84 戀文村
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─ 回想 ─
[時間にしてどれほどか。 現し世を離れた女には時間の感覚が薄い。
>>3:+26>>3:+27子供のように泣きじゃくるセレストを、その頭を胸に押し付けるように抱く。 戦地に行かせまいと決めていたのに、村の為に戦地へ往くと言い切ったセレストの表情を見て、どうしてもと引き止める事が出来なかった。
説得ならいくらでも出来ただろうに、なぜ──と。 セレストの涙を見て抱くのは、結局、独り黄泉路に向かわせてしまったという悔恨の念と、彼女が負ったであろう痛みの幻覚。]
────…ッ
(+2) 2012/03/30(Fri) 07時半頃
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[セレストが味わった恐怖。 衝撃。痛み。
全てを己が身にも──と。
強い思い(願い)は魂に直接影響を与えて、女は全身がバラバラに引き裂かれたような痛みに声を殺し身動ぎもせず耐えた。]
───…、大丈夫、大丈夫。 もう、怖くない。
村に帰って来たんだよ。
おかえり、セリィ──。
[腕の中の愛しい子に決して気付かれぬようにと、そろりと息を吐き出し、いつからか呼ぶ事を控えていた、幼い頃の愛称を呼んだ。 そして、セレストが泣き止むまで、ただひたすらに、穏やかに語り掛け、髪を撫でていた。]
(+3) 2012/03/30(Fri) 07時半頃
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[>>3:-28暫くして立ち上がったセレストに促され、村の中へと。]
(+4) 2012/03/30(Fri) 08時頃
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[村の中で、増える気配をいくつも感じていた。
その度に、傍のセレストの手に手を伸ばす。 自然と、言葉もなく。
ぬくもり求めて。]
───…皆ここに戻って来る。
私が愛した村。 皆に愛された村。 ここで皆を待つ事が出来て、私は幸せだな──…。
(+5) 2012/03/30(Fri) 08時頃
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ダーラ──…、
最期、看取ってくれてありがとう。 辛い事をさせてしまった。
でも、お前と、セリィ。 二人に見守られて、本当に幸せだったよ。
まさか、お前まで来るとは思わなかったが──…、 それでも、お前と共にここに在れて、それも嬉しい。
もう、離れずに済むな。 ずっと一緒に、村の──…、 皆の行く末を見守ろう──?
[眠るダーラに語り掛ける。 声も眼差しも、穏やかに。**]
(+6) 2012/03/30(Fri) 08時頃
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[駆け寄って来たダーラをぎゅっと抱き締める。]
いいんだ。 ベネットならきっと、私達との約束を 果たしてくれる。
ベネットは辛いだろうが、 彼に赤紙が届かない事を祈るよ。
[この状況になっても召集されない。 その事で心無い村人からやっかみを受けるだろう彼を心配はするけれど、それでも──と。
ベネットが永らえる事を望むのは女の我が儘か。
彼には戦争のない世で伸び伸びと生きて欲しいと、ずっと窮屈そうな姿を見て来た女は思う。]
(+32) 2012/03/30(Fri) 23時頃
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[どこかにエリアスの気配もある。 あまりにも早く、逝ってしまった。 あまりにも、あっけなく。]
生きる希みのない戦いに何故送り出す──…。
戦がひとを、くにを変えるのか。 それでも、現し世から戦の絶える事はないのだろう。
[疑問は細波のように寄せては返す。]
なら私は、こちらに来て良かったと思う。 ここでなら、もう、誰も泣かずにすむから───。
(+35) 2012/03/30(Fri) 23時頃
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ああ。 本当に、貧乏くじを引いたな、ベネットは。
我儘だからな、私達は。
[唇をニ、と歪めてダーラを見た。]
(+39) 2012/03/30(Fri) 23時半頃
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───。
[顔を顰めるセレストの手に、手を伸ばす。
刻まれた傷は深かろう。 魂が傷付いたのなら、忘れる事はないのかもしれない。
──だから共に、傷付く事を望む。]
おいで。
[ぬくもりを分けよう。 痛みも、恐怖も、二人ならきっと耐えられるから。]
(+43) 2012/03/30(Fri) 23時半頃
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[セレストに手を伸べるダーラに、目許を和らげる。 そう、ここでなら、独りで食卓を囲む朝はない。 病に喘ぐ夜もない。
皆のこころを間近に感じ、共に手を携えて、平和を祈る。]
(+45) 2012/03/30(Fri) 23時半頃
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