73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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…先輩弄りも、後輩で遊ぶのも あーんまり、感心しないなあ。
[ロビンとジェフのやりとりを窓越しに 遠巻きに眺めていたが、やがて小さくそんなことを呟き。 聴こえる聴こえないは別として、こつりと窓を叩いた。 開けて、とばかりに叩くその手には薔薇の蕾と]
(224) 2011/12/24(Sat) 01時頃
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───。
[開けて、と。もう一つ硝子を叩いた。 ジェフが気付かないなんて、珍しいこともあるものだと思う。 けれど、逆を言えばそれだけ話している相手に 興味があるのだろう。
じっと。冷えた庭からその様子を眺めて。 硝子を軽く叩いていたものは、指先から、拳を握るに至り───]
(234) 2011/12/24(Sat) 02時頃
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[硝子に向かって振り下ろそうとした拳は、 結局外壁に力なく落ちるだけ。 窓枠の外に、溜息と共に座り込む。
きっと、室内からはもう見えまい]
(236) 2011/12/24(Sat) 02時頃
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−庭−
[握り締めた手が赤いのは棘のせいか それとも冷え切ってしまっているせいか。 外壁に背中をつけて、座り込むと体の熱が持っていかれるのがわかる。 溜息は白く消えてしまったが、雪を汚す赤は消えはしない。
雪の上に投げ出された紅い蕾にちらりと視線向けて]
…蕾は、におい、しないんだ。
[少し意外そうに、そんなことを呟いた。 折角摘んだのにつまらなさそうな顔になるのは 見せようと思った相手に気付いてもらえなかったせいか。
見上げれば、吹雪は既に遠い。 空にかかる、真珠のような満月]
(239) 2011/12/24(Sat) 02時頃
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…お前も、俺と一緒だね。
[転がる蕾を摘みあげると月に翳す。 雪の粒が煌いて、少し眩しい。 それをつまみあげる自分の手が酷く汚れて見える。
此の花に気付いたのは、自分でよかったのかと考えていた。 花は黙して語ることはない。 その場に誰が居ようと聴くこともない。
蕾を窓枠にそっと置くと、座り込んだ辺りの雪をかき集め始める。 傷口に雪の冷たさがしみこんだがそんなことは構わない。 握って、固めて、転がして。 その様子は雪にはしゃぐ子供そのもの]
(241) 2011/12/24(Sat) 02時半頃
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…?
[雪を転がして、それを二つ作って。 余り大きくない、ところどころ赤に染まった雪だるま。 首を挿げたところで後ろから聞こえてきた音に 少しだけ顔を覗かせた。 その動きのせいで、挿げた首は落ちてしまったけれど]
…馬鹿だなあ。
[同室がなにやら喚いている様子に、今更と呟く。 先ほどの声も聞こえなかったようだし どうせこれも聴こえないだろう。 けれど、相手の言わないその感情を理解しながら 諦めの悪い自分も馬鹿だと思う。
吐き出す溜息は、自嘲と後悔の匂い]
(247) 2011/12/24(Sat) 02時半頃
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…ほんとう、馬鹿だなあ。
[また一つ呟いた。 そういうやりとりは人が聞いていないところでやればいいものを。 冬休みだから人が少ないものの、純真な信望者が聞けば 何が起きるか考えたほうが良かろうに、と。
それにしても、玄関先の廊下でやってくれているものだから こうなると室内に戻るための退路は断たれたに等しく 最早仕方ないと諦めて、窓の下に座り込んだまま 赤の滲む雪だるまと共に一晩を明かすしかなさそうだった。
せめて普段からもう少し温かい格好をするべきかと 黒いカッターシャツとカラージーンズだけという 今の自分の服装を省みて割と真面目に考察をしつつ まずは薔薇の匂いのする中庭に転がる雪だるまの頭を もう一度挿げなおすことにした**]
(253) 2011/12/24(Sat) 03時半頃
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―中庭―
べにばらさいた どうしてさいた はるまでまてず まふゆにさいた だれにきいても だれもしらない べにばらさいた ほんとのこたえ
[乾いた空気に乾いた細い歌声。 寒さに強い自信はあるが、そうは言っても 寒いものは寒いに代わりなく。 少しずつ血が流れていくものだから 雪は赤くなるばかり]
(271) 2011/12/24(Sat) 10時半頃
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…サイラス?
[少し遠い窓から見える、 こぼれるような金色に軽く首を傾げた。 理由の明確な答えを彼に語るには 幾らか気が引けて苦笑が浮かぶ。 まさか、彼の兄が何をしようとしていたのか 大切にしているのだろう弟には言えまい]
あんまりたくさん雪が積もったから嬉しくてさ。 で、ちょっとついでに薔薇と交流深めてみようと思ったら 失敗しちゃったんだーけ。
…サイラスはいい子だね。 心配してくれて、ありがと。
[雪の上に飛び出してきた後輩に 労いを込めて右の目元に唇をよせた。 年上ぶるには身長が似通いすぎて 少しだけ背伸びをしないといけなかったけれど]
(275) 2011/12/24(Sat) 11時頃
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[昔、似たようなことがあった気がした。 あれは冬の川だったとおもうのだけど。
覚えているやり取りとすれば 幼い声で水か何かの妖精かと聞かれて 違うよって、そんな風にこたえた記憶ぐらいだった]
薔薇がね、この時期に咲いてるんだ。 不思議だろ。何でか解らなくてさ。 だから、聞いたら教えてくれるかなって 思ったんだけど恥ずかしがりやでさあ。
[その代償が赤い手のひらだと示し、 窓枠においた蕾の一枝を手にしながら]
…だれもしらない。 薔薇だけが知ってるんだ。
[冷えた薔薇の香の中に白くため息が凍る]
(279) 2011/12/24(Sat) 11時頃
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[レオナルドに声高に呼ばれたことに 今更目を丸くした]
…はあい。
[間の抜けた、緩い返事。 少しだけ、サイラスに肩を竦めてみせた]
(283) 2011/12/24(Sat) 11時頃
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馬鹿って言えばいいのに。
[レオナルドの隠した言葉を曝して抜き取る。 とにかく急かす声が世話しないので またひとつ肩を竦めレオナルドに従うことにした]
あ、そうだ。
[一度足を止めてサイラスを振り返り]
ジェフにあったら、 隠し事をしたいなら ちゃんと隠せるところで 隠し通さないとだめだよ、って そう伝えておいて。
[薔薇の蕾を預けると赤い手のひらを緩く振って、 レオナルドの急かす声にその姿を追った]
(294) 2011/12/24(Sat) 12時頃
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―中庭付近―
[元生徒会長の後を追って少しもしないうちに 現れたのは毛布を抱えた同室の姿]
…何で
[少しだけ意外そうな声になる。 レオナルドのほうを一度見たあと]
別に、薔薇を見に行っただけ。 向こうにサイラスがいるから、 その毛布、持っていってあげなよ。
[そも、何で持っているのかまでは 己には知りようのないことで。 そういえば相談事があるのではと 視線をジェフからレオナルドへ移す]
(303) 2011/12/24(Sat) 13時頃
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は?
[思わずこぼれた音は唖然に近い。 何をいきなり言い出すのかこの同室者は。 気がつけば毛布でくるまれていたので 慌てて剥がし、ジェフに突き返した]
他人より、弟のこと心配しなよ! …大事なんだろ、手を出せないくらい。
[呟いて、同室から逃げるかのごとく 足早にその場所から去ることを選んだ。 冷えた場所にいた反動で室内は妙に暖かくて、 花の香は身を苛むほどに濃い。
故に自分の部屋まで戻ることが酷く億劫だった。 こんなことならレオナルドの部屋にでも 邪魔してやれば良かったと気づいても後の祭り]
(305) 2011/12/24(Sat) 13時半頃
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―廊下―
[自分の部屋の扉の前に座り込むこと暫し。 波打つ感情をどうにか鎮め 三つゆっくり息をはく。 部屋に入っていい加減眠ろうとしたとき そういえば、と思い出したのは セレストに貸したラテン語のノートのこと。 エリアスが体調を崩しているとしたら 届けてもらうのは悪い気がして、 ドアノブにかけていた手をゆるりとほどいた]
(316) 2011/12/24(Sat) 14時半頃
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ヴェスパタインは、エリアスが既に休んでいる可能性を鑑みて控えめに二人の部屋の扉を叩いた。
2011/12/24(Sat) 14時半頃
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…あれ。悪い、起こした?
[出てきたのがエリアスだったものだから 驚いて瞳は丸くなる。 外にいたその証拠のように カッターシャツやカラージーンズは所々濡れていたし 赤い雪を作っていたその手にも 傷は確かに残っている]
遅くにごめんねー、セレストいる? ノート、持ってきてもらうの悪いし 回収しにきたんだけど。
(319) 2011/12/24(Sat) 14時半頃
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…苛めたつもりは、なかったんだけど。
[耳元に届くエリアスの声が 何だかいつもと違うものだから お前大丈夫なのかと聞きたそうな顔で 視線をついうっかり向けてしまったが]
ああ…また行方不明なわけね。 じゃあお邪魔するよ。
[中から聞こえてくる音に察して 苦笑と共に二人の部屋に足を踏み入れる]
(325) 2011/12/24(Sat) 14時半頃
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…ごめんなさい。
[エリアスの言葉にしゅんとして、頭を下げた。 謝るなら薔薇に謝るべきだったのは じぶんでもちゃんと理解している]
ああ、多分化学の授業の後に貸したからじゃない? 役に立ったなら良かったよ。 お礼は遠慮なくいただきます。
[セレストから差し出されたチョコレートを 機嫌よくノートと一緒に回収して]
(340) 2011/12/24(Sat) 15時頃
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覚えとく。
[かくん、と首を縦に振った。 エリアスって植物が好きなのだろうかと そんなことを考えたくらいだったが、 彼の笑みがやはりいつもと違うのでどこか緊張する]
勉強してないって言われたら回収できないけど。 …ああ、これはこれでいいんだ。 ありがとね、セレスト。
[手を緩く握って首を横に振るが、 次の瞬間にはエリアスが差し出してくれた ジンジャーマンを目をキラキラさせて受領していた。 お菓子、大好き]
(345) 2011/12/24(Sat) 15時半頃
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ヴェスパタインは、エリアスにひどくうろたえた。
2011/12/24(Sat) 15時半頃
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…あ、はい。 おじゃましまし、たぁ。
[お菓子とノートを回収すると ぺこりと頭を下げて勢いよく逃げた。 セレストが優しくしてくれても エリアスが怖くてそれどころじゃない。 物凄い勢いで逃げた。もとい部屋を出た。
エリアスこわい]
(353) 2011/12/24(Sat) 16時半頃
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―廊下―
[エリアスとセレストの部屋を出て、 廊下に独りになったことで 上がった気分が一気に下がる。 やっぱりエリアスには嫌われていると 実感しつつ]
…ツリーって
[どこにあったっけ、と小さく首を傾げた]
(355) 2011/12/24(Sat) 17時半頃
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…あ、どうも。
[さっきぶりとばかりに少しだけ頭を下げた。 手のことを指摘されると、さっと後ろに隠しつつ]
いや、セレストにノートを貸してて。 課題に使うんで、返してもらったとこ。 そんで、お礼にっておやつ貰って。
[苦笑と共にノートやお菓子を示す。 そっちこそ何故というように首を捻って]
(358) 2011/12/24(Sat) 18時頃
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…はは、そうともいう。
[軽く肩を竦めて浮かぶ苦笑。 後ろの扉が開けば少し驚きもしたけど]
セレスト。 エリアス独りにしていいの?
[少し驚いて同級生を見る。 ノックスやオスカーは食堂で見ただけだが 思わず浮かぶのは軽い笑い]
みんな、自由だなあ…。 うちの同室も、今は何してるんだか。
(361) 2011/12/24(Sat) 18時半頃
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…ああ、うん。
[サイラスの名前が出てくると小さく頷く。 小言と聞くと首を横に振ったか]
違うよ。 俺が先に来ちゃったからさ、 そのあとはよくわかんなくて。
医務室は、俺はいいや。自分のせいだし。 セレストも、エリアスが心配しないうちに戻りなね。
[べネットがすり抜けていくのを止めはしない]
(366) 2011/12/24(Sat) 19時頃
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はあーい。 わかってるよ。
[子供のような返事を返してベネットを見送り 医務室に向かうセレストを見送る。 今度こそ部屋に入ろうとしたところで 足音がひとつ聞こえて視線を向ければ]
…何か。
[聞こえてきた足音の主は、 ついさっき見覚えのある元生徒会長──**]
(370) 2011/12/24(Sat) 20時頃
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―自室前廊下―
…別に。 追ってくるか、試しただけ。 優先らしいから?
[手当てをという言葉を右から左へ受け流し 口許に浮かぶ笑みはどこか自嘲を帯びていた。 レオナルドへ視線を向けつつ]
でも、結局来たのは本人じゃないし。 口先だけでどうにかできるって思う程度に 俺のことはどうでもよかったみたいだ。
…それよりそっちこそ、わざわざ追ってきたわけ。 大変だね、イイ人やるのも。
(401) 2011/12/24(Sat) 22時半頃
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いらない。 行かない。 必要ない。
[差し出す手を断り、改めて手を引っ込める。 幼いという自覚があるからこそ、 口許は歪むばかり]
…弟、ね。
[その方がまだましだったと 言葉にせずとも表情が言う]
(416) 2011/12/24(Sat) 23時頃
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…見なかったことにすればいい。 忘れたらいいじゃない。
[息を吐き出して、自分の部屋のドアノブを開く。 ノートもチョコもクッキーも しまってしまいたいと思ったのだが]
…?
[別に扉の開く音>>421が聞こえた気がして 視線をそちらに向ける。]
(436) 2011/12/24(Sat) 23時半頃
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っ、離せよ。
[手を掴まれれば順当に睨む選択肢があるばかり。 扉の音のほうから、視線は元生徒会長へと向かう。 丁度、手負いの野良猫みたいな目をしていた]
離せったら。
[振りほどこうと試してはみるものの 上級生相手に敵うのかどうか]
(455) 2011/12/25(Sun) 00時頃
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はあ? …意味わかんない。
[腕を掴む力の強さに幾等か眉を顰める。 それでも、傷口が染みて反抗するその気力が軽く削がれて。 塞がりかけた傷口から滲むのは赤い色]
とにかく、断る。 俺は、このまんまで、いい。
[傷口も。 目と耳を塞ぎ続けてただ笑うだけの生活も すべて自分が選んだことだから]
(464) 2011/12/25(Sun) 00時半頃
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