270 食人村忌譚
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……なんだろこれ。
[志乃が外へ出たとき、それは終息に向かっていた。 絡み合い血溜まりに沈んでいくミナカタの背中、その下で鮮血を浴びている源蔵、生きていても仕方のない自分の外でまた一つ、知っている者とのしばしの別れ。]
もう……見飽きたよ…… [志乃の包丁を持った手はあがる。どうして最初からこうしなかったのだろう。 ……いや、もっと深く考えるべきだったのだ。儀式が行われている理由を。 志乃は死と向き合い、たくさんのことを考えた。 何で食べるのだろう。どうしてみんな死んでいく?
出た結論は合理的とも悲観する志乃らしいとも言えた。]
(4) カルガモ 2017/12/04(Mon) 22時頃
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辛いからみんな殺そっか…… 来世で幸せなら……きっとその方がいい。
[食べてくれる人を見つけて志乃は包丁をあげたままゆっくりとミナカタの下敷きになった源蔵の傍に向かう。 みんな不幸ならみんな殺して食べてあげた方が幸せだと胸に秘めて*]
(5) カルガモ 2017/12/04(Mon) 22時頃
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死んじゃった……
[もう既に深手を負っていたのかと手の包丁は下がりを見せて。 ミナカタと源蔵二人の前でしゃがむと赤い、まだ温かい血を指で掬いペロリと舐めて哀しい口紅。]
リツ兄…… 私を食べるのは……もう少しだけ待って欲しい。 みんなを弔ってからにしたいの ……全員
[背中のリツ兄へと飛ばす言葉は私の願い、そしてみんなの願いじゃないだろうか。 包丁で喉を搔っ切り、トドメと血抜きを促進させれば源蔵の身体を引っ張りだしていく、重たいミナカタはリツ兄へとお願いしてこれまで亡くなった分も合わせるとどれだけの食料となるのだろう。]
(11) カルガモ 2017/12/05(Tue) 01時半頃
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手伝って? 解体したら、保存できるようにしたい…… みんな食べてあげたいよ。ほとんど食べれなかったから……
[志乃がおそらく真っ先に選ぶのはユリからだろう。 この村にはもう巫女はいない。 この先巫女の後継が現れるかはわからないけれど、儀式が再開したなら巫女を殺した自分が一番ふさわしいと思っている。 死ぬと分かれば怖くもなく咎人としてその責を果たすことにも躊躇などもない。 何よりここには私も食べてくれるリツ兄もいる。 そう考えると、少しだけ肩の重みが軽くなり解放されていく気がする。 リツ兄はどんな気持ちで運んでいるんだろうか。*]
(12) カルガモ 2017/12/05(Tue) 01時半頃
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――あれから――
[凄惨な事件が終わってからは平穏を取り戻し、死に逝った者達への総出の弔いが行われた。 巫女殺しの志乃にも期限は設けられ、弔いの済むその日までは生きることを許される。
主に食すのはユリ、毒殺された身体は特に慎重に調理は進められた。 血は抜かれ胃は洗浄され、細かく切り刻み、焼いて肉を食う。 幸いなことに志乃が中毒にかかって命を落とすことはなかった。 あとは食べきるだけ、何日にもわたり干肉となったユリは皮だけを遺して食べられたであろう。]
(27) カルガモ 2017/12/06(Wed) 00時頃
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――弔いの終わる日>>16>>17――
[食指終わりの最後の日、志乃は集会所に一人佇む。 今日は約束の日、志乃でいられる期限の終わり。
リツ兄の顔が見えると志乃はにこやかに微笑み、振り替える。 髪に花飾りをつけ、死出へのおめかしに身綺麗な死装束
爽やかにも話すリツ兄の声に志乃は小さく頷いて、切れ味の良さに驚く姿に笑みが零れる。
死ぬのは怖くはない。むしろ臨むまでの間には解放される喜びなどもあった。彼岸の憧れは来世への強い期待]
(30) カルガモ 2017/12/06(Wed) 01時頃
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いいよ、リツ兄。 すっぱりやって、痛くないように。
ああでも、思いのこしは一つだけあるかな
[死に行く者としては気の抜けた緩んだ顔で、でもしっかりと身体はリツ兄を向きその瞬間までは毅然と立ったまま 答えは言わない、仄めかすだけの謎の問いかけ。]
...ふふ、リツ兄。 終わったら、私の懐を確かめるといいよ? [思わせぶりに話した遺言に、懐に忍ばせた手紙が開封を待つ。 宛先はリツ兄へ 結局言えなかった私の気持ち]
それじゃ。サヨナラ――――――。
(31) カルガモ 2017/12/06(Wed) 01時頃
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[膝をつき、差し出した首が落ち、手紙を改めたならそこに書かれていたのは"大好きだったよ"の言葉。 "もう少し私に時間があれば、リツ兄の子供を産んでみたかったな" などと、心残しを入れて最後には"ありがとう またね"で括った志乃の最後のお礼。
落ちた首は読んだ彼の反応を楽しみに、安らかに微笑みながら転がった**]
(32) カルガモ 2017/12/06(Wed) 01時頃
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