64 色取月の神隠し
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─ 隠世への路 ─
路はわかりますやろか?
[隠世へ続く道。仁右衛門を待っていた女は、彼の姿を見つけると静かに微笑んだ。 気怠さはおくびに出さず、いつもとらんら変わらぬ佇まいで箏を置く]
隠世の入り口まで送って差し上げたいんやけど、 うちの身やといろいろ不便で、 センセにもご迷惑おかけしますから
こちらの方が案内はしてくれますし、うちも現の方に見えやすいよう 音で光を奏でますよぅ?
[芙蓉を招き彼女の手をそっと握る]
(5) 2011/09/16(Fri) 13時半頃
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センセの好奇心満たすものも多い思いますし お父上にもお会いできるやも知れませんなぁ。
センセが望む大志もきっと… うちも、いずれはそちらに戻るやろうし、お父上とお母上の素敵な馴れ初め その時に聞きとう思いますんよ。
勿論センセの素敵な馴れ初め話も…
[少し茶目っ気まじりに小さく舌を出して笑えば、着物を翻し 隠世へ向かうひとつめの音を*爪弾いた*]
(6) 2011/09/16(Fri) 13時半頃
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木の間より洩り来る月のかげ見れば 心尽くしの秋は来にけり
[かつて名も知らぬ謡人がこんな歌を詠ったか 重なりつつも別つ浮の世は 現世と隠世の渡鳥 御霊が逢瀬を重ねつつ 生まれしは幻 秋の月]
現の風の隙間から隠を照らすセンセの月は 向こうの皆にどないな思いを運んでくれるんやろうね。
(7) 2011/09/16(Fri) 13時半頃
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[逢魔の狭間で幾度と聞いた囁きでは やれ騒がしいとか華がないとか言われていたか あないにしおらしゅうて可愛らしい子捕まえて それはあんまりやろうになぁ…と女は瞼を落とす]
センセのお父上、蜃さんいうらしいんよ。 シンさんにジンさん 少し似とりますなぁ。
ご苦労さまやなぁ。おおきにやよ。 そや、芙蓉さん。 沙耶と一緒やった言うとりましたけど、他の皆さんも一緒やったんやろか? 何か楽しいお祭りの催しでもありましたん?
[仁右衛門を送り、芙蓉が戻ってくるまでそこに佇み、まずは労を労ってから、涼しげに彼女を眺めた]**
(8) 2011/09/16(Fri) 13時半頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2011/09/16(Fri) 13時半頃
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>>12 まあ、手妻もあったんや。 うち、昨日は見てへんから今日来たんやろか? 胡蝶の舞やってくれたんかなぁ?
ああ、ぬ…藤之助さんと一緒なんや。 二人並んでたら映えますやろな。 日向さんにも介抱してくれたお礼言わなならんしな…
話し……
[芙蓉の話に小さく頷いていた女だったが、“話”と聞いたときには少し身を強ばらせたか。少し悩んだような表情を浮かべ、口を開きかけた時に、するりと箏が彼女の腕に収まった。吃驚して目を丸くはしたが、不満を漏らすでも嫌がるでもなくただぼぅっと芙蓉を見上げ、最後には小さく頷いた]
おおきに。落とさんといてな。
[芙蓉に笑みを向けてから歩き出す]
(20) 2011/09/16(Fri) 20時頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2011/09/16(Fri) 20時半頃
志乃は、芙蓉に、「無茶なんかしませんよぅ?」と口を尖らせてみせた
2011/09/16(Fri) 20時半頃
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>>21 胡蝶の舞あるとええなぁ。 蝶の折り紙がが本物の蝶々のように舞うんよ? ひらひら白ぅなぁ。 ヒトなのにえらい器用やなぁ思うて感心しましたんよ。
[手妻小屋を潜りながらうきうきとした声を返す]
沙耶も普段身体強ぅない言うてたからなぁ。 せやなぁ、疲れとぅ時は甘い物ええやろね。 いろいろは落ち着いてからやろね。
なぁ芙蓉さん。沙耶もなんか力とか持ってるんかしら? センセや、龍っつぁんが言ってたあの子みたいな。 沙耶だけちゃうなぁ。日向さんも持ってるんかもしれん。その他にも……
この村の人ら、どんだけおるんやろな? 持ってるヒト
(24) 2011/09/16(Fri) 21時半頃
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志乃は、小屋からでてきた沙耶とぶつかりそうになって吃驚している
2011/09/16(Fri) 21時半頃
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>>25 あ…えっとえっとなぁ ちゃうねん ちゃうねんよ……
[しどろもどろなのはこちらとて同じ、ましてや直前に当の本人の話をしていたところだ。暫し目を泳がせて、ゆうに三周半くらい小屋を泳がせた頃に]
おはよぅ。沙耶。 疲れてる聞きましたんよ。 芙蓉さんと一緒に甘味でも如何やろか?
[一切合切投げ捨てて、普通に挨拶した]
(27) 2011/09/16(Fri) 21時半頃
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沙耶は好きな甘味とかあるんかな? 菊屋さんおは何食べても美味しい思うたんやけど あいにく昨日は笹団子なくてねぇ。 うちはお団子どれも好きなんやけど、 笹団子が一番好きでねぇ。 [動揺からそそくさと二人の手を引いて歩きながら]
そうや、疲れてるいうて聞いたんよ。 お加減悪ぅなりそうやったらうち送っていくからね。 無理したらあかんよ?
[昨日、話の途中で寝てしまった本人がそんなことを口走るのもやはり動揺のせい?]
(29) 2011/09/16(Fri) 22時頃
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……! [先程ぶつかれそうになった時など比でもないくらいに、目を見開いて、彼女の囁き>>32を聞く。ゆっくりと首を回して彼女の顔を眺めながら]
半分…ここでは聞こえない声ですのん?
[目は穏やかなまま、けれど彼女の顔から視線ははずせずに小声で返す]
ほな、身体が悪ぅて家あまり出られへん言うてたんも 半分こさんが出てったからなんやろか?
[虚空を眺めるように一点を見つめ]
うちも疲れてるんちがうんよ? んー昨日は疲れてたかもやけど
[苦笑を向けられれば常と変わらぬ朗らかな笑みで向かえた]
(35) 2011/09/16(Fri) 22時半頃
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[想像すれば難くはない きっと聞いていたのだろう。声なき声のその詩を 音なき音の箏の音を]
あのね……沙耶
[言いづらそうに紡ごうと口を開きかけた瞬間に『芙蓉さんが…』と紡がれる。>>42 はっとして口を噤むも同じ刻。気まずい空気の漂う中、促されれば無言でこくんと頷いて。彼女の傍らで歩を進めた]
(46) 2011/09/16(Fri) 22時半頃
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[奥まった席に腰を下ろし何かを注文したはずなのだけど>>49、そんなこともどこか上の空で]
あ、あのね沙耶 その沙耶が聞いたいう話って、 うち以外にも話してる人の声とか 聞こえたんやろか?
(51) 2011/09/16(Fri) 23時頃
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[囁かれる異の調べは女にももちろん届いていた。 縁のない者へ哀れむ気は毛頭ない。 藤之助を傷つけた者達など首を撥ね六条河原に並べてやろうと酷く憤慨したものだと……嗚呼あの頃は女も幼かった
月日は巡り、人の世に交わり過ぎた今でも、身も知らぬ者にかける思いはない。けれど……
沙耶の言葉を聞いた今、ひとつひとつの囁きにびくりびくりと酷く狼狽している自分にやるせなさがこみ上げてもいた]
(53) 2011/09/16(Fri) 23時頃
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あ、ええんよ気にしてないから。 不思議な話やなぁ思うて聞いてたんよ。
[目の前で手を振っても見せたが、表情は終始晴れないままで]
へぇ…自分たちがヒトじゃないみたいな話やったんかぁ。 沙耶はそれ聞いて怖いとか思うたん? ヒトじゃないみたいな話って想像つかんけど。
(55) 2011/09/16(Fri) 23時半頃
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[運ばれた茶菓子に目を落として、じっと沙耶の話を聞く。ちょっと怖いと聞けば、唇をぎゅっと噛みしめて、それから意を決したように重い口を開いた。]
二つ聞きたい思うんよ。沙耶。
うちがもう長くおられへん言うたら ちょっとでも悲しい思ってくれます?
……それから、沙耶の聞いたいう夢の話が本当で うちがヒトちがいます言うたら怖いです? そんなんもう友人ちゃう思います?
怒ります? さっさと居のうなれ思います?
(65) 2011/09/16(Fri) 23時半頃
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おおきに…おおきにな沙耶
[語気を荒げて目に涙を浮かべてそう言ってくれる彼女に、女の唇が震えた] 居なくなったりはせんのやけどな。 現世では、うちもう長ぅ話もできんけどよ。
けど、うちもう少し沙耶と話がしたいんよ 沙耶を知っておきたいんよ。 ちゃんとな友と思って貰えるようになりたいから。 永久に友や思うて欲しいから
さっき、怖い言うた連れて行く…やないねんけど うちが暫く話せる世。 隠れ世に少しの間でええから一緒に来てくれんやろか? 帰りとぅなったら、うちがこの身に代えて帰すから。
それで、うちをもっと知ってくれて それでかまへん思うてくれるんやったら うち(箏)を預かってくれんやろか?
(77) 2011/09/17(Sat) 00時頃
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[ゆっくりと立ち上がる]
嫌やったら忘れてくれてええ。 せやけど今の話聞いてまだ友達や思うてくれるんやったら 一緒にきてや。 現でできる最期の約束果たします。
約束したやろ? 箏教えるて
[差し出される手。取ってくれたのなら、二人で見た月見の場へ向かうだろう。 途中日向と出会い、何かを聞かれたなら、おそらくはそれに応えたことだろう。 付いてくるのを嫌がることもないだろう]、
(78) 2011/09/17(Sat) 00時頃
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おおきに……
[手を取ってくれた沙耶に、女は深々と頭を垂れながら涙した。 そういえば昨日もそうだった。九十九とてヒトのように涙できる ……それは千年の刻をヒトの世で歩んだ末 ヒトに染まったからなのかもしれないが]
永く永く生きていたんよ? ヒト相手に友言うたんは沙耶が初めて うちの身はこの箏やから、うちが選ぶとかはないんやけど
だからやろうね…沙耶の元に置いておいて欲しい 箏からヒトへお願いなんかしたんは。
[秋晴れの空の下。女は謳う]
嗚呼ええお月様や……隠世は今でもお月様が見えるんよ。 すぐ見せたるからね…箏の音の色もお月様も
(90) 2011/09/17(Sat) 00時半頃
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[空は未だ秋晴れで お天道様の光が煌めく 天高く鳥は飛び 金色にたなびく稲穂の群れ やがて友の手に自らを携えれば 爪弾き響く箏の調べに 異の月が顔を出す]**
(93) 2011/09/17(Sat) 00時半頃
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琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2011/09/17(Sat) 01時頃
琴弾き 志乃は、メモを貼った。
2011/09/17(Sat) 01時半頃
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─ 隠世の道 ─
こっちの手はここ押さえて、こっちの手で弾くんよ。 丸爪ちゃんと持った? ん…ええよ。 ……ちぃっと吃驚するかもやけど堪忍な。
[沙耶の手に自らの手を重ね、弦の先へゆっくりと誘っていく。 拾参の弦が並ぶその最初の壱つに爪を当てさせ、ゆっくりとゆっくりと弾かせる
刹那妙なる調べと共に ── 世界がぐるりと歪んでいく
沙耶には見えただろうか?
空には真昼の月が 黄昏を待たぬ立待月が 荒涼たるすすき野の薫りを奏で 熟した果実のような甘さを纏う 常の世を照らす異形の月が]
(108) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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── お月様は同じでも 見せるお顔は異の顔──
『其れは戦で亡くした夫を偲んで奏でる女の哀悼歌』 『其れは恋焦がれた貴族の男に捧げようと少女が一所懸命に綴った純愛詩』 『それは神仏への敬愛を奏でた男の奉納の調べ』 『それは世を憎みそして儚んだ老婆の呪詛の旋律』 『それは ソレハ──』
[まさしく無数の思念の果て 常に見下ろしていたのは月の影 私は見上げる 悲しみも憎しみも愛情もすべてすべて 流れた思いの音色を現の世に 揺れた思いの音色を隠の世に 私は思いを奏で征く 千の刻を奏で征く]
(109) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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うちなぁ、たくさんのヒトの思い見てきましたんよぅ? ええことも よぅないことも見てきましたんよ? せやけどね。 ええことも悪いことも、思いは思いなんですよ
音は言のない葉脈なんですよ。 思いがあるから音は綺麗なんですよ?
うちはそんな音の世界に生きています。 ヒトの思いを奏でるためにずうっと……
そして今度は貴方の音を…思いを奏でたいと 思うてますんよ。
おおきに…おおきにな沙耶
(110) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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[現の世に響いた箏の音は やがて小さく小さく消えていき いつしか、二人のいた岩台には ただただ吹き抜ける秋の風だけが 乾いた音を奏で続けていた]**
(111) 2011/09/17(Sat) 01時半頃
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