308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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人
狼
墓
少
霊
全
ヤカモトに1人が投票した。
ヘイタロウに1人が投票した。
マスタに10人が投票した。
マスタは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ルリが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ヤカモト、フローラ、ヘイタロウ、ワット、クシャミ、ビアンカ、みょんこ、ハルミチ、エニシ、ヨーランダの10名。
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[>>2:#4外出を控えるようにと言われたからか 普段に比べれば、外の人通りは少なかったらしい。 公園には子供は全くいないし、 散歩やジョギングををしている人もいない。 住宅街にしては、寂しい光景だったそうだ。
それでも、大通りの方まで行けば話は変わる。 スーパーを覗けば、相変わらず混雑していて 棚の殆どは空っぽだったらしいし。
どこかの駅が封鎖になったのを聞きつけてだろう。 電車に乗れるうちに、都心から出来る限り離れようと そう思った人が殺到して、普段以上に混雑してたようだ。]
(0) 2020/10/23(Fri) 00時頃
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『おはようございます。
今朝のニュースです。』
(#0) 2020/10/23(Fri) 00時頃
昨日までスタジオからニュースを伝えていたはずの
看板アナウンサーは病欠と伝えられ、
別のアナウンサーがそこには映っていた。
それも、いつものスタジオではなく、
リモートで行われているのだろうか、
アナウンサーの自宅からの中継となっている。
ドローンで撮影されたらしい立ち並ぶビルの上空からの映像では
あちこちから火の手があがり、縫いとめる糸のように、
空へと黒い煙の筋がいくつも立ち上っていた。
(#1) 2020/10/23(Fri) 00時頃
「……この症状は、噛まれたりすることによって
感染していくものとみられており、
感染者の数は日ごとに増加の一途をたどっています。
この事態を収めるため、総理は臨時国会を収集し、
警察や自衛隊も出動するという異例の事態となっています。
繰り返しお伝えしますが、市民の皆様は戸締りをしっかりと確認し、
外出は極力控えてください。」
(#2) 2020/10/23(Fri) 00時頃
そんなニュースを最後に、日本でのテレビの報道は途絶えることとなる。
代わりに、まだ動いているSNSやインターネット上では、
真偽不明の情報や動画であふれるようになっていった。
(#3) 2020/10/23(Fri) 00時頃
―― それから4日の時が経った。**
(#4) 2020/10/23(Fri) 00時頃
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「駅と家の間にコンビニあるだろ? そこで、警官が何人かで、男を抑えつけてるのを見た。
近くに蹲ってる店員は、真っ赤になった腕押さえてて、 警官に捕まえられてる男の口元が血まみれでさ。 ……俺ももう、外は出ないから。 騒ぎが収まるまで家に一緒に居、……。」
[そこまでずっと話していた兄貴だったが、 急に。しっ、と。自分と僕の口をふさぐ。
庭に出られる窓の方から、ドン……ドン……!! と、何かが雨戸を叩く音がして。 やがて……気配は、遠ざかっていった。]
(1) 2020/10/23(Fri) 00時頃
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[僕と兄貴は顔を見合わせて、 互いに、ソファーに身体を預けて、大きく息を吐く。 外まで確認しにいく勇気は、無かった。
全身の力が抜けたまま、兄貴が僕に言う。]
「……そーだ、えーくん。 誕生日プレゼント、ありがとな。
あの絵を見てたおかげでさ。 コンビニの前で足が竦みそうになった後、 えーくんのとこに帰らなきゃってすぐ思って。 なんとか、逃げられたんだ。」
(2) 2020/10/23(Fri) 00時頃
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[まだ、世の中で何が起きているのか 信じきれない気持ちもあれば、 噛まれたらおしまいなんじゃないかと そんな恐怖もあったけれど。
今は、恐怖よりも何よりも。 外の何者かがどこかにいってくれて。 兄貴が、今日も無事で帰ってきてくれて。 本当によかったと……心の底から思うのだった。]**
(3) 2020/10/23(Fri) 00時頃
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[それから、作物の集荷もしばらくはこなくて 大丈夫だと連絡をいれ、畑へと向かった。
うちの畑で作っているものは、 今がちょうど収穫シーズンのものばかりだ。 農業をやっていると大変なことも多いが、 サングラスと違ってこんな時にも 食うに困らないのはありがたいことだ。
畑の周りをかこっている、 猪よけの電気柵の周りの雑草たちを丁寧に取り除き、 本来ならば売り物になっていただろう 立派な南瓜や青梗菜をいくつか収穫し、 軽トラの荷台に積んだ。 健司たちが到着するまでにはまだ時間はある。 一度家へと戻れば、パソコンを開いて、 情報収集をしようと試みた。]
(4) 2020/10/23(Fri) 00時半頃
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[いや、パソコンから見なければいいのだ。 画面が大きいからパソコンの方が楽だと思ったのだが、 とんだ伏兵がいたもんだ。
スマホを取り出して、SNSを眺めていった。]
(5) 2020/10/23(Fri) 00時半頃
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[手の届く距離の救援だって断ったというのに、 画面の向こうの人々に何もできないことが、 痛く歯がゆかった。
そうして、いくつか目を通していれば、 健司から到着時刻を告げる電話がかかってきて、 ねっとさーふぃん?を中断した。]
……泊まれる準備もしなくちゃな。
[せめて、この手で守れるだろう人たちだけは、守りたい。 そんな決意をしながら、パソコンの前から立ち上がった。**]
(6) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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百姓 ワットは、メモを貼った。
2020/10/23(Fri) 01時頃
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―― とある男の非日常 ――
[ヴゥン、ヴヴゥン。
ゾンビたちの呻り声が ドア1枚隔てた場所から響いている。
鄙びた雑居ビルの一室で、 男は立て籠もっていた。 サングラスの詰まった段ボールをドアの前に積み上げ 即席のバリケードにしている。
時折バン、とドアが強く叩かれ、震える]
(7) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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…………………。
[ガチガチと歯を鳴らしながら、 男は残り少なくなった煙草に火を点けた。 空腹を紛らわせるように、紫煙をくゆらせる]
ちくしょう。
[震える声で、悪態をついた]
(8) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!
(9) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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百姓 ワットは、メモを貼った。
2020/10/23(Fri) 01時頃
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[腹立ち紛れに、オフィス机を叩いた。
男は、孤独だった。 この灰色のオフィスに閉じ込められ早数日。 外界との連絡手段は、 目の前のパソコンと電話だけ。
110番を押しても誰も出ない電話を 恨めしく見つめ、 震える指先をキーボードへ伸ばした]
(10) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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……ばかばかしい。
[投稿してから、男は舌打ちする。
スパムbotが弱音を吐いたところで、 誰の目にも止まるまい。 だからこそ、その投稿をしたのだが。
弱味を見せたら狩られる世界で 男は生きてきた。 自分が狩られる側に転落したことを、 男は認めたくはなかったのだ]**
(11) 2020/10/23(Fri) 01時頃
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……これは、ひどい。
[パソコンの前に座ってもう半日経つだろうか。 日本の報道、世界の報道をひたすら見ていたが、こんなにひどい状況になったのは第二次世界大戦以降初めてなんじゃないかと思えるほどひどい有様の街や人々が映っていた。]
もしかして…感染症なのか?
[ネットでは「ゾンビ」という言葉が目立つ。 確かに彼らの挙動、濁った目、それっぽいけれど 死んだ人が再び動き出したというより、噛まれた故にそういう症状が出ているようにも見える]
(12) 2020/10/23(Fri) 02時頃
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これは…早めに行動した方がいいかもしれない
[元々法も秩序もほとんどないこの国でこんな現象が起こってしまえば、あっという間に最悪の結果になるだろう。 元々4日後には日本に戻る予定だったが、空港へ向かうバスに早目に乗っておいた方がいいかもしれない]
もっと、情報を集めなければ…
[引き続きネットサーフィンを続ける]
(13) 2020/10/23(Fri) 02時頃
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― 秋葉原 ―
ちっ……!
[持っていたライフルでゾンビを打ち抜いて。 そのまま街中を駆けていく。
ホリー……堀井以外のメイドは逃げるか。 もしくは――。]
ああなってしまうと、この街もいよいよって感じだな。
[UDX 某スクールアイドルアニメにも出てきたそれは。
最早ゾンビの根城となっていた。 とは言え、彼らに拠点占拠だとか。 兵站と言った観念は無いようで。]
(14) 2020/10/23(Fri) 05時頃
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[UDX奪還戦を主張する秋葉原関係者も居たが。
外からの通路にエレベーター。 エスカレーターに階段。
経路が多すぎる建物など、奪還してもすぐにまたゾンビがやってくる。 であれば、徒労になってしまうのではないかと言うのが四浦の出した答えだった。]
(15) 2020/10/23(Fri) 05時頃
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― コーヒーショップ『abbiocco』 ―
[ストーブの中で、薪が爆ぜる音がする。 それに返事でもしたような呻き声が聞こえた。 床吸う耳は、硬いものを落としては引き摺る振動を拾う。
細身の男だった。ルパートより高く、シーシャより低い。 最初は、乱暴な客が来たのだと思った。 ベルを掻き消すくらい強く、ドアを開く音がしたからだ。
自身の足は、そういったものに対峙した際に弱い。 歩けない訳ではないが、逃げることに向いていないのだ。 だからどんな意見の相手>>2:72に対してだって、 否定から入ることはない。 争うことは、不得手だ。
腕を掴まれ、パソコンを巻き込んで放り投げられた。 全身を強く打ちつけたせいか、 痛みはあるのにどこか遠く感じる。]
(+0) 2020/10/23(Fri) 06時半頃
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[――間違い、だったのだろうか。
シーシャの説得に応じて街に帰っていれば、 ルパートと共にこの地を離れていれば、 食料を分けた誰かに伴って西へ向かっていれば、 あるいは、何もかも拒んで閉じこもってしまえば、 異なる未来に出会えていたかもしれない。
しかし、たぶん無理だ。 そんな曖昧な可能性では何度同じ場面に巡り合っても、 頑固な自分はきっと同じ選択をしてしまう。
慕ってくれる彼にも、 頼りにしていた隣人にも伝えた選択を繰り返す。]
(死ぬ時は、どこまでも広がる大地のそばがいい)
[瞼の裏に、トウモロコシ畑に揺れる赤毛が見える。 その上に太陽をそのまま形にしたような笑顔を描いた。]
(+1) 2020/10/23(Fri) 06時半頃
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だ、けど 、
[ボウルの中で丹念にすり潰したような声が出た。 最初の衝撃で起きた目眩がようやく落ち着いてきた。 それが叶ったのは相手の反応が遅かったおかげだ。 揺れる視界にその姿を収めると、 左腕がだらりと下がり、右足を引き摺っていた。
肩が外れたか、足を挫いたか。 あるいは筋肉自体がやられているのかもしれない。 来店した時には特に違和感を覚えなかったから、 きっとこちらを放った時に負傷したのだろう。
あまりにも、己の身体を鑑みていない動きだ。 身体に見合わぬ強い力はそのせいだろうか。 リミッターが外れているような、 理性が跡形もなく溶けたような、そんな印象を受けた。]
(+2) 2020/10/23(Fri) 06時半頃
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わたしは……べつに 、 しにたいわけ、じゃあ 、ない。
[死ぬために、喧騒から離れた訳じゃない。 死ぬために、周囲に甘えている訳でもない。
写真を上げるのは、それが生存証明になるからだ。 相槌のような印>>1:85は共感の意味合いも含まれる。
そんな風に写真を落とすばかりだったアカウントで、 昨日と今日多く文字を残した。 それだって、存在を確かめる作業に近いものだった。
世界中の誰かと、顔も知らない状態で言葉を交わす。 それは遠くとも近い、不思議な距離感だと思う。
これはルパートにだって打ち明けていないことだが、 要は、自ら残ることを選んでおきながら、 少しだけ心細かったのだ。]
(+3) 2020/10/23(Fri) 07時頃
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[周囲に視線を巡らせる。 パソコンは裏返しに開き切ったまま伏せっているし、 横たわる車椅子もロックがかかり完全に沈黙している。 薪ストーブへ向かっても、それより男の手の方が速い。
胸ポケットのスマホをドアの近くへ投げてみても、 呼びかけてみても何の意味もなかった。 男はなぜか他に興味を示さず、こちらへ近づいてくる。 相対し初めて、その目が酷く濁っていることを知った。]
ッハ、 これは……こまったな。
[何もなかった。何もできなかった。 何か、残せたら良かった。
まだ正常に動く男の右腕が、 じりじりと後ろへ下がっていた自身の左腕を捉える。
――ふ、と。 シーシャが食べた、あの厚いベーコンを思い出した。]*
(+4) 2020/10/23(Fri) 07時頃
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[ ゾーイが癇癪を起こして泣いている。]
(16) 2020/10/23(Fri) 12時半頃
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[ ノーリーンがしきりにそれを宥めていた。 わたしはSNSにひとつ投稿を落とすと、 小さなカップをふたつとって、 ほんの少しだけジュースを注いでやった。 ひとつはゾーイを宥めるノーリーンに、 もうひとつはラグの上に寝っ転がって、 静かにオッドを撫でていたウィレムに渡した。 あまり物音を立てない方が良いらしいとは、 数日前から誰ともなく言いだしたことで、 確かな情報かどうかわからなくたって、 わたしたちには信じるしか道がなかったの。]
(17) 2020/10/23(Fri) 12時半頃
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[ でも子どもたちに状況を理解して、 毎日騒がずに過ごせだなんて無茶だわ。 大人だってうんざりしちゃうくらいなのに。 ゾーイのぐずり声を背後に聞きながら、 わたしはそうっとリビングルームを抜け出した。 犬たちのごはんの時間だったの。 幸い、ドッグフードはまだいくらか残っていた。 人間の食糧のほうが深刻な状況だわ。 けれどろくに庭にも出してもらえず、 犬たちも運動不足だし、元気もなかった。 こんなに長時間部屋に押し込まれるなんて、 これまではなかったもの、当然だと思うわ。]
(18) 2020/10/23(Fri) 12時半頃
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[ 本当は庭を走り回らせてやりたいけど、 それはやっぱり危険だとも思うのね。 あまり吠える子たちではないけれど、 状況が状況だけにリスクはとれないわ。 ごめんねって謝りながら、 エサ皿にドライフードを流しいれていた。 すると、フードを待っていた一匹が、 ふいにワンと一声鳴いたの。 どうしたのかと思ったら、 部屋に入ってすぐのところに、 お隣の奥さんがいつの間にか立っていた。]
(19) 2020/10/23(Fri) 12時半頃
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[ 奥さんは渋い顔をしていたわ。 犬をちらりと見て吠えるのね≠ニ言った。] ふだんは吠えませんよ。 急に知らない人が入ってきたから、 驚いてしまったんじゃないかしら。 [ 現に犬たちはもう落ち着いて、 エサ皿に鼻先をうずめていたわ。
不意に、奥さんが数日前に言った、 おたくは良いわね≠ニいう言葉を思い出したけど、 どうしてだかはわからなかった。 わたしは6匹がめいめいエサを食べたり、 のんびりとくつろいでいるのを、 彼らの毛を梳いたりしながら見ていた。**]
(20) 2020/10/23(Fri) 13時頃
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[深夜。 電話の音で目が覚めた。
母さんからの電話だった。]
「大騒ぎになってるけど、あんた大丈夫? ご飯なくなったらうちに来るのよ。 ちょっとくらいは備蓄もあるんだから。 お父さんも帰ってきてるわ」
[と、人並みの親として俺を心配してくれる母さんに なんだか涙が止まらなくなって、 俺は笑って頷くので精いっぱいだった。]
(21) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[「ひとごろし」という言葉がこだまする。 倒れた進の姿がよぎる。 ……ゾンビを殺したらどうすればいい? そう相談しようとして、 なにも言えないまま電話を切った。 父さんは出張ばかりのさみしい家の中 殆ど一人で俺を育ててくれた母さんだ。 変な心配をかけさせたくもないし 戻れば食料で困らせるだろうし 結局、俺はうめき声をあげて 空の胃にスナック菓子を放り込むと、 布団にもぐりこしかなかった。]
(22) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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「From 串谷秋 沙良。大丈夫? パンダの名前、リーリンとリンリンに決まったって。 良かったな。
進のこと、ごめん、助けられなかった」
[メッセージアプリにメッセージを打ち込む。 沙良からの返信は、無い。]
(23) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[翌日。 俺は公園を訪れて、進が倒れた場所を見に行った。 ……何も残っていなかった。
アスファルトに体液の残滓めいたものがあるだけ。 どこかに運ばれたんだろうか。 俺は困り果てたようにへらへら笑って、 人通りがめっきり減った街をふらついた。
家に帰るなりスマホに着信。 母さんから俺へ、気遣うような連絡があった。 家に残っていたカップ麺に湯を注ぐ。]
(24) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[その次の日。 食料がおぼつかなくなってくるのが見える。 一人暮らしの大学生が買いだめなんてしてるわけもない。 数日のショックから抜け出すように、 俺はようやく、実家へ電話をかける。
悪いけど、しばらくいさせてくれないかな。 食べ物が心細いんだ。 心配かけてごめん。
そういう言葉を母さんにかけようと思い描いて、 母さんが電話に出るのを待つ。]
(25) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[トゥルルルル トゥルルルル トゥルルルル
――――プツ。
受話器のとられる音。]
あ、もしもしかあさ、
[受話口から響く、うめき声。]
(26) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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「う、あ゛ ぁー あ、 あ うぅあーー あー あーー、が、あぁーー あ゛ぁーー あー?
ううう゛、ばぁ……あ゛ぁ゛ぁあ… …あ゛あぁぁあ」
(27) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[ダンッ]
[ツー ツー ツー]
[受話器の叩きつけられる音と共に音声は途切れる。]
(28) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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……ははっ。
[乾いた笑い声しか出なかった。]
[そして、進を殺してから四日が経った。**]
(29) 2020/10/23(Fri) 13時半頃
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[カレーは、3日かけて食べた。 まだ半端に残っていたので、薄めてスープカレーにしてやろうと思ったのだが、出来上がったのはただのカレー味の液体だった。]
アイツ、普通のカレー薄めたもんじゃねぇのか……。
[とりあえず、食パンを浸して食べた。]
(30) 2020/10/23(Fri) 15時半頃
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[SAITAMAでも微妙に辺鄙なところに位置するためか、この辺りはまだ比較的平和だ。 とは言っても、スーパーやコンビニに入ってくる品物は極端に減っているし、個人商店の休業。交通機関も都会行きのものは概ね止まっている。
グループLINEをひらく。 ケントが、家族で疎開するらしい。水と空気と米は美味いが、ネットの繋がらないド田舎だとか。 惜別のメッセージとともに「米送れ」とテキスト入力したスタンプも送っておいた。みんな続いた。ノリのいい奴らだ。]
(31) 2020/10/23(Fri) 16時頃
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[コンビニに行った。 ラストの食パンを手に入れた。 クソクレーマー老害が、弁当がない、お前らが買い占めたんだろと、店員に怒鳴っていた。]
うっるせェよクソジジィ! マジで入ってきてねぇんだよテレビ見てねぇのかダホが!!
[暇つぶしも兼ねて、毎日来てるからよく知っている。 商品入荷が本当に少ないのだ。先日など、トラックから降ろされたバッカンが、たった2枚しかなくて驚いた。 クソ老害は、こんな店はもう来ないと、グダグダグダグダ文句を言いながら、店を出ていった。 良かったな店員サン、営業妨害ジジイがひとり減ったぞ!]
(32) 2020/10/23(Fri) 16時頃
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[店員に感謝された。 むしろ、デカい声出せてスッキリした。
引きこもり生活って、鬱憤たまるんだよなぁ……**]
(33) 2020/10/23(Fri) 16時頃
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[ マンションのエントランスが見える頃には、 街中の異変を嫌と言うほど味わっていた。
あちこちから聞こえる悲鳴と破壊音。 大量の血をこびりつかせて、フラフラと歩く人。
私がその間を通り抜けられたのは、運でしかない。
人だかり。パトカー。救急車。 通い慣れたはずの道は喧騒が埋め尽くしていた。 何度か、こちらに向かってくる人を突き飛ばした。 幸い──と言っていいのか。 人の多い朝の住宅街は、私"だけ"を狙う人は いなかった。]
(34) 2020/10/23(Fri) 17時頃
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[ 小走りに足を進めていると、両目からだらだらと 涙が流れる。 足元はまるでグニャグニャのマットレスのようだ。 それでも。]
──アーサー…、アーサー……
[ 帰らないといけない。 どこか自分と違う場所だと思って部屋を出た自分が 本当に恨めしい。 あの茶白の猫の元へ帰らないといけない。]
(35) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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[ 顔を上げた私が見たのは、 白煙を身にまとう我が家だった。]
(36) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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うっ…そだあ……
[ 肩の力が抜け、どさりと通勤かばんが落ちる。 マンションの1階、東側の方から白い煙が湧いている。 映画じみた光景に私はただ立ち尽くしていた。 そのまま32(0..100)x1秒ほど経ったろうか。]
(37) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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[ 手から滑り落ちたスマホが、地面に叩きつけられ、 カシャンと音を立て我に帰った。]
し、消防、119番。
[ 指が震え、うまくタップできない。 一度手をグッと握り、開いて、それでもなお震える 指で119番へコールする。が。]
──何、よ。何でよ──出て!出てよ!!
[ プツプツとコールまではできるのに、呼び出し音は 話中のそれに変わる。 何度も。何回も。]
やだ──やだやだ──何で──
[ 煙は変わらず立ち昇っている。]
(38) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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う…あ…
[ その時の私は多分どうかしてたんだと思う。]
く…そぉあああああああ!!!
[ 悲鳴のように叫びながらマンションのエントランスへ 私は走った。]
(39) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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[ 自分の心臓の鼓動がうるさい。 白煙が苦く肺に突き刺さる。涙で視界もままならない。 息がうまく吸えない。吐けない。それでも。
エントランスのオートロックが開くまでの数秒が、 何時間にも感じた。 ゆっくり開いた扉に割って入るように滑り込み、 階段を駆け上がる。 私の部屋は、2階。]
(40) 2020/10/23(Fri) 17時半頃
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[ 階段を一段とばしで駆け上がり、自分の部屋へ走る。 こんな大きな足音で廊下を通ったことはない。 ]
鍵…かぎ…どこ……
[ 手も足も、身体中がおぼつかない。 すでに廊下は煙で薄ら暗く、光すら届かない。 鍵を回して、いつも見知った玄関ドアを開けて。]
アーサー!!
[ 玄関から呼びかける。声はない。]
アーサー!!どこ!!
[ 悲鳴のように叫びながら、暗い部屋に入る。 靴を脱ごうとして、なかなか脱げずにそのまま 脱走防止の柵を蹴り飛ばして飛び込むと、 弱々しく枯れた声で、みゃあん、と声がした。]
(41) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ 恐らく煙に気づいて何度となく鳴いたのだろう。 枯れた声の猫は、それでも私の手に頭を摺り寄せた。]
ごめんね…!ごめんね…!!
[ 大人しく抱かれたままじっとしているその猫を抱えて、 私は部屋を出た。
部屋を出ると、徐々に黒くなっている煙が目の前を 埋め尽くしていた。 頭の中は目の前と同じ、真っ白だった。 その場に立ちすくみ、全身の力が抜ける。
「みゃおん」
わずかに身動いだ猫に思考を繋ぎ止める。 大丈夫、いつも通る道だ。いつもの通りに。]
(42) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ 煙が晴れたと思った瞬間、そこは外だった。]
(43) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[そのまま、走り、走り、走り。 マンション全景が見えるところまで離れて振り返ると マンションの東側の煙は赤い火に変わっていた。]
あ…あ───
[ その場にへたり込むと、猫はジタバタと動いた。]
よかった…アーサー…大丈夫? 怪我してない?
[ ふと気づくと私の方がひどい状態だった。 服は所々すすで黒く汚れ、あちこち擦り傷もある。 猫はジタバタともがき、私の手を引っ掻いた。]
つっ──!
[ 猫は、そのままこちらに向かって激しく威嚇する。]
(44) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ リビングルームに戻ったら、 ゾーイはまだご機嫌斜めのようだった。 ぐずぐずと鼻を鳴らしながら、 ソファに体を投げ出して、 宥めようとするノーリーンを蹴飛ばしてた。 戻ったわたしに気づいて、 ノーリーンが困った顔をこちらに向けたわ。 一旦家に荷物を取りに戻ります ゾーイがお気に入りの玩具がなきゃやだって、 もうそればっかりで手がつけられないと。 こうなってしまうともうダメだと言うのね。 とはいえ男の人たちは外に出ていた。 危険だからと私は引き止めたけれど、 車で家まで行ってすぐ戻るだけだからって、 ノーリーンは耳を貸してはくれなかった。]
(45) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ ノーリーンの気持ちもわからないではないわ。
男の人たちは毎日外に出かけて、 きちんと誰一人ケガせず帰ってきていた。
ゾーイは状況を理解するには幼すぎる。 どうしたって時折泣きわめいたりするのを、 わたしたちは仕方ないものと扱っていたけれど、
それでもゾーイが騒ぎ出すと、 お隣の奥さんは落ち着かなさそうにしたし、 ノーリーンはそのことをひどく気にしていたわ。
なんならお隣さんには出て行ってもらって、 また5人で過ごす術を考えてもいいと言っても、 何かあったときに男の人がいないのは怖いと。]
(46) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ だからきっと、 ほんの一瞬自分がリスクをとって、 手早く家の中から目当てのものを取ることで、 ゾーイが少しの間でも持ち直すなら、 悪くない選択のように思えたんじゃないかしら。
行くと言ってきかないノーリーンを、 ウィレムとゾーイと一緒に見送ったわ。
ママがうさぎちゃんを取ってきたら、 ニコニコ良い子ちゃんに戻ってくれる?
尋ねられて、ゾーイは大きくうなずいた。 ぎゅうっとふたりにハグをして、 ノーリーンは自分の車にすばやく乗り込んだわ。]
(47) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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怖くないよ、怖くない…キャリーないや…もう… アーサーごめんね、こっちにきて、お願い。
[ 激しく威嚇する猫を必死に宥めようとする。 しかし猫はこちらを介せず──私の後ろを見ていて]
え。
[ 猫の目線を追って振り返ると、そこにはどろりと濁った 光のない瞳と、濃厚な血の臭いが、あった。 *]
(48) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ はじめは男の人たちが出かけている日中、 お肉やフルーツを干してみたり、 あの手この手で加工していたんだけれど、
日に日に彼らが持ち帰る物資も減って、 少しばかり時間を持て余すようになっていた。
庭に生えている食べられそうな植物も、 もうあらかた摘み終えてしまっていたのね。
こんなことになるなら色とりどりの花じゃなく、 なにか野菜でも育てていればよかった。]
(49) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ 数日前に送った返信を見返していた。
西に行けば助かるの? 食べるものはある?
どうやら返事が来る様子はなかった。 サングラスを検討する気にもなれず、 ほうとため息ひとつついて、 わたしは新しい返信に言葉を返した。]
(50) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ スマートフォンを一度閉じたわ。
リビングのテーブルの上にそれを置いて、 わたしはウィレムの隣に腰を下ろした。]
ねえ、また次の本を探しに行かない? ジャーディンが読んでいたものが、 2階にまだまだたくさんあるわよ。
[ 時折こうして声をかけるのだけれど、 ウィレムは与えた本を読み終わると、 ただぼんやりとしていることが多かった。
この状況のせいかもしれないけれど、 少しでも気晴らしになればと思って、 私はゾーイとウィレムの手を引いて、 絵本なんかが置いてある部屋へと向かったわ。]
(51) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ そのとき、車の音がしたのね。 2台分。男の人たちが帰ってきたわ。
日に日に彼らの帰宅は早くなっていく。 街がどんどん空っぽになっているせいよ。
……いいえ、空っぽなんてうそ。 おかしくなってしまった人であふれてる。
食べるものがなくなる日は、 もうほんの目前に迫っているわ。 なにかに襲われる前に倒れてしまいそう。
何の打開策も見つけられないまま、 状況ばかりが悪くなっていくの。 でも、このまま力尽きるのを待つなんてダメ。]
(52) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[ ゆっくりとしか階段だってのぼれないくせにね。**]
(53) 2020/10/23(Fri) 18時頃
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[わざわざ表アカウントの方で 投稿した記事を裏で引用してから、 真っ暗な部屋の中を仰いだ。
壊滅的な音がして 家の電気が死んだのがついさっきのことだ。 たぶん、ゾンビたちの暴動のせいで あちこちのインフラも おかしなことになっているんだろう。 今年買い替えたデスクトップPCちゃんもお陀仏だ。 今、俺と外界を繋ぐものはこのスマホしかない。 進は俺が殺した。 母さんは連絡が取れない。父さんもだめだ。 多分二人ともゾンビになったんだろう。 ……沙良は、会いに行ったって、怯えさせるだけだ。]
(54) 2020/10/23(Fri) 19時頃
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[成人したって戦場でカメラを構えるでもなく 家族を守るために奮起できたわけでもなく 友達を殺しただけのクソ童貞は
まあ、英雄にはなれないんですけど。 ちょっとだけでも、やっぱり、 世の為人の為に役に立ってみたいと思ったんだよね。
……って、進が聞いてたら 「やけくそすんなよ」って怒りそうだなあ]*
(55) 2020/10/23(Fri) 19時頃
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―― 放送 ――
あー、聞こえます? 黒猫クシャミです。みんな、元気にしてたかにゃー? いやーー大変なことになったな。 テレビがつかなくなって何日経ったっけか。
[場違いに明るい声が響いた。 動画の画面は猫耳パーカーの男を映している。 マスクと髪のせいで素顔はよくわからない。
そのまま、画面が反転して、 荒れた街並みを映し出した。]
(56) 2020/10/23(Fri) 19時半頃
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コメントはちょっと、 通信とかの関係で返事できないかにゃー。 申し訳ない。
テレビで放送がなくなって 皆外がどーぉなってんのか気になるかなって思ってさあ。 放送開始してみたわけ。
あはっ。やべー。世紀末。 ここどこかわかる? アルタ傍なんだけどぉ。
[スマホは、残酷なまでに晴れた空と そこに立ち上る黒煙と もはや残骸になり果てようとしているビル街を映す。]
(57) 2020/10/23(Fri) 19時半頃
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秋葉原とかソンビに占領された場所あるらしいじゃん。 ここはまだちょっとはマシなんかなー
やばいね。店、誰もいないけど食料品の棚だけが空。 逆に薬とか、日用品はまだ残ってるみたい? この辺に住んでる人がいたら参考にしてね。
あー。レジスター壊されてら。 金なんてなんの意味があるんだか。 ……ぁっ、 ちょ、やば
[店内を映し出していた画面が一瞬暗転する。 うめき声。走る音。「やべーって」と叫ぶ声。]
(58) 2020/10/23(Fri) 19時半頃
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[ややあって、再び画面が明るくなる。]
……見えるぅ……? あー。よかった。まだ繋がってた。
[黒猫の耳が覗いた。 スマホが揺れる。 画面が、フェンスを揺らして よじのぼろうとするゾンビを映し出した。]
よじ登るのはちょっと時間かかるみたい。 こいつら。
この隙に…… 逃げるんだよォ――――ッ!
[スーパーの裏手に来ていたのか、 そのままアスファルトを踏みしめ男は逃げ出した。 再び、生放送の画面が暗転する。*]
(59) 2020/10/23(Fri) 19時半頃
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[ ノーリーンはなかなか帰ってこなかった。]
(60) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ リビングに戻って、子どもたちと少し遊んだ。
絵本を広げるとその上に寝そべるオッドに、 ゾーイは文句を言いながらも少し笑ってたわ。
朝からよく泣いて疲れていたのかしらね。 しばらくするとゾーイは眠ってしまった。
ウィレムも腹ばいになって、 無防備なオッドを撫でてやってたのね。
わたしはお隣の奥さんや、 弟さんのお嫁さんと今晩の食事について話していた。 ノーリーンがいないことに気づいた彼女たちが、 どうしたのかと尋ねてきたけれど、 事情を説明したらそれ以上何も言われなかった。]
(61) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ そんなときだったわ。 家の前に車が止まる音がした。
それなのになかなか玄関のドアが開かなくてね、 わたしたちは訝しく思ってリビングを出たわ。
外から帰って身なりを整えていたはずの、 お隣のご主人や弟さんもそこにいた。 同じように不思議に感じたのかもしれないわね。
誰も動かなかった。 けどわたしには奇妙な確信があったわ。 扉の向こうにいるのは絶対にノーリーンだと。]
(62) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ 彼女を招き入れようと、わたしは扉を開いたわ。 ……そこにはやっぱりノーリーンが立っていた。]
(63) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ 泣きそうな顔をしていたの。足から血を流して。 その腕にはしっかりと抱きしめるように、 卵色のうさぎのぬいぐるみを抱えていたわ。]
──ノーリーン!
[ 駆け寄ろうとしたわたしの腕を誰かが引いた。 そこにいたのはお隣のご主人だったわ。 彼は険しい顔をしてノーリーンに問いかけた。
噛まれたんですか?
ノーリーンは唇を噛み締めたままうなずいたの。 どうして≠ニ旦那さんが言うのが聞こえた。]
(64) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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私を撃ってください
(65) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ ノーリーンはまるで呼吸の仕方も忘れたように、 ぜいぜいと大きく息をしながらそう言ったわ。
信じられないことにさほど躊躇う様子もなく、 一瞬下がったご主人は銃を手に戻ってきたの。
わたしの喉からはほとんど悲鳴みたいな、 掠れてろくに言葉にもならない声がこぼれた。]
──よしてください! そんな、そこまでしなくたって、 意識だってはっきりしてるのに!
[ ご主人の腕に縋るようにしがみついたけれど、 わたしみたいな年寄りの力じゃ、 男の人が揺らぐ様子なんてちっともなかったの。]
(66) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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ノーリーン! あなたもよ、 お願いだから考え直して。 助かるかもしれないじゃない! あなたがいなくなってどうするの? 母親の代わりなんていないのよ、ねえ。
[ 取り乱しているのはわたしだけだった。
お隣の奥さんとその弟さんがわたしの腕をとって、 銃を構えるご主人から引き剥がしてしまった。
真っ白な顔をしたノーリーンが数歩歩み寄った。 距離を詰められて、ご主人は少したじろいだわ。
ノーリーンは唇を強く引き結んだまま、 わたしにうさぎのぬいぐるみを強く押し付けた。 そして、銃を構えるご主人の目の前に立ったの。]
(67) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[ わたしたちの視線を一心に浴びたノーリーン。 ふいに彼女の唇がわなわなと震えだした。 そしてそのほっそりとした両手で顔を覆った。]
(68) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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死にたくない 死にたくないわ! ああ神様 ひどいわ どうして!
(69) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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──お願い、やめて!
[ そう叫んだきり、指の一本も、 黒目のひとつだって動かせなかった。
絞り出すようなノーリーンの声を遮るように、 ご主人が震える指でその引き金を引いたの。
ダン! とかバン! みたいな、 なにかが破裂するような重い音がしたわ。 支えを失ったように細い体が崩れ落ちて、 赤い色が視界にさあっと散った。 額の穴からどくどくと血を流して、 ノーリーンはもうぴくりとも動かない。
ドアの外で騒いでいたからでしょうね。 何かが集まってくる気配がしていたわ。 それでもわたしたち、なかなか動けずにいた。*]
(70) 2020/10/23(Fri) 20時半頃
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クシャミは、ビアンカの庭の犬を走りながら思い出した。
2020/10/23(Fri) 20時半頃
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[おおい、と、路上で物資を漁っている人間に手を振る。 怪訝な顔をして手を振り返してくるので 配信者たる男は人懐こくそこに近づいていった。
まるでテレビのレポーターか何かのようだ。]
何かめぼしいものは残ってますか?
「このあたりだと生ものはもう駄目だなあ 地下の倉庫にまだぽつぽつ缶詰とか…… 人間の食べ物じゃないものは残ってるけど。 田舎に疎開って話も出てるしよ」
(71) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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あー。大変ですねえ。 なんか、頑張ってください
「おー。兄ちゃんはどうするんだい」
……俺ですかあ とりあえず、明日を生き延びますかにゃあ
[そう和やかに会話をした後、 再び首都を歩いていく。]
(72) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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騒ぎが聞こえるな。なんだろ
[煙があがっているわけでもないのに 人々の喧騒が聞こえる。 覗き込むと若い女が別の女たちに蹴り飛ばされていた。]
「よくもまあ少ないたくわえを盗んでくれたもんだよ」
「ごめんなさい、弟が、ごめんなさい、ごめんなさい」
「ごめんで済んでも許さないからね! ゾンビの群れの中に放り込んでやろうか」
[争う声が聞こえる。]
(73) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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……ひでぇことになってるなぁ もしもーーし、おまわりさーーん!
[まるで警察に電話でもするようにスマホを頬に押し当て 女たちに聞こえるように男は喋る。
暴行を加えていた女たちは肩を揺らし、 あたりを見渡して散り散りになった。
残された若い女に手を差し伸べるでもなく、 男はそっと、その場から離れていった。*]
(74) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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ビアンカは、クシャミ、あなただった? どうにも思い出せないの。
2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ 少なくともわたしたちは人を殺してしまった。]
(75) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ 人を殺してしまった。 本当にそれが正しい選択だったの?
警察に連絡をしたほうがいい? それとももう機能なんてしていない?
ああ、こんな状況でいったい何が、 わたしたちを裁いてくれるというのでしょうか。]
(76) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ 若い人のように自然に、 見知らぬ誰かに問いかけることもできないで。]
(77) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ ようやく振り向いた先に、 ウィレムが目を見開いて立っていたの。
ジャーディンが向こうから駆けてきて、 ちょうどウィレムの肩を強引に抱えるように、 家の中へと走り去っていくところだった。]
(78) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ ふたりのあとを追うように、 わたしもよたよたと走ったわ。
年寄りの足で追いつけるはずもなく、 すぐに見失ってしまったけれど、 じきにどこからか泣き声が聞こえてきたの。
それをたどるようにしてやっと見つけた。 犬たちの根城になっている部屋の隅っこで、 ジャーディンがウィレムを抱きしめていた。 ふたりで小さな塊みたいに蹲っていたわ。 犬たちがどこか心配そうに、 ふたりを遠巻きに眺めていたの。
そして、声を上げて泣いていたのは、 ウィレムじゃなくてジャーディンだった。 まだ呆然としているウィレムを強く抱いて、 あの子が子どもみたいに泣いていた。]
(79) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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……ああ、ああ、なんてこと、 ごめんなさいね、つらかったわね。 あなたたちのことはわたしが絶対に守るわ。 絶対に死なせたりしない、約束する……
[ ふたりまとめて強く抱きしめて、 わたしの顔も涙でぐちゃぐちゃになっていた。
外は何やら騒がしかった。 つっかえになるものを持ってこいとか、 何度か廊下で大きな声がしていたけれど、 それもずいぶん遠くに聞こえたわ。
子どもたちの体は熱いくらいに熱を持っていて、 それを一片たりとも逃すまいとするように、 ただ彼らの存在を両腕の中に感じていた。]
(80) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[ そう、そのときはあまりに胸がいっぱいで、 まだ自分のなくしものに気づいていなかったの。**]
(81) 2020/10/23(Fri) 21時頃
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[「仕方ない」、って言ってほしいし 「やっぱりいけないことだ」って言ってほしいんだよ。
じゃなきゃ、まともな頭じゃ耐えられないね。 ひとをころした、なんて。到底。]
(82) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[繁華街の中。 食い殺された男の死体が転がっている。
蠅が群がり息を吹き返しそうにないそれを 大写しにすることは避けて、 もう残り少ないバッテリーを見ては 男は画面に向けて笑った。
尤も、マスクのせいで顔なんて見えていないけれど。]
(83) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[辿り着いたのは小高いデパートの中だった。 夕暮れに染まった都内は相変わらず まるで世界の終わりのように黒い煙を吐き出している。] こんなことになるなんて思ってもみなかった。 しばらく前まで、 テレビじゃ可愛いパンダの双子がーっつってたのに。
あ。パンダの名前。 リーリンって応募したの俺なんだぜ。 知ってた? へへ。 まあアイディア自体は違う子のものなんだけど。
…………あー。 でも、こんなんなっても、夕暮れは綺麗だにゃー
[もう見ている人だってそんなにいないだろうに 俺は呑気に言って、夕暮れの空を映し出した。]
(84) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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……全部が終わったら、 みんなで綺麗な空を見てみたいにゃあ。
ゾンビの心配もなく屋外で食事すんの。 大切な人と生き残れた人はその人と。
だめだったやつは、 だめだったやつと肩でも寄せ合って。
楽しそうじゃない?
(85) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[そんなことをしても、 ”三人”の時間は決して戻ってこないけれど。]
(86) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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そん時まで、皆、元気で 黒猫クシャミの生放送、でしたーっ。 きてくれたひと、ありがとねー。
[世界の終わりに似つかわしくない笑い声をあげて、 猫耳フードの男は生放送の配信画面を、閉じた。]*
(87) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[昨日一日中パパが心配で、ママの手を握ってリビングのソファーに座ってた。 またに、簡単に食べられるタマゴのサンドイッチを作ってくれたけど、あまり食欲はなかった。
やっとパパの顔を見れたのは、夜遅くだった。 友人さんと2人で帰ってきた。 街には、既にゾンビが現れてて人々を襲っているって。 パパの友人さんは奥さんとはぐれてしまったから、家で一晩だけ休んで、また明日出ていくらしい。
家族と離ればなれ…。 わたしも そうなったらどうしよう。
そんなわたしに気付いたのか、ママにもう寝るように言われて、そうする事にした。
一瞬空に浮いたパパの手。 きょとんとしているわたしの頭をぽんぽんして、笑顔でおやすみなさいって言ってくれた。
その時わたしは、 パパのシャツの下の包帯には気付かなかった。]
(88) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[次の日。
朝起きて、また付けっぱなしのPCの電源を落とそうとして目に入ってきた>>2*33言葉。
"皆、どうか悔いのない選択を。"
大豆畑の、写真の人…? わたしは目を瞑って、左右に首を傾げたけれど 答えが出なくて]
悔いって…どうしたら、しないで済むんだろう…?
[パパとママと。 パパの友人さんと、奥さんと。 それから、世界中の人が無事でありますように。
早くゾンビから世界が救われて、また『日常』に戻ります様にって
お祈りすることしかできなかった。]
(89) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[ビーフって書いてある。 アンケートの結果が出たみたい>>2*44 カレー食べたくなっちゃった。goodボタン!
日本のこみるりさん。 『わたし』って書いてあるけど>>2*47 大丈夫かな?投稿してるってことは、まだ元気なのかな?なんて思っていると、
お知らせがある事に気が付いた>>3*3 まさか知らない人からお返事がくると思わなかったから驚いた。 それが、SNSのいいところでありドキドキするところなんだよなぁ。
わたしは椅子に座って、キーボードを打ち始めた。]
(90) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[健康をお祈りするのは世界共通だよね? と不安になりながらも返信してみた。
ちゃんと届くかな?]
(91) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[部屋から出て、真っ直ぐ暖炉へ向かう。 目の端に、キッチンでなんだか慌てたパパが見えた気がして、視線を移すと笑顔で「おはよう」って声を掛けられた。
気のせいだったかな?と思いつつも、暖炉に火を付けたらキッチンへ。
パパの友人さんはもう出発した後だったみたいで、姿が見えなかった。そりゃ奥さんとはぐれたんだもん、心配だよね。]
(92) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[朝からご飯が豪勢だったのは気のせいじゃないよね?]
もう食べきれないよぉ!
[冷蔵庫に入れれば日持ちするわよ、なんて笑ってた。 変なママ。
食事が終わると、パパが急にガレージから段ボールを引っ張り出してきて、ホームビデオ大会が始まった。 パパも変なの。
昔の自分たちの姿に、初めて見た赤ちゃんのわたし、そしてわたしの知らない新婚のパパとママ…。
見ていたら、懐かしくて、笑いが止まらなくて。 気が付いたら夜遅くまで見てた。]
(93) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[「この箱の全部見るぞ!」と段ボールの山を指差して。
急にどうしちゃったの?と思ったけど、学校にも行けないし外にも出れなくてやる事が無いから、パパなりのアイデアだったのかも。 ママも何だか張りきってお料理するもんだから、冷蔵庫の中パンパンで、わたしのお腹もパンパン! …ちょっと太っちゃった。
ホームビデオ大会は何晩も続いて……]
(94) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[朝、目が覚めたら
パパとママの姿はなかった*]
(95) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[ 振り返ると、そこには口元を真っ赤に濡らした、女。 喉の奥がヒュウと音を立てた。]
──あ、あ、あ。
[ 鳥のような鋭い鳴き声を上げて、猫は走り出す。]
や、アーサー、待って。
[ それを見て私も弾かれたように後を追う。 "そいつ"は思ったよりも遅かった。 猫の後を追いかけ、追いかけ、気づいたら。]
アー、サー、まっ……
[ 小さな小さな猫を、私は見失った。]
(96) 2020/10/23(Fri) 21時半頃
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[健司たちの住むところからは、 通常でいけば、車で大体2、3時間といったところだ。 しかし、やはりこの混乱の最中だからだろうか。
今から出発する、と連絡がきてから、 予定の時刻を過ぎてもなかなか到着する気配がない。 家の近くで車のエンジン音が聞こえるたびに 外へと飛び出して確認するが、 どれもこれも、 健司たちが乗っているものとは違う車だ。
連絡を待ち、時折スマホを覗いたりして まんじりとしないまま夜が明けた。 翌朝のニュースでは>>#1>>#2 事態はおさまるどころか、世界中、 さらに悲惨なことになっているのが見て取れた。]
(97) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[ 全身が悲鳴を上げている。 気づけば私はビルの隙間の路地にいた。]
う──あ──うあっ──
[ 息を整えようとするが、嗚咽になってしまう。 猫はどこに行ったんだろう。 声を出してはいけない、だってあいつらが。]
──! ───! ────!!
[ 嗚咽を噛み殺しながら、まだかろうじてポケットに 入っていたスマホを出した。]
(98) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[ニュース映像の中の黒い煙と呼応するように 心のうちに次から次へと不安が暗雲のように 垂れこめる。
何度電話をかけてもつながらない。 健司も、美香さんも、二人とも。
それに、一度断ってはしまったが、 どうしたって気になって、 沼太郎や八重ばあさんの家にも電話をしてみた。
こっちも、誰もでやしなかった。 気にはなるくせに、 それぞれの家まで様子を見に行く気には どうしてもなれない。
俺自身、こんなにも小心者だったのかと この歳になんてようやく気が付くなんて。**]
(99) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[はじめ、助かったと思った。 つぎに、もう助からないと思った。 最後は、せめて助けたいと思った。]
(+5) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[何日たったんだろう? 日付の感覚なんてとうに失くしてしまった。
ただ、朝日が窓から差し込むから それは網膜を焼くほどに眩しいから また一日、経ったのだってことだけわかる。
だけど私の脳はどんどんふやけてくみたいに わかってたことがわかんなくなってってる。
たとえばこれ。 手にもってるこの、長方形の…板?
縁についてる突起を押すと表面が明るくなるけど これはなんのためのものなのか、わからない。]
(+6) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[ SNSを更新して、気づいた。 噛まれた後しばらくして消息を断ったアカウント。 人を殺したかも、というアカウント。 不穏な文字列から更新がないアカウント。 動く死体のムービー。
自分にはどこか遠くのことだと思っていた。 しかし、こんなにもすぐそこに迫っていた。]
何…これ……
[ アーサーは戻ってこない。 壁に背をつけたまま、私はずるずると座り込む。
インターネット越しの絶望から私を支えてくれてた 小さな猫は、今はいない。]
(100) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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― ??? ―
[空気の音が聞こえた。木を軋ませる、風の音だ。 鳴き声みたいなそれをきっかけに、意識が身体に宿る。]
……?
[瞼を持ち上げたつもりだったが、前が見えない。 まだ寝ぼけているのだろうか。 昨晩は何をしていたんだったか……そう、そうだ。]
……。
[緩慢な思考は混乱も動揺も許してはくれない。 ただ耳を澄まし、記憶に霞んでしまった呻き声を探る。
風の音、軋む音。 風の音、 軋む音。 小さな呼吸音。
何かが、いる。]
(+7) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[お腹空いたな。 おかあさんのお味噌汁が飲みたい。
…おみそしる?
なんだっけ。]
(+8) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[今度は失敗しないよう慎重に瞼を持ち上げたが、 一向に視界は晴れなかった。 原因を確かめるよう無意識に手を伸ばすと、 何者かに覚醒を気づかれたのだろう。 呼吸を捉えられなくなり、代わりに衣擦れの音がした。]
……あ゛、 あ。
[生きているのなら、逃げなくては。 思考よりもっと深い部分が警鐘を鳴らす。 荒くなったはずの呼吸は、淀んだ呻き声になった。]
あ……?
[その時。ミケ、と呼ばれた。動きが止まる。 最近じゃ皆に合わせてマスタと呼ぶようになっていたし、 同じ仕事に就いた時点で遠ざかっていた響きだ。
後退の為に床についた手を止める。 その指先は、眼球に触れてほんのり湿っていた。]
(+9) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[左目に色素の薄い髪が映る。 日に翳せば透けるような色は、くすんでしまっていた。 けれど、それはきっと彼だけのせいではなく。]
しー、 しゃ。
[どうして君が、ここにいる。 濁った瞳の向こうに、いるはずのない命を見た。]*
(+10) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[兄貴と、家に籠ると決めてから4日が経った。 外を歩き回る不穏な気配は日に日に増えていったけど 頑丈な雨戸は凹みこそすれ、壊れることは無かった。
食料だって、ゾンビ騒ぎが出始めたころに 兄貴が買ってきてくれたのが、まだ沢山残って居た。 元々、家に備蓄されていた冷凍食品や カップラーメンにも猶予があって。 このまま乗り切れるんじゃないかって……]
[そう、思っていたのに。]
(101) 2020/10/23(Fri) 22時頃
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[ 涙が止まらない。 心細い。 スマートフォンを握り締めてそのまま膝に顔を埋める。
家もあの火事では少なくとも無事ではないだろう。 今日の寝床を探したいが、ホテルはあるのだろうか。 そんな思考の渦を、声が切り裂いた。]
「あ"あ"ぁ……」
[ びくりとその方向を向くと、そこには──]
う…えぇ……
[ 大柄な男。 その首はひしゃげ、腕は曲がり、血に塗れている。 私は、その姿に見覚えが、ある。]
(102) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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いやああああああああああ!!!!!
[ 私はそのまま転がるように走り出す。 それは、朝、落ちてきた男だった。]
(103) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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……いつ、 きた。
[昨日、と返答があった。]
いまは、
[日付だけを告げられる。 それを受けて考えるよりも先に4日と続いた。]
(+11) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[唸り声を聞いたのは、その直後だった。]
(104) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ここはデパートの2階。衣服売り場の一画。 婦人服売り場のあたりから、 血に濡れた声が聞こえて背を震わせた。
さっき、一瞬スマホの画面に映した死体 ――いや、この場合ゾンビか そいつが俺めがけて走ってくるのが見える。
這い上れる場所なんかない。 持っていたスマホをゾンビの顔面に投げた。 そのまま3階まで駆け上がる。
スポーツ用品店から死に物狂いでバットを拝借して、 尚追ってくるゾンビのうめき声に怯えた声をあげた。]
(105) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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死ね、よぉ!
[ひとをころすことが罪なら、 その罪を犯すことになんの躊躇もなくなっている俺は とうに英雄失格って感じなんだろうな。
べこっ、と嫌な音がした。 よろめくそいつを押しのけて俺は再び走り出す。
――どこへ。 ――デパートの外へ。
走っていこうと、して、]
(106) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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おいおい……
[2階にさっきより多数のゾンビが徘徊している。 降りていけば間違いなく食い殺される。 かといって戻れば、間違いなく男のゾンビに殺される。
冷や汗が背を伝った。 死にたいわけじゃない。 けどそれ以上に、]
あー…………
くそ、
俺は、ゾンビになるのなんか…… ぜってえ、ごめんだからな! [叫びながらバットを振り上げる。]
(107) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[デパートの大窓を何度か殴りつけ――勢いよく、破った。 襲ってくるゾンビ男の顔面に もう二、三度バットを叩きつけて そのまんま、踵を返して落下する。
夕暮れの空から落ちて、落ちて、落ちて、
何かが折れる音がした。 落下先の木々の枝を巻き込んだのだとだけわかった。 その直後、衝撃がやってくる。
激痛。
左腕の痛みに悶えながら、 俺は落下した先の植え込みの中を転がった。 ぼやけた視界で見上げれば、破ってきた窓の向こうで 音につられたらしいゾンビたちが集まっている。 かと思えば、獲物の姿がなかったからか お互いを食い始めた。]
(108) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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― 4日後・コーヒーショップ『abbiocco』 ―
[壊れたドアを端材で無理矢理留めた場所から風が入る。 その度にささくれた木がきぃきぃと甲高く鳴いた。
どうしてここに――なんて。 答えの分かりきった質問はしない。]
……触れた?
[代わりに、たっぷり時間をかけて別の問いを投げた。 自身よりも大きく育った彼は壁際で膝を抱えている。 膝頭に額を押しつけてから乱暴に首を横に振った。 まるで水浴びをした後の犬のようだった。
そうだ。それでいい。 10フィート先からぐうるりと目玉を揺らして笑う。]
(+12) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[……ざまあみろ。 てめーらはそうやって、共食いでもしてればいいんだ。
呪詛のような悪態をつこうとして、 直後、進の顔が過り、痛みに顔を歪める。 思考がぼやける。痛い。
でも、俺は噛まれてなんかいないし ゾンビに触ってもいないんだから、 死んだって串谷秋の死体のままでいられるはず。
…………そのはずなんだ。]
(109) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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……はは。はは、…………ざまー、みろ
………………
ごめん、進
(110) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[悔しさを涙にして 青ざめていく世界で俺は静かに目を閉じる。]
(111) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ GAME OVER ? ]
(112) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ 植え込みの端、 誰かの影が、じわりと夕焼けに滲んだ。**]
(113) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[ ―――ッ!!! ]
(114) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[それは、鼓膜が破れるんじゃないかというような、 ガラスが粉々に割れる音だった。
雨戸を降ろして、ガムテープで目張りをした窓達。 これで安心だと思ったのが、間違いだった。 二階の窓からは入ってこないと、 思い込んでいたのが駄目だったんだ。
二階にあるベランダには、 僕の部屋と、兄貴の部屋から出ることが出来る。 家のすぐ真横にある電柱に上った奴が、 ベランダに飛び移り、窓を割って来たらしい。]
(115) 2020/10/23(Fri) 22時半頃
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[音に飛び起きた僕は、目を疑った。]
[窓を割った際に刺さったのだろう。 頭や両腕から、血をだらだらと垂らしながら、
「 アー………ゥウウ、グォ……? 」
知性の欠片もない言葉を漏らし、 濁った瞳を此方にぐるりと向けた、そいつは。
隣の家に住んでいる、 僕達兄弟にいつも優しくしてくれていた、 兄貴より3つだけ年上の、若いお兄さんだった。]
[この騒動は、日常から遠い世界のように感じていて 身近の。普段から良く知っている人が。 "そう"なるなんて……思っていなかった。]
(116) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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ひっ……!!!
[かけ布団を巻き込み、ベッドから転げ落ちる。 一緒に落ちてきた枕を盾にしながら ずりずりと、部屋のドアの方まで後ずさりする間も お隣さん……ゾンビは、ゆっくりと近づいてきていた。]
……ほ、ら、 よく、見てくださ、 僕、縁、です。 ご近所 の、 先週も、出張のお土産、持ってきて、くれて、
[我ながら情けない、引き攣った声だった。 僕の声は、何も聞こえてないのだろうか。 ひょっとしたら、理解できないだけかもしれない。]
(117) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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ぅ、ああああっ!!! こ、こ、っち、……くん、な…っ!!
[持っていた枕を精いっぱいの力で投げたけど 僕の力じゃ、一瞬、怯ませる程度にしかならない。
会社帰りのままのような黒いスーツの下は 血で濡れたシャツを着たまんま、 ぼたぼたと、血混じりの涎を垂らしながら、 そいつの歩みは、止まらない。]
(118) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[立ち上がってドアを開けたいのに、 身体が震えて、立つことすらできない。 恐怖で、歯がかちかちと鳴って。
(―――どうか、兄貴だけでも、)
『兄貴、はやく、家から逃げて』
メッセージを打って送ろうとした時だった。]
[ゾンビの後ろに、兄貴の姿が見えたんだ。]
(119) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[ベランダから僕の部屋に来た兄貴は、 怒りの形相で金属のバットを振りかぶって、 力任せに、お隣さんの首のあたりに振りぬいた。]
『えーくんから……離れろおおお!!!』
[ぐしゃ、と、嫌な音がして、 ゾンビは部屋の隅へと吹っ飛んでいく。
兄貴は暫く呆然としたまま肩で息をしていたけど、 やがて、血まみれのバットを床に降ろすと、 僕を抱きしめて、よかった、よかったと、 何度も言ったんだ。
僕も、良かった、って言いながら 兄貴に抱き着いて……それで。]
(120) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[あぁ、本当に。] [僕は、馬鹿だった。 安全なはずの二階から侵入されて 自分たちの甘さを思い知ったばかりだって言うのにさ。
兄貴の後ろで、ゆらりと立ち上がったそいつに、 すぐに気づくことができたのは、僕だけだったのに。]
(121) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[―――全てが終わってしまってから、 どれだけの時間が経ったんだろう。 SNSを開いたのは、藁にも縋る思いだった。]
(122) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[思考も声も徐々に元通りへ近づいていったが、 本当にただ近づいただけだった。 安堵の吐息や笑い声には、まだ時折呻きが混じる。 その度シーシャは怯え、警戒するように身を固くした。
右目は相変わらず開いているのによく見えないままで、 左目もごく稀に持ち主の意思に反して巡る。 その時視界の端に映った左腕はずたずたになった どす黒い布地の向こう、生白い肌が歪に繋がって見えた。
まるで、死にたくない心に肉が応えたかのように。 応えてしまったかのように。]
(+13) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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シーシャ、
[あの子はシーシャ。 元部下で、半月に一度物資を届けてくれて、 礼儀正しく、それでいて子どもっぽいところもある、 どこへだって行ける足を持った若者だ。 うんと小さい頃から知っている、可愛い子。
やめろ。“あたたかいもの”なんかじゃ、ない。
渇き張りつく喉を粘ついた体液で押し流し、口を開く。]
(+14) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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出て行くか、殺すか。 好きな方を選びなさい。**
(+15) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[僕は……何も、できなかった。
ゾンビが背後から兄貴に噛みついたときも、 兄貴がゾンビを引きはがして、 バットを拾って殴り殺すまで。 その場で力が抜けて動けなかった。
兄貴を助けなきゃ、って。 何度も何度も思っても、 腕にも足にも力が入らなかった。]
(123) 2020/10/23(Fri) 23時頃
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[ 走って、隠れて。走って、隠れて。 距離としてはせいぜい町内をグルグル回っている だけなのだが、どうにも、何も、休まらない。]
──はっ、はっ、あ……お、おえっ
[ 逃げ惑いながら、見た光景を反芻してしまい、 その場にびちゃびちゃと嘔吐する。 転んで倒れた老人に、何人もの人が殺到し。]
うぇっ…おえぇ……
[ がり、がり、ぐちゃり。 悲鳴、嗚咽、断末魔。 怒号、呻き声。
一頻り胃の中のものを出し切ったようだ。 吐き気は止まらないが手の甲で唇を拭う。 家があれば、そこに立て籠ることもできたのに。]
(124) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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[ 私はよろよろと立ち上がって、目の前のビルを見た。 その雑居ビルの非常階段は、"あいつら"はいないようだ。 各階の踊り場にはビールの樽やモップ、ゴミ箱がある。 そのビルのテナントが物置に使っているのだろう。
あたりは薄暗くなっている。 体も走り続けてボロボロだ。 私は非常階段を踏み締め、1段ずつ注意深く登った。 **]
(125) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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[僕に出来たことは、 兄貴がうめきながら肩を押さえてしゃがんだ時に やっと我に返って部屋から飛び出して。 兄貴の肩の傷の消毒をし、 全く巻き方の知識もないまま、 包帯をぐるぐると撒いたことぐらいだ。
でも、それが何だって言うんだ。 噛まれたら、もう、終わりなんだろう? 止血も、消毒も、意味なんて……]
(126) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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……うるせえよ。
[バリケードの向こうのドアが、 ギシギシと悲鳴を上げている。 いつまで持ちこたえられるのだろうか。 その前に自分が餓死してしまうのだろうか。
――わからない。
鞄の中に入っていた 唯一の食料であるチョコレートは 数日前に在庫を切らしてしまった。
かろうじて、手洗い場の水道水を飲んで 食いつないでいる]
(127) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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相当にかわいそう、だろうがよ。
[かわいそうとは思わない、という ひとつの投稿に悪態をついた]
どうやって 無事に逃げられるっていうんだよ。
[その声は、震えていた]
(128) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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……窓。
[投稿にあった言葉につられて、 唯一光の差し込むそこを見つめた。
ごくり、と喉を鳴らした]**
(129) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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[何か情報がないか必死にSNSを見ていた僕へ 兄貴の声が降って来る。]
「……えーくん。」
[辛そうに額に汗を浮かばせ、眉を寄せていた兄貴が 僕を見て、微笑んだ。 泣きすぎて枯れた喉が、震える。]
う……、……兄貴、…… 僕のせいで、僕が、動けてれば、
兄貴じゃなくて、噛まれるなら、僕が……!
[自分が噛まれたのは、わかってるはずなんだ。 それなのに兄貴は、何もできなかった僕を叱ることも ゾンビになることを嘆くこともなく。
兄貴に縋りついて泣きじゃくる僕の背を撫でて、 酷く安心したような声で、言ったんだ。]
(130) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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「俺はさぁ……噛まれるのが えーくんじゃなくてよかったって思ってる。 俺ら、似たもん同士だな。」
[僕と兄貴は全く違うのに。 勉強も運動も出来て親にも期待されてる兄貴と ゾンビに立ち向かうこともできない、僕じゃ、 似ても似つかないっていうのに。
何故か兄貴は僕にずっと優しくて、 こんなときまでこんなこと言ってさ。]
何、言ってんだよ……馬鹿、兄貴…………
[兄貴は何故か笑ってたけど、 僕はもう、なんにも言うことができなくて。 暫く、ゾンビが倒れたまんまの部屋には、 僕のすすり泣く声だけが響いていた。]**
(131) 2020/10/23(Fri) 23時半頃
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