193 古参がゆるゆるRPする村
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片目でも見えてるっつーの
[け、とメアリーに憎まれ口を叩いた後 オスカーが絵を渡すのを、見た。
――それ が どこまで持っていけるのかは、わからないが。
まあ、悪くはないンじゃねエの。と。 暮れなずむ空の下、男は謂ったのだ。 自分の居るべき場所はここではないと、そう思いながら。 自分の在るべき場所を、思い出しながら。
「絶対王政」――唯一の王を掲げ 彼につき従う騎士たる氷の男が立っている、そんな場所。 ああ、そうだ。己は、負けたのだ。 敗北、して。堕ちて。それから。]
(267) 2014/09/12(Fri) 02時半頃
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[奪ってみせろ、とあの男はいった。 それまで、預かっておくと、この眼を抉り 自らの空洞の左目にはめ込んだ。
――かえりたいばしょ。 ――かえる、というのとは、すこしちがうが。
あいつは、そう、この俺に。
生きろ、 ―― と。そう。
望まぬコトワリの中だとしても 奪い返しに来いと、 そういう、意味で。
――かえりたいばしょ。 ――やはり、ばしょとはちがうが、それは。]
(268) 2014/09/12(Fri) 02時半頃
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[――この手を、届かせたいのは。 ああ、まるで焦がれているようではないか。]
…… ハ。
[短く、笑った。 煙草の煙、ゆらりとゆれる。 においを嗅ぐと吸いたくなると謂った。 吸えばよかったのだ。そんな、益体もないこと。
黄昏時、穏やかな時間、似つかわしくないが。 ――“帰る”前の、創生の狭間に差し込まれた平穏。 こういうのもまあ、悪くはない*だろう*]
(269) 2014/09/12(Fri) 02時半頃
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― 病室→廊下 ―
[とん、とん、とん。 軽やかな足取りで、廊下を駆ける。
たくさんのすれ違う人たちを横目で見ながら、 踊るように廊下を、ただ]
…………。 ああ、確かあの人は……。
[すれ違う中で見かけた知った顔。 初老の医師。数人の看護師。
ここに来て知った名前と顔は、五本の指で数える程もなかった。 また覚えたとしても、この黄昏に沈んでいく太陽のように忘却の川に流されてしまうのだ。 いつかのオフィーリアのように]
(270) 2014/09/12(Fri) 03時頃
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……オフィーリアって、なんだっけ?
[ふと、足がとまる。
なにか大事なことを思い出せそうな気がするけれど、 頑なに閉じた記憶の蓋が開くことはなく]
…ま、いっか。
[とん、とん、とん、と。 黄昏の中を、再び長い影が踊る。 たった一人、ワルツを]
(271) 2014/09/12(Fri) 03時頃
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[そして少女のそんな様子を見ながら、 初老の医師は手元のカルテにやや癖のある文字を綴っていた。
『記憶回復の傾向は見られず。 当院の治療方ではこれ以上の症状の回復は見込めないと思われる。 患者の回復を第一に優先させるならば、 より高度な医療と環境へとステージを移すのが望ましい』と**]
(272) 2014/09/12(Fri) 03時半頃
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