204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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[すぐに、音が襲ってくる。 トレイルは毛布をかぶって蹲った。
耳が痛い。 聞きたくない。
聞きたくない、もう音なんて いらない]
(166) 2014/11/19(Wed) 22時頃
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[毛布をかぶって耳を抑えたのに 床から>>169振動が伝わる。
いい加減にしてくれ。
ぼろぼろと生理的な涙をこぼしながら 丸まった背を震わせている。
撫でる手が、なければ 恐らくプツリと理性の糸を切っていたことだろう。 煮えた鍋の中身 ふんわりと漂う香りは毛布の外]
(174) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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[こんな時でも腹はすくのか。 そう思ったトレイルの傍で
>>173ニコラの感想が、閉じた耳の間から くぐもって聞こえた]
(176) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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[笑っているのは、ノックスだ。 毛布の中から、頭を出した
ニコラをみて ノックスをみた]
(186) 2014/11/19(Wed) 22時半頃
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―ペチカの傍―
[ゆっくりと毛布をかぶっていた身体を起こして トレイルは、まず>>192ニコラに頷いた。 騒音が去れば、頭痛は収まる。 キィンとなる耳の奥 まだ不快感はぬぐえていない。
>>190ノックスを見た。 微笑む様子は、日常を思い起こさせる。 ご飯を食べて、上に そうだ、雪がやむまでじっと大人しくしていれば きっと こんな騒動は終わる。
眉を寄せて、それでも口元には笑みを浮かべた。 忘れよう、諦めよう、全部元通りに
喉が渇いて じわじわと傷口が痛むけれど]
(195) 2014/11/19(Wed) 23時頃
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トレイルは、鍋の方にむけて指を刺した。
2014/11/19(Wed) 23時頃
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[ラルフの声だ。 トレイルの眉がぴくりと反応して
瞬き、視線を投げた。 挨拶をかけた主は誰だろう トレイルの位置からはまだ、見えない。
雪のしろが、みえる]
(197) 2014/11/19(Wed) 23時頃
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―ペチカ傍― [火の音が聞こえる程には、周囲の騒ぎが収まっていた。 毛布はもう、いらない。 その場に置いて、立ち上がる。
雪のやりとりをしている彼等が気付いたかどうか 知らないが 少しバランスを崩したノックス>>204を見て 大丈夫かと その様子を覗き込みに向かったのだ]
(205) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
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[底の方は、おそらく。 頷きながら、ノックスが用意する器の数をかぞえ 違和感に瞬き、受け取る前に振り返った。
視線をそらすラルフがいる。 四つ目の、違和感の、存在。
口元が歪む。 目を細め、微笑みを作った。
差し出された器へと視線を戻し、両手で受け取る。 中身をぶちまけたマグカップは、床に転がったままだ]
(209) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
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トレイルは、ラルフの傍まで、器を持ったままゆっくりと近づいていく。
2014/11/19(Wed) 23時半頃
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[両手で持った器を、傍まで来たラルフの前で持ち上げてみせる。
湯気の立つ器の中身を覗き込んで、それからラルフを見て 眉を下げると、首を傾いでみせた。
トレイルの透明な声は、彼に聞こえているか。 意図が伝わるかは、わからない]
(212) 2014/11/19(Wed) 23時半頃
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[どうして彼なんだろう。 彼も彼も どうしてどうしてどうして
思いはあれど、諦めもあって 声は二度と戻らないから、 俺に、と言われてトレイルは頷いて
彼の頭上に届くように、 器を持った両手を上げながら背伸びして]
(219) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[湯気の出る中身を、ゆっくりと、傾けていく]
(220) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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―居間― [ラルフの頭の上で、中身を全部ひっくり返して 空になった器は、そのままうずくまる彼の上に落とした。
ゆっくりしゃがんで、両手を伸ばす。 ラルフの身体を抱きしめるには、少し短い両手。 ちゃんと彼の背までまわると良いが。
微笑みを浮かべて、首を傾げて 声なき声を紡ぐけれど きっと彼には聞こえない]
(229) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[君が これ以上 僕から奪っていこうとするのなら
これくらい、受け止めてくれるよね?]
(233) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[抱きしめて、撫でてやる。 幼いころから、ずっとノックスがしてきたように。
この腕は、彼の腕ではない。 ラルフの目の前には、トレイル。
酷く歪んだ笑みを浮かべて 光を失った瞳を細めている]
(234) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[服が、包帯代わりの布が、汚れてしまう。 べたついた手触り。 冷えた身体にかけた、熱は 彼にとってどれほど効果があったろう。
ノックスがまず自分の名前を呼んだことに安堵し フィリップがラルフの名を呼んだことに微笑む]
(239) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[どうして、だって。 瞬きひとつ。
ちらとニコラを見た。 教えてくれて、ありがとう。 誰かに取られる前に、食べてしまいたい そんな勝手な理屈が通るなら
奪われる前に、食べてしまいたい そんな理屈も通ってしかるべき。
どく、と胸が高鳴る。 絶望を抱え日常を望んでいるのに きっと、それが叶わないと本能が知っていた。
だって、望んだものは、皆手に入らない]
(241) 2014/11/20(Thu) 00時頃
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[触れ合うことで ずきずきと、痛むのは鎖骨から広がる傷 どくどくと、高鳴る鼓動は胸に
ぎゅうと抱きしめて、肩口に顔を埋める。 手が熱いのは、撒いた汁がかかった所為だ。 彼が傷を負ったらしいそこに、顔を埋めて 歯をを立てた。
美味そうな元ポトフの汁のにおいがする。 >>244肩を掴まれた。 ラルフの背に回した手に少し力を込めて、抵抗する]
(246) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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[上着をひかれた。 トレイルの背は、震えている]
(248) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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[>>252突き飛ばすラルフの腕の力と >>251一度背をなぞった手が離れた先で起こす力 >>244肩を掴むノックスの力
普通の少年でないトレイルには、叶わない力の差。 引きはがされる 最後まで、彼の肩を噛む力は弱めなかった。
熱い。 汚い。
ニコラの心配する声>>250が聞こえる]
(254) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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[ノックスに抱きしめられた>>257まま 汚れのついたトレイルはニコラを見ていた。
心配してくれて、ありがとう
微笑んで、真っ赤に染まった唇が形どる いつものお礼の仕方。 その笑みが、深まって ついには肩を震わせながら笑い出した。 両手で腹を押さえて 声はなく、漏れるのは空気ばかり
大音量で響いたラルフの叫びに 恍惚とした表情を向けて]
(261) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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[ぺろりと、舌なめずりをしてみせた]
(263) 2014/11/20(Thu) 00時半頃
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[血の味が口の中にある。 舌でなめて飲みこんで、喉に違和感 眉を顰めて、ニコラに手を伸ばした。
>>264大丈夫? そう心配してくれたから。 今度の笑みは、嬉しさを帯びている。
諦めと絶望と 欲しいもの、したいこと 全部叶わないならせめて――
ノックスに抱え上げられ>>268 >>270汚れたと言われた口元をまたぺろりと舐めて
トレイルは嗤う。 あれほど嫌悪していた騒音が、 こんなに高揚させてくれるなんて、知らなかった]
(274) 2014/11/20(Thu) 01時頃
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トレイルは、ドナルドが駆け付けたころには、ノックスに抱えられて炊事場>>268だ。
2014/11/20(Thu) 01時頃
トレイルは、プリシラの髪の色はもっと鮮やかだったかなと、手についた赤をかざして思い浮かべた。
2014/11/20(Thu) 01時頃
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―炊事場側―
[愉快だ。 困惑した音の響き、それから悲鳴 思い出すと笑みが止まらない。 丁度入れ違ったドナルドに見られたかどうかは定かでないが。
生殖器官喪失故の情緒不安定は、今に始まったことではないが、此処まで顕著に表れるのは、周囲の影響もあるかもしれない。
>>276赤くなった手はじんじんと痛むが、大した事はない。 食べそこなった食事はもう、残っていないだろう 自業自得。
何度も名を呼ぶノックスに、階下を指差した。 ここは煩いね、と >>278ついてきたニコラにぱくぱくと口を動かしてみる]
(282) 2014/11/20(Thu) 01時頃
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[外の音が聞こえにくい、貯蔵庫、温泉 冷たい方か、温かい方
事情を知らない人>>273に会う可能性 すっかり抜け落ちている]
(287) 2014/11/20(Thu) 01時半頃
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トレイルは、ニコラス>>290が声を聴いてくれた事がまた嬉しくて、階下についてもずっと微笑んでいた。
2014/11/20(Thu) 01時半頃
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―1F 藁の上― [ニコラの姿がある。手をつなぎたいなと伸ばしつつ ノックスが>>293温泉の扉に向かうのを見ていた。
彼が抱くのは、トレイルとニコラだけでいい。 今まで通り、これからも 食事のにおいが混じった空気に鼻をすんと鳴らす
結局、あの場でラルフを食べる事は叶わなかった。 衝動が生まれたわけではなかったから 彼に立てたのは、牙ではなくただの歯 それでも今度は彼に奪われずに済んだろうか。
胸元のリングを握りしめようとした 無意識の手の動き そこにあったモノは、忘れた筈なのに。
>>295水音は、目の前の 扉の向こう]
(300) 2014/11/20(Thu) 01時半頃
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―1F 藁の上― [ニコラと二人で待つ藁の上。 笑いもようやく収まって、少しお腹が痛いと 片手でさする。
扉の開く音に顔を上げると、プリシラがいた。 居間から逃げ出したあの時以来見ていない。
彼が持つものは、まだ気付かない。 少し微笑んで、瞳を細める。 プリシラの髪は、やっぱり鮮やかな色をしていて ふと鳥のいろとどちらが――などと思考に余裕が生まれる。
ひら、と手を振ってみた。 気づいてくれなくては、逃げ出す前に差しのべた手と同じように、無駄になるけれども]
(313) 2014/11/20(Thu) 02時頃
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―1Fわらのうえ― [手を振りつかれて、ゆっくりおろす。 火傷をしたその手は、風を感じても少し痛い。 でもきっと、蓋を止めたニコラの方がもっと痛い。
二人並んで、ノックスの手当を受けた。 少し楽しい。 不謹慎。 楽しそうに笑う]
(318) 2014/11/20(Thu) 02時半頃
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[プリシラは、まだ何も知らないのかもしれない。 ディーンのこと シメオンのこと
転がる鍋蓋をとめたこと 醜い感情をぶちまけたこと
ふと、彼が握った形の手が気になって 包帯を巻いてもらいながら、ぱくぱくと口を開く。 視線の先を見れば、意図に気付いてもらえるかもしれないと思いながら]
(327) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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[ノックスとニコラが話すなら トレイルは静かに微笑みながら聞くだけ。
全部――――トレイルは否定しない。 元をたどってゆけば、行きつく場所は同じだ]
(332) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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[プリシラの掌のうえを見て、 トレイルは、瞬き首を傾いだ。
あんな色の指輪だったろうか
肩を竦めた。 知らない指輪だ、と]
(338) 2014/11/20(Thu) 03時頃
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