとも飲めはします。 外見のおかげで、まさか苦すぎるだなんて心配されているとは露知りません。 二七の歳月を、どこかで止めてしまったような僕の顔は 次々取り出されるくっきーの包みに それこそ幼子のように微笑みました。
くるりと辺りを見回したのなら こちらを見ていた『花』を 見つけられることは出来たでしょうか?>>41]
(50) 2014/09/21(Sun) 22時頃
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[ふと、耳が言葉を掬い上げました。 水鉢の中に泳ぐ魚を白く細い指先が掬い上げるように それは静かに、僕の心の裡へと ひとつの違和感となって残ったのです。
僕の、毒の言の葉は お茶会の席をひとつ、奪ってしまいました。 断る声には、まるで興が削げたとばかり>>49]
……───。
[秋の深まりを知らせるコートが、はたりと揺らめいて 四角く切り取られた窓辺から離れて行かれます。 此処は籠の『中』、そしてあちらは籠の『外』。
謎掛けにこの時はまだ、小首を軽く傾げましたが 僕の表情は、寂しげなものであったでしょう。]
(51) 2014/09/21(Sun) 22時半頃
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……お気を、悪くされてしまったようです。
[櫻に毒など在りはしないのに。
物騒な発言をしたのは僕自身です。 櫻にも毒が在ればいいと、どこかで思ってしまったのです。 『 』という毒があれば、いいと。]
お茶、したかったんですけれど。 僕はあの方に、嫌われているみたいです。
[彼の『蝶』の姿が見えなくなってしまってから 言葉とは裏腹に落ちるのは微笑みでした。 眉尻を下げ、しゅんとした表情でありました。]
(53) 2014/09/21(Sun) 22時半頃
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[視線に捉えた焔の色も、どこかへ消えてしまわれました>>52 射干玉を一つ二つ、伏せ。 ベルさまへと向き直るのでございます。]
行きましょうか。
[広間に行けば、お茶をお出しすることも出来るでしょう。 ベルさまをお誘いしては 呪詛に、種にと、植えた中庭を後にするのです。]
(54) 2014/09/21(Sun) 22時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/21(Sun) 22時半頃
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── 広間 ──
[広間まで、繋ごうと手を差し出されました>>57 断る理由は何一つなく、喩えそれが誑かしているのだとしても>>48>>55 僕はベルさまの指に指を添わせ 広間へとやってきておりました。
朧さんほどお茶をご用意するのも上手くはありませんし 幾日と前に此処でもてなした『花』とは また違ったものを用意するでしょう。]
くろわっさん! でも、びちゃびちゃになってしまいませんか?
[話を続けていれば>>56、笑みも元に戻りましょう。 気になる言の葉からは、一時眸を背けておりました。]
(58) 2014/09/21(Sun) 23時頃
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そう、なのですか…?
[びちゃびちゃとするのがいいらしい>>60 ベルさまは不思議な御方だと思うけれど 随分と味覚の方も個性的でいらっしゃるのかもしれません。
取り出した甘味と、とうもろこしの香るお茶。 緑茶でないのは、少しでもくっきーに併せてのことでした。 もしかしてですが、これにクッキーを浸したりもされるのでしょうか。 おずおずと、先程まで繋いでいた手を見詰めました。]
美味しいなら、よかったです。
[ね、毒なんて入っていないでしょう? 余計なことを謂わなければ、彼の『蝶』が座っていたかもしれない椅子。 それに一度、視線を向けたのでございます。]
(61) 2014/09/22(Mon) 00時頃
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とうもろこしのお茶です。 炒った実を使って、お茶にするのですよ。
[かふぇいんが入っておらず、芳ばしい香が特徴です。 素朴な味がして好きなのだと 他愛もない会話の中に紡いだりもしたでしょう。
僕の視線を集めていた指先には ちょこれーとくっきーではなく、筆胼胝がありました。 小首を傾げながら話してくださる姿に 僕は純粋な尊敬の表情を浮かべました。]
お話をお書きになられるのですか! 本を読むのも好きなんです。 ベルさまのお話も、読ませていただけたりしますか?
[次のお土産には、甘い『夢物語』がいい。 僕はそんな風におねだりをしたのでございます。]
(65) 2014/09/22(Mon) 00時半頃
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……僕は、嫌ってなどないのですよ?
[優しく語られる未来が>>62 僕の唇を少しだけ軽くさせました。 ベルさまは「ヘクターさんは櫻子さんに愛着があるって言ってた」>>56 そう、謂っておられました。
それはあまりにも信じられるものではありませんでした。 きっとこの優しい太陽が、僕に聞かせてくれる『夢物語』なのでしょう。
僕だって嫌いなわけではないのです。 ただ、ずっと苦手に思うだけで。]
出来るでしょうか…。
[どうしたってそんな未来、想像など出来もしませんが。]
……出来れば、いいなって思います。
[隣に座り、甘味と飲み物とを並べて。]
(66) 2014/09/22(Mon) 01時頃
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[そんな未来を望む事さえ許されないのだということを 僕が知るのは、まだこの刻ではなかったのでございます。
櫻は今日、花籠での終わりを迎えます。
それを知るは、今宵の櫻を買い付けた『蝶』のみでしょう。 櫻の季節が終わったのだと。 身を繋ぐ見えぬ鎖が、今宵の金で断ち切られるのだと。
──中庭も幾分、寂しくなることでしょう。
此処でしか咲けぬ『櫻』を捨てる言葉が きっと愉悦滲ませながら、響いていたのでございます。]
(67) 2014/09/22(Mon) 01時頃
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いつかきっと。 だって、僕はずっと此処におりますから。
[何も知らない『櫻』はひとひら 甘い焼き菓子の花弁を食んで、微笑んでおりました*]
(68) 2014/09/22(Mon) 01時半頃
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── 広間 ──
[ベルさまとはどれ程お喋りをしたでしょうか。 他愛もない会話が殆どでしたでしょうが それはとても、僕にとって『しあわせ』な時間でありました。
その時が終わりを迎えたのは 「櫻の夢が所望された」と何方かにお伝え頂いた時のことでしょう。]
……ベルさま、ごめんなさい。 呼ばれてしまったので行かなくちゃ。 今宵も、あなたさまに合う蝶と出逢えると佳いですね。
[申し訳ございませんと、恭しく席を立てば 微笑みを向けたのでした。]
また、お越し下さい。 お待ちしておりますから。
[そうして、広間を後にしたのでございます。]
(69) 2014/09/22(Mon) 04時頃
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[白い着物に変えるために部屋へと帰る道すがら 『蝶』は何方なのかお聞きしました。
その瞬間、聴いた名前は思いもしない名前でありました。]
ご冗談を、そんなまさか。
[櫻など、見向きもしない『蝶』ではありませんか。 他のどんな『花』にとまっても、毟っても 櫻樹には寄りもしない『蝶』のはずではなかったのですか。]
(70) 2014/09/22(Mon) 04時頃
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やっ …──、いやだ… 厭です!
[僕は初めて、地下へ向かうことを拒みました。 それは子供が駄々をこねるように少し続きましたが 結局は、向かわなければならないのです。 その些細な反抗は、地下牢にも伝えられてしまったことでしょう。
何が、そんなにも厭なのでしょう?
深くを考えてはならない気がして。 僕はしぶしぶと、白を纏っていきました。]
(71) 2014/09/22(Mon) 04時半頃
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── 地下牢 ──
[白い着物を纏った櫻の精が、肌寒い地下に舞い降ります。 待つであろう、探すのは秋色。 射干玉がその色を捉えたのなら、そっと房へと格子を潜り抜け。 清めた身体から櫻の香を漂わせておりました。]
……───買わぬのでは、なかったのですか?
[今宵はどんな気紛れなのか、と。 薄い唇を引き結んで、射干玉を床へと落とします。 白い女物の着物、けれども頭には何時もの櫻色が揺れていました**]
(72) 2014/09/22(Mon) 04時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/22(Mon) 04時半頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/22(Mon) 13時半頃
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[僕の射干玉は俯き、少しの刻を巻き戻ります。 持て成したお茶の話、書かれていらっしゃるという小説の話>>73>>74
朗らかに笑う、太陽の御方は「好きなのは悲劇だから」と ご自分の書かれたお話の事までは、お話ししてくださいませんでした。
悲劇は安心するのだと仰られます。
僕が書斎で『夢物語』ばかりを読んでいた、霧雨の日。 数多の『しあわせ』と幾千の『悲劇』を眸に致しました。 僕の心に残ったのは、どちらの物語だったのでしょう。]
(76) 2014/09/22(Mon) 17時頃
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ベルさま。
[僕はひとつ浮かんだことをお伺いしようとして、唇を開きました。]
……───。
そのお茶会の時は、珈琲をお淹れしてお待ちしておきますね。 だから、ざっはとるて、というものを… 楽しみにしておきます。
[そして結局、伺うことはできなかったのでございます。 叶いもしない未来を夢見て、約束を重ねていくのでありました。]
(77) 2014/09/22(Mon) 17時頃
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はい。 僕もベルさまのこと、大好きです。
[再会の約束は、心からの言葉と笑顔でありました。 それが最後になってしまうことを 『悲劇』の物語だとするならば
───ベルさまは、喜ばれたのでしょうか*]
(78) 2014/09/22(Mon) 17時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/22(Mon) 17時頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/23(Tue) 00時頃
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[金の蝶の『夢物語』から還るように 伏せていた眸をうっすらと開けることにいたしましょう。 降り立った牢獄はやはりどこか肌寒く だからでしょう、僕の指先は酷く冷たくありました。 膝の間、手を組む黒衣は秋色の彼。
────『人』だなど、思ってはならぬ御方です。]
毎夜『花』を毟るあなたさまに、謂われたくなどありません。 [まるで拗ねているような口調になってしまわないでしょうか。 ああ謂われたなら、こう返し。 返したものには揶揄が返るとわかりながらも、返してしまうのがいけないのでしょう。
撥ね付けられるような感覚。
あのとき>>0:236は、本当に珍しく感じずにいられたのに。]
(103) 2014/09/23(Tue) 00時半頃
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[僕は不満げな顔をしているのでしょうか>>90 いつものように微笑みを浮かべているはずなのです。 そうしているつもりでいるのは僕ばかりで 薄い櫻の唇を真一文字に引き結んだままでありました。
彼は「屋根を借りにきた」と仰います。
『花』を買われたわけでもなければ 『蜜』を求めたわけでもなく 『夢』を望むでもなく 『櫻』を、ただ傷つけに。
本当に酷い御方です。]
(105) 2014/09/23(Tue) 01時頃
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あなたさまは……っ 僕を抱いては、くれないのですか?
[判っています。 きっと抱いてなどくれません。
たとえその眸が僕の射干玉を見詰めていても。 たとえその指が僕の髪に触れたとしても。 たとえその熱に僕の体が跳ねたとしても。
長く咲く『櫻』が、まだ咲かぬ『梢』と知りながら。
僕は息を止めていました。 ただ、眸は逸らさずに。]
(108) 2014/09/23(Tue) 01時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/23(Tue) 01時頃
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[まるでなんでもないことのように、それは告げられました。 もっと遠くに、とは何処のことでしょう>>109 『外』知らぬ僕には、きっと想像も出来ないほどの そんな距離を言葉に感じてしまったのです。
籠の中にある『花』に『蝶』がとまります。 けれどまた再び止まるかなど、知れません。 『蝶』を繋ぎとめておく手も術もないのです。
───『花』である限り。
沢山の花弁を散らしてきました。 沢山の底を隠してきました。 沢山の『蝶』を見送りました。 沢山の『花』を埋めてきました。
他のためにだけ咲き続ける『櫻』なのです。 自らのために流すものなど、ひとつとして───…]
(114) 2014/09/23(Tue) 01時半頃
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[突き放す言の葉と共に、真逆のように引かれた身体。 常夜の色を映した髪には、薄い櫻が咲いておりました。 ひらり、舞い落ちるのは彼の『人』の傍>>113
囁かれた言葉は、秋の夜風でしょう。 ですから、触れ合う肌が熱いのでしょう。
接吻けに、きゅうと瞼を閉じたのは 注文をつけられたからで、思わずなどではありません。]
っ、 ──…
[蓋をしていたものが。 埋め続けていたものが。 目を背けていたものが。
呪詛の芽が、咲こうとしておりました。]
(115) 2014/09/23(Tue) 01時半頃
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‘Tis better to have loved and lost than never to have loved at all.
(一度も愛したことがないより、 愛して喪った方がどれほどしあわせか。)
(116) 2014/09/23(Tue) 02時頃
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───あなたさまに逢えなくなるのなら、泣きましょう。
[滲む視界を悟られまいと。 接吻けから離れて直ぐ、額を胸へと押し付けました。
櫻の下に隠された海が、漣を立てて揺れていました*]
(117) 2014/09/23(Tue) 02時頃
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