213 舞鶴草の村
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この屋敷を出てから幾年が過ぎただろう。 笠からそっと目を覗かせ屋敷を眺める。 ここには鼠は入ったのだろうか。決してこの屋敷での生活は居心地が良かったとはいえない。しかしだからと言って鼠に襲われてもいいとは思わない。 屋敷の主人には恩がある。その家族や周りの人にも恩はあるし恨む気持ちはない。逆に迷惑かけたことを申し訳なく思う。
そのようなことを思い立ち尽くしていたが、屋敷の引き戸が開いたと同時に焦り走り出した。今ここで自分の姿を見せるわけには行けない。
この界隈で笠を深く被り走り抜けていては怪しまれてしまう。同心や岡っ引きに拘束されては堪ったものじゃない。 路地を抜け人気のない静かな土地へと逃げ込むように進んでいった。
(17) purupuru 2015/01/29(Thu) 13時頃
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―参区の外れにある寺―
屋敷に入れるわけもなく辿り着いた場所はこの区域にある寺院。 街の騒がしさとは違い此処は静かだ。 残る縁のある場所というならもう此処しかないだろう。
「旦那様、お久しぶりです」
立派な墓石の前に座り手を合わせる。 参区を離れてしまってからというもの此処も疎遠になってしまっていた。さて母の墓にも手を合わせに行くか。
屋敷の主人が眠る墓の先にある小さな墓石。 主人が母のために建ててくれたものだ。 墓の前で手を合わせようとする際に気付く、墓には真新しい花が供えられており、合わせて母の形見である簪が置かれていた。
「鼠小僧が盗んだものはこれか・・・」
確かに盗まれた簪は気にも留めていなかった。 だが宝物というほどのものでもない。 捨ててしまおうかとさえ思っていたものだ。
(18) purupuru 2015/01/29(Thu) 13時頃
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「鼠は何がしたかったのか最後まで分からなかったな」
溜息をつき肩を落としながら陸区へ帰ろうと歩み始めた。 墓と墓の間を抜けていくと見覚えのある花が落ちており思わず歩みを止めた。 辺りを見渡すと母の墓に供えられていた花と同じものが供えられている墓を見つけた。 墓石には母の簪と同じ図柄刻まれ、足元には手ぬぐいが置かれていた。
「これは家紋...何故母の簪にも同じものが・・・」
不安と同時に高揚感が押し寄せてくる。 思考を巡らすよりも先に足元に置かれた手ぬぐいにゆっくりと手を触れる。
―『頼んだぞ』― 自身のものとは違う記憶が入り込んでくる。
(19) purupuru 2015/01/29(Thu) 13時頃
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―手ぬぐいの記憶―
カーン、カーン、カーン 半鐘の音が火の見櫓から町中へと鳴り響く。江戸の町は大火に包まれようとしていた。 皆が江戸の外へと逃げ出す中、俺は大火の中心へと向かっていた。仲間からは危険だ、お前も死ぬことになるぞ、と散々止められた。しかし引き返すことは出来ない。 「あそこには女房と息子がいるんだッ...!」 物凄い熱風が身体を襲ってくる。早くしなければ。
ドンッ!! 一瞬の気の緩み。集中力を欠いた俺の身に容赦なく建物が崩れ落ちる。身動きが取れなくないながらも必死に体を起こそうともがき叫ぶ。 こんなところで時間を潰している暇はない。こうしている間にも火の手は江戸の町を包み込む。脚の感覚はないが腕の力だけで抜け出そうと試みる。
『そこで寝そべって何をしている?』
(68) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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奴は俺を見下ろす様に見つめていた。 久しぶりの出会いがこんな形とはな。
『今助けてやるから待っていろ』
奴はそう言い俺の元に寄ってきた。火の手の勢いは増し旋風となって押し寄せてくる。早くしなければここもすぐ...。 「俺はいいからあいつらを...家族が残っているんだ。頼む...お前にしか頼めない」 後生一生の願いとして奴に懇願した。これしか方法はない。自身の無力さや悔しさから手に砂を握り締めた。 そんな俺に目を合わせるように奴はじっと見つめていた。
『....分かった....約束しよう。私に盗めないものは無い』
俺もここまでか。家族を最後まで守ってやれなかった。息子に教えてやりたいこともたくさんあったのに。せめて命だけは救ってほしい。 「頼んだぞ...相棒」
(69) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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―簪の記憶―
私の愛した人は旗本の家の者だった。 私とは身分が違う。故に結婚には反対された。 子を身籠った私はお腹の子を守るため逃げるように身を隠した。彼との間の子が見つかれば子を堕胎せと言われるかもしれない。
身を隠す生活に彼も協力してくれた。彼の家の家紋の刻まれた簪を貰ったことが何よりも嬉しかった。私達は婚姻こそできなかったが夫婦として過ごす日々を送ることにした。 大望の赤ん坊、元気な男の子が生まれ、私たちは親子3人で堂々と生活出来る日々を夢見ていた。 そのような希望が脆くも崩れる出来事が起こった、江戸が大火に見舞われたのだ。
夫は火付盗賊改として働いていた。重罪である放火や盗賊を取り締まる役職だ。そんな夫からある義賊の話を聞かされていた。 「アイツは他の盗賊とは違う。でも俺は認めねぇよ」そう話す夫はどこか嬉しそうだった。
『この屋敷の者なら生活を見てくれる。頼るといい』
私たち親子を助けてくれた彼から夫の最後と面倒を見てくれるという屋敷を紹介された。彼が何者かは聞けなかったが、きっと夫が話していた人だろう。
(70) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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江戸の町を焼き尽くした大火で夫を亡くした私は我が子と親子二人で屋敷に住まわせてもらうことになった。屋敷の主人は何も言わなかったが命を救ってくれたあの方から何かしらの見返りや口添えはされているのだろう。
夫に子がいることが夫の実家の耳に入ると息子の捜索が始まった。夫が亡くなり跡取りがいなくなったため明之進を引き取ろうというのだ。私は息子の身を隠すため他人に夫の正体を明かさないことを決めた。 他者に何と言われようともこの子が側にてくれるだけで私は耐えれる。 大人になった時にこの子自身が進むべき道を選択すればよい。ただし今はまだその時ではない。できるだけ親の愛情をこの子に、亡くなった夫の分まで。それがこの子にしてあげれる事であり私の役目。夫と私の宝物―明之進
(71) purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
purupuru 2015/01/30(Fri) 23時頃
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