144 ロマンチックメイカー
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[―朝。
ぼんやりとしたまどろみに時間を蝕まれる。 なんと怠惰で、甘美な時間なのだろう。
しかし、そんな時間も長くは続かない。
悲鳴が、聞こえた。]
…てつのひびは、つづく…
[乖離した世界に鳥の地鳴りが遠くから聞こえる。 今、起こっている出来事には、あまりに不釣り合いだった。
明かりにまぎれている ここは惑星の隅
開きたくない扉を、とうとう開いた]
(27) 2013/09/23(Mon) 22時頃
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[一番奥の部屋。 愛を求め続けた、ヨーランダの部屋が空いていた
激痛走る声。]
…ヨーランダさん…
[その景色は、少しずつ目に馴染んだ赤。
足掻くほどの浅知恵は動かず、ただただ、景色は冷えていた]
(28) 2013/09/23(Mon) 22時半頃
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[触れ合う二人を差す朝は、二人を手招くように影を重ねる。それはまるで、キスのよう。
塞がれた白い唇からはもう、愛の詩は聴こえない。]
ローズマリー…
[青白い瞼は、五月雨涙を枯らしていた。 今はローズマリーの薔薇の香りは消えている。 鉄のような、ナニカのようなその匂い。]
ヨーランダさんの瞼を…どうか… このままでは、あまりにも…
[私は、酷く残酷なことを言ったかもしれない。 呪いのような言葉だった。 しかし、その枯れた瞳にも どうか愛を与えてほしかった]
(29) 2013/09/23(Mon) 23時頃
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―――おやすみ。
[そう言って、カリュクスの隣で微睡みの中に落ちていって、どれ程の時間が経ったのだろうか 朝を告げるものは、穏やかな陽光などではなく、悲痛な――叫び声だった]
―――…!
[毛布を翻して立ち上がり、カリュクスがついてきたなら、気を配りながら急ぎ二階へ。 見ると、一ヶ所だけ開いているのが見えた。 恐る恐る、歩を進める
―――胸騒ぎがする。 息が切れる。だが、 確かめなければ。 前へ、進まなければ。信頼を誓った、彼女の為にも]
(30) 2013/09/23(Mon) 23時頃
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……ぁ。
[辿り着けば、飛び込んでくるものは、やはり、紅い閃光。 ローズマリーがその中心にあるものに、縋って泣きじゃくっている その姿に、胸がずくんと疼く
終わってなかったのだ、惨劇は。 そして、昨日ぼくが撃った彼は――― 自分のやった事がどういった事だったのかを思い出せば、声が出ない。ただ暫く呆然と見ているしか、できなかった]**
(31) 2013/09/23(Mon) 23時頃
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……ぅ、くん
[どのくらい泣きじゃくっていたか 自分の叫びを聞いて駆けつけた人々の声に 安心感を抱かなければならないのに それなのに、この中に人狼がいると思うと ――恐怖心が勝ってしまう。
ただメアリーの気遣うような言葉には、涙で濡らしたヨーランダの顔――それは奇しくも彼女の顔についた血を洗い流して――その人形のように何も映さない瞳を最後に見つめた後、そっと瞼を下ろした。]
(32) 2013/09/24(Tue) 00時頃
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[少しだけその場から離れ、窓辺の小さな花園へと向かう。
花を手にとり、その花をローズマリーに託した]
ローズマリー、これを… [渡したその花は、薔薇だった]
あなたから添えてあげてください…
(33) 2013/09/24(Tue) 14時半頃
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[どれぐらいの時間が過ぎたかわからない。 皆悲しみを背負いすぎた。 空腹も感じない。 もう3日も過ぎたという実感も無い。]
…私は、台所でお茶を淹れてきますね。
[出来ることも何も無い。]
(台所…か) [燃える茜と、重なった影]
…っ! [虚しさが、止まらなかった]
(34) 2013/09/24(Tue) 18時頃
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[オスカーが駆け出すのを見れば、一歩遅れて後を追うように走って。 一つだけ、扉が開いていた部屋にたどり着く。]
……――ヨーラン、ダ…?
[あかい、あかい、惨劇の。 糸切れた人形のように、壊れた人形のように、彼女は赤にまみれて。倒れて。 昨日、一緒にここを出ようと。
――ともだちに、なろうと。
誓った、彼女―――――………]
(35) 2013/09/24(Tue) 18時半頃
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[初めてできた、友達と呼べる存在だった。
彼女がなにをしたのか。
愛を願って、死ねないと言って、人狼かもしれない自分の手を取ってくれた彼女は。
今、無残な姿で自分の前に。
まるで恋人のように彼女の遺体に縋るローズマリーを見て、一気に涙腺が緩んだ。]
……いや、…いやよ………
[そんなことを言っても、目の前を覆う闇は晴れることなどないのに]
(36) 2013/09/24(Tue) 18時半頃
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…ヨーランダ、……お願い…目をさまして……!
[悲しみに顔を歪めて、涙を零して。 今までで一番悲痛な声で、泣きながら叫んだ。]
一緒にここを出るって………やくそく、したじゃない…!
ヨーランダ、うそよ、こんな終わり方いやぁ……っ!
[がくりと、膝から崩れ落ちる。
零れ落ちる涙は、まるでもう来ない未来が零れ落ちるように。 赤色は、自分を嘲笑うかのように。
いくら闇を振り払おうとしても、それは自分に纏わりついて離れない。 それでももう来ない彼女の目覚めを、ひたすらに祈った**]
(37) 2013/09/24(Tue) 18時半頃
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[カリュクスの悲痛な叫び声。 彼女の痛々しい感情が濁流のように流れこんでくる。
幸か不幸かの絶対値が世界単位で決まっているのなら、間違いなくこの世界のバランスは崩壊しているだろう。]
ローズマリーなしで…美味しいお茶を淹れれるかしら…
[階段を下りる。 鳴り止まぬ白の白。
咽喉を鳴らす 未だガラン
気づけば蝉時雨も聞こえなくなった秋は、とうに過ぎた晴れの主観を忘却するように、景色を変えている。 こんな、辺鄙な村にある、建物の中でさえも]
(38) 2013/09/24(Tue) 21時頃
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―― 二階・パルックの部屋 ――
[死体と共に過ごすのが好きなわけではないが、 此処なら誰も近づかないだろう。 煙草を咥えて、窓を開ける。 格子は己をも捕らえているようで 自身の立場を何度も何度も頭の中で繰り返した。]
首都に帰れば、あの人もいるし それに―――
[そ、と撫で付ける自らの腹部。 本当は煙草は夫に禁じられているのだけれど どうしても吸いたくてたまらなくなった。]
ごめんね。
[腹部に宿った命に向けて こうして毒を吸い込んでいることを謝罪する。]
(@0) 2013/09/24(Tue) 21時半頃
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[台所には先日二人が淹れていたダージリンの冷めた匂いがした。]
うっ…
[吐き気が襲い、心が縮む。 少しだけ高い位置に動いた陽々は、暗明の末路だ。
冷めたダージリンを一口飲んだ]
…美味しい…。
[冷たくも優しい味だった。]
(39) 2013/09/24(Tue) 21時半頃
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セシル・レムが断罪され、 そしてヨーランダ・モンティリエールが被害に遭った。
まだ終わらない―――
[次に断罪されるのは誰? なんの証拠も残さぬ犯人は 一体誰なのか?]
オスカー。ローズマリー。カリュクス。メアリー。 皆、まだ幼いのにね。
[もしこの世界に神がいるなら それは不平等で残酷なものだと思う。 苦労せずに幸せを得られる人間もいれば 幸せを知らずに死んでしまう人間もいる。]
(@1) 2013/09/24(Tue) 21時半頃
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裕福な家の少年は言った。 「僕は幸せだ、なぜなら高い服や美味しい食べ物を食べられるから」
普通の家の少年は言った。 「僕は幸せだ、なぜなら勉強をして、夜はベッドで眠れるから」
貧乏な家の少年は言った。 「僕は幸せだ、なぜなら両親が生きているから」
孤児の少年は言った。 「僕は幸せだ、なぜなら僕は生きているから」
(@2) 2013/09/24(Tue) 21時半頃
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けどね、神様。 命すら失ったとき、 人はそれでも幸せだと言えるかしら?
[空を眺め、細く紫煙を吐き出す。]
……まだ、 終わっていない。
[少しだけ苛立ち含めて 壁に押し付けた煙草が、じわ、と赤みを帯びては消える**]
(@3) 2013/09/24(Tue) 21時半頃
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[ヨーランダのその軽い身体を抱いて、ベッドに寝かせた。]
……許さない
[呟いた声には復讐の色が灯る。 訪れたオスカーやカリュクスを見る瞳すら、 何処か険しいものだった。]
家族を、 失う悲しみなんて、 もう二度と感じたくなんかなかった。
[軽率だったといえばその通りだ。 こんな状況下で絆を深めることが 己の悲しみに直結すると、何故考えられなかったのだろう。]
……。 もう、いや。
[小さく呟いて、ヨーランダが寝泊まりしていた部屋を出る姿は、幽鬼を思わせる仄暗いオーラを纏って。]
(40) 2013/09/24(Tue) 22時頃
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[テーブルメイクという程ではないが、クロースをしいて、窓辺の花瓶に差したコスモスを一輪拝借した。]
(野原の花は、元気にしているだろうか…)
[自信のないダージリンティーは、やはり二人の淹れたものとは程遠かった。
花びらを浮かし、香りと色を加えてテーブルに並べると、悲しい程に過去を思い出す]
……仕度は出来た。
[哀れげな、心の嘆き]
(41) 2013/09/24(Tue) 22時頃
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[階段を見やると、そこにはローズマリーの姿があったものの、その顔は、もう、]
…お茶が入ったわよ? ローズマリー
(にこり)
[その笑顔は、いつもの花のように咲く笑顔とは少しだけ違う、哀しみに歪んだ口元には、まるで獣のような犬歯が見えた。]
(42) 2013/09/24(Tue) 22時半頃
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あぁ、メアリー……
[草臥れた様子で階下に下りる。 お茶がは言ったと笑みの声が聞こえて視線を向けて ぱちり、ぱちり。 瞬いた。]
……待っ、て その歯は――
メアリー……貴女……
[がたん、と床が揺れそうな勢いで、メアリーに近づき 彼女が抵抗しないなら両肩を掴んで]
(43) 2013/09/24(Tue) 22時半頃
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―――― 貴女が、やったの?
[ただ一つだけ、一番聞きたい質問を、投げた。]
(44) 2013/09/24(Tue) 22時半頃
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[ローズマリーは丸い瞳で両肩を掴む。 ”お前なのか” その握力が、全てに篭っていた。]
愛とは、無情なものですね。 私には結局。判ることはなかった。
[過去に縛る現在を。 無感情に表す少女は、ぽつりとそう呟いた。]
ヨーランダに罪はありません。
私には、罪を償う覚悟が出来ています。
[背後には、綺麗に整えた机と椅子。 どこまでも不釣り合いで、少しだけ笑いがでた]
(45) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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[ヨーランダが、紅い海に沈んでいる。ローズマリーが、泣いている。 そして――カリュクスが、崩れ落ちた]
…カリュクス。
[彼女達は此処で仲良くなった。一緒に出ようと約束も、していた。 愛は――此処に、あったのに
気付けば、つられてすぅっと涙が一筋、流れた]
……不思議だね。ぼくが、ひとの死に泣いてしまうなんて。 …ずっと枯れていたと思っていたのに。 カリュクスの悲しいも、ぼくのかなしいも、分け合うんだ
…それが、ぼくの、意味だと思いたい。
[そう言うとしゃがんで、カリュクスの背中に手を置いて、撫でた それ以後、彼女が落ち着くまで、言葉は発しなかった]
(46) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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[朽ちる事を知らぬ赫い犬
しみじみとは しどけない獣の性
若気の光茫は失せる 悲しみを躱すためではない。 向こう側からでも。獣眼の私がみえるだろう
―そうだよ、心には血まみれの骨があるさ。―]
私が憎いですか、ローズマリー。 でも、ごめんなさい。
今しばらくだけ、時間をください。
[そういうと、優しくローズマリーの手を解いた]
(47) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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あなたは、なぜ 罪なき人を、殺めて
……今更贖ったって仕方ないのに!!
[語気が強くなった。 一つ深呼吸すると、 メアリーから身体を離し]
お茶、いただくわ。 ……貴女なら冷静に。 話せるでしょう。
何があったのか。何故人狼は人を殺すのか。 できる限りでいいから、教えて欲しい。
[その言葉には矢張り怒りは篭っていたかもしれないが 自分も冷静であろうと、努める。]
(48) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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[悲しみがすぐそばで、旋律を奏でるように響く。 すぐそこに絶望が横たわっていても、きっと誰も気付きはしない。
ここで誰かが死んだことも。
きっと、自分たち以外は知らない]
……ぅ…ふぇ…っ
[背中を撫でられて、オスカーの言葉を聞いて。 嗚咽をかみ殺す声が零れ落ちる。 もう迎えられない彼女との未来が零れ落ちるような気がして、また涙が一粒。
――こんなにも悲しくてつらい。
失う感覚を覚えてしまえば、後に残るのは恐怖。 今隣にある彼の温もりすら失ってしまうのかもしれないと考えると怖くて、体が震えた]
(49) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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[腰掛けて、自分の入れたダージリンを一口飲む。]
やっぱり、貴女にはかなわないわ・・・美味しくない・・・ [カップから口を離すと、ゆっくりと息を吐いた]
誰でもよかったわけではないの。 私は、愛がほしかった。 でも、私はきっと人を愛することは出来ない。
だから、愛を奪ったの。 ヨーランダはきっとあなたの愛に気づいたわ。幸せそうだったもの。
[どんな顔をして聞いてるだろう。]
(嫌な子だな・・・まったく)
[ちょっとだけ自己嫌悪]
(50) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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[それからいつまで泣いただろうか。 やっと落ち着いて、涙で赤くはれた目を拭う。]
……こんなに、悲しくなるものなのね。
[まだ胸が、ずくずくと痛む。 ぎゅっと抑えつけるように触れ、オスカーを見つめるころには、彼の涙は止まっていただろうか]
…我慢できると、思っていたのに。
失うのは、こんなにも、恐ろしいものなのね。
[全てを諦めて、全てを手放せるならどんなに楽なのだろうか。 それが出来ない自分は、やはり弱いままだと自嘲気味に笑う]
(51) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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……ばかね。 愛が欲しかったから奪ったなんて 不器用すぎるわよ。
[瞳には悲しみを湛え]
愛は生きていなければ得られない。 死した者からも得られない。
……もっと早く言ってくれたら、私だって ヨーランダとメアリーをお嫁さんにして 三人で、幸せに、っ、暮らすことだって、――
[涙声混じりになる。]
(52) 2013/09/24(Tue) 23時頃
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